みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「WANを応援する名古屋集会を終えて」集会実行委員長・ごとう尚子

2009-07-25 12:03:19 | ジェンダー/上野千鶴子
7月19日に名古屋市で開催した「WAN」を応援する集会は、
愛知、岐阜、三重の「P-WAN」を準備する女性たちを中心に、
「む・しネット」との共催で、実行委員会方式で企画した。

当日スタッフは、午前中から準備に集まり、集会終了後にかけつけてくださった、
ワーキングウーマンのかたたちと、交流会を持った。

とても有意義な一日だったが、その報告を、
集会実行委員長のごとう尚子さんがまとめられた。

WAN名古屋集会の意義と、おんなたちの熱気を、感じ取っていただければうれしい。

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  WANを応援する名古屋集会を終えて  
               集会実行委員長 ごとう尚子


 7月19日、名古屋市同朋学園(成徳館)において、WAN名古屋集会を開催した。参加者は約200人。愛知、岐阜、三重を中心に関東、関西から、女性運動に関わる多くの仲間が集まった。

 最初に、私が実行委員長として挨拶し、上野千鶴子さんの基調講演「女から女たちへ~ウェブ時代の新しいシスターフッドを求めて」に入った。
 
 上野さんは、フェミニズムの歩んで来た道のりを力強い一人称で話した。
 とりわけ、「女性がみずからを『おんな』と呼んだ。あなたと私は同じ女という生き難い経験をしているから、つながれるのだ」という話には、強く共感した。
また、「ネオリベ(新自由主義)は優勝劣敗の政策を推進したため、既得権を持たない人の間にもクサビを打ち、分断した。ここで、落とされた男たちの、女への憎しみを求心力として生まれた連帯感が、バックラッシュだ」という説明は分かりやすく、腑に落ちるものであった。
 石原都政、橋下府政での出来事の数々や、福井県や堺市での図書排除事件について語られたが、これらについては、私も強い危機感をもち、一緒に運動してきた。
 上野さんは、女性をつなぐウェブサイト「WAN」を立ち上げ、積極的にフェミニズムの情報を発信していこう、女たちが安心して議論ができる場をつくっていこう、女の経験を言語化して共有財産として受け継ごう、と熱く語った。
 さらに「WANは、分野を超え、地域を超え、世代も超えてつながりあいたい。政治的影響力も持ちたい。めざせ!100万/日アクセス!!」と締めくくった。

 後半はパネルディスカッションに移った。
 最初にWAN理事長の牟田和恵さんがWANサイトの説明をした上で、「女性の活力をつないでいきたい。フェミニズムのありのままの姿を伝えていきたい」とWANの趣旨を語った。理事の岡野八代さんは、例を挙げて、WANでつながることの意味を語った。
 次に名古屋集会の実行委員で、「市民と政治をつなぐサイト(仮称)」責任者の寺町みどりさんは、「これまで情報発信をしてきたが限界を感じている。WANを通じて、リアルな現場の個人と個人をつないでいきたい。ウェブは、世代、分野、地域を超え、さらに時間と空間を超えて三次元の広がりがある。私は、ユーザーが相互に情報を交換して、新しい運動が生まれ、とりあえず、そこに行けばなんとかなる、という場をつくりたい」とウェブでつながることの可能性を訴えた。

 名古屋集会では、現場で活動、運動する人同士が出会うこと、参加者に様々な活動の実態を知ってほしいと考えたので、会場からの発言をだいじにした。

 女性の労働問題に長年、関わってきた元参議院議員・大脇雅子弁護士からは「信頼性のある誠実な情報や、仲間を見つけることは難しいが、重要である。WANで、どこに行ったら、働く人の味方になってくれる弁護士がいるかが、わかるようになってほしい」。  
 車椅子の町議会議員・小寺きし子さんは、「障害者差別禁止条例をつくりたい。障害者差別を受けない、当たり前に生きていこうという社会をつりたい。そのためには、当事者から、知らなかった人、知ろうとしなかった人に伝えることがだいじだ」。
 DV女性の支援をしているSさんとKさんからはそれぞれ、「ネットにアクセスできない、日本語が読み書きできないDV被害の外国人女性の支援をしている。今後は多言語、ネットラジオなどの方法を駆使して、つながりあえたらと思う。支援する人、される人、助ける人、助けられる人という関係を変えていきたい」、「必要な人に情報が届かない歯がゆさを感じている。よい情報に出会えない。DVは支援がないと抜けられないが、手繰り寄せる糸もない状態。だから、ここにくればなんとかなる、支援を見つけることができるというWANにして欲しい」と発言があった。

 こうした会場からの発言をうけ、みどりさんからは、「私たちは、あとから来る人に経験とノウハウを手渡したい。10年前にやってきたことがいまに生きている。それがウェブ上では瞬時に可能になる。さまざまなマイノリティがウェブ上でつながり合いたい。わたしたちの仲間になってほしい」と力強い呼びかけがあった。

 最後に上野さんがウェブでつながることの意味を分かりやすく語った。
 「DV被害者も障害者も孤立している。フェミニストは浮いている。しかし10万人に1人の難病もネットの上では同じ病気の人をみつけて、つながりあえる。」と。
 そして、最新版の岩波新書『世代間連帯』(上野千鶴子・辻本清美)の中からの引用で締めくくった。
 「そう、連帯って楽しいことなのよ」

 集会の中で何度も語られた「女」「つながる」「シスターフッド」「連帯」。
心に暖かくやわらかいものが生まれ、同時に、力強く湧き立つ勇気を感じることばだ。

 私たちはこの集会を、「参加する人たちが、女性に関わる様々な問題や課題に気づき、互いの活動を知り、これから連携して活動しあうことができる、そのきっかけや深まりの場としたい」と願っていた。参加者は、WANサイトを、「うちに帰って、ちゃっと(すぐに)見よ!」と思ってくれたに違いない。

 おんなたちが、「いま・ここ」にいること、共に語り合あえたことがうれしかった。



きょうは連れ合いのバースディ。
雨の中、これから、おいしい山形板蕎麦を食べに行きます。

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