雨、22度、83%
香港にやって来た当初、既に、この地で駐在歴の長かった方の奥様たちが、皆さん口を揃えて同じ事をおっしゃいました。食器を揃えるなら、早いうちにしなさいね。毎年毎年、値段が上がるからね、と。
それならばと、当時はまだイギリス統治下、沢山あった食器屋に足を運びました。マイセンのような高いものには手が出ません。花柄は、好みでありません。やはりスタンダードなものがいいと思っていました。リャードジノリのベッキオホワイトがいいわ、と思いました。そこで家人に話すと、折角だからいいものを買いなさい。とおっしゃいます。それに、家人は、ベッキオホワイトがお好きでないようでした。
リチャードジノリに目が向いていたわけではありません。沢山並んだ中から、すっきりしていて、それなのにシャープすぎない食器が目につきました。8人組で、フルセット揃っています。
一人分のティーセットです。 左端のシュガーボウルにも、ティーポットのようなドーム状の蓋が付いていました。
一人分の、ディナー皿。 一番縁は金線です。そのひとつ中が、ブルーグレーの素敵な色のラインが入っています。アールデコのような柄は、鉄赤です。
とっても大きい、サラダボウル。そして、見出し写真の、スープチュ−リンです。8人セットを6人にする事も可能でしたが、家人が私が割ることもあるだろうと、8人分いただきました。
この食器で、お客様を招いても、どなたもリチャードジノリのものとは気付かれません。
実は、この後、あと2セット、フルセットの食器を求めました。
20年ほど前、シュガーボウルの蓋が落ちて壊れてしまいました。本当に愛らしいドーム型をしていましたから、残念でした。まだ、今のようにネットが発達する前の事です。お店で、同じシリーズがないかと探しますが、一度も見かけたことがありません。
3年ほど前に、別のシリーズのマスタード入れの蓋をやはり壊してしまいました。アメリカにREPLACEMENTという会社があります。食器が蓋だけ、カップだけでも見つけて売ってくれる会社です。流石に洋食器の歴史の長さで、在庫の数も、扱う食器、カトラリー、グラスも多種多様です。在庫がなければ、登録しておくと、探してくれます。マスタードの蓋は、すぐに見つかりました。
気をよくした私は、早速、このシュガーボウルの蓋を頼もうと思ったところ、このリチャードジノリのシリーズの名前が解りません。裏には、製造年1986としか書かれていないのです。そこで、REPLACEMENTに皿の写真をメールしました。20年近く経って、初めて、このシリーズの名前が解りました。MUSICA。 とても数少なく作られたのか、滅多にないシリーズだそうです。未だに、シュガーポットの蓋はウェイティング。
確かに、皆さんが仰っていたように、年々値上がりする、食器です。そればかりか、1997年の中国返還を境にお店の数がぐっと減りました。器を選ぶ時、好きかどうかが一番先行しますが、なんといっても、料理を作って皿にのせるのは、私です。自分の料理の域を超えた食器では困ります。この、MUSICA、中華にも使います。パン皿は、和食の時の取り皿としても使います。