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【cinema / DVD】『もしも君に恋したら。』鑑賞@WOWOW

2015-02-22 13:02:14 | cinema / DVD

『もしも君に恋したら。』鑑賞@WOWOW

WOWOWジャパンプレミア『もしも君に恋したら。』見た!ポップでカワイイ恋愛映画 ゾーイ・カザンの不思議カワイイ感じが、そのまま映画のイメージ。アニメの使い方がイイ 本編になかった部分をエンドロールでアニメで見せるの好き♬ ハリー・ポッター老けたねw



ネタバレありです! 結末にも触れています!


日本未公開作品を放送するWOWOWのジャパンプレミア枠にて鑑賞。せっかくそういう枠があるのだから、可能な限り見てみようと思っているのだけど、さすがに全部見るというのも 見てみたいと思ったのは、ハリー・ポッターことダニエル・ラドクリフ×ゾーイ・カザンだったから。とはいえ2人とも特別ファンというわけでもないのだけど・・・(o´ェ`o)ゞ


「失恋の痛手から医大を中退し、引きこもりになってしまったウォレス。ある日パーティでシャントリーと出会い意気投合。ウォレスは彼女に惹かれるが、シャントリーには彼氏がいて・・・」という感じの話で恋愛映画。そこに、シャントリーや彼氏の仕事での転機、彼らに刺激されて将来について考えるウォレスの姿などを絡めて描いていく感じ。主人公が医大を中退してしまって引きこもっている状態からスタートというのは、実は結構重いテーマだと思うのだけど、その辺りはアニメなどを交えて、コメディタッチでポップに描いている。後にシャントリーがこれはやり過ぎだと怒るシーンがあるくらい、やり過ぎなドタバタもあるけれどギリギリOK。


映画のイメージとしてはこんな色。ポップな感じ。ダニエル・ラドクリフの役は前述したとおりの状況なのでポップではない。ポップな感じにしているのはゾーイ・カザン演じるシャントリー。『(500)日のサマー』(感想はコチラ)のサマーほどではないけど、男心を弄ぶ小悪魔タイプ。ただし無自覚。ちょっと優しくされると自分に気があるのね?と思うような自意識過剰タイプも困るけど、本当にウォレスの気持ちに気づいてないなら鈍感過ぎる そりゃ、男性が全員下心ありで女性に近づくとは限らないし、男女の友情も成立すると思う。でもねぇ・・・ パーティで意気投合して一緒に帰って、別れ際にまた会おうって言われたら、それは"友情"を求められているのはないでしょう。だからこそ、次にあった時に自分には彼氏がいるので、ウォレスには友人でいて欲しいと言っているわけだから、前述のサマーのように確信犯とは言えないかもしれないけれど・・・ サマーもただデートしてるだけなら許せるけど、相手に恋愛感情があるのを知っててエッチしちゃう時点で個人的にダメ まぁ、サマーは関係ないけど(笑) その点、自分に対してそういう感情を抱くのであれば、友達にもなれないと言っている分、シャントリーの方が好感が持てる。


一方のウォレスはそもそも真面目な性格な上に、元カノが医大の教授と浮気している現場に遭遇。ショックと嫌悪感から医大を辞めてしまう。冒頭シーンで彼女から復縁できなくてもいいから、せめてきちんと説明させて欲しいというメッセージが入っていたり、後に病院で研修医として働く彼女と遭遇するシーンでも、まだ思いを残している描写があるので、彼女としてはウォレスを好きだったのだと思う。でもウォレスには受け入れられないのであって、それはそうだろうなと思う。仮に単位欲しさに教授と寝たのだと言われても、そういうことならOKとなる人の方が少ないと思うし(笑) まぁ、彼女とその相手がいるからといって、医大を中退してしまうのはもったいない気もするけれど、ウォレスがそれくらい感受性が強くて、潔癖な部分があるというのも、シャントリーとの仲がなかなか進展しない要素でもある。


ウォレスとシャントリーの会話からは、2人がとっても合っていることが伝わって来る。同棲中の彼氏ベンとは2人きりの会話があまり出てこないので、彼との感じがどうなのかは分からないけれど、とにかく2人の息がピッタリなので、これは結末としては2人が結ばれる話なのだろうと感じる。まぁ、恋愛映画ですしね(笑) 友達でいて欲しいと言いながら、ウォレスが気になって仕方がない感じは早い段階から描かれている。男性の友人ができたのだから、早めに自然な形で彼氏に紹介しておいた方が面倒がないのは確かで、そういう意味でウォレスを食事に招いたのであれば、ちゃんとしている部分もあるのだなとは思うけれど、やっぱりちょっと不自然ではある。それは見ている側がシャントリーもウォレスに惹かれていることに気づいているせいもあるかもしれないけれど、事実ベンは小声でウォレスにくぎを刺してくるのだから、やっぱり彼としてはいい気はしていないというこなんだと思う。やっぱり逆の立場だったら嫌だし。パーティで知り合った女友達を夕食に招くから、ご飯作ってって言われて平静でいられる女性っているかな?(笑) ただ、ここは唐辛子を触った手で目をこすってしまったベンを助けるため、洗面所に精製水を取りに行ったウォレスが、ドアを勢いよく開けてしまい、その陰にいたベンが窓から落ちてしまうというドタバタで描かれているため、泥沼化はしていない。なんだそれ(笑)


ありがちな展開ではあるけれど、ベンはダブリンへ出張することになる。ダブリンを起点としてヨーロッパの国々を訪問しているようで、各地からポストカードが届く。最初は頻繁に連絡を取り合っているけれど、次第に回数も減って行く。すると自然にウォレスと一緒にいる時間が長くなる。ウォレスは気持ちを抑えることが苦しくなり、親友にたびたび相談する。このふざけてばかりで、ウォレスをバカにしているのか?という発言を繰り返す友人アランは、これまたぶっ飛んだ彼女ニコルと電撃結婚してしまうけれど、時々的確なアドバイスをしてくれる。ウォレスが悩んでいるのは、気持ちを打ち明けた結果、シャントリーに気持ちがなかった場合、友情が壊れてしまうということ。一歩踏み出さなければ彼女の友人として傍にいられる。洋の東西を問わず、こういう思いはあるのね・・・ それはそうか(笑)


そんな中、シャントリーにも昇進の話が持ち上がる。彼女の仕事内容がイマヒトツ分からなかったのだけど、どうやらアニメーターらしく、台湾でプロモーション活動をする必要があるそうで、プロジェクトリーダーとして赴任して欲しいというもの。少なくとも数か月は滞在することになる。一度はアニメーターのままでいたいし、ベンや友人たちとも離れたくないので断ったけれど、彼女の代わりにリーダーとなった男性が、台湾でやりたい放題やってしまい、事態収拾のためにも台湾に行って欲しいと言われるのだった。キャリアを優先するのか、恋人や友人を優先するのか? まぁ、数か月なら行けば?とも思うのだけど、これは女性の生き方を描く映画ではなくて、あくまで恋愛映画なので、この葛藤も恋愛の試練の要素という感じ。そのさじ加減は良かったと思う。


さて、ウォレスとシャントリーは、ウォレスの親友アランとその妻ニコルとダブル・デート。何故そこに行ったのか忘れたけど、車で湖畔へ。ニコルとアランは裸になって泳ぎ出す。つられてウォレスとシャントリーも泳ぎ出し、2人同時に裸を見合ったりしていいムード。ところが、アランとニコルは2人の服持ち去ってどこかへ行ってしまう。素っ裸の2人に残されたのは寝袋1つ。アランとニコルが2人をくっつけようとしているのは分かるけれど、ちょっとやり過ぎ。実際、シャントリーはこれはやり過ぎだと怒ってしまう。2人はウォレスの友達だけど、彼らの悪ふざけをウォレスのせいかのように怒られても困るよという気はするけれど、気持ちは分かる(笑) さすがに裸のままでは寒過ぎるということで、結局2人は同じ寝袋で眠るけど険悪ムード。翌朝目覚めると、服も戻されていて、アランとニコルも迎えに来るけど、2人は後部座席で一言も話さない。まぁ、これはやり過ぎだね


この出来事でシャントリーの中に違和感が芽生える。そして彼女はダブリンのベンの元へ向かう。同僚たちと共同で住んでいるというアパートへ着くと、ベンは不在。待っていると、ベンが酔っぱらった同僚の女性と親しげに帰って来る。同僚の女性は2人の間には何もないし、今日はたまたま酔っぱらっていただけだとあっけらかんと言い訳して去って行く。まぁでもそうなのだと思う。2人の間に仮に肉体関係があったとしても、この女性は別にベンに恋していないと思う。そういう感じの女性。恋愛や結婚も自分のキャリアというような・・・ 上手く言えないけど(笑) でも、シャントリーは納得していない様子。


一方、シャントリーの家を訪ねたウォレスは、彼女の妹に冷やな対応を受ける。実は、失恋したばかりの彼女は、ウォレスに迫ったことがあり、断られてしまい酷く気分を害している。逆恨みじゃないかと思うけれど、ウォレスももう少し上手く立ち回ればいいのにと思ったりもする。ただ、それが彼の生真面目で不器用なところであって、だからこそこんな面倒なことになっているわけだから、このエピソードは必要ということかな? 個人的には妹ごと必要ない気もした。ニコルとキャラ被ってたような・・・ ちょっと話が反れたけど、シャントリーの家の冷蔵庫に貼ってあったベンの住所をこっそり入手。なんとダブリンへ飛んでしまう。ベンのアパートを訪ねたウォレスは、出てきた彼に殴られてしまう。いきなり出て来て殴られて、階段を転げ落ちてしまうシーンは、コミカルに描かれているので笑うところ(笑) ただし、これ何で殴られたのか、後に意味が分からなくなる。イヤ、この時点では見ている側は、てっきりシャントリーがウォレスが好きだとベンに告白し、2人は別れたのだと思ったのだけど・・・ iPhoneに明日の昼2人の行きつけのダイナーで会おうとシャントリーからメッセージが入る。これは間違いないな!と思っていると意外な展開へ。


