晴、24dp、87%
「あとみよそわか」という言葉をご存知でしょうか?明治の文豪「幸田露伴」が娘「幸田文」に残した言葉です。「あとみよ」とは後ろ、物事の後を見ること。つまり自分のしたことを振り返ることです。「そわか」とはサンスクリット語で語呂合わせで「幸田露伴」がつけたものだそうです。一人娘の「幸田文」に掃除の仕方まで躾けた父「幸田露伴」が物事終わった後に、今一度自分のした仕事を振り返るように教えた言葉です。
「幸田文」の作品の中でこの言葉を知りました。そして数十年ずっと私の胸に仕舞って心がけてきたつもりです。この言葉を他の方から聞くことも、何かの文章で見ることもありませんでした。ところが昨日、70歳を超す日本在住の韓国人女性の文章に「あとみよそわか」と書かれているのをみてびっくりしました。旅先を離れる前に「あとみよそわか」と書かれていました。「幸田露伴」の言葉などという注釈はありません。飛行機に乗る前にし忘れたことはないかと「あとみよそわか」と読む人がみなさん知っている言葉のように書かれていました。
この韓国人女性は70歳を超していらっしゃるのにとても素敵な方です。日本で「李朝喫茶」を営んでいらっしゃいます。素敵とはこんな人をいうのだと思うほど容姿も、時折書かれることも凛と筋が通っています。こんなふうに70代を生きられればいいなぁと、お名前を見る度。写真や文章に触れさせてもらいます。日本生まれかどこの学校を出ているとか存じません。写真で見る長身に髪を結いあげ、洋服も独特な雰囲気、書かれていることは平坦でありながら、しっかりとご自分の視線があります。そういう方が『幸田文」の本を読み自然に「あとみよそわか」と書かれているのに感銘しました。
私はずっと胸に仕舞っていた「あとみよそわか」をごく最近たった一人の人に教えました。孫娘です。初めて口にしました。あと何十年か生きていくだろう孫娘にも「あとみよそわか」を胸に刻んで欲しい思いです。まだ10歳の孫娘、あと幾度かこの言葉を彼女に伝えます。
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