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晴、8度、69%
町名の新表示が行われたのは昭和のいつ頃でしたか?何丁目何番地と改められ、何区と言われるようになりました。その前の古い町の名前は奥ゆかしく趣のある名前が多くありました。
福岡の繁華街「天神」から西に10分ほど歩いたところに、古着屋やエスニック料理の店が並ぶ通りがあります。昔の町名は「紺屋町」、つまり染物屋が並ぶ町でした。私が子供の頃ですら染物屋はほとんどありませんでしたが、名残の家並みがありました。大きくはない古い木造の低い街並みでした。10年ほど前までは若者が我が物顔に歩いていたこの町、今ではすっかり韓国、中国からの観光客に明け渡しています。そして「テナント募集」の店もポツポツ。
国道から横に入ったこの町の突き当たりに昔と変わらぬ佇まいの店が2軒あります。 古本屋。
和菓子屋。変わらぬ場所に店の作りも変わり映えしません。古本屋は本屋の隣に自社ビルを建てています。私有地だからこそ、この場所で古本屋が続けてこれたのでしょう。私が高校生の頃、初めて古本を買った店です。あの日、恐る恐る本屋のドアを開けました。そして、古本屋独特の匂いに圧倒されました。今でも好きな匂いです。天井まで本が並んでいる光景も好きです。
私の古本屋好きが始まった始めの店です。
和菓子屋は早朝から餅菓子を蒸す匂いがします。冬だと湯気とともにお腹に響く匂いです。母に幾度この店でで和菓子を求めたことやら、上用の和菓子はありません。町のお饅屋さんです。
この2軒をみるとホッとします。まだ「紺屋町」のルーツがあったと思います。横路地に入ると、こんな表示を見ました。 「東小性通り」この細い通りの昔の名前でしょう。「福岡城」から東に歩いて20分のこの通り、その昔は「小姓」たちの住まいがあったに違いありません。「東小性通り」、響きも字姿もきれいな町名です。
観光客のお目当ては古着のようです。昼時のエスニック料理の匂いの中を「紺屋町」を後にしました。小さな郵便局も今では「大名1丁目郵便局」と書かれています。日本中、古い町名を知る人が少なくなることは残念です。小さな古本1冊抱えて家に向かいました。青空の日の散歩です。
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