4 市民の願いを受けて市政を動かす 議会論戦ダイジェスト
議会で取り上げた問題は多種多様で、短期間に結論が出たものもあれば、一〇年かかってもなお、継続的に取り上げなければならなかったものもあります。市民の願いに応えて、議会でどのような論戦を行い、市政を動かしてきたのか。そのいくつかを紹介します。
■□生活保護行政の改善へ
暮らしがたいへんな中、「最後の砦は生活保護」と言われています。
しかし、国の福祉切り捨て政策のもとで、向日市でも何度相談に行ってもなかなか保護が受けられないというのが実態です。生活保護の申請から辞退まで、
善良な市民を疑い、生活保護法に反する行政が行われています。私は、生活保護行政を根本的に改善するよう、何度も市長に要求してきました。
その内容は、次のようなものです。
①窓口に申請書を置きなさい。市民がいつでも誰でも持って行けるようにすべきだ。
②まず申請書を受理しなさい。相談に来られた方の申請書を受理しないとその後の事務が出来ないのに、「事前調査」と称して質問や下調べを行うことは違法である。
申請が出されて初めてその内容にもとづいて相談し、指導するべきだ。
③「現状の調査」と称して家に上がりこみ、テレビや冷蔵庫、他のものはいつどこで買ったのか、現金があるのではないかとか、
夫婦仲や兄弟仲がどうして悪くなったのかと、根掘り葉掘り聞くなどしている。このようなことは直ちにやめよ。
④受給されるようになった市民に対して、隠密に近所の人に様子を聞いたり、周辺をうろうろして私生活をのぞき見ることは違法である。
⑤生活保護打ち切りの申し出に、なぜ、独り立ちできるようになったのか、保険がおりたのか、どこから援助が受けられるようになったのかなどと、
問いただすことはやめよ。
相談者にはお茶を出しなさい
二〇〇二年(平成一四)七月二九日、向日市は、生活保護行政で、私が相談にのっていた方に対して大変な間違いをしました。
市の誤りを正すために二〇〇三年「第一回議会」で、私は次のように追及しています。
平成一四年七月一日、市民の方が生活保護申請を提出されましたが、不当な審査によって七月二九日、却下してしまったのであります。
その市民の方は「向日市は法律を守っていない」と、九月四日、(大橋市議とともに)京都府に異議申請を提出されたところ、
一一月一九日、向日市が却下したのは間違いであり、申請を受理すべきであると裁決が下されたのであります。
このような事例は、向日市始まって以来の出来事だが最大の原因は何だったのか、市長のお考えをお聞きしたい。
生活保護行政は、市民を助ける一番大切な窓口です。ところが、市民の権利を奪う窓口になってしまった。
申請後一ヵ月で受給されなければならなかったのに、五ヵ月間も、大変な苦痛を与えた。どのようにおわびをされたのか、
また、今後間違いを犯さないために、どう改めるのか、お聞きしたい。 以前から、申し出ているように相談体制の改善を求めるものです。
女性の相談員の配置が必要であります。話しやすいようせめてお茶ぐらい出しなさい。
何よりも行政側が市民の人権を尊重し、行き過ぎた調査、あるいは行き過ぎた質問をやめ、相談に来られた方が泣いて相談室から出て行かなければならない
ということのないように、憲法をはじめ、法を遵守し、市民の信頼を回復しなければならないが、どうか。
しかし、市は非を認めようとしません。
そこで再登壇し、京都府の指摘は、
①請求人の病状に係る嘱託医への協議は、処分の決定に際して行うべきものである。
②就労が可能であるのなら、具体的に就労指導を行うべきである。
③助言に従わなかったということだが、向日市は助言をしていない。
④ほかの法律やほかの施策に当てはめて生活保護を受けなくてもいいように生活しなさいと言いながら、
どういう法律や施策に当てはめて生活するのかの助言は何もしていない、
という四点を指摘しました。 向日市がこの方の申請却下を決定した手続きは欠点だらけで不当な処分であるということを明確にしたのです。
申請に来られる市民は、本当に死ぬか生きるかという状態に追い詰められています。市の 窓口でこういう違法な対応があってはならないのです。
この論戦はその後の生活保護行政の改善に大きな役割を果たしました。
重要なことは、①申請者は、 法律の趣旨を正しく理解して申請用紙にはいくつかのポイントを正確に記入すること。
②担当の職員にも、法を守らせる指導をさせること。
③何よりも生活できない市民を、行政が責任を持って生活保障をすることが、法を守ることなのであると認識させたことです。
この事例は、向日市はもちろん、京都府内の生活保護行政をただすために、「生活と健康を守る会」の生きた教材として活用されました。
このように法律が守られているかどうかを厳密に調査し、異義申請すれば、多くの方を救うことができると思います。