曇、9度、67%
香港時代、22年間家庭教師の仕事をしていました。学校成績を上げるためではなく、高校、大学の受験のための家庭教師でした。1年もしくは2年、子供とご家庭と一緒に目的に向かって走ります。子供部屋、ダイニング、週数回3時間程度の勉強が入試前になるとほぼ半日我が家に詰めての勉強でした。仕事を受ける前には、必ずご家族や子供に会います。個性の強い私ですから相手の方に無理ですとお断りを受けることもありました。また逆に「どうも合わないな。」と私からお断りすることも。22年間で100人近い教え子がいます。日本のトップクラスの学校に入った子もいれば地方の公立に入った子供もいます。ドイツ、オーストラリア、カナダの学校に行った子もいます。一人一人の顔が浮かびます。
一昨日の朝、そんな教え子の一人が3人目の赤ちゃんを産みました。産室のベットの彼女の横には産まれたばかりの赤ちゃん、その向こうに上の二人の子供の大きな笑顔、心温まる光景です。
彼女は出来のいい生徒ではありませんでした。宿題もしません。長く勉強をみた子の一人です。4年間?5年間?小学の高学年からインターに入る前までの期間です。宿題を忘れると私は叱ります。でもその後から「勉強できなくてもいいよ、きっといいお母さんになるから。」と先生にしてはあるまじき言葉をかけました。大学に入っても時折香港の家に遊びに来てくれました。ここ数年会っていませんね。
写真の小さな人形は彼女が私の誕生日にくれた物です。南米のおまじないの人形が7つほど木の箱に入っていました。願い事をして枕の下に入れて寝ると願いが叶うというのです。言われた通り幾度か人形に願いをかけました。最後のこの人形と木箱は大事にとってあります。以前、彼女が我が家に来た時に見せたのですが、すっかり忘れていました。私はこの小箱を見る度に彼女を思います。たくさんの教え子のうちでもいつまでも心に残る一人です。
おめでとうのメッセージのお返事、「人はよく食べると幸せになるよ。と教えることしかできません。」と来ました。20年近く前、「いいお母さんになるよ。」と言った私の思い通りにいいお母さんになってくれました。3人を連れてこの家に遊びに来てくれるそうです。
幾度も産室のベットの写真を見直しています。その温かさを私までもらいました。おめでとう。そして、ありがとう。
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