東海道新幹線:一時不通…
乗客3100人「缶詰め」疲労感
2010年1月29日 21時15分 更新:1月29日 23時32分毎日JP

東京と大阪を結ぶ大動脈は、突然の送電ストップで大混乱に陥った。29日、架線が切れ3時間以上運行できなくなった東海道新幹線。小田原-品川駅間では、こだま号など5本が立ち往生、乗客計3100人が薄暗く暖房も止まった車内で長時間過ごし、疲労感をにじませた。
停電直前に、架線切断現場を通り過ぎ、パンタグラフが大破した東京発名古屋行き「こだま659号」。乗客によると、12両目付近で「バチン」とい う大きな音がした後、車内の電気が消えて、ゆっくりと停車したという。山形県の無職男性(60)は「東京駅を出たと思ったら、ドンという音がしてタヌキで もひいたのかと思った。1キロぐらい走って止まった」と話した。
神奈川県小田原市の会社員、小杉拓治さん(41)は「『トイレは使えません』『たばこは吸えません』と車内放送があった。暖房が切れて、日が落ちてからは寒くなった」と疲れた様子を見せた。
立ち往生していた新幹線は、午後6時ごろ次々と東京駅に到着した。東京都内の病院を受診するために上京した静岡県の主婦、清百合子さん(50)は 「小田原と新横浜駅の間で電車が止まった。現状を知らせる車内放送が10分おきにあり、途中から停電してトイレの水も流せなくなったので、工夫して何とか 使った」。東京都の会社員、高取順さん(48)は「車内販売の飲み物は売り切れていた」と話した。
東京駅の改札口やホームは、新幹線を待つ乗客でごったがえした。静岡県三島市に向かうため2時間以上出発を待った東京都の建設会社員、勝又恵一郎さん(42)は「在来線で行けば良かった。お客さんとの打ち合わせに間に合わない」とあきらめ顔だった。
架線が切れた横浜市神奈川区の現場で火災を発見し、110番した会社員、一樹誠さん(33)によると、下り新幹線が通過する際、閃光(せんこう) とともに「ドン、ドン」という音がして架線から火花が散り、間もなく線路脇の雑草から出火したという。一樹さんは「雷が落ちたかと思った。煙が出始めたら あっという間に火が回った」と振り返った。
先日のブログに、「どこで何が起こるかわかりません、」と書いておいたらこんなことが起こった。もっと良いことが起こればよいのにと思う。
101歳の母は、生きていても余りよいことはないが、時々ちょっとだけ良いことがあるから生きている、という。
新幹線架線切断の盲点
定期点検 発見できず
立ち往生した列車に多数の乗客が缶詰めになった東海道新幹線の架線切断トラブル。日本の大動脈が約3時間にわたって止まりました。なぜ事前の安全点検で異常を発見できなかったのか。原因の徹底究明が国、JR東海に迫られています。(宇野龍彦)
切れた架線は、吊(ちょう)架線につり下げられている、銅線をより合わせた構造の補助吊架線。25年前の1985年以降、交換されていませんでした。
JR東海によると、(1)切断した架線(2)破損した曲線引き金具(補助吊架線を固定する金具)(3)現場を通過した東京発名古屋行き「こだま 659号」の車両の破損したパンタグラフ―のいずれも、直前の定期点検で異常が見つかっていませんでした。鉄道関係者からは、切断した補助吊架線や曲線引 き金具が点検検査の盲点になっていなかったのかなど、「原因の究明が不可欠だ」という声があがっています。
架線は年1回、定期検査を実施することになっていますが、耐用年数は定められていません。
JR東海によると、電力を列車に供給するトロリ線は、2008年末に交換し、昨年11月に点検したばかりで、約10日に1回のペースで、試験電車「ドクターイエロー」が営業列車と同等の速度で走行しながら、レーザー光線を使用して行う摩耗の測定をしています。
今月27、28日の深夜に作業員がおこなった目視による架線の外観検査では異常はなかったといいます。
架線のうちトロリ線には自動的に異常を知らせる仕組みが組み込まれています。しかし補助吊架線にはこうした仕組みはありません。
補助吊架線はこだま659号の通過のさいに切断したと見られ、6両目と12両目にあるパンタグラフのうち、進行方向後方の12両目のものが破損。2日に1回程度の検査があるパンタグラフは、27日の点検で異常は見つかっていませんでした。
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