曇り、13度、86%
初夏に白く甘い香りの花をつけるクチナシは秋口から実を付け始めます。実の付く種類とそうでないものとがあるようです。緑だった実が寒さを重ねると色付きます。その色は柿のオレンジより鮮やかです。大きくて5センチほどのクチナシの実はつぼみの時のような姿に戻ります。先細りの紡錘形、小さいながら色形ともに存在感があります。クチナシのつぼみの形から香港ではこの花を「白蝉」と呼んでいます。生まれたばかりの白い蝉に似ているからでしょう。
クチナシの実を食品の色付けに使うことなど昨今あまり聞かなくなりました。乾燥させたこの実を水で戻しておせちの「栗きんとん」の色付けに使った昔を思い出します。栗を漉して練っても鮮やかな黄色にはなりません。そこでクチナシの実を戻した水を加えるとお重に映える色に仕上がります。
オレンジ色の実は春になる前に落果します。こんな鮮やかな色、大きさもそこそこあるのに鳥たちがついばんでいる姿を見たことがありません。きっと、美味しくないクチナシの実だと思われます。
おせちにべったりと甘い「栗きんとん」を入れることがなくなりました。クチナシの実を採って乾燥させることもなくなりました。それにしてもあの白い花からは想像もつかない鮮烈な色を冬の緑の葉っぱから覗かせています。
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