どういう経緯だったか忘れたけど、ウォレスがダブリンに行ったことを話すと、何故ダブリンに行ったのかと聞かれる。まぁそこは気になるので、当然の反応だとは思う。自分が話したいことよりも、優先してしまう気持ちも分かる。ウォレスが自分の気持ちを伝えようと思ったからだと言うと、なんとシャントリーは怒り出す! 友達だと言っていたのに、自分のことをそういう目で見ていたのか? うーん・・・ イヤ、それはそうでしょ(笑) 何歳の設定か分からないけど、プロジェクトリーダーに選ばれるくらいなのだから、少なくとも20代前半ってことはないよね? 何度も言うけど男女の友情もあると個人的には思っているけど、それはもう少し軽いつきあいなんじゃないかなと思う。もちろん2人きりで会ったり、いつでも呼び出せば来てくれる親友って関係も、絶対ないとは言えないけれど、それには子供の頃から知っているとか、近過ぎて恋愛感情が持てないとかじゃないと、なかなか難しんじゃないかな? 仮に出発時点では友情でも、それが恋愛に変わったからといって、裏切られた的な発言はちょっと面倒 でもまぁ、この面倒な感じが不思議かわいいシャントリーという女性なので、仕方がないか(笑) で、結局ベンは何でウォレスを殴ったんだろう? ここ何か見落としてたかな? シャントリーは自分を恋愛対象として見てたってことで、ぷりぷり怒って帰っちゃうわけだから、少なくともウォレスが好きだから別れたってことじゃないよね? 別にいいけど(笑)


で、結局シャントリーは台湾行きを決意。彼女の送別会が開かれることになったけれど、ダイナー以来連絡がないためウォレスは再び引きこもりに。落ち込んだり、決意したり、何かあったりした時に、ウォレスは屋根に登る。ここ後にロマンティックな場面として出てくるけど、この屋根の使い方はベタだけど好き。言い忘れてたけど、いろいろ悩んでいた時に、シャントリーが自分の描いたアニメキャラを、向かいのビルの壁に映すシーンも好き 


で、送別会当日。誰かが入って来るたび、気にするシャントリー。まぁ、数回ガッカリ場面が出てくるけど、当然ウォレスは来る! ウォレスが来たからには、全員撤収。まぁ、彼がお開きギリギリに来たからだけど(笑) ウォレスは医大に戻ることを伝える。シャントリーは冷蔵庫からウォレスのために作ったフールズ・ゴールドを渡す。すると信じられないと言いつつ、ウォレスもフールズ・ゴールドを差し出す。これ、まだ出会って間もない頃、2人の会話に登場したエルビス・プレスリーが大好きだったという料理(?) 調べてみたところ英語版Wikipediaがあった! どうやら、コロラド州デンバーのThe Colorado Mine Companyというレストランが考案したサンドウィッチらしい。映画の中でも作り方を説明していたけれど、30cmくらいあるパンの表面にバターを塗って焼き、半分に切って中をくり抜き、片側にはピーナツバター、片側にはグレープゼリーを入れ、さらにベーコンを加えるらしい・・・ 映画の字幕ではジャムとなっていて、甘いジャムとカリカリに焼いたベーコンが合わなそうだし、ボリューム感があり過ぎでゲンナリ(笑) でも、これをお互いにプレゼントとして用意しているっていうのは、ベタだけど好き そして2人は初めてキスをする。


Fool's Gold Sandwich


シーンが変わって空港。1年半後のクレジット。荷物を乗せたカートを押してシャントリーが出てくる。傍にいたウォレスに気づく。以前妹が間違えたように「ウォルター?」と声を掛けると、「ウォレスだ」と答える。「どこにいたの?」「台湾よ」「ずっと台湾に?」「そうよ婚約者と」「偶然だね僕も婚約したんだ」「台湾までストーキングしてきた男と婚約したの」「へぇ、僕も婚約者を追って台湾に行ってたんだ」・・・( ̄ー ̄)ニヤリで抱き合う・・・ なるほど・・・ 勝手にしろ(笑) でも、まぁ2人に結ばれて欲しいと思っていたので、このラストはいいかも。と思ったら、結婚式のシーンもあり。ケーキカット用のフールズ・ゴールドが置いてあったのは細部までこだわってて好き(笑) で、ウォレスが屋根に登っていると、そこにシャントリーが現れるラストも好き。


キャストはほぼ若手役者のみという感じ。しかも役として必要なのは、親友のアランと彼氏のベンくらいなので、ほぼ主演2人という感じ。ウォレスのダニエル・ラドクリフは、ハリー・ポッターからのイメージチェンジが大変だろうなと思う。子役出身のパターンの1つに、大人子供みたいな感じの外見になってしまう場合があって、ちょっとその危険性を感じなくもない。ヒヨコとニワトリの間の違和感というか・・・ でも、この失恋の痛手で医大を中退してしまい、好きな女性に友達でいてと言われて、生真面目に受け取ってクヨクヨしちゃう役には合ってた! そして、イライラさせずに見せていたのは上手いと思った。時々コメディ演技が浮いていたようにも思うけれど、全体的に良かったと思う。ゾーイ・カザンは『ルビー・スパークス』同様、ちょっと不思議系の女性ではあったけれど、それが彼女の個性とも合っているのでいいと思う。あのエリア・カザン監督の孫で、自身で脚本も書く才媛だけど、頭が悪いわけではないのだけど、どこか上手く立ち回れないシャントリーみたいな役がとっても似合う。ちょっと面倒くさいところも上手く表現してたと思う。美女ではないけどキュート


ゾーイ・カザンの衣装がかわいかった! 真っ赤なコートに緑のベレー帽とか!あれ色逆だっけ?! とにかく自分では出来ないけど、色の取り合わせが斬新で好き。シャントリーとベンの家もポップでかわいかった。全体的にポップ。シャントリーの送別会から、1年半後までの出来事を、写真とかアニメとかで見せるのスゴイ好き セリフとか字幕とか一切ないのに何があったかちゃんと伝わる。このエンドクレジットは好き


恋愛や仕事で悩んでいるけど、ポップで重くない。基本恋愛映画でちゃんとハッピーエンドになる。ポップでカワイイ恋愛映画見たいかたオススメ! ゾーイ・カザン、ダニエル・ラドクリフ好きな方是非!


『もしも君に恋したら。』|映画|WOWOWオンライン

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【備忘録】「古都浪漫こころ寺巡り:薬師寺」

2015-02-21 23:38:35 | tv

「古都浪漫こころ寺巡り:薬師寺」

京都、奈良などを中心に古都のお寺を取り上げて、建立の由来や宗派、寺に貢献した僧侶、そしてご本尊を始めとした仏像まで、細かく分かりやすく紹介してくれる番組。ゲストなどは一切出演せず、近藤サトの落ち着いたナレーションだけで見せるのも好き
 
今回は大好きな奈良の中でも超メジャーな薬師寺(奈良薬師寺 公式サイト)! もちろん修学旅行でも行ったし、大人になってからも行った ということで記憶を掘り起こしながら、新たに得た知識をtweetしておいたので、備忘録として残しておく! 
 

不東の精神

"不東"というのは、天竺へお経を取りに行った玄奘三蔵が、西方の天竺に辿り着くまで、決して東には戻らないと語ったことに由来。薬師寺の玄奘三蔵院伽藍には"不東"の文字が掲げられている。玄奘三蔵が薬師寺にとって重要な人物であることについては後ほど!

薬師寺金堂は裳階のある龍宮造

金堂はご本尊の薬師三尊をお祀りした場所。裳階(もこしWikipedia)が施されている。本来は屋根の補強用だったようだけれど、装飾として美しいので寺院建築で用いられることが多いのだそう。龍宮造って書いちゃったけど本当は竜宮造り。竜宮造りについて詳しくは(竜宮造りとは|Weblio辞書)で!

薬師如来=医王如来 本来は身体と心の苦しみを救う

薬師如来(Wikipedia)は病に苦しむ人々を救うと思われがちだけれど、本来は病だけでなく心身の苦しみを救う仏様なのだそう。

680年白鳳時代、天武天皇発願。皇后(持統天皇)の病気平癒のため。天武天皇(Wikipedia)が亡くなった後、持統天皇が引継ぎ、697年藤原京(Wikipedia)に建立。その後、奈良に移された

こちらが建立の由来。持統天皇(Wikipedia)の病気平癒のために発願されたのに、ご自身が亡くなってしまったのね

唯識の教えてをインドから持ち帰ったのが玄奘三蔵 訳経僧

薬師寺にとって玄奘三蔵(Wikipedia)が信仰の対象である理由がこれ! 唯識(Wikipedia)というのは薬師寺の宗派である法相宗(Wikipedia)の元になった教え。その唯識をインドから持ち帰ったのが玄奘三蔵。玄奘はそもそもは経を翻訳する僧、訳経僧(Wikipedia)であったが、宗教について深く知りたいと天竺を目指した。

薬師寺は南都六宗の1つ法相宗の総本山となった

南都六宗:法相宗・倶舎宗・三論宗・成実宗・華厳宗・律宗 詳しくは(Wikipedia)

西塔 青丹よしを意識

"あおによし"というのは奈良の枕詞。青丹よし(青丹よしとは|Weblio)と表記。西塔はこれを意識して彩色されている。

伐蘇畔度菩薩と阿僧伽菩薩 唯識

薬師寺の大講堂に弥勒三尊の脇に立たれた2体。伐蘇畔度菩薩(ヴァスバンドゥ)と阿僧伽菩薩(アサンガ)はインドの僧。ちょっと聞き漏らしてしまったのだけど、唯識を広めたんだっけ? 確立したんだっけ? 忘れた・・・ 薬師寺は廃物希釈で寺が荒れ、高田 好胤管主の写経勧進により復興を果たした。この写経勧進は現在も続いており、これにより古の伽藍の姿を取り戻しつつある。その一環なのかな? ちなみに造られたのは中村晋也(Wikipedia)氏。

聖観音菩薩立像 古代インドの造形を白鳳時代の奈良に伝わった

薬師寺の東院堂にいらっしゃる聖観音菩薩立像は、古代インドの造形をしているのだそう。確かにちょっとエキゾチック。奈良はシルクロードの終着点だったと言われているけれど、白鳳時代にインドの文化が入っていたってホントスゴイ!

古都浪漫こころ寺巡り:毎週土曜 21:00~@BSフジ

古都浪漫こころ寺巡り|BSフジ

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【動画】A Day at Poopy Cat Office

2015-02-21 23:27:36 | 【動画】cats

【動画】A Day at Poopy Cat Office

ネコと遊びながら仕事ができる夢のようなオフィスが話題に【動画】


TLに流れてきたAOL Newsの記事! どうやら猫用トイレなどを販売する会社プーピーキャットでは、オフィスで猫を飼っているらしく、猫とともに仕事をしているらしい! にゃんだと?! そんな会社で働きたい


ネコと遊びながら仕事ができる夢のようなオフィスが話題に【動画】|THE HARD WORKERS


と、いうことで動画をドゥゾ♪(っ'ω')っ))


A Day at Poopy Cat Office

あー! もう猫飼ってたらあるあるって思う場面がたくさん! パソコンの上に乗ってきちゃったり、箱に無理に入って倒したり!

