トップの竹原信一市長が独善的に暴走を続け、
いまや、全国的に注目されている鹿児島県阿久根市。
NHKの朝のニュースでも二日続きで、阿久根市のことを取り上げていました。
阿久根市政の問題は、市長のあきれた言動だけでなく、空転する議会や、
市長を再選した市民がこの問題にどのように対応するのか、
「自治とはなにか」と、わたしたちに大きな問いを投げかけています。
この問題について、現場に取材に行った友人のジャーナリストがタイムリーに
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『週刊ダイヤモンド』特別レポート 市民による市長リコールもまだできない 阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある? 週刊ダイヤモンド編集部 【第79回】 2010年03月19日 会場内は異様な雰囲気だった。イスに座りきれないほど人が集まっていた。その数は約800人。人いきれで汗ばむほどだ。誰もが険しい表情で、会場内は憎しみや怒り、不信といった負の感情で覆われていた。 3月14日の日曜日。鹿児島県阿久根市の市民会館でのことだ。午後6時から市長主催の市民懇談会が始まった。舞台ではなく、フロアの前方に1人の男性が立ち、マイクを握って語り出した。阿久根市の竹原信一市長だ。 「皆さんに(市役所と市議会の)現実を知っていただきたい。今も(市長と市議会の関係は)不信任の状態のままで、市政運営どころではないんです。これを変えなければいけない。それでいろいろやっています」 竹原市長が話し始めると、会場からヤジや怒号、罵声が浴びせられた。そうしたヤジを攻撃する怒号や罵声、金切り声も飛び交い、会場内のそこかしこで陰湿な火花が散った。 市政改革を掲げて08年8月に初当選した竹原市長は、その強引な市政運営が猛反発を呼び、市議会から二度不信任を突きつけられて失職。崖っぷちに立たされたものの昨年5月、役人OBとの一騎打ちを大接戦で制して再選を果たした。その後、市議会と市職員組合への対決姿勢を一層強め、来年度予算案を審議する3月市議会への出席を拒否するなど、想定外の行動をとっている。また、ブログでの差別的な記述で批判を浴びるなど、その奇矯な言動で全国的に知られる首長となった。阿久根市政は今、混迷の極みとなっている。 市民懇談会は市長自らが市民に市政の現状を直接説明し、市民からの質問に答えるものだ。市長就任以来、市内各地で開催しており、この日が18回目。だが、この日の懇談会はこれまでとは異質なものとなった。 竹原市長が説明に力を入れたのは、市職員の給与についてだ。それによると、約2万4000人の阿久根市民の中で市民税の納税義務者は9980人。このうち、課税所得が600万円以上は749人。納税義務者のわずか7.5%にすぎない。つまり、富裕層という訳だ。この749人の富裕層のうち、市職員が156人で、他の公務員が165人いるという。市在住の富裕層の4割が公務員ということになる。竹原市長は「官民格差があることをご承知おき下さい」と、市民に訴えた。 ----------------------------------------------------------- こうした説明を市長が行った後、何も置かれていなかった一段高い舞台にテーブルとイスが運び込まれた。そして、市長に促されて8人が壇上に上がり、着席した。席の前にそれぞれの部署と氏名を書いた紙が張られていた。市長からの業務命令で懇談会に出席した市の職員である。市職員労働組合の三役や降格人事を不服として争っている職員、それに反市長派議員の家族である。壇上から見下ろすかたちで、8人は市民と対峙した。市長から「職員研修の一環」として参加を命じられてのことだ。 市民懇談会は舞台の下にいた市長が司会を務め、進められた。発言を求める市民が次々に手や声をあげ、市長に指名された人のみが思いのたけを語った。 「マスコミの方に質問したい。竹原市政の前がどういう市政だったか、知っているのか?また元に戻ったらどうなるか。改革をとめたらダメだ」 「あなたを市長にしたのは、改革してくれることを願ってだ。マスコミを怖がることはない。市議会に出てこないのは、おかしい。あなたの後ろには市民がついているのだから、思い切って改革しないといけない」 「これまでの市役所職員は市民の味方ではなかった。職員は特権階級になっている」 市長が発言者を指名していたためか、こんな意見が相次いだ。なかには、壇上の8人に「職員は市民との(給与)格差をどう思っているのか。そして、竹原改革に協力できるのかどうか」と、回答を迫る市民もいた。 まるで見せしめのように壇上に並ばされた8人は、ストレートな質問に対し、各人各様の回答をした。