みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

北海道立女性プラザの図書選定基準と市民からの要望書

2006-11-06 19:59:48 | 「ジェンダー図書排除」事件
女性センターの図書の問題ついては、福井だけでなく、
北海道でも6月と9月の道議会・予算特別委員会で
自民党議員からジェンダー・フリーバッシングの質問があり、
道が選定基準を作る作業に入っていました。

9月議会では「10月末までに選定基準を作る」という答弁だったので、
福井との関連で議会の質問/答弁や、選定基準作成の資料など、
一連の公文書を緊急に情報公開請求していました。

公文書については連休中に、公開(一部公開)決定通知書が届いて、
書留速達で4900円を送ったので、もうすぐ請求文書が届くはずです。

その中には、全国の都道府県、政令市の女性センターの
図書選定基準、選定委員会の有無などなど詳細な調査票と
個別の調査資料など全面公開されます。さすが北海道。
と、感心したのも束の間、
「道立女性プラザ」の指定管理者である(財)北海道女性協会の
管理する女性プラザ運営協議会関係の文書は、
担当課が始まったばかりの指定管理者の情報公開を理解しておらず、
「不存在」処分を受けるというトラブル発生。仕方なしに
さかのぼって再請求しているところです。
福井県の図書選定基準と審議会開催との関係もあり、
関連文書をはやく欲しかったのですが、期日ぎりぎりになりました。

そうこうするうちに
「北海道立女性プラザ情報提供フロア図書等選定基準」が
できあがり、今日、任意公開(資料提供)で手元に届きました。
p1

P2


以下に、出来立てのほやほやの図書選定基準の全文を掲載します。
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           北海道立女性プラザ情報提供フロア図書等選定基準
                          平成18年11月2日
                             環境生活部
1 目的
 この基準は女性プラザ情報提供フロアの適切な運営を図るため、収集する図書、資料、情報等(以下「図書等」という。)の選定を行う際に必要な事項を定めることを目的とする。

 2 基本方針
(1) 北海道における女性の自立と社会参加を促進するとともに男女平等参画を推進するため、道民の学習・調査研究・活動等の支援に有用な図書等を収集する。
(2) 収集に当たっては、多くの道民の要望に応えられるよう、各分野にわたり基礎的、入門的なものから専門的なものまで、広範に収集する。
(3) 社会の動向や利用者のニーズを的確に捉えるとともに、蔵書構成や類書の有無等を総合的に考慮し、効率的に収集する。

3 収集の対象とする図書等
 収集の対象とする図書等は、女性の自立と社会参加、男女平等参画に関するテーマを取り扱うもので、図書、行政資料、大学・研究機関等資料、関係団体等情報資料、逐次刊行物、視聴覚資料等とする。
(1) 図書
   基礎・入門書および専門書
   参考図書(事典、辞典、法令集、年鑑、年表、便覧、目録、索引、統計等)
(2) 行政資料
   道、国、道内市町村、他都府県および女性・男女共同参画関係機関・施設の編集、
   発行する白書、事業報告、調査・研究報告、統計、年報・紀要、啓発冊子等
(3) 大学・研究機関等資料
   大学・研究機関、学会等の編集、発行する調査・研究報告、年報・紀要等
(4) 関係団体等情報資料
   国連の機関、女性団体等の編集、発行する調査報告、機関誌、会報、活動報告、啓発冊子等
(5) 逐次刊行物
   男女平等参画等に関する総合情報誌等関連雑誌、新聞等
(6) 視聴覚資料
ビデオテープ、DVD、CD、CD-POM、カセットテープ等
(7) その他
  ポスター、リーフレット等