うらやましい

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【cinema / DVD】『ミスター・スキャンダル』鑑賞@WOWOW録画

2015-02-21 01:21:14 | cinema / DVD
『ミスター・スキャンダル』鑑賞@WOWOW録画

録画→最近見た映画④『ミスター・スキャンダル』ポルノ業界の帝王ポール・レイモンドの半生を描いた作品。スティーブ・クーガン好演していたけど、女性たちが見どころ!'80年代のファッションとかカワイイ かなり大胆映像らしくボカシだらけ(´・ω・`) 未体験ゾーンで上映されたのね?


ネタバレありです! 結末にも触れています!


"ポルノ男爵"と呼ばれた実在の人物ポール・レイモンドの半生を描いた作品。マイケル・ウィンターボトム監督×スティーヴ・クーガン主演というのが気になって、WOWOW放送時に録画しておいた。 録画しといて最近見た映画をまとめてtweetしておいて、順番に感想記事を書いている。『鉄くず拾いの物語』『命ある限り』『ロンドン・リバー』と本作。でも、見た順番としては本作が先で、実は1ヶ月くらい前・・・ なのでちょっと忘れ気味なのと、ポール・レイモンドという人物の半生なので、そんなに事細かく書かなくてもいいかなと思うので、追記はサラリと。って、ちょっと面倒になっただけだけど(o´ェ`o)ゞ  でも、"未体験ゾーンの映画たち"で上映されたので、記事残して置きたかった(´ー+`)キラッ


冒頭、車の中。少女がビルの番地をつぶやく。するとYesと答える初老の男性。それが数回繰り返された後、何故そんなにビルを買ったのか聞かれる。男性は君のママのためだと答える。このシーンは映画のラストでも出てくるし、途中に出てくる娘のシーンとも対比となっている。彼らが向かっているのは、話題に出た"君のママ"の葬儀。初老の男性は"ポルノ男爵"と呼ばれ、巨万の富を築いたポール・レイモンド。かわいがっていた娘のデビーはoverdoseで亡くなってしまった。『ミスター・スキャンダル』という邦題からすると、かなりギャップのあるオープニング。


どうやらこの場面に登場した少女は、後に巨額の遺産を相続し、エリザベス女王よりもお金持ちになったらしい!(ポルノ男爵の遺産を継いだ21歳女性、女王陛下よりお金持ちに|The Voice of Russia) 劇中にポール・レイモンドが何度も「労働者階級出身者にしては、良い暮らしだ」というような発言をするせいか、ポルノ業界だからというわけではないけれど、サクセスストーリーというよりは、もっと泥臭く"成り上がり"モノという印象。バカにしていません! 成功のためなら詐欺まがいのことでも何でもやるという部分あるけど、逆境でさえも利用するわけで・・・ 評論家から酷評されれば、それを宣伝文句にしてしまうし、妻が敗訴すればそれも利用。その折れない感じというか、強さはスゴイと思う。恥も外聞もないといえばそうだけど、そうでなければ成り上がれないと思う。


妻は彼が店の娘たちに手を出していることは知っていて、それなりに折り合いをつけていたようだけれど、オーディションに現れたフィオナに夢中になると嫉妬むき出しだった。やっぱり女の勘なのかな? まぁ、他の女性とは夜遊び的な感じだったけど、かなりのめり込んでいたけれど。結局、史上最高の慰謝料を支払って妻と離婚。フィオナと暮らし始める。このフィオナはヌード雑誌で過激な企画に次々と挑戦。自らアイデアも出すなど、仕事上でパートナーになって行く。やっぱり人の才能を見抜く目があるのでしょう。この場合の才能というのは、どんな過激な企画でも挑戦できるという部分も含まれる。実際、かなり過激なポーズで、画面はボカシ入りまくり。雑誌のページも見開きでボカシ入っちゃって何も見えない(笑) フィオナを演じたタムシン・エガートンは、母親ならOKだけど父親には見せられないと語ったとか(ソース見つけたら貼っておく!) まぁ、そうだよね・・・(o´ェ`o)ゞ 


このフィオナの度胸と才能を見てしまえば、妻から夫を奪った女性であるにも関わらず、分からないでもないなと思ってしまう。女性としてというよりも、パートナーとして優れているから。まぁ、不倫を肯定はしませんが 後にアメリカで暮らしていた元妻も、レイモンドの雑誌で熟女ヌードを披露するなど、不思議な関係を築いている。自分としてはビックリ展開だったけど、時が経つとそんなものなのかもしれない。もちろん元妻も、ポルノ業界にいた人だからできた企画であって、普通の専業主婦だった人を脱がしてしまったわけではないけれど(o´ェ`o)ゞ


実はこの映画で一番描きたかったのは愛娘との関係。彼には息子と婚外子の息子がいるけれど、長男とのことはあまり描かれない。あまり関心がなかったのかな? 婚外子の息子については、認知こそしたそうだけれど、青年になった彼が会いに来ても、ぎこちない対応。最低限失礼のない態度でいようと思っている感じで、父親としての愛情は見られなかった。女性ばかりの家庭で育ったことで、この世で一番美しいのは女性の裸体だと思い、ポルノ業界に進出したらしいけれど、こういう部分にも影響があるのかな? そんな彼も娘のデビーは溺愛した。それゆえ、デビーはワガママに育ってしまった。望めば何でも手に入る生活は、何を手に入れても満たされない。まだ少女だったデビーが、パティスリーでケーキを何種類も買うシーンが出てくる。好きなものを買っていいいと言われたからなので、彼女が特別ワガママを言ったわけではない。でも、後に彼女の娘が同じシチュエーションで、エクレア1つしか買わないシーンが出てくるので、彼女が不幸だった原因はここにあると言いたいのかなと思った。


偉大な父親を持つというのも大変なのだろうと思うけれど、デビーなりに努力はした。彼女は歌手になりたかったようで、歌も上手かったらしい。でも、父親が大々的にレビュー公演を企画してしまえば、人の娘は脱がせるくせに、自分の娘は脱がさないのかと非難されてしまう。まぁ、彼女はポルノスターになりたいわけではないのだから、その批判は理不尽だと思うけれど、ストリップ姿の女性に囲まれてのレビューでは、そういう意見も出てしまうかもしれない。傷ついた彼女は、レイモンドの雑誌のカメラマンにすすめられて、薬物に手を出してしまう。一度は、薬物を断とうと戦ったみたいだけど、後に乳ガンになったりと不幸が重なり、結局薬物を止めることは出来なかった。父親の事業を継ぐけれど、結局overdoseで亡くなってしまう。


一番幸せにしたい相手を、不幸なまま死なせてしまったポール・レイモンド。映画を1本見ただけで、その人の人生を語る資格はない。映画ではビジネスマンとしては巨万の富を築いたけれど、家族を築くことはできなかったと言いたいのかなと思っていたけれど、ラストの孫娘のエピソードから見ると、彼の家庭人としての部分も全否定したわけではないのかも?


キャストはスティーヴ・クーガンが熱演。こういうクセのある役はピッタリ。ホメてます! 妻役のアンナ・フリエルも良かった。フィオナのタムシン・エガートンが熱演! とにかくキレイ! デビーのイモージェン・プーツが良かった。デビーの弱さを表現していて、単なるワガママ女性にはなっていない。


アッサリ書くと言いつつ長くなっちゃった(o´ェ`o)ゞ 結局、こうなる(笑) ポール・レイモンドの半生を描いた映画で、もちろんそれが見どころではあるのだけど、この映画の魅力は女優たち! というか女性! 本職方々も多数でているそうで、その裸体の美しさは芸術的。かなり大胆なポーズも披露しているけど、残念ながらモザイク '60~80年代の女性たちのファッションや、インテリアが素敵


ポルノ業界の裏側に興味がある方オススメ! イモージェン・プーツ、タムシン・エガートン好きな方是非! あ、スティーヴ・クーガン好きな方も是非!


『ミスター・スキャンダル』|WOWOW

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【cinema / DVD】『ロンドン・リバー』鑑賞@WOWOW録画

2015-02-19 01:49:05 | cinema / DVD

『ロンドン・リバー』鑑賞@WOWOW録画

録画→最近見た映画③『ロンドン・リバー』ロンドン同時多発テロ発生時に、娘を探す母親と、息子を探す父親の、宗教や人種を越えた交流を描く。重いテーマで、悲劇だけど、それでも生きる姿に自分の方が励まされる。母親のブレンダ・ブレッシンと父親のソティギ・クヤテの演技が素晴らしい!


 


ネタバレありです! 結末にも触れています!


「夫を早くに亡くしドーバー海峡の島で1人で暮らすソマーズ夫人。2005年7月7日ロンドンで同時多発テロが起きたニュースをテレビで見る。ロンドンにいる娘を心配して電話をするけれど応答がなく・・・」という話。これは良かった。重いテーマを淡々と見せている。結末も辛いものだけれど、本当に伝えたかったことは別にあるのだと思うので、その辺りは心温まるというと語弊があるけど、少し救いになって見終わった後味は悪くはない。


ソマーズ夫人が亡夫のお墓参りをするシーンから始まる。穏やかで質素な暮らし。その中に飛び込んできたロンドン同時多発テロ(Wikipedia)のニュース。急にソマーズ夫人の様子が変わる。何度も電話をかけては留守番電話にメッセージを残す。でも、折り返し電話はない。近くに住む弟に留守を頼み、ロンドンへ急ぐ。娘がロンドンに住んでいて、そこで同時多発テロが起きたとすれば、もちろん心配して連絡すると思うし、連絡が取れなければ不安になるとは思うけれど、いきなりロンドンに向かうのは唐突な気がするのは、自分が母親じゃないからなのかな? でも、結局この予感は的中してしまうので、虫の知らせだったのかもしれない。


娘のアパートにやって来ると、大家は中東系の男性だった。この時点で犯人は逮捕されていなかったように思うけれど、アメリカで起きた同時多発テロ以降、世界各地で多発していたイスラム過激派による自爆テロなどもあり、ほとんどの人がイスラム系の犯人を想像したと思う。なので、ソマーズ夫人のこの反応を非難できないけれど、でも彼女の中に人種差別的な部分があったことも事実だと思う。


ソマーズ夫人は警察に行き娘の失踪届を出すけれど、このテロで失踪者の届け出が多く、手が回らない状況だと言われてしまう。担当した婦人警官の勧めにより、貼り紙を作成し町中に貼り出すことにする。藁をもすがる思いというけれど、そうせずにはいられない気持ちが伝わって来る。警察の言い分も分かるけれど、やっぱり被害者に冷たい気はした。とはいえ、この時点では被害者かどうかも分からないのだけど。


貼り紙を見た人物が連絡を取って来る。待ち合わせの場所に行くと、現れたのはドレッドヘアのアフリカ系の男性。思わず逃げるように帰ってしまうソマーズ夫人。実はこの男性、冒頭にも映っていた。ちょっと忘れてしまったのだけど、ソマーズ夫人の後を追って来たので通報したんだっけ? 詳細を忘れてしまったけど、要するに2人は警察に行く。そして、ドレッドヘアの男性は取り調べを受けることになる。この男性はフランス語しか話せない。フランス語を話せて自身もムスリムの刑事が尋問したところによると、このオスマンという男性は息子を探しにフランスからやって来たのだった。元々はアフリカ出身で、息子が6歳の時に単身フランスに渡り、それ以来家には帰っていない。息子を探しに来たけれど、彼のことは何も知らないと言う。そもそもは出稼ぎに行ったと言っていたように思うけれど、彼が一度も帰国しなかった理由は、金銭上の問題以外にあったのかについては語られなかったような? 