「ノーコメント」の人や「条例に基づいた給料をいただいている」と役人らしい回答をする人。「給料に見合った仕事をできるように頑張る」と、低姿勢な人もいた。しかし、二つ目の質問に対しては、8人とも何も語らなかった。こうした態度に業を煮やしたのか、竹原市長がマイクを握り「竹原改革に協力するのか答えがない」と、再度回答を迫った。マイクを渡された8人は「法に違反していない命令には従います」「法令を順守しながら、市民のために一所懸命頑張ります」などと、苦しそうに答えたのである。 ----------------------------------------------------------- 職員の答えを聞いた竹原市長は会場に詰めかけた市民にこう語った。「民間ならば、上司の意を体して成果を上げようと努力する。その気持ちが今の職員の答えから感じられない。厳しいなと思う。これを変えるのが私の仕事です。私の言いなりになれというのではなく、市民のために働く、市民に役立つ役所に変えます!」 市民懇談会は2時間にも及んだが、竹原改革の中身の議論は皆無に近かった。改革という言葉だけが踊っているように感じられた。市議会を批判し、市職員を叩き、そのうえメディア全体を敵視するような市長の発言が際だち、それに賛同する市長派と猛反発する反市長派の泥試合にしか見えなかった。 それどころか、阿久根市では竹原市長の市議会への出席拒否により、市民生活に直結する来年度予算案の審議が空転している。予算の編成権を握る執行部が審議に応じないなど、本来、あり得ない話である。議会制民主主義を破壊する行為であり、地方自治を否定する行為であるからだ。 こうした阿久根市政の現状に危機感を抱く市民も少なくない。市民懇談会でこんな質疑応答が繰り広げられた。 「(政策)議論を率先して行うのが、市長の務めではないのですか。なぜ、議会に出席して質疑に応じないのですか」 質問したのは、3月9日に市長に議会出席を嘆願した市民団体「阿久根の将来を考える会」の川原慎一会長だ。これに対し、竹原市長は「歪曲報道を続けるマスコミへのお仕置きと、議会との駆け引きです」と、ボイコットの理由を説明した。納得のいかない川原さんは再度、「駆け引きのない政治を行って下さい。公平性と透明性の高い、わかりやすい政治を。「市民に見える市政にしたい」とおっしゃられていたではないですか」と、市長に直言した。しかし、市長は「必ず、阿久根を良くします。結果を出します。やり方はおまかせ下さい」と、突っぱねた。そして、「議会とは不信任のままの関係です。これをどう変えていくか。闘いの途中です。手の内を今、明かす訳にはいかない」と、自信満々に語るのだった。 それにしても、なぜ、阿久根市政がこれほどの混迷を続けることになったのか?背景にあるのは、地域の著しい疲弊である。 ----------------------------------------------------------------- 東シナ海に面した阿久根市は、自然に恵まれた温暖の地。ボンタンやデコポン、イワシの丸干しなど、様々な特産品を誇る農業と漁業のまちだ。交通の要衝としても栄えたが、地域を揺るがす大問題に直面した。九州新幹線のルートから外れ、しかも、市内を走っていた鹿児島本線がJR九州から経営分離され、第三セクターとなったのだ。博多から熊本、鹿児島を結ぶ特急が停車した阿久根駅がローカル線の駅となった。国策による災厄である。 交通の利便性が大きく低下し、阿久根市は半ば陸の孤島と化してしまった。そうした環境の激変が影響してか、近隣市町村との合併も不調に終わった。単独路線を選択せざるを得ず、当時の市長は行財政改革に奮闘した。借金を減らし基金を増やし、財政運営にメドをつけた上で、公約通りに3期12年で引退した。新しい市長は市民が選ぶもので、引退する人間が後継者を指名すべきではないとの信念の持ち主だった。 新市長を選ぶ選挙は、三つ巴の戦いとなった。市幹部と市議会議長、それに、市議の竹原氏である。地域経済が疲弊し、閉塞感が強まる中での選挙となった。恵まれた生活を送る公務員を徹底批判した竹原氏が大方の予想に反して、当選。勇ましい市政改革の言葉にも市民の期待が集まったようだ。市長就任後も市職員の厚遇実態を明らかにし、公務員批判を緩めなかった。こうした姿勢を市民の一部は溜飲がさがる思いでみていたようだ。だが、不信任による失職と再選後も混乱が続いた。支持者の中からも市政運営の強引さに疑問の声があがり、市長のもとから離れる人が増えていった。 竹原市長は3月19日の市議会も出席をボイコットした。次の本会議は26日に予定されているが、このままボイコットし続けたら、一体、どうなるのか。審議できないまま執行部提案の予算案をそのまま可決したら、議会の存在そのものが問われてしまう。かといって、議会側に予算の提案権はなく、全てを否決することもできない。