4 選定指針
 図書等は、上記1,2,3を踏まえ、以下に掲げる選定指針に基づき選定する。
(1) 法律・制度の改正等男女平等参画に関する社会的動向に十分配慮し、最新で時宜を得た選定に努める。
(2) 対象となる分野は、社会科学(政治、法律、経済、財政、教育等)を中心に、自然科学、歴史、哲学、文学など広範な範囲にわたることに留意して、選定に努める。
(3) 北海道の女性や女性団体等の活動の状況等に関する図書等など北海道に関わりの深いものの選定に努める。
(4) 海外の女性問題に関する図書等についても選定に努める。
(5) 多様な対立する意見のある問題を取り扱う図書等については、それぞれの観点に立つ図書等を幅広く選定することとし、著者の思想的・宗教的・党派的立場を理由に、その著作を排除しない。
(6) レファレンスサービス等を通じ利用者の要望の把握に努め、図書等の選定に反映させる。
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この北海道の図書選定基準の策定と平行して、
道議会でのバックラッシュ発言に危機感を持った人たちが、
よりよい図書選定基準を作って欲しいとの思いで、
10月31日に、北海道知事に対して要望書を提出しました。
わたしたちも「福井『ジェンダー図書排除』究明原告団および有志」として、
北海道の人たちと情報交換しながら両方の要望書に加わりました。

北海道の選定基準は、福井県よりはよいものだと思いますが、
選定指針(基本的態度)については、
「個人、または組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、
紛糾を恐れて自己規制したりはしない。
また、収集によって起こる紛糾をおそれずに収集する」
「収集資料が、どのような思想や主張を持っていようとも、
それを北海道または女性プラザ職員が支持することを意味しない」
など、もう少し踏み込んだ文言を盛り込んでほしかったと思います。
市民の皆さんからの要望書も何とか間に合ったし、
わたしたちも情報公開請求をしたし、その時わたしも、
「バックラッシュに負けずによりよい選定基準をつくってほしい」と話したし、
それらがもろもろがプレッシャーになって、選定基準の内容に
少しは反映されているのかもしれません。

北の空から~自分らしく生きられる街へ
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                       平成18年10月31日(火)
北海道知事 高橋 はるみ 殿
                 阿部 愛奈美 北海道苫小牧市
                 所属団体:住民投票の会・とまこまい
                 特定非営利活動法人ヴァーブ
                 Active Women's Network
                 別紙賛同者 14名、賛同 5団体

        北海道立女性プラザの図書選定基準についての要望書

 平素は女性問題、男女共同参画推進についてご理解ご協力感謝申し上げます。
 さて、平成18年6月と9月の北海道議会予算特別委員会第一分科会で小野寺秀委員の「男女平等参画について」の質問「ジェンダーフリーの用語使用や図書の選定と貸し出し」などと道側担当者の答弁を元に、北海道では北海道立女性プラザの図書選定基準の作成を行うことについて最近知り、現在北海道立女性プラザの図書選定基準の作成を行っているところと拝察いたします。
 各地域でも取り組みが進んでいる、国の重要課題として「男女共同参画政策」を元に北海道でも「男女平等参画推進条例」を制定され、北海道条例では「男女共同参画社会基本法が男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けていることを踏まえながら、都市と広大な農山漁村地域が混在する北海道の地域性に配慮しつつ、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女平等参画の推進を図っていくことが必要である」として謳われています。また、「男女平等参画の推進に関し、基本理念を定め、並びに道、道民及び事業者の責務を明らかにするとともに、道の基本的施策について必要な事項を定めることにより、男女平等参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に推進し、もって男女平等参画社会を実現すること」を目的とされています。
 国の男女共同参画推進後、本年、福井県生活学習館「ユー・アイふくい」での女性学関連書籍、女性関連書籍、セクシャルマイノリティ(性同一性障害・同性愛・両性愛など)関連書籍、性教育関連書籍の撤去問題等もあり、我が街北海道でも小野寺秀議員の質問にもあったように、福井県と同様に北海道でも書籍排除問題が危惧されるところであります。私達はこれまでの北海道議会や各地のこの様な動きに大きな危惧を抱いております。男女共同参画政策では先進地の北海道ですから、この様なことで全国的に禍根を残さないためにも、北海道又は委託機関に於いて行われる図書内容の精査は、日本国憲法第3章第21条2項前段において明示的に、そして絶対的に禁止されている「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」で国民に保証された「表現の自由、知る自由と検閲の禁止」を守り、北海道が新しく制定される図書選定基準に於いては、日本国憲法に基づき、内外からの圧力に影響を受けないような条文とし、道立女性プラザの図書選定基準の作成にあたっては「図書館の自由に関する宣言」http://www.jla.or.jp/ziyuu.htm 」を踏まえ、一層の注意を払って先進の図書館に準じた「基本姿勢」を明示したよりよいものを作ってくださるように要望いたします。
 わたしたちは、「北海道民が誇れる北海道」とあわせ「開かれた北海道行政」を目指すためにも、下記の点について、北海道知事に対し強く要望いたします。
                 記
1.北海道の図書選定基準の選定あたっては、条文に、憲法に定められた「検閲」にあたるような条項は定めず、憲法、基本法、条例に違反する選定基準を作らないなど、「選定当事者に当たっての基本的態度」は内外からの圧力に影響を受けないように条文化することを要望いたします。
2.恣意的な判断や自粛をせず、図書選定当事者に於いては、条例の趣旨に沿った図書を収集することを申し入れいたします。
3.条文私案
(1) 北海道民の要求を的確に反映できるように努める。
(2) すべての分野において、時代に則した最新の情報を提供できるように留意する。
(2) 多様な、対立する意見のある事柄については、それぞれの観点に立つ資料を収集する。
(3) あらゆる思想、信条、学説、宗派にとらわれず、公平に扱う。
(4) 個人、または組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、糾を恐れて自己規制したりはしない。また、収集によって起こる紛糾をおそれずに収集する。
(5) 図書館員の個人的な関心や好みによって選択をしない。
 以上によって収集した資料が、どのような思想や主張を持っていても、それを図書館及び図書館員が支持しているものではない。
4.図書選定基準については、ホームページ及び広報誌、新聞紙上等マスコミを用いて広く道民に知らせることを申し入れいたします。
                                 以上