オスマンがソマーズ夫人に連絡を取ったのは、ソマーズ夫人の娘ジェーンが、彼の持っていた写真に息子アリと一緒に写っていたから。どうやらジェーンはアラビア語を習っており、イスラム系の学校に通っていたらしい。2人はそこで知り合い、ソマーズ夫人が今泊まっている部屋で同棲していたことも分かる。刑事たちは念のため部屋から2人のDNAを採取していく。2人で部屋に残されるけれど、ソマーズ夫人はオスマンを追い帰してまう。アリと恋に落ちて同棲していたのならば、それはジェーンの選択であって、オスマンの息子アリにも、ましてオスマンにも悪いところは何もないのに、この態度はないだろうとは思うけれど、混乱している気持ちも分からないでもない。


2人が通っていた学校に行き、教師からジェーンが熱心にアラビア語を習っていたこと、アリと彼女は恋人同士であったことを聞く。それでも、受け入れることが出来ず、黒板に書かれていた文字を指さし、これが文字なの?!何故こんな文字を習う必要があったの?!と怒りをぶちまけてしまう。理不尽な怒りをぶつけられた上に、自分たちの文化も否定された女性教師は、それでも大人の対応をする。この自分よりも全然若い女性教師に、大人の対応をされたことで、少し自分の理不尽さを自覚したようで、その後オスマンにも徐々に心を開いていく。言い忘れたけど、ソマーズ夫人はフランス語が話せる。ドーバー海峡の島に住んでいるからから? フランスに近いから?


2人は協力して子供たちを探す。しかし、オスマンはホテル代が払えなくなり、帰国しなければならなくなる。するとソマーズ夫人は、アパートに泊まったらどうかと提案する。急展開ではあるけれど、子供たちが恋人同士だったことも、2人の心の距離を縮めたのかもしれない。この場合、男女の関係に?などと考えるのは野暮!(笑) ソマーズ夫人はベッドで、オスマンはソファで眠りながら、いろいろな話をする。やはり人は1人では生きていけないのだなと思ったりもする。その辺りを押し付けがましくなく見せるのが良かった。


翌日、大家の男性が、あの日2人が旅支度をして出かけるところを見た人がいると教えてくれる。近くに旅行会社があるかので調べてみてはどうかと言う。慌てて向かう2人。すると、2人がパリ旅行を計画していたことが分かる。飛行機の時間から逆算すると、2人が空港に向かったのは11時頃。あのバスには乗っていないはず! 2人は今パリにいるのだ!と安堵する。オスマンの安堵には別の意味もあった。彼は、息子がテロの実行犯ではないかと思っていたのだった・・・ これは辛い その細い今にも折れてしまいそうな体で、こんな思いを抱えていたオスマン。切ない でも今はその疑いも晴れ、2人は無事にパリにいることが分かった。お2人良かったねと思った瞬間・・・


先日の刑事から連絡が入る。2人があのバスに乗っていたことが分かったというのだった。イヤ2人はパリにいるはずだと言うと、DNA鑑定なので間違いないという無情な知らせ・・・ えー、これは 2人の遺体を見なければ信じることはできないと言うソマーズ夫人に対し、遺体はないとの答え。要するにそういうことだよね・・・ まさかの急展開にビックリ。何故、あの日ジェーンとアリが早めに家を出たのかは分からない。ほんの少し運命の歯車が狂って、悲劇になってしまった。憎むべきは犯人だけど、彼らは自らの行為を"正義"だと思っている。相手が誰か、その人が誰かの大切な人であることなど考えもしなかった。やり場のない悲しみ・・・


ソマーズ夫人も、オスマンも自分の家に帰るしかない。別れの時、2人は抱きしめ合う。カトリック教徒とムスリム。白人と黒人。その姿は、お互いをよく知れば分かり合える、支え合えることを表しているのに、国とか人種とか大きな単位になると、それが見えなくなってしまう。悲しい・・・ 映画は、それぞれが、それぞれの日常を歩きだすところで終わる。大きな悲しみを抱えても、それでも人は生きていく。ソマーズ夫人やオスマンの辛さとは比べ物にならないかもしれないけれど、大事な存在を失ったばかりの自分にとって、少しだけ救いになるラスト。見る人の状況によって見方は違うかもしれないけれど、それが映画のおもしろさでもある。


キャストはほぼ2人芝居という感じ。オスマンのソティギ・クヤテが良かった! 彼の物静かな佇まいに、怒り、悲しみ、喜びなど全ての感情を押し殺してきたのだろうと感じられる。アフリカ系ムスリムであるがゆえ、辛い思いをしてきたのではないかと見ている側に思わせる。その語られない背景を感じさせて見事。ソマーズ夫人のブレンダ・ブレッシンが素晴らしい! 小さな島から出て来て、おそらく初めて中東系の人々に接した。テレビのニュースが唯一の情報源で、そこで得たイスラム過激派のイメージから、彼らに対して抵抗感がある。それを隠しもしないのは、彼女が世間知らずだったからでもあるのかもしれない。その彼女が、お互い子供を思う気持ちに共鳴し、最終的にはオスマンを受け入れ、抱きしめるまでになる。わずか数日のこの変化を、自然に演じていた。素晴らしい


『アメリカン・スナイパー』(感想はコチラ)と本作と、図らずも続けて中東問題が絡んだ映画を見た。それだけ今世界的に注目されている問題だとも言えるのでしょうけれど・・・ 宗教問題や人種問題はとっても根深いものがあって、簡単にどちらが悪くて、どちらが正しいと言えるものではないけれど、こうして個々で分かり合って、助け合って、その輪が広がっていけば・・・ というのは理想論なのかな?


淡々とした語り口ではあるけれど、描かれるテーマは重く、結末も決して明かるものではない。でも、これは見て良かったと思った!


『ロンドン・リバー』|三大映画祭週間2014

 

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【100分de名著】「フランケンシュタイン」#3

2015-02-18 23:29:26 | tv

【100分de名著】「フランケンシュタイン」#3@Eテレ

ということで、3回目も見たので気になったことをtweetしておいた! 補足を追記したいけど、よく考えたら2回目のもしてない ということで、追記できるかは不明・・・(o´ェ`o)ゞ


博士が自分のイヴを殺されたことは失恋体験。博士側から見れば"壊した"、怪物から見れば"殺された"

運命を決する要因として、性格が重要であるとメアリー・シェリーは考えていた

野望にかられ無謀に突き進む。ヴィクター&ウォルトン(第一の語り部) ウォルトンの中にかつての自分を見たヴィクターは、失敗談として語った。

"あるいは現代のプロメテウス" プロメテウス:オリンポスから火を盗み人々に与えた英雄であると同時に、ゼウスに背いた人物。火=神の領域? プロメテウス→科学者ととらえた? 危険な科学者

女の怪物の製作中に自分の罪に気づく

怪物は生まれる側が負わされる苦悩を体現している

来週は最終回!( ・∀・ )ゞ

100分 de 名著:毎週水曜 23:00~@Eテレ

100分 de 名著|Eテレ

 

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【Googleのロゴ】アレッサンドロ・ボルタ生誕270周年

2015-02-18 00:19:15 | Google's logo

 

毎度のGoogleのロゴがこんなことに!

アレッサンドロ・ボルタ生誕270周年!


すみません どなたでしょう?

毎度のWikipediaによりますと・・・

アレッサンドロ・ジュゼッペ・アントニオ・アナスタージオ・ヴォルタ伯爵

Il Conte Alessandro Giuseppe Antonio Anastasio Volta)は、

イタリア自然哲学者物理学者)。電池ボルタ電池)を発明した。

日本では、一般にはボルタと表記されることが多いため、本稿でもこの表記を用いる。

とのことで、電池を発明したかたなのね?!


しかも、

1881年、ボルタを記念し、電圧の基本単位の名はボルトとすることが決まった。

そうで、ボルトの由来の方でもあったのね!


その他業績についてはWikipediaへ(o´ェ`o)ゞ


検索画面のロゴも同じ


Buon compleanno!


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【cinema / DVD】『命ある限り』鑑賞@WOWOW録画

2015-02-17 22:11:38 | cinema / DVD

『命ある限り』鑑賞@WOWOW録画

録画→最近見た映画②『命ある限り』メロドラマといったら、これ以上にないくらいのメロドラマ!韓流も真っ青のメロドラマながら、何故か笑って感動しちゃうのはシャー・ルク・カーンのおかげ?ちょっと老けたけどw ロンドン舞台で、女性もずいぶん大胆になったけど、歌って踊ってあるのはウレシイ


 

ネタバレありです! 結末にも触れています!


