名古屋市議会と河村市長の攻防が、激しくなってきている。
議会側は、2月25日の本会議で議員提出の、市の総合計画を新たに議決対象とする
「市会の議決すべき事件等に関する条例」(総合計画議決権条例)案を全会一致で可決。
河村市長は、議会改革関連の3条例案を追加提出する構え。
河村氏の公約である、市地域委員会も投票で選出され、
市長の支援団体「河村サポーターズ」は、住民投票条例案を直接請求する予定。
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河村市長の改革は着々とすすんでいるように見える。
とはいえ、なにがどうなっているのか、市民には分かりにくい。
今朝の朝日新聞には、「河村サポーターズ」代表の柳川善郎さんの辞任の記事も社会面トップに載った。
ついでに言えば、
わたしは河村氏の改革に、もろ手をあげて賛成、というわけではないが、
密室政治ではなく市民参加で「市民自治」「市民への分権」をすすめる基本姿勢や、
制度やルールを使って議会を改革しようとしている点は評価している。
ただ、改革の中身がどこへ行きつくのか、
改革を急ぐあまり、強引な手法を使うことも目に付く。
ジェンダーやマイノリティの視点を外れるのではないか、という危惧もある。
河村氏は、「庶民の味方」「庶民革命」というけれど、市長はまぎれもなく、市の最高権力者である。
その権力を、だれのために、どこで、どのように使うのか、
「民主主義は手間とヒマがかかる」ということも肝に銘じてほしい。
そんな中、友人のジャーナリストが「河村流改革」についての記事を書かれた。
地元発信の細切れの新聞記事よりも、視点がクリアで分かりやすく、かつおもしろい。
ダイヤモンドオンラインにアップされているので、全文を紹介します。
河村流改革のゆくえに、わたしも目が離せない。
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議会側は、2月25日の本会議で議員提出の、市の総合計画を新たに議決対象とする
「市会の議決すべき事件等に関する条例」(総合計画議決権条例)案を全会一致で可決。
河村市長は、議会改革関連の3条例案を追加提出する構え。
河村氏の公約である、市地域委員会も投票で選出され、
市長の支援団体「河村サポーターズ」は、住民投票条例案を直接請求する予定。
名古屋、市議半減の条例案提出へ 河村市長、可決は困難 2010/03/03 16:06 【共同通信】 名古屋市の河村たかし市長は3日、市議の定数と報酬を半減する条例案を、9日に市議会に提出すると議会運営委員会に通告した。持論の議会改革を進めるのが狙いで、政務調査費を廃止する条例案も提出する。議会側は市長の一方的な行動に反発しており、いずれも可決は困難な見通し。 条例案は、議員定数を75人から38人に減らし、市議の報酬を現在の半分の年額約816万円に引き下げるなどの内容。河村市長は昨年11月にも「半減をめど」に削減する条例案を提出しているが、今回は明確な数字を盛り込んだ。 議会側は、独自の議会改革案をまとめて提出する予定で、超党派の研究会で検討を進めている。 河村市長は3日午後、市役所内で記者団に「議員の在り方について根源的な議論をする貴重な議会になる」と話した。 2010/03/03 16:06 【共同通信】 |
名古屋市議会:河村市長支援団体、住民投票条例案提出の自民市議団と協議 /愛知 毎日新聞 2010年3月3日 ◇「議会対応見守る」 河村たかし名古屋市長の支援団体「河村サポーターズ」は2日、定例市議会に住民投票条例案を提出する自民党市議員団と協議した。サポーターズは当初、3月上旬から住民投票条例制定に向けた署名活動を始めるとしていたが今後の議会の対応を見守るとした。 自民案は(1)有権者の10分の1の署名が集まれば投票を直接請求できる(2)議会の3分の2以上の反対がない限り実施する--が柱。サポーターズは(2)について「10分の1の高いハードルがあるのに議会の制約は不必要」と削除を求めた。 これに対し、自民の桜井治幸団長は「市長発議分については乱発される可能性があり外せないが、住民発議については検討する余地がある」と述べた。 協議後、サポーターズの後房雄名古屋大教授は「自民案が(我々の考える内容で)成立すれば同じ条例案を出す必要はなくなる。しばらく議会側の動きを見守りたい」と述べた。