------------------------------------------------------------------------                  平成18年10月31日
北海道知事
高橋はるみ 様                 
                  北海道登別市 合田美津子 
                  外6団体・2名(別紙)

     「女性プラザ図書収集・選定基準」についての要望書

 日ごろの女性施策推進についてのご理解、ご協力に感謝を申し上げます。
 さて、今般の道議会の自民党小野寺秀議員による6月と9月の定例議会・予算特別委員会第1分科会での「ジェンダーフリーの用語使用・図書の選定、貸し出し」等、一連の女性施策についての質問は、福井市「生活学習館・ユーアイふくい」の「女性関連書籍の書架撤去問題」と共に、国の最重要課題とした男女共同参画政策を地域で推進している私たち道民としては「表現の自由・知る自由と検閲の禁止」として看過できない重要問題だと考えます。
 私達はこれまで事の推移に不安と危惧を持っておりましたが、議会答弁で10月末までに「選定基準」を作成することをつい最近知りました。そこで、策定に当たりましては、女性施策では「平等条例」などで先進地と評価されている北海道が、全国的に禍根を残さないような「モデル」となることに十分に配慮をした内容の「選定基準」を作成戴きますよう要望いたします。
                  記
(1)目的
プラザ事業運営を円滑に行なうため、図書・雑誌・新聞・地域資料・行政資料・記録・視聴覚資料・その他資料収集について必要な事項を定めることを目的とする
(2)基本方針
ア.資料の収集に当たっては、「図書館の自由に関する宣言」に基くものとする
イ.多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する
ウ.著書の思想的、宗教的・党派的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない
エ.職員の個人的な関心や好みによって選択をしない
オ.個人・組織・団体などからの圧力や干渉によって、収集の自由を放棄したり、紛糾を恐れて自己規制したりしない、
カ.収集資料が、どのような思想や主張を持っていようとも、それを北海道または女性プラザ職員が支持することを意味しない。
キ.寄贈や他機関との収集も含め収集方針に基く
(3)選定基準・保存・廃棄基準
「図書館の自由に関する宣言」に基く保存・除籍の基本方針を定める
(4)資料管理委員会
資料の収集・選定・管理・保存・除籍の管理に努める
構成メンバーは「女性プラザ運営協議会」のみによらない専門家(司書・女性学)で行なう
(5)図書収集・選定基準については、ホームページや広報誌、新聞等のマスコミで広く道民に周知を図る                                                         以上
[別紙] (省略)
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全国の女性センターも潜在的に同じ問題を抱えていると思うので、
447枚の文書とフロッピー(議会の電磁的データ)が届いたら、
ちゃんと精査してみようと思っています。


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