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30年ほど前、「私のタイ料理」という本の中でハッと目に留まったカゴがありました。両手のついた端正な天然素材で編まれたカゴです。ココナッツの実を絞るのに使うカゴだそうです。この本に出会う数年前、家族でプーケットを旅行しました。今と違って田舎町の「プーケット」でした。そこの市場でいくつかカゴを求めて帰りましたが、こんな綺麗な形のカゴは見当たりませんでした。
以来タイに出張に出かける主人にそのカゴを探してくれるよう頼みましたが、男の人です市場などに行く時間があるはずもありません。私もバンコクに行く機会がありましたが、市場には出向くことができませんでした。当時は香港に住んでいました。ずっとずっとそのカゴのことが頭を離れないでいました。
先日、雑誌を眺めていたら両手のついたカゴが写り込んでいます。本の出版社に電話して、編集部門の方にお手を煩わせて出何処を入手することができました。その記事はカゴのことには触れていず、ただ写真の隅に写っていただけです。早速、アジアのものを扱う会社に電話して、売っていただくことができました。かれこれ30数年かかりました。
大きさも確かめず、大小2つ頼みました。荷物を解いた時の私の喜びようはありません。思い描いていたものよりやや粗雑な作りですが、それでも手作りの美しい形です。両手がありますからシンクなどにかけて使えます。 お飾りのカゴではありません。実際に使うもりで流しの横に居場所を作りました。
タイのカゴは美しく、ちょっと発想の違うものが見つかります。 プーケットで私が買ったカゴはこれと同じものでした。これは2代目です。最初のカゴにも化粧品を入れていました。艶が出ていい感じになったのですが、20年近く使って傷みが目立ち始めました。その頃、我が家にはタイから来たお手伝いさんが通ってくれていました。彼女が休みでチェンマイに帰った時、カゴを買って来てと頼みました。この化粧品のカゴ、そして、 この面白い形のカゴを持ち帰ってくれました。この足付きのカゴは北のタイらしく「餅米」を蒸すカゴです。もっと大きなサイズで蒸して、お客さんにサーブするときにこの小さなカゴに盛ります。我が家では玄関で印鑑や鍵のスペアーを入れています。
今日から手つきカゴを使い始めます。タイにご旅行の時は市場でカゴを見てください。きっと素敵なものとの出会いがあるはずです。30数年かかって手に入れた「タイの手つきカゴ」です。
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