「凄腕の爆弾処理班としてその名を知られたサマル。作業の際には防護服も身に着けず、素手で処理する彼を、人は命知らずと英雄視する。しかし、彼にはある理由があった・・・」という話で、これは10年に渡る壮大なメロドラマ。177分とインド映画らしく長尺だけど、そこも含めて壮大(笑) tweetしているとおり、韓流ドラマも真っ青というメロドラマだけど、そこはインド人の明るさゆえか、何故か笑えて感動してしまう。


ヤシュ・チョプラ監督は、インド映画界のメロドラマの巨匠として有名な方だったそうだけれど、2012年10月21日デング熱で亡くなってしまったのだそう。享年80歳。今作が監督の遺作となってしまったのだそう なんと・・・ でも、80歳の監督が撮ったと思えない若々しい作品。きっとエネルギッシュで、ロマンティックな方だったに違いない。ご冥福をお祈りします・・・


前述したとおり177分もあるのでエピソードは盛りだくさん! 全部書くのもなんだし、あらすじも書いたけど、大まかなストーリーを書いておく。映画は、難航する爆弾処理現場に颯爽とバイクで登場し、防護服も身に着けず処理作業に入り、鮮やかな手つきで除去し、また颯爽とバイクで去って行くサマルの姿から始まる。見守るインド軍の兵士たちから、彼が伝説の人物であることが語られる。その後、風光明媚な湖(ここ『きっと、うまくいく』にも出てきた?)に立ち寄ったサマルは、自信満々で飛び込んだものの、水の冷たさに驚き溺れた若い女性アキラを助ける。助けてもらったわりに上から発言のアキラを置いて、立ち去るサマル。しかし、毎日のように書いている日記を置いて行ってしまう。その日記を手にしたアキラが読み始めると、一気に10年前のロンドンに舞台が移り、壮大なメロドラマの幕開けとなる。


父親が亡くなり母親から世界に出るように言われ、ロンドンへやって来たサマル・アーナンドは、ある雪の日教会にやって来たインド人美女に一目ボレする。どうやら彼女はこの教会で交換条件をつけて祈ると、願いがかなってきたようで、今回もお見合いが失敗し、相手から断ってくれるよう祈っていた。この女性はミラ・ターパルで、彼女の父親はロンドンでも有数の会社を経営している。一人娘の結婚は重要。でも、ミラは結婚相手は自分で選びたいと思っている。そんな彼女の姿を盗み見て、ますます惹かれるサマル。偶然ロンドンで再会。初めは反発しながらも、サマルに惹かれてゆくミラ。まぁ、この辺りはありがちな展開。いくらなんでもロンドンでそんなに簡単に会えないだろうとも思うけれど、かなり頻繁に再会したり、ちょっとワガママなお嬢様にしか見えないミラに惹かれるのも?だけど、女性がドジで何の取り柄もないのに貴公子に愛される、もしくはちょっと高慢なお嬢様が、自分を特別扱いせず、でもしっかり見守る庶民男性を好きになるという構図は、いわゆる少女漫画系の恋愛ものの定番(笑) バカにしていません! 少女漫画で育っているから嫌いではないです!


マーケットの魚屋で働いていたサマルは、気が利く人柄と真面目な働きぶりが認められ、レストラン経営者に引き抜かれたりと仕事も順調。ルームシェアの同郷の男性の窮地を救ったりと絵に描いたようなイイ男。メロドラマはこれでなくちゃ! 2人の仲も順調。インド映画と言えばのダンスシーンも、ロンドンの怪しげな場所で、ライダースジャケット&ミニワンピで踊りまくるミラ役カトリーナ・カイフがカッコイイ! 実はミラには彼女が幼い頃、別の男性と恋をして家庭を捨てた母親がいた。2人は彼女に会いに行く。そこで本当に愛する人と結ばれる幸せを知る。これは後の伏線。2人は結婚を決意するけれど、ミラには父親の腹心の部下との結婚話が持ち上がる。そんな中、サマルはミラの目の前でバイク事故を起こし、意識不明となってしまう。必死に神に祈るミラは、彼とは結婚しないという誓いを立ててしまう。サマルは無事、意識を取り戻したものの、あの誓いがあるため、ミラは父の部下と結婚すると去ってしまう。そして裏切られたとショックを受けたサマルは、ロンドンを去り常に危険と共にあることで、神に復讐する決意をするのだった。


と、ここまでが前半。アッサリ書いたつもりだけど長いね(笑) ここから舞台はインドとなるわけだけど、既に伝説の男になった後なので、どうやって爆弾処理のエキスパートになったのかは描かれない。いくらなんでも急に爆弾処理班に配属されるわけはないと思うけど、まぁ10年経っているので、そこら辺はツッコミなしということで(o´ェ`o)ゞ 


さて、冒頭に出てきたアキラという女性は、どうやらイギリスのテレビ局の現地採用スタッフらしく、番組を制作して認められ、ロンドンでの勤務を希望しているらしい。そのためにいろいろ勉強してきたのでしょうし、モデル並みの美貌とスタイルで自信満々。演じるアヌシュカ・シャルマはモデル出身だそうで、抜群のスタイル。足長い! 勝ち気で自信満々だけど、それが災いしてミスをして主人公に助けられ、彼に恋してしまうという女性は、少女漫画のライバルキャラ。なので登場時には見ている側をイライラさせる。サマルに取材対象としても男性としても興味を持ったアキラは、強引にサマルの密着取材をねじ込み同行する。彼女の魅力にサマルの部下たちはメロメロだけど、サマルだけは関心をしめさない。お約束ともいえる、アキラが現場の危険度を理解せず、爆弾を踏み抜きそうになり、サマルが助けるシーンなどもあり、ますますアキラの気持ちは盛り上がる。サマルに完全に恋したことで、少し態度を軟化したアキラに、サマルも優しく接するようになる。そして、ますますアキラの気持ちを盛り上がらせちゃう感じが王道!


さて、紆余曲折あってアキラのドキュメンタリー作品が完成。彼女はサマルの中にはまだミラがいることを悟り去って行く。ある日アキラから連絡が入る。彼女の作品が認められ、イギリスで放送される可能性がある。ただし、それにはサマルがロンドンに来る必要があるというのだった。その辺りがイマヒトツ分からなかったのだけど、本人の許可がないと放送出来ないってことかな? そんなの撮影した時点で契約しておけばいいことなのでは? とか思うけれど、意外にツメの甘いアキラが忘れたんだっけ? まぁ、その後の展開のためにサマルがロンドンに来ないとダメなので、ここは多少強引でも仕方がなし! この多少強引なのもメロドラマだし。バカにしていません!


一度は断られたサマルから、今ロンドンにいると電話が入り有頂天のアキラ。え、サマルの自腹なの?!とか思うけど、そのツッコミもなしで!(笑) で、大喜びのアキラは道に飛び出してしまい、彼女を庇ったサマルは車にはねられてしまい、再び意識不明となってしまう。えー?!2度も交通事故に遭うなんて「冬のソナタ」か?!とか思うけれど、まぁ同じカテゴリーということで バカにしていません! 2度目の交通事故で頭を強く打ってしまったため、1度目の交通事故以降の記憶を失ってしまったサマル。当然アキラのことは誰だか分からず、ミラと別れたことも思い出せない。急な刺激は良くないので、自然に思い出せるようにしなけらばならない。そのため、彼を救えるのはミラしかいないということになる。アキラは必死で彼女を見つけ出し、サマルを救ってくれるように頼む。なんとミラはまだ独身だった! 好都合( ̄ー ̄)ニヤリ


かつてのルームメイトは、サマルがロンドンを去る際に置いて行った貯金を元手にレストランを開店、妻の料理の腕もあり今では大成功し人気店となっている。当然家も豪邸。ミラがサマルを刺激しないようと、彼の成功譚をでっち上げてしまったため、その嘘を本当にしようと、ルームメイトの全面協力を得て、豪邸に2人で引っ越してくる。夢のような暮らしが始まるけれど、ミラの罪悪感は増すばかり。彼を救うためとはいえ嘘をついていること、そして彼とは決して結ばれないという誓い・・・ そして、サマルは記憶を取り戻す! えと、あまりに壮大でどうやって記憶取り戻したか忘れちゃった でも、まぁ取り戻すということで! 記憶を取り戻した上で、彼はミラに結婚を申し込む。しかし、彼女は例の誓いがあるので踏み込めない。でも、そんなものは関係ないと力強いサマル。彼はその誓いがあるために、いつも危険に身を晒してきた。でも、無事だったことが何よりの証拠。うん! メロドラマ 2人は結婚する。結婚後サマル初めての任務。もちろん防護服もなしでの爆弾処理。まさか死んじゃうのか?!と思ったけど、そこまでメロドラマではなく、無事に処理して2人抱き合ってTHE END! めでたし、めでたし イヤ、ここのところ重めの映画が続いていたので、王道メロドラマを見れて少し心が和んだ!


キャストは2人の美女が良かった。ミラは登場時には、現代的な女性に描かれていたけど、さらに現代的な女性の登場と、10年の月日がすっかり大人の落ち着きのある女性となっていて、その変化は良かったと思う。カトリーナ・カイフのちょっと大人っぽ過ぎるように感じた顔立ちも、10年後にはしっくり。最初はどうなることかと思うくらい自己中心的なアキラのアヌシュカ・シャルマは、最終的にはサマルを思って身を引く健気さを表現。切なさも感じさせて良かった。とはいえ、この映画はインド映画界の大スター、シャー・ルク・カーンによる、シャー・ルク・カーンのための映画。現在49歳なので、登場時のおそらく20代と思われる設定はかなり無理がある でも、いいのです! これはシャー・ルク・カーンの映画だから! ということで、隅から隅まで大スターを感じさせて見事


なんだかバカにしているような記事になっているけど、決してバカにしてません! 映画は本来娯楽作品の側面もあるわけだから、何も難しい問題を扱った作品だけが高尚で、評価されるべきというわけでもない。こういうメロドラマに徹した作品が評価されてもいいと思う。メロドラマは別に嫌いではないけど、韓流ドラマはドタバタし過ぎで苦手 でも、適度なドタバタ感と緩急で、インドのメロドラマは好きらしい(笑) まぁ、それもヤシュ・チョプラ監督の手腕あってのものかも? 


メロドラマ好きな方オススメ! シャー・ルク・カーン好きな方是非!


『命ある限り』Official site

 

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【cinema / DVD】『鉄くず拾いの物語』鑑賞@WOWOW録画

2015-02-17 01:08:03 | cinema / DVD
『鉄くず拾いの物語』鑑賞@WOWOW録画
 

録画しといて最近見た映画の感想①『鉄くず拾いの物語』ボスニア・ヘルツェゴビナで実際に起こった出来事を、ご本人たち出演で映画化。ロマ、旧ユーゴなど根深い問題はサラリと見せつつ、生きるだけで精一杯の家族の、それでも笑顔のラストに救われる。淡々とした語り口でも、実話だけにズッシリ

 


ネタバレありです! 結末にも触れています!


