■□会社から、早くやめろと嫌がらせ
「近所の中小企業に三〇年近く勤めているのですが、嫌がらせを受けています。慣れない職場に変われとか、まだ数年間勤められるのに早くやめてほしいと言われ、毎日会社に行くのが嫌になっています。何とかならないでしょうか」
こういう場合、その企業の所轄の労働基準監督署に行き、該当地域の担当者と名刺を交換して、○○企業ではこういう実態があると相談内容を説明し改善を求めます。そしてその足で企業の総務部長なり労務担当者に面会し、監督署の担当者の名刺を見せ改善を求めます。大体ここまですれば「会社で相談しお返事します」ということになり、後日相談者に対して会社の方針が伝えられると思います。相談者の希望を聞きながら、そこで知り合った会社の担当者に対して相談者の希望を伝え、話し合いを何度か繰り返せばほとんどのところで解決します。
先の相談者の場合は、私も耳を疑うような解決策が示され本人も了解されました。
①定年までの賃金は全額支払う。②あとの年金にも損害が出ないよう計算して対応する。③ボーナスも全額出勤扱いで支払う。その代わり、今月で退職してほしい、というのでした。
■□大企業が配置転換で退職を迫る
三菱系の企業に勤めている人から「体力的に無理な職場への配置転換で、応じられないと返事をしたら、やめろと言われている、助けてほしい」と相談がありました。
彼はもともと重いものを扱う仕事をしていましたが、若いときに脊椎の手術を受けてから軽作業職場に変えられていたのです。今回はやめろと言わんばかりの嫌がらせ配置転換でした。根拠を明確にして大阪の本社と交渉しなければなりません。私は労働災害をなくすためにがんばっている同級生を思い出し、相談者の病状を話してアドバイスを受けました。民医連の医師にも相談しました。重労働に戻れば即退職に追い込まれるだろうという診断でした。
前もって約束をとり、彼と一緒に大阪本社ビルを訪ねました。担当者は、彼の資料を持って出てきました。私は医師などから受けたアドバイスの内容を伝え担当者に軽作業を要求しました。「大阪市内を軽自動車で連絡やメール類を届ける職種もあると聞いているが、なぜ本人の体にあった仕事をさせないのか、こんな体になったのも会社の責任だ」と追及しました。
相談者とは、悪く行けば裁判まで覚悟しなければならないと話しあっていたのですが、何日か過ぎて奥さんから、「軽作業職場への辞令が出され喜んでいる」と電話がありました。そうして彼は、定年まで勤めることができました。