【岡崎大輔】 ----------------------------------------------------------- 河村・名古屋市長:投票結果に満足げ--市地域委員会投票で /愛知 毎日新聞 2010年3月2日 名古屋市内8地域でモデル実施される市地域委員会の委員に投票で72人が選ばれたことについて、河村たかし市長は1日の定例記者会見で「(地域代表でつくる)学区連絡協議会の人ばかりになると心配したが、学生2人も入り、神様の市へのプレゼントではないかと思う」と述べ、投票結果を満足げに振り返った。同日、当選者に委嘱状を交付した。3月中旬に第1回の委員会が開かれる。 有権者は18歳以上の市民だが、投票を事前申請した人(全体の10・6%)に限定したため有権者に対する投票率は8・7%にとどまった。市長は「登録制にした方がいろんな人が出られる。全員が投票できると政党の影響が出てしまう」と登録制の意義を強調した。 一方、市議会側が提案し可決した議決権条例案に再議を求めることについて河村市長は「議会は公開の場で議論するもの。議会の権限を強化する巨大な法案でもあり、よく考えないと癒着につながる。内容をもう一度考えてほしい」と語り、慎重審議を求めることが目的と説明した。条例案は再可決に必要な3分の2以上の賛成が得られることは確実だが市長は「議会の良心に期待する」と述べた。【丸山進】 毎日新聞 2010年3月2日 |
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河村市長の改革は着々とすすんでいるように見える。
とはいえ、なにがどうなっているのか、市民には分かりにくい。
今朝の朝日新聞には、「河村サポーターズ」代表の柳川善郎さんの辞任の記事も社会面トップに載った。
ついでに言えば、
わたしは河村氏の改革に、もろ手をあげて賛成、というわけではないが、
密室政治ではなく市民参加で「市民自治」「市民への分権」をすすめる基本姿勢や、
制度やルールを使って議会を改革しようとしている点は評価している。
ただ、改革の中身がどこへ行きつくのか、
改革を急ぐあまり、強引な手法を使うことも目に付く。
ジェンダーやマイノリティの視点を外れるのではないか、という危惧もある。
河村氏は、「庶民の味方」「庶民革命」というけれど、市長はまぎれもなく、市の最高権力者である。
その権力を、だれのために、どこで、どのように使うのか、
「民主主義は手間とヒマがかかる」ということも肝に銘じてほしい。
そんな中、友人のジャーナリストが「河村流改革」についての記事を書かれた。
地元発信の細切れの新聞記事よりも、視点がクリアで分かりやすく、かつおもしろい。
ダイヤモンドオンラインにアップされているので、全文を紹介します。
楽しみにしてちょうよ! 河村“どえりゃー”庶民革命の申し子 無報酬議員が職業議員の特権を奪う日 「市がやっている仕事や予算をこれから地域にどんどん切り分けていきます。楽しみにしてちょうよ」 河村たかし名古屋市長がマイクを握ると、会場内の雰囲気は一変した。緊張ぶりを隠せずにいた各候補の表情も緩み、明るい笑顔が広がっていった。2月21日の午後、中川区豊治コミュ二ティセンターで開かれた地域委員会の立候補者による公開討論会でのことだ。一般席で各候補のアピールに耳を傾けていた河村市長は、会場に詰めかけた住民全員に向かってこう言葉を続けた。 「皆さんが決めることに一番、価値があります。減税分が地域の公益活動に(寄付金として)集まるように仕組みを整備していきます」 市民税10%減税で懐に戻ってくるカネを公共のために寄付してほしいと訴えたのだ。 名古屋全域が今、自治の熱気に包まれつつある。河村市長による「庶民革命」が着々と進行し、りょう原の炎となって広がっている。何やらとてつもない変化が生まれそうだ。地域委員会の発足と4月からの市民税10%減税の実現。そして、議会改革に向けた大胆な動きである。河村市長の三大公約で、ワンセットとなったものだ。 地域委員会とは、地域の課題を解決するために投票で選ばれた委員を中心に市の予算の一部の使い道を決める、住民自治の新しい仕組みである。昨年末の市議会で8つのモデル地域での先行実施が認められた。地域委員は公募と推薦の2種類からなり、いずれも投票で選ばれる(公募は選挙、推薦は信任投票)。 任期は2年で2期まで。報酬はなく、交通費などの実費弁償として月額2000円程度が支給されるだけ。地域のボランティア議員である。8つのモデル地域の委員定数(7人から11人)は人口比によって決められ、公募委員の総数は40人。