■□家族関係のごたごたも持ち込まれる
「孫のことなんですが、学校を休んでばかりで…」
困り切った様子で来られたのはおばあさんです。
「ちょっと障がいがあって、両親は一生懸命やってるのですが…意見が食い違っていて…病院のような学校のようなところに入ったのですが、母親が心配だと近くにアパートを借りて…何日かして子供を連れ出したりして…自分まで仕事に行けないようになり、父親は、会社に行ってるのですが…年老いた実の母親が一人暮らしで他に兄弟もなくそちらにばかり行くので…もう離婚だと騒いでいるし、私もみんなの面倒見るわけにも行かず…」
話が混乱しています。どこを解決すれば全体がうまくいくようになるのか、みんなに会って問題を整理しなければよくわからない状態でした。ところが肝心の父親に会えないので彼の主導では解決できそうにありません。連絡がとれないまま家庭裁判所を通して離婚の訴えが出され、その対応もしましたが、離婚が決まりました。孫は大きくなるが、聞き分けがない子で、おばあさんは扱いかねている様子です。
これは長い付き合いになるぞと覚悟しました。それから一〇年以上、まだ時々相談がきます。
■□DV被害から逃げてきたが…
「娘は伏見に住んでいるのですが、一八歳で結婚し今、子供が二人います。夫は、仕事はするのですがパチンコばかり行って生活費を出さないばかりか、 最近は暴力を振るうようになり、娘が逃げて帰ってきています。離婚したいというのですが、相手は平気でこちらの家に乗り込んできます。どうしたらいいのでしょうか?」
典型的なDVです。
「娘さんはもう大人なのですから、ご本人にお会いしましょう。人生あとが長いのですから、しっかりせんと。相手の両親はどう思っているのでしょうかね? わからなければ会ってみましょうか? 怖い人のようでも、第三者なら落ち着いて話ができるかもわかりませんよ」
その一方、夫の暴力に対しては「とりあえず、怪我をしたり動けなくなったら大変なので、辛抱できないというときに逃げて行ける場所を確保しておきましょう」と話し、京都府のDV担当課へ一緒に行きました。
事情を説明し、「もしものときはここへ来なさい」という、緊急避難先の仮入所手続きをしました。娘さんはそれで安心できたのか、夫や先方の両親と話ができるようになり、お互いに離婚は望んでいないことがわかりました。もし、夫が家計費を出さなくなっても生計が立てられるような工夫と対策をとったところ、先方のご両親も娘の味方になってくれたらしく、夫のパチンコも以前より少なくなったといいます。しばらくして「何とか離婚せずに暮らしています」と連絡がありました。