晴れ、22度、84%
パグと一緒に生活している方ならご存知でしょうが、なにぶんにもパグは食いしん坊です。目の前にある食べ物は、余程嫌いなものでない限り、すっかり食べ上げるという特技を持っています。しかも、あんな口をしていますが、ほとんど噛みもせず、すごい早さで食べ上げます。そんなパグが、出されたものを食べない時は、病気です。モモさんは5年程前に、両後ろ足を痛めました。痛みがひどくて、数歩歩くとしゃがみ込む程状態が悪く、シッポはダラーんと垂れていました。そんな時ですら、食欲だけは落ちません。この10年で、モモさんが全く食欲がなかったのは2回。一昨年、高熱を出して動けなかった時と、1歳のとき、香港が暑くなり出した5月頃、暑さに付いて行けなくて食べることが出来ませんでした。
3日前、朝から夕飯のための牛肉をコトコト炊いていました。モモさんは、ほとんど私たちと同じものを食べます。朝ご飯はいつものように済ませました。昼ご飯は、夕飯で牛肉を食べるので、控えめに目玉焼きをほんの少しあげました。ご飯を食べてる私の右足元には、モモさんのご飯のお椀があります。その横にきちんと座って待っています。目玉焼きの黄身の部分は、モモさんの好きな食べ物です。それなのに、クンクンと匂うと、フンと鼻息荒く、ソファーに行って横になりました。あれ?どうしたの食べないの?と私。ちゃんと言って聞かせました、今晩は牛肉だから、お昼は少しね、って。それでも食べません。そのまま放っておきました。洗いものを済ませた後も、目玉焼きはお椀に入ったままです。モモさんの様子は、至って元気そう、目も鼻も病気の様子は見られません。朝からずっとコトコト、お鍋では牛肉が炊けています。
午後、お客さんが見えました。すぐに帰られて、モモさんはいつものお昼寝タイム、寝姿ものびのびしています。3時過ぎでしょうかモモさんの横を通ると、お腹が鳴っている音がします。グルグル、グ~。大きな音なので、一瞬私のお腹が鳴ったのかと思いました。いえ、モモさんのお腹です。ずっとお腹が鳴っています。お昼食べていませんからね。可哀想に思って、ソーセージを小さくしてモモさんの鼻先に置きました。目を開けて、匂いますが食べません。流石にこの時は、モモさんどこか具合が悪くなったと思いました。心配ですが、食べないだけです。熱がある様子もありません。獣医さんは、歩いて5分程。夕方まで様子をみることにしました。まだ、レンジの上では牛肉がコトコト火にかかっています。
主人がシナモンロールが食べたいと言っていたので、焼き始めました。シナモンロールの焼ける匂いは、強烈に食欲をそそります。モモさんまだ、お腹が鳴っています。ほんとに大きなグ~です。
夕飯は牛肉ですから、こんな時間にシナモンロールなどあげたくありません。でもね、お腹の音が。そこで、焼きたてのシナモンロールをちょっとお椀に入れました。これまた、フンと無視されます。もうこれは病気だわと、夕方の散歩の時に病院に行こうと思います。ちょっと、牛肉のことが頭をよぎりました。そこで、牛肉と一緒に炊いているジャガイモをシナモンロールの上にのせました。これまた食べません。お椀を置いて、別の部屋で用事をしていました。モモさん、ソファーの上で寝たままです。外も暗くなって来たので、お散歩と獣医さんのところへと思い、ふと、お椀の中を見ると、シナモンロールもジャガイモも姿がありません。ほんとに、この時は安心で肩から力が抜けました。なんだ、食べるじゃない!
いつもは、私が行くところ何処にでも付いて来てそこで昼寝をします。考えてみると、その日は私が用事をしてる部屋にも付いて来ませんでした。
たった、数時間でしたが、モモさん、私に対してハンガーストライキを起こしたようです。夕飯のとき、主人に話すと、牛肉をお昼にもらえなかったからだろうと言います。狭い家の中です。何処の引き出しが開けば、薬が出て来る、何処の扉が開けば、ご飯が始まる、この匂いは、好物のもの、全てご存知なモモさんです。