推薦委員の総数は32人となっている。今回、公募委員に64人が立候補し、倍率は1・6倍。 公募・推薦委員の立候補者による選挙活動が2月22日まで行われ、8地域で公開討論会が開催された。選挙は、事前登録した18歳以上の地域住民による郵便投票方式で、締め切りは26日。翌27日に開票され、3月中に地域委員会は正式スタートする。昨年4月の市長選の公約がモデル地域限定とはいえ、早くも実現する運びとなっているのである。 次のページ 河村市長vs市議会!刻々と迫る全面対決の局面 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 河村市長vs市議会!刻々と迫る全面対決の局面 楽しみにしてちょうよ! 河村“どえりゃー”庶民革命の申し子 無報酬議員が職業議員の特権を奪う日 もっとも、8地域の事前登録率は平均で10.6%。全く新しい取り組みながら議会の反対で正式決定が遅れ、周知の期間が明らかに不足したからだ。 名古屋市はもともと、都市部の中では住民活動の盛んな地域といえる。全国の自治体に存在する町内会や自治会に加え、昭和40年代以降、小学校区(236)ごとに区政協力委員や民生委員、消防団などの各種地域団体からなる「学区連絡協議会」(学区連)が組織され、住民自治が進められていた。 しかし、時代の変化とともに住民自治を取り巻く環境も大きく変わった。町内会への未加入世帯の増加や住民二―ズの多様化、その一方で、NPOの活動など新たな動きも高まっている。地域委員会は、地域のこうした多様な力を結集し、地域課題の解決に取り組もうというものだ。市のまちづくり予算(初年度の今回は人口規模により500万円、1000万円、1500万円の三種)を地域に移譲する「地域内分権」の実行である。これまで行政にお願いする立場にすぎなかった住民が、決定権を持つことになる。つまり、住民への分権だ。 議会の強い抵抗にあいながらも地域委員会創設を譲らなかった河村市長が特に強く主張したのが、公選による委員の選出だ。理由は二点あった。ひとつは、委員選出の公平・公正性を担保するためだ。血税の使い道を決める役割を担うので、公明正大な公選にこだわったのだ。もうひとつは、委員を広く公募することで住民の参加意欲を盛り上げ、地域活動に参加する人の幅を広げるためだ。新しい担い手の登場を期待してのことだ。2期までとしたのも、委員の固定化を避けるためと推測される。その一方で推薦委員は学区連からの推薦とした。 実際、公募委員選挙に学生やNPOメンバーや会社員など、学区連役員以外の新しい人たちが名乗りを上げた。 初年度は8つのモデル地域での限定実施となったが、河村市長は「民主主義をつくる巨大な一歩」と、胸を張る。そして、試行錯誤を重ねて地域委員会を各地域に広げていく方針を明らかにしている。 無報酬の地域議員が多数誕生し、地域のために奮闘する姿が定着すればするほど、問われるのは75人いる市議会議員の存在だ。報酬が年間1633万円、さらに年間600万円の政務調査費付き。そのうえ費用弁償という名の日当が、1万円。議会の在り方がこれまで通りでよいと思う市民はいなくなるのではないか。河村市長は定数や報酬の半減(817万円)、会派拘束の見直し、政務調査費の見直しといった議会改革案を2月議会に追加提案するはずだ。 これに戦々恐々なのが、議員の面々だ。特権に浸っていた彼らも大慌てで改革案を模索しているが、議員の固定化や貴族化に強く異議を申し立てている河村市長やその支持者たちとの隔たりは大きく、全面対決の局面が刻々と迫っている。河村市長を支援する「河村サポーターズ」(代表は柳川喜郎・元御嵩町長)はすでに市議候補を公募し、論文などの書類を提出した58人への面接を予定している。いずれも政治経験のない普通の市民たちで、そのうち3分の1が20~30才代の若い人たちだ。 また、「河村サポーターズ」は議会改革の実行を迫るため、3月上旬にも住民投票条例制定の直接請求の署名活動をスタートさせる構えを見せている。議会改革の攻防は今後、議場内に留まらず、市全域へと広がっていくことは必至である。名古屋の「庶民革命」の行方にますます目が離せない。 (「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相川俊英) |
河村流改革のゆくえに、わたしも目が離せない。
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