現在開催中の第65回ベルリン国際映画祭に合わせて、WOWOWではベルリン映画祭特集を放送中。今作は、2013年の第63回ベルリン国際映画祭にて、銀熊賞ダブル受賞(審査員グランプリ・主演男優賞)とエキュメニカル賞特別賞の三冠に輝いた作品。ボスニア・ヘルツェゴビナに暮らすロマ族の一家に実際に起こった出来事を、『ノーマンズ・ランド』のダニス・タノビッチ監督が、本人たちの出演で映画化。新聞記事を読んだ監督は怒りを覚え、自ら映画化に動いたのだそう。ご本人たちが実際に演じているためか、ドキュメンタリー映画のような感じ。淡々としているからこそ、ズッシリと心に響いてくる。


「定職を持たず鉄くずを拾って生活しているナジフは、貧しいけれど気立ての良い妻セナダと2人の幼い娘と幸せに暮らしている。ある日仕事から帰ると、セナダが腹痛で寝込んでいた。出血もしているため、車で遠く離れた街の病院へ連れて行く。彼女は流産しており手術が必要と言われるが、ナジフには手術代を払えない・・・」という話。これはちょっと衝撃的な話だった。


映画は何とかしてセナダに手術を受けさせようと、ナジフが奔走する姿を追いつつ、彼らの置かれた状況を見せるような形で進む。ロマ族のナジフは旧ユーゴスラヴィア内戦時に兵士として戦ったけれど、一切恩給はなかった。ロマ族(Wikipedia)の彼は定職に就けず、保険証もない。保険証がないため、セナダの手術には980マルク(500ユーロ=約67,000円2015.2.16現在)かかる。そんなお金は持っていないナジフは分割払いを願い出る。担当医が掛け合ってくれたけど、院長の許可が下りない。セナダは流産していて掻爬手術すれば元気になる言うのだけど、お金が払えないなら手術をすることは出来ないと病院は断るわけで、これはビックリ。ちょっと調べてみたのだけど、欧米では自然流産を奨励しているそうで、日本では掻爬手術しか選択肢がない病院が多いのだそう。自然流産というのは、既に死亡してしまった胎児が自然に降りてくるのを待つという形らしい。となると、セナダの場合も自然流産を待てばよいという選択肢もあったのかな? 要するに緊急性はない? ちょっとその辺りがよく分からなかったのだけど、セナダは目に見えて具合が悪くなって行く。


ナジフは支援団体のような所へ行き、窮境を訴える。そこの女性職員は、お金がなくても病院は手術をする義務があると言い、自分が同行するのでセナダを病院に連れて行こうと話す。ところが、既に2度断られているセナダは、あの病院に行くのは嫌だと断る。女性職員は自分がちゃんと話すからと説得するけど、セナダはあくまで拒否する。本人が嫌がるものを強要は出来ないということで、職員は帰ってしまう。うーん、セナダの気持ちは分かるのだけど、そんなことを言っている場合なのか? それはセナダの無知ゆえなのか? 失礼な言い方だけど、セナダだけの問題じゃなくて、こういうことっていろいろ手段はあるのだろうと思うのだけど、それを知らないから簡単に諦めちゃうというか・・・ 結局、セナダの妹の保険証を借りることを思いつく。要するに妹になりすまして掻爬手術を受けたわけで、それって見つかったら犯罪になってしまうのでは? セナダの中で職員と同行して説得してもらうのはイヤで、妹になりすまして手術を受けるのはOKというバランスが分からないのだけど、その辺りもボスニア・ヘルツェゴビナの状況とか、ロマ族の置かれている環境とか、きちんと調べたら根深い事情があるのかもしれない。


手術は無事成功し、セナダも家に帰れることになる。医者からは薬を忘れずに飲むように言われるけれど、ナジフには薬代もない。家に帰ったナジフは動かなくなってしまった自分の車を、近所に住む弟と一緒に解体する。その鉄くず代は、セナダの薬代と、止められていた電気代に変わってしまう。再び電気が通り、娘たちが大好きなドラマが映った朝、一家は幸せそうに肩を寄せ合って終了。うーん。彼らはこれからも、ギリギリの生活が続くのかもしれない。でも、ナジフは必至で家族を守ろうとしている。その姿には感動した。


日本には保険制度があって、保険料さえ収めていれば、その恩恵に与ることが出来るけれど、それだって万全ではない。重い病気にかかり、長期入院となれば費用は高額になる。個人で保険に入ったりして、それに備えている人も多いと思うけれど、そうできない人たちもいる。そうなった場合、やっぱりセナダのように病院から断られてしまうのかしら? 遠い異国の話と思っているけど、ちょっぴり怖くなったり


登場人物はほぼナジフ一家と弟。そして隣人たち。手術を拒んだ医師以外は全て本人たちが演じているのだそう。監督としては演技をさせるつもりはなかったんじゃないかと思うけれど、その素朴な"演技"が、どこかで社会的弱者であることを諦めつつ、それでも生きていこうとする強さを感じさせて良かった。


公式サイトの監督インタビューによれば、監督が描きたかったのは"差別"についてだそうだけれど、意外に他人事ではないと思ってしまった作品だった。映画の面白さというのは、監督の意図したこと、そして意図していなかったことまで観客に感じさせることなのかもしれない。良い作品だった。


ロマ族の方々、旧ユーゴスラヴィア、ボスニア・ヘルツェゴビナに興味のある方オススメ。ダニス・タノビッチ監督作品好きな方是非!


『鉄くず拾いの物語』Official site

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【cinema】『アメリカン・スナイパー』(試写会)

2015-02-16 01:18:59 | cinema

'15.02.10 『アメリカン・スナイパー』(試写会)@イイノホール


戦争映画はあまり得意ではないのだけど、この映画は見たいと思っていた。試写会当選したお友達のおこぼれに与って行ってきたー


ネタバレありです! 結末にも触れています!


「幼い頃から父親に射撃を習っていたクリス・カイルは、愛国心に燃えて志願し米国海軍に入隊。特殊部隊ネイビー・シールズに配属され、4回にわたりイラクへ派遣される。狙撃手として抜群の活躍を見せるクリスは、味方からは"伝説の狙撃手"、敵からは"ラマディの悪魔"と呼ばれるようになるが・・・」という話。これは良かった。実在の米軍狙撃手の映画だから、当然戦場が主な舞台となるわけで、銃撃シーンや緊迫したシーンも多く、眉間に皺よりっぱなしで見終わった後頭痛くなったけど(笑) でも、さすがクリント・イーストウッド監督だなという感じで、『ジャージー・ボーイズ』(感想はコチラ)の後にこれか?とも思うけれど、実は軸はぶれていないのかもしれない。


原作はクリス・カイル他による「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」で、13週連続第1位のベストセラー作品。毎度のWikipediaによりますと、2012年5月24日ワーナー・ブラザーズはブラッドリー・クーパー主演・製作で映画化する権利を獲得したことを発表。2013年5月2日にはスティーブン・スピルバーグが監督すると報道されたけれど、同年8月21日にクリント・イーストウッドが監督することが発表されたのだそう。個人的にはクリント・イーストウッド監督で良かったように思う。2014年12月25日に北米4館で限定公開され、63万3000ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場22位となったそうで、3週間にわたる限定公開で330万ドルを稼ぎ出したとのこと。拡大公開3週目には公開規模が全米3885館にまで拡大され、3180万ドルを稼ぎ出し週末興行収入ランキング3週連続1位となった。この数字はスーパーボウル開催週の週末興行収入としては過去最高の成績だそう! 批評家からは高い評価を得ており、Rotten Tomatoesでの支持率は73%、平均点は10点満点中6.9点。


実は本作、著名人たちも感想をTwitterなどで披露していて、保守派とリベラル派の間で大きな論争が起きているのだそう。女優のジェーン・フォンダは高く評価し「ブラヴォー、クリント・イーストウッド」とtweetしたそうだけれど、マイケル・ムーア監督は「スナイパーは背後から人を撃つ臆病者だと教わった。ヒーローではない。」と発言し大きなニュースに。セス・ローゲンは『イングロリアス・バスターズ』のナチスのプロパガンダ映画と比較しTwitter上で炎上 ロブ・ロウや政治家のニュート・ギングリッチが2人を厳しく批判したり、ミシガン州の店が2人の入店拒否する騒動になったらしい。確かに、テーマがテーマなだけに、いろいろな意見があるかなとは思う。なので、感想が難しい・・・ ただし、映画としてはクリス・カイルを賛美も糾弾もしていないと思う。


クリス・カイル氏についてもWikipedia調べてみた。彼は、父親から「お前は弱い羊達を守る牧羊犬になれ、狼になるな」と言われて育ち、子供の頃の夢はカウボーイか軍人。1999年海軍に入隊し、厳しい選抜試験を突破しネイビー・シールズのチーム3に配属された。2003年にイラク戦争が始まると、2009年に除隊するまで4回派遣され、イラク軍およびアルカーイダ系武装勢力の戦闘員を160人(非公式には255人)を殺害し、味方からは"伝説の狙撃手"、敵からは"ラマディの悪魔"と呼ばれ、18万ドルの懸賞金がかけられた。ちなみに、狙撃するとライフル銃が跳ね上がり、狙撃手自身は確認できないため、別の兵士が双眼鏡などで確認するため、160人というのは確実な数値なのだそう。ラマディの戦いで目の前で親友ライアンが敵の攻撃で失明したり、同じく友人のマーク・リーが戦死したり、壮絶な体験をしたためか、自分が撃った相手を"悪人"と称し、狙撃したことに罪悪感はないと語ったのだそう。本人もPTSDに苦しんだため、医師に勧められ傷痍軍人と交流。PTSDに苦しむ帰還兵、退役軍人のためのNPO「FITCO Cares Foundation」を設立。社会復帰に向けた支援活動に取り組んでいたが、2013年2月2日、PTSDを患う元海兵隊員エディー・レイ・ルース(当時25歳)により射殺された。


と、いきなり前置きでほぼネタバレしてしまったけれど、Wikipediaを読んだ限りでは一部変更や映画的脚色はあるものの、ほぼ忠実に映画化されているので、ネタバレでもないかも? いつもは映画の展開を書きつつ、感想を加えていく感じで記事書いているけど、この作品の場合半分くらいは戦場で、戦闘場面を描写するのも辛いし、それもある意味見どころなので、今回はその辺りの描写は控えめにしようかと思っている。とはいえ、そんなにいろんな書き方が出来るほど器用でもないので、結局いつもどおりになるかもしれないけれど。と、言い訳をしつつ・・・(o´ェ`o)ゞ


冒頭、建物の屋上から、向かいの建物を見張る米軍兵士2人。1人は床に伏せて、ライフル銃を構えている。そこに現れたのは中東系の女性と、その息子と思われる少年。母親は息子に筒形の物を渡す。ライフル銃を構える兵士は、無線で上官に連絡を取る。少年が持っているのは対戦車用の爆弾だと思われる。すると自分の判断で撃っていいと指示が出る。引き金に掛かっている彼の指に力が込められたところで場面転換。ここから、主人公の生い立ちが始まる。この緊張の導入部は良かった! いきなり戦場。しかもドンパチの戦闘シーンではなく静かな緊迫感。しかも照準を合わせた相手は10歳くらいの少年。どうなるのか?!で、一呼吸。その答えは後ほど分かる。しかも、アッサリと・・・