市民生活に多大な影響を及ぼすのが明白だからだ。このため、議会側は17日の特別委員会で予算案を修正し、賛成多数で可決している。26日の本会議でも市長不在のまま、実質審議なしでの予算成立となるのかどうか。いずれにしても、法律が想定していない事態であることは明らかだ。竹原氏が市長に再選されたのは、昨年5月。市民による市長リコールには制度上、就任1年後という制限がある。つまり、市民も身動きができないのである。 阿久根市で民主主義を揺るがす未曾有の事態が進行している。だが、それも、民主主義(主権者)自らが生みだしたものといえる。問われるのは、首長ではなく、主権者である。 (「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 相川俊英) |
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阿久根市政の関連のニュースです。
法律・議会・組合…打つ手なし? 空転の阿久根市議会 2010年3月18日5時45分 朝日新聞 マスコミが傍聴席にいることを理由に「市議会ボイコット」を続ける鹿児島県阿久根市の竹原信一市長。議会出席拒否だけでなく、特定の課長に答弁拒否を強いて、新年度予算案を審議する議会を事実上空転させている。常識外の命令を職員は拒めないものなのか。 11日から始まった阿久根市議会予算特別委員会。総務課長ら8人が「市長から質疑などに応じないよう言われた」として予算案の説明や質疑を拒み、退席した。 公務員の義務として地方公務員法第32条は、職員は法令、条例、地方公共団体の規則などに従い「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と定めている。 今回の課長らへの竹原市長の指示について、総務省の担当者は「首長の命令であっても、例えば殺人など明らかな法律違反行為の場合は従う必要はない」と話す。ただし、「答弁拒否」の指示を制する法令はないとし、「条文がないので何とも言いようがない」とも。 鹿児島県議会事務局の担当者は「議会は市長が提案した議案を議決してもらうために開かれたもの。そのための説明は当然あってしかるべきだ」と指摘する。 議会は対抗できないのか。地方自治法第121条では「首長などは、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められた時は議場に出席しなければならない」と定めている。だが、「課長はあくまでも市長の補助員という立場」と市の議会事務局。議会関係者は「課長を答弁させるかさせないかは市長の判断だが、課長に答弁させないのなら、市長は自ら説明する義務がある」という。だが、市長が出席や説明を拒否しても罰則規定はない。 議会が今後できる行動として市長の問責決議があるが、法的拘束力はない。「他にできるとしたら市長の不信任決議しかないのでは」と議会関係者はみるが、市長は昨年、不信任決議を受けて議会を解散した経緯があり、その効果は疑問だ。 市職員労働組合では、市職員221人のうち、課長や秘書係長ら管理職は非組合員のため権限は及ばない。自治労県本部の高橋誠書記次長は、市職労で何かをする問題ではないとした上で、「答弁拒否が職務命令に当たるのか疑問。想定がないから条文がないので、法律違反というより常識違反だ」と批判。「常識を逸脱したことをしないというのが首長の前提。だから強い権限を与えられている。竹原市長にはちゃんと考えてもらいたい」と注文を付けた。 おかしな命令は課長自身が無視すれば良さそうだが、そう簡単ではない。竹原市長は1月の仕事始め式で「命令に従わない職員には辞めてもらう」と宣言。昨年も職員を降格や懲戒免職にしており、一部は訴訟に発展している。 反市長派のある市議は「市長は課長らに処分をちらつかせており、仕方ない側面もある。彼らにも守るべき家庭がある。市長命令に背いて懲戒処分を受けても、議会として守ってやる手段もない」と職員に同情を寄せた。 17日に記者会見した浜之上大成議長は「職員の立場は十二分に理解できるが、課長らが市長に進言しなかったとしたら、自浄能力皆無の組織になり下がったと言わざるを得ない」と嘆いた。(三輪千尋) ----------------------------------------------------------- 阿久根市長「ブログに出す」 県立校長に要求しつつ発言 2010年3月22日 朝日新聞 阿久根市長家族の経営会社、市発注工事を1円差で落札 2010年3月20日 朝日新聞 阿久根市長「不信任してくれ」 反市長派市議に2月依頼 2010年3月19日 朝日新聞 |
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