大雨、25度、86%
私が小学の頃、昭和30年代のことです。月刊の少女漫画雑誌は2つありました。「りぼん」と「なかよし」です。付録がたくさんついていて雑誌は大きく膨らんで売られていました。買って欲しいのですが母は決して買ってくれませんでした。ところが母が実家に里帰りしている時に父が「りぼん」を買ってくれました。「りぼん」は私が選んだのだと思います。手塚治の「リボンの騎士」が読みたかったからです。付録のついた本を買ってもらったのはその時が初めてでした。嬉しかった、もう60年近く前のことなのにあの時の嬉しさが胸に蘇って来ます。雑誌の一部を切り取って応募すると全員にプレゼントが送られます。父がハガキで応募してくれました。送られて来たのは「リボンの騎士の缶バッチ」でした。この「缶バッチ」大学でこの家を出る時まで大事に持っていました。
夏休みで小学3年生の孫娘が東京から来ました。着いた日に東京では売り切れの本を探しに本屋に行きました。自分でお店の人に尋ねていました。この店でも売り切れています。がっかりだったでしょう。雑誌のコーナーを覗き込んでいました。後ろから近づいた私は「好きなのを一冊買ってあげるよ。」と声をかけました。孫娘、迷わずに手に取ったのが「ちゃお」です。孫娘もこの手の雑誌は買ってもらえないようです。親に許可をもらわず2人でレジに向かいました。
月刊雑誌らしく付録満載です。レジで受け取ると孫娘抱えて持ちました。家に帰ると、付録のサインペンでお絵かきです。今の子供は昭和の子供より物に恵まれています。孫娘もおもちゃを驚くほどたくさん持っています。この付録付きの漫画雑誌は大喜びするほどのものではないかもしれません。
物が少なく、やっと買ってもらった私の「りぼん」が私のくれた喜びは遠い昔のことです。リボンの騎士が馬に乗った「缶バッチ」の絵柄まで目を瞑ると蘇ります。幸せな時代でした。