クリス・カイルは幼い頃から父親に狩猟を習ってきた。獲物の狙い方だけでなく、銃の扱い方まで。少年時代、弟が虐められていれば、相手を徹底的に叩きのめす。弱いものは強いものが守るのだという教え。母親は父親の子育て法に異論があるようだけれど、諦めているのか反論はしない。父親の子育てが間違っているとは言わないし、クリスが弟を守ったのは立派。ただし、映されていた通りだとすれば、若干やり過ぎに感じる。そこまでやってしまうと、弟の立場がなくなってしまうようにも思う。自分を守ってくれる強いお兄ちゃんは誇りになるけど、度を越して暴力になってしまうと、弟の中にも違和感が生まてしまう気がする。とはいえ、弟が兄に憧れているのは間違いないと思う。この兄弟はその後も仲がよく、頼れる兄と気が弱いけれど優しい弟という構図は変わらない。ただ、兄を越えられない壁と思っていたかも・・・ 後のシーンでの弟の様子からすると、兄の存在が彼を戦場に引きずり込んでしまった部分もあるのかも? 父親に対して自分も認めて欲しいというような思いが、兄と同じ行動を取らせたというか・・・ と、熱く語ってしまったけれど、今作で弟はそんなに大きく扱われてるわけではない。ただ、戦地でのあの様子を差し込んだことには意味があると思うし、それが単なる弟のPTSDの描写というだけとは思えなかったので。若者を戦場に駆り立てるのは、単純に愛国心だけではないというような・・・


実際のクリス・カイルはちょっと違うようだけれど、映画の中では弟と2人で兵士募集のようなチラシを見て応募を決意する。こちらも実際は入隊後、ネイビー・シールズに配属されるようだけれど、映画の中では最初からネイビー・シールズを志願して訓練を受けている感じ。まぁ、ややこしいからその辺りの変更はいいかも。訓練は過酷。体力的にキツイのは当然だと思うけれど、言葉の暴力とも言えるような罵声を教官から浴びつつの訓練。脱落していく者もいる。これは捕虜になった時などに備えてなのかな? 訓練の場面が意外に長い気もしたけど、愛国心に燃えた彼の決意が、軽い気持ちではないということの描写だったりもするのかな? 


ある日、訪れたバーでタヤという女性と出会う。兵士との出会いを求める女性が多い中、そうではないらしいタヤに惹かれるという設定になっているけど、実際の2人の出会いについては原作未読のため不明。2人の間も過不足なく進展していく。この映画で描きたいことの1つであるクリス・カイルは家族を愛する普通のアメリカ人だったという部分に繋がるので、2人の恋の始まりから結婚までを、きちんと見せつつ凡長もならず見せていたのはさすが。クリント・イーストウッド監督の演出は相変わらず無駄がない。2人で過ごしていた時、タヤに呼ばれたクリス・カイルが見たのは9.11テロの映像だった。これにより、イラク戦争が始まったという分かりやすい描写。実際の2人は既に結婚していたようだけれど、クリスの出兵が決まりそうなので、慌てて結婚式を挙げたように描かれている。後に3日間しか新婚旅行がなかったというタヤのセリフが入っているけど、新婚の日々のほとんどを一緒にいられないかったという方が、より家族の絆の危うさを表すことができるとは思う。そして、この船上での結婚式で、開戦が告げられる。


そして、冒頭のあの場面へ。ペアを組む兵士が間違っていたら軍法会議ものだと言うセリフが入る。少年の手にしている物が、対戦車用爆弾でなく、ただの筒状の物だった場合、彼を射殺してしまったとしたら軍法会議にかけられるとうこと? 確かに爆弾でないのであれば、無抵抗の民間人を撃ってしまうわけで、間違えましたでは済まされないよね・・・ だからこそ余計に、見ている側としては爆弾でありませんようにと祈るわけだけど、この時のクリス・カイルの心情は全く語られない。そして、少年が胸にしているものが、何であるのか見ている側にもハッキリと分かり、彼が戦車に向かって走り出した瞬間、クリス・カイルは少年を射殺する。彼が撃たれるのを目撃した母親は、泣き叫びながら爆弾を取り、戦車に向かって走りだす。「このアマ」的な発言をして、この母親も射殺する・・・ 衝撃的なシーンではあるのだけど、映画的な盛り上げは一切ない。この潔さがスゴイ。宿舎に引き上げたクリス・カイルは同僚に、初めて撃ったのは少年だったとやるせない思いを語り、少年が米兵を10人殺した可能性もあったと慰められるシーンがある。いくらか救いではあるけれど、それも本当にサラリとしている。サラリとしているから彼の後悔というか、罪悪感のようなものが伝わらないわけではない。ただし、それを感じていたとしても、この時点では、この任務に対しての疑問を持つとか、辞めたいと思ったりしているわけではないことも伝わる。嫌な事があったけど、それを消化しなければならないと思っているというか・・・・ 日本の普通のOLちゃんだって仕事で嫌な思いをすることはある。それは自分のミスかもしれないし、他人のミスかもしれない。でもそれを消化して仕事を終わらせなければならないわけで、どうにか折り合いをつけようとしたりする。その感じに似ているような気がした。もちろん人の命を奪っているわけで、その重さは比較にならないけれど・・・ このシーンは後のシーンとの対比になっていて、後に少しだけ救われることになる。


シーン描写はあまりしないかもと言いつつ、少年の射殺のシーンを長々書いたけれど、このシーンと後に出てくる対比シーンは、かなり自分の中で衝撃を受けたので、これは書いておきたかった。実際にクリス・カイルが最初に射殺したのは女性だったらしいので、これは後のシーンと対比して、彼の変化を描きたくて変更したのだと思う。シーンの順番はかなり後の方になるけれど、たしか4回目の派遣の際、クリス・カイルが射殺した男性の武器を少年が手に取るシーンがある。この少年が単なる好奇心で銃を掴んでしまったのか、それとも男性の代わりに戦うよう仕込まれているのか、クリス・カイルには判断がつかない。好奇心であっても、彼が味方に向かって銃を構えてしまえば撃たなければならない。冒頭のシーンでは、まだ新婚だったクリス・カイルも、この時点では2児の父となり、少年と同じ年頃の息子がいる。彼は必死で銃を置くように祈る。見ている側も彼と一緒に祈る。見ている側は少年をアップで見ているから、彼が好奇心で銃を手にしてしまったことが分かる。だから必死に祈る。そして、急に怖くなったらしい少年は、銃を置いて去る。クリス・カイルと共に観客もホッとする。こういう何気ないシーンで、彼の心の変化を入れて来るのが上手い。


映画の中でも、そして実際のクリス・カイルも、敵を殺したことについて後悔はなく、自分は悪人(字幕では蛮人)を殺しただけだと語っている。後悔していることがあるとすれば、それは救えなかった味方に対してだとも言う。クリス・カイルは"伝説の狙撃手"かもしれないけれど、完全無欠のヒーローではない。彼の中にアルカーイダの戦闘員だけでなく、イラク兵も蛮人だと思う気持ちがあったことは事実なのだろうし、意識していようが無意識だろうが、そう考えなければ心の均衡が保てなかったのかもしれない。そういう、彼の言動を隠すことなく見せ、擁護するわけでも糾弾するわけでもなく見せるのは潔いと思った。クリント・イーストウッド監督は反戦派だそうだから、この映画をアメリカ万歳に描くつもりもないのだと思う。保守派とかリベラル派とか、右とか左とか、厳密にどこで線引きするのか良く分からないし、あまり自分のblogに政治的なことは持ち込みたくないと思うので、出来るだけ避けたいと思うけれど、映画を見た保守派とリベラル派で論争が巻き起こったことは事実で、それがこういう描き方にあるのだとすれば、クリント・イーストウッド監督の狙い通りなのかもしれない。監督としては、クリス・カイルという人物の良い面も悪い面も隠さず、彼が体験したこと、そしてそれにより彼が受けた心の傷を描き、戦争が人々に与える影響を見せたかったのかなと思う。


まぁ、それだけではただのドキュメンタリー映画になってしまうので、映画的に盛り上がる部分もある。狙撃手は狙撃が任務なので、実際は建物の上などから敵を狙い狙撃するだけ。それだけだと動きがない。なのでクリス・カイルも突入任務に同行したりする。ただし、実際のクリス・カイルも突入に参加したりしていたらしいので、映画化に際しての脚色というわけではないのかもしれない。ある日、人の気配がして突入すると一家が暮らしていた。この辺りは一般市民は退去したはずだと言うと、自分は長老だから立ち退くわけにはいかないと言う。長老がザルカーウィー(Wikipedia)の側近を知っていることが分かり、彼と接触できるよう段取りをつけてもらうことになる。ところが約束の日、先に現れた側近"虐殺者"に長老の幼い息子を人質にとられてしまう。"虐殺者"が拷問する際に使用するのは電動ドリル。そう"虐殺者"は長老の息子の太ももに電動ドリルを・・・ このシーンは遠景で映されるので、ハッキリとは映されないけれど、泣き叫ぶ子供の声が真に迫っていて痛い・・・ この子供の泣き声が演技ならスゴイ! もちろん演技に違いないと思うけれど! この映画の中で明確な"敵"として描かれるのはこの"虐殺者"のみ。もう1人ある意味クリス・カイルのライバル的存在で、狙撃手ムスタファという人物が出てくるけれど、あるシーンから彼を"敵"とは思えなくなった。きちんと勉強していないので、詳しいことは言えないのだけど、そもそもアルカーイダ(Wikipedia)を作ったのはCIAだったりするわけで、何をして"敵"というのか深く考えると何がなにやら?(o゜ェ゜o) ただ、こういう戦争には明確な"敵"がいないと、兵士は目的を見失ってしまうよね。実際、帰還した兵士の多くがPTSDに悩まされているそうなので、これは単純に戦地での体験だけでなく、"何のために戦うのか分からない"ことから来る疲弊感もあるのかなと思った。戦地で短い再会をした時、クリス・カイルの弟はそんなセリフを言っていたし、彼の様子は明らかにおかしかった。


"虐殺者"の残虐行為を見たり、目の前で親友が失明したり、狙撃されて死亡したりと、"敵"への憎悪も芽生えたところで4回目の派遣。過去3回派遣されたわけだから、その間どのくらい間隔が空いているのかわからないけれど、クリス・カイルは明らかに様子がおかしくなっていく。大きな音に激しく反応してしまったり、車を運転していて後ろから煽られると恐怖を感じてしまったり、息子にじゃれた犬を殺そうとしてしまったり、新生児室で寝ている娘が泣いているのに無関心な看護婦に向かって怒鳴ってしまったり・・・ 自分では気づいていないふりをしているけれど、間違いなくPTSD。それでも、彼は戦場へ帰ってしまう。次に戦場に行ったら私たち家族はいないと思ってと言われても、やっぱり彼は向かってしまう。そこまで彼を駆り立てるのは何なのか? もちろん愛国心ではあるのだろうし、アメリカ人にとって9.11で母国が攻撃されたことは、想像以上にショックだったのだと思う。少なくとも映画の中のクリス・カイルのように自国がいつ攻撃されるか分からない!と、過剰反応してしまう人もいたのかもしれないけれど・・・


