チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ライチランタンバグ

2014年08月08日 | 香港

晴れ、27度、86%

 今日は珍しい昆虫の話です。ここ香港に永く住んでいらっしゃる方だって、この虫のことはあまりご存じないと思います。地元の香港人だって、大して変わりないでしょう。それくらい珍しい虫です。

 私が初めてこの虫に遭遇したのは、もう、20年以上も前のこと、香港島の北から南に渡る山を超えた貯水池の近くでした。木の幹にしがみついているこの虫、見るからに鮮やかですから、あら?と近寄りました。色ばかりか、形までなんとも奇妙です。マジマジと眺めているうちに飛んで行ってしまいました。カメラを持っていたにもかかわらず、主人と口喧嘩をしながら歩いていたばかりに、写真に収めずじまいでした。このことを20数年後悔しつつ、そして、もう一度出来たらお会いしたいと恋い焦がれていた虫です。

 この初めての遭遇後、家に帰り、「HONG KONG ANIMAL」という今はもう刊行されていない政府からでていた本で調べたら、ライチランタンバグ、だと知りました。名前からも分かるように、ライチの木に多くいる虫だそうです。角をのぞいて長さ4、5センチ。グリーンに黄色いドット、赤い角、その赤い角にも白い小さなドットが付いています。なんと南洋的な色合いでしょうか。この赤い長い角がランタンのようなので、このネーミングです。ライチ、ライチに似たローガン、もしくはアカシアに多くいると書かれています。私が見たのはおそらくアカシアの木にいた虫です。

 香港にも、ライチに木はパラパラとあります。お隣シンセンには、ほんの十年ほど前までは、ライチの山がありました。主人のシンセンの事務所の人がライチの刈り取りシーズン(ちょうど今頃)になるとライチ狩りを手伝うために休みを取っていたほどです。道沿いにはリヤカーに載せたライチ売りが並びます。竹籠に入れられた5ポンドものライチを主人がよく買って帰ってくれました。ところが、今ではそのライチの山は姿を消して、自動車道路や工場が出来ています。ライチの山と共に、このバグたちも姿を消したに違いありません。

 香港だって、以前に比べると虫が減りました。ホタルを見なくなって10年は過ぎます。トンボも数が減っています。虫ばかりか、小動物、蛇やトカゲにいたっても滅多にお目にかかりません。やはり中国華南地区からの大気汚染が原因です。この私、恋い焦がれているライチランタンバグのことを夏になると思い出します。でも、もう会えないものと諦めていました。

 ほんの数日前、昼下がりの香港セントラルのビルの間を歩いていました。石の階段をエッコラサと一段ずつ上がっていると、あらら!、ひっくり返ってお腹しか見えませんが、ライチランタンバグの死骸です。周りを見回しても、ライチに木もアカシアさえもありません。手に取ってみました。紛れもなく、ランタンバグです。小さな蟻が付いているところを見ると、死んで間もないかもしれません。でも、どうしてこんなところに?

 死骸ですが、20年以上ぶりに会うことが出来ました。生きていたら、手に取ってみることは出来なかったでしょう。掌に大事に入れて持ち帰りました。

 なんであんなところに、しかも、人が多く通るところで踏まれもせずに、まるで、私が来るのを待ってくれていたようです。蟻はきれいに落として、シリカゲルと一緒に瓶に入れて毎日見ています。すぐに、パラパラになるでしょうが、今までの長い思いを込めて見届けてやるつもりです。

コメント
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