おはようございます。
先日、大倉集古館の一風変わった陶磁器展を見てきた。ウィーン近郊のロースドルフ城の古伊万里を中心とした陶磁コレクションの展示なのだが、破壊された陶片やそれらを修復したものが主役なのだ。
第二次世界大戦終結直後に、突然、旧ソ連軍がロースドルフ城にやってきて金目のものを奪おうとし、地下に隠しておいた陶磁器を見つけ出したのだが、それらの価値が分からず、その場で粉々に破壊した。城主のピアッティ家は悲しみにくれたが、残された大量の陶片を廃棄することなく、平和を願う”戦争遺産”としてこれまで一般に公開してきた。今回は、そうした陶磁破片やそれらの修復作品を海外で初めて公開する展覧会とのことだ。
集古館の一階は、第1部の展示で、ここでは、有田で始まった日本磁器の誕生、そして、鍋島、柿右衛門へと発展する過程を佐賀県立九州陶磁文化館 の所蔵品で見せてもらえる。
二階に上ると、第2部、ウィーン、ロースドルフ城の陶磁器コレクションが始まる。はじめに、破壊を免れた陶磁のコレクションで、有田焼だけではなく、有田を模した中国陶磁(景徳鎮窯 )、ヨーロッパのデルフト窯、ウイーン窯、イギリス・ウェッジウッド窯、コペンハーゲン窯の陶磁も展示されている。
そして、今回のメイン展示、破壊された陶磁コレクション、陶片の間・再現コーナーが続く。以前は城内に調度品としてうつくしく飾られていた陶磁の無残な姿。戦争による文化の破壊。いや、これは終戦直後の許しがたい狼藉である。ピアッティ家の怒り、悔しさ、悲しみがひしひしと伝わってくる。
五彩・色絵花卉文碗皿(破片)景徳鎮窯・有田窯 18世紀前半
部分修復された作品も展示されている。
色絵唐獅子牡丹文亀甲透彫瓶(部分修復)有田 1700-30年代
五彩花卉文皿(修復)景徳鎮窯 18世紀前半
色絵花卉美人文盆器(組み上げ・部分修復)ヨーロッパ 18-19世紀
色絵松竹梅鶴文八角大皿(修復)有田窯 1700-20年代
白磁大壺(組み上げ修復)ドイツ・マイセン窯 20世紀初頭
ロースドルフ城
大倉集古館
向かいがホテルオークラ。ロビーの生け花飾りと雛飾り。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!