4回目の派遣。映画のクリス・カイルは今回、復讐のためにやって来たように見えた。彼の目的は友人の敵を討つこと。1人は"虐殺者"、もう1人は狙撃手ムスタファ。このムスタファが実在の人物なのか、映画独自のキャラなのか分からなかったのだけど、オリンピックで金メダルを獲得した腕前。電話などで仕事の依頼を受けているらしく、家で支度を整えて出かけて行く姿が2回ほど出てくる。2度目にはオリンピックの表彰台で金メダルを掛けた写真と、幼い子供を胸に抱く妻の姿が映る。妻子の姿は米国でクリス・カイルを心配して待つタヤの姿と何ら変わらない。アメリカの敵であるからには、世界の敵とも言える狙撃手ムスタファは、妻や娘にとっては愛すべき夫であり父親。彼女たちを守るためには、"敵"を狙撃することは正義。それはクリス・カイルと同じ。この鏡のような存在が、正義のあやふやさを表していて考えさせられる。どんな主義主張があろうとも、過去からの遺恨があろうとも、何の罪もない一般市民を巻き込むテロ行為は許されるべきではない。それをしてしまったのだから、テロ実行犯や指示した人間を"正義"だとは自分は思えない。でも、彼らにとってそれが"正義"であることが、どこまで行っても平行線なんだよね そしてアルカーイダやISILが、テロを行ったことにより明確な"悪"であったとしても、中東の国々やムスリムの方々が"悪"なわけではない。イラク戦争について、アメリカ国内でも未だに是非が分かれている理由の1つには、アルカーイダ=イラクとして攻撃してしまったことにあると聞いたことがあるように思う。だとしたら"悪"ではない人たちも殺されてしまったわけで、このムスタファはどちらの側だったのだろう?


戦場のクライマックスとしては、突入作戦を決行した後、周りを取り囲まれたクリス・カイルを含む米軍脱出シーン。上官の指示は応援が来るまで待機。でも、クリス・カイルは1.9km先にムスタファがいることに気づいてしまう。照準を合わせる。その映像が映るけれど、見ている側にはぼんやりとムスタファが頭に巻いているターバンのようなものが揺れているくらいしか分からない。ムスタファが戦友を狙撃した相手であることを知っている同僚は、クリス・カイルの判断で狙撃するように言う。当然、引き金を引く。1.9km先の相手も撃ち殺せるのね?! もちろん狙撃の腕があってこそだと思うけど、ライフル銃の性能もスゴイね・・・ 無敵のライバルを凄腕を披露して倒したのだから、映画的にはスカッとする見せ場のハズだけど、先ほど見せられた妻と子供の姿がチラついて虚しい。ただし、このシーンからの一連の流れは圧巻! ムスタファを狙撃してしまったことで敵を刺激してしまい、当然一斉に攻撃を仕掛けられる。と、同時に激しい砂嵐が襲ってくる。この砂嵐が迫って来る映像がスゴイ! モーニング・グローリーみたいに、グルグル渦巻く砂嵐が帯状になって迫って来る! その砂嵐の中、迎えに来た車両に向かって走る! もう誰が誰だか分からない・・・ もちろんウキウキするシーンではないけれど、このシーンは最大の見どころだと思う。


この砂嵐の中、クリス・カイルはタヤに電話をかけている。もう家に帰る! その言葉通り、無事帰還した彼は軍を辞めたらしい。帰国しても、家族が待っていてくれるのか不安で、直接家に帰ることが出来ない描写が入る。自分が家族を守るという大義のもと戦場に向かったことは、残された家族にとっては身勝手な行動でしかなかったのかもしれないという思いは、あまりにも悲し過ぎるけれど、そういう側面があったことを認めることから始めないと、家族の元には帰れなかったのかも。とはいえ帰国するたび言われ続けてきたけれど、クリス・カイルの心は戻ってこない。家の中で心ここにあらずの状態で、ボーっとしている姿は衝撃的。自分でもどうしようもないのかもしれない。BBC版「SHERLOCK」の第1話の冒頭で、ジョン・ワトソンはカウンセリングを受けている。彼はアフガニスタンに軍医として派遣され、帰還したもののPTSDにより右脚が動かなくなっている。でも、シャーロック・ホームズと出会い、彼と殺人事件を追ううち、生き生きとしてきて、杖なしで走り出す。挙句、シャーロックの兄マイクロフト・ホームズに、君は戦場を恋しがっていると言われる。自分は戦場に行ったこともないし、行きたいとも思わないので、ワトソンの気持ちが理解できているわけではないのだけど、一度そういう極限状態を経験してしまうと、またその興奮状態を求めてしまうことはあるのかなと思った。クリス・カイルもそうだったのかもしれない。それを"国を守るため"と定義づけしただけだと言ってしまったら、あまりにも乱暴だけど・・・


気がすすまない様子でカウンセリングを受けるけれど、医師の問いに対して前述した言葉を繰り返す。自分が殺したのは蛮人だから、殺したことは後悔していない。自分が後悔しているのは、救えなかった味方に対してだけ。もっと救えたという思いが消えない。それに対して医師は、その意見を特に肯定も否定もすることなく、傷ついた兵士たちはこの病院にもたくさんいると言う。実際のクリス・カイルも医師の勧めで傷痍軍人たちと交流したそうなので、クリス・カイルを癒す方法としては、PTSDに悩む元兵士たちを救うことが有効だということなのかもしれない。映画ではあまり詳しく描かれていないけれど、実際のクリス・カイルはNPO団体「FITCO Cares Foundation」を設立したそうなので、彼が射撃を教えていたのはその活動の一環なのかな? 良き家庭人としての姿を取り戻したクリス・カイルは、息子を連れて狩猟に行く。息子ちゃんに教える姿は、幼い頃の父親とクリス・カイルに重なるけれど、その言葉自体は父親のものとは違っていたような? 正確な言葉は忘れてしまったけれど、力だけが全てというような感じではなかったような? 違ったかな? まぁ、父親の言葉もそういう意味ではなかったかもしれないけれど、聴いていた時には違和感があったので・・・


2013年2月2日、良き父親、良き夫としての姿が映し出された朝。母親から頼まれたからとPTSDを患う元海兵隊員の青年と出かける。挙動不審な青年の様子、心配そうに2人を見つめるタヤ。これは死亡フラグか?!と思ったらそうだった クリス・カイルは退役軍人のチャド・リトルフィールドと共に、元海兵隊員エディ・レイ・ルースに射撃訓練をしていたところ、ルースが突然カイルとリトルフィールドに向けて発砲。2人は死亡。ルース容疑者は死刑を望んでいると言われており、2015年2月に裁判が始まる予定だそう・・・ ラストに流れた映像は、実際のクリス・カイルの葬列の様子なのかな? 彼の遺体を乗せた車の後ろには、長い車の列が続く。道の両脇では国旗を手にした多くのアメリカ市民が見送っている。柩には多くのバッジが打ち込まれている。これ、戦友の葬儀でクリス・カイルも行っていたのだけど、これは軍関係者の葬儀であるということなのかな? 軍服姿の男性たちが、柩に掛けられていた国旗を丁寧に畳む・・・


キャストは良かったと思う。シエナ・ミラーは『スターダスト』(感想はコチラ)と『ファクトリー・ガール』(感想はコチラ)しか見てないし、『スターダスト』は出てたことも覚えてない(o´ェ`o)ゞ 『ファクトリー・ガール』ではイット・ガールと呼ばれたイーディー・セジウィックを演じていたし、ファッション・アイコン的な印象だったけど、老けたね・・・ まぁ、タヤさんは普通の主婦だからかもしれないけど、まだ33歳なのにあの老けっぷりは・・・ 特別シエナ・ミラーじゃなきゃダメという役でもなかったように思うけれど、でも夫が戦場に4回も派遣され、その間1人で2人の子どもを産み育て、家庭を守りながらも夫を支える妻を好演していたと思う。時々ヒステリックになる部分についても共感できた。虐殺者の残虐非道ぶりがすごかったけど、役者さんの名前は分からず・・・(´・ω・`) ムスタファのサミー・シークは、セリフはほとんどなかったと思うけど、孤高の狙撃手という感じで良かったと思う。役柄の是非に関係なく、彼にとっては妻子を養う仕事であり、彼らを守る正義でもあるわけで、その感じは伝わった。


とはいえ、今作はやっぱりブラッドリー・クーパーに尽きる! 自ら製作も手掛け、体重も増やしての熱演。愛国心と正義感に燃えて志願し、4回に渡る派遣で疲弊して行く。でも、家では疲弊しているけど、戦場では生き生きしてたりする。その辺りや、クリス・カイルが罪悪感は無いと言い切ってしまうところは、意図的にしていると思うので、その誰の目から見ても"THE 正義"ではない感じのバランスが素晴らしかったと思う。"THE 正義"ではないけど、もちろん彼は"悪"ではないので、嫌悪感を与えてはいけない。見せたいのは"普通"の人が、戦場で"伝説"となったけれど、その結果PTSDに悩まされているということ。その辺りは見事に演じていたと思う。アカデミー主演男優賞に3年連続ノミネートされているけど、今作はどうかなぁ・・・ 個人的には良い演技だったと思うけど、アカデミー賞はない気がするけれど・・・(o´ェ`o)ゞ 


戦場の撮影はモロッコで行われたそうだけれど、中東の乾いた感じが出ていて、戦場の緊迫感を感じさせていたと思う。クリント・イーストウッド監督は、相変わらず重いテーマを、重過ぎずも軽くなることなく、言い過ぎることもなく言い足りないこともない無駄のない演出。84歳にして初めて戦争を描いたそうだけれど、今も続く"中東"問題を選んだところが、さすがだなという気がする。批判も甘んじて受けるというような強い意志を感じた。あれ?『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』があるから初めてじゃないか?! エンドロールは監督の意向で、途中から完全に無音になる。音楽がない分、映画の余韻にひたることが出来る。その時感じたモヤモヤを、この記事に全て書けたわけじゃないし、そのモヤモヤが"正解"ってわけでもないと思う。でも、何かが浮かんだなら、その事自体は間違っていないのかなとも思った。


これはオススメするタイプが難しい でも、今こそ見るべき映画という気もする。クリント・イーストウッド監督作品好きな方オススメ! "役者"ブラッドリー・クーパー好きな方是非!


『アメリカン・スナイパー』Official site

コメント (2)
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