昨年8月の衆院選小選挙区の定数について、昨日、東京高裁ではじめて『合憲』の判決が出ました。
この「1票の格差」の問題については、各地で訴訟がおきていて、
今までの4件は、「違憲」「違憲状態」の判決が続いていました。
いまのところ、高裁の判断は『違憲』4:『合憲』1。
最高裁が最終的にどのような判断をするのか、注目しましょう。
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以下、今回の判決要旨と、関連のニュースを紹介します。
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この「1票の格差」の問題については、各地で訴訟がおきていて、
今までの4件は、「違憲」「違憲状態」の判決が続いていました。
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以下、今回の判決要旨と、関連のニュースを紹介します。
「1票の格差」訴訟の判決要旨 2010/03/11 共同通信 「1票の格差」をめぐる訴訟で、東京高裁が11日言い渡した判決の要旨は次の通り。 憲法は投票価値の平等を最重要の理念として要求しているが、これは選挙制度の仕組みを決定する唯一の基準ではない。ほかの政策的目的や理由との関連で調和的に実現されるべきものであり、投票価値が完全に平等ではないとしても国会の裁量権の行使として合理性を是認できる範囲内では憲法の規定に反しない。 国会が衆院選で全国を多数の選挙区に分ける制度を採用する場合、議員1人当たりの選挙人数または人口ができる限り平等に保たれることを最も重要で基本的な基準とするべきだ。 しかし国民は全国一律の平準化された存在ではなく、国の施策も全国一律の平板ではなく、国政に対する利害関係には、都道府県などの行政区画をまとまりとして濃淡が生じ、地勢や交通事情などにも影響を受ける。 とりわけ都道府県は歴史的、社会的にも独自の意義と実体を持ち、区割りの際、無視できない基礎的要素の一つだ。 区割りや議員定数配分の具体的決定では、複雑で高度な政策的要素や、人口など国勢調査結果に応じた改定などに要する技術的・時間的な要素がある。 衆院議員選挙区画定審議会設置法の「1人別枠方式」は、過疎地への配慮から、人口の少ない県に定数を多く配分することは、投票価値の平等のほかにも考慮する政策的要素として一定の合理性はあるが、不平等状態をもたらした原因と認められる点を考えると、その合理性について何らの問題もないとはいえない。 2005年実施の国勢調査によると、本件の区割りでの最大格差は1対2・203、格差2倍以上の選挙区は48だった。2000年の国勢調査での最大格差が1対2・064で、格差2倍以上の選挙区が9だった状況より悪化しており、憲法上は好ましくない。 だが、設置法の規定は、行政区画などを総合考慮して合理的に区割りし、選挙区間の最大格差ができるだけ2倍未満に収まるように区割りをすべきことを定めたものだ。 上記の人口格差は、最大で2倍を約10%超過しているものの、格差が2倍以上の選挙区数は全選挙区の6分の1にとどまっている。現行の区割りは、強固な合理性があるとまではいえない1人別枠方式を主因とする投票価値の不平等をもたらしているが、選挙制度全体では投票価値の著しい不平等状態になっているとまでは認められず、合理性を残している。 選挙区画定審議会は、「特別の事情」があるときには国勢調査の結果を待たずに改定を勧告できるとしているが、人口変動の予測可能性に関する合理的根拠の有無を含めて「特別の事情」のある十分な証拠は見当たらない。 従って、審議会の勧告見送りの結果として国会による区割り規定の改正作業の未着手という事態のまま現在に至ったことについて、国会の裁量権の行使として合理性を欠いていたともいえない。以上、現行の区割り規定は憲法に違反するものとはいえない。 原告は、選挙権の価値の平等は区割りを機械的・事務的に定めるだけで実現でき、単なる行政区画にすぎない都道府県の境を越えてでも人口に基づいて区割りすることを、憲法が要求していると主張している。 しかし、区割りの際、できるだけ行政区画の分割を回避することは地方公共団体の一体化の維持や、恣意(しい)的な区割り防止という観点からも合理性を持つ。原告の主張は採用できない。 (2010/03/11 共同通信) |
社説:衆院1票格差 「別枠」定数の見直しを(3月12日) 2010.3.12 北海道新聞 昨年夏の衆院選をめぐる一連の「1票の格差」訴訟で、東京高裁が初の「合憲」判断を示した。 この選挙で最大の格差は2・30倍に達した。大阪高裁は昨年12月、小選挙区比例代表並立制の選挙が1996年に始まって以来、初めて違憲判決を下した。 その後、「違憲」判決が一つ、「違憲状態」とした判決は二つ続いてきた。5例目の判決で、高裁の判断は分かれたことになる。 北海道でも道1区の選挙無効が争われており、4月27日の札幌高裁判決が注目されるところだ。 ただここまでの判決から、1票の価値の平等性をより厳格に求める司法判断の流れは読み取れる。東京高裁も現状は「投票価値の不平等状態をもたらしている」と指摘した。 国会は問題をたなざらしにせず、抜本改革を急がねばならない。 今回の訴訟で、原告は東京都と神奈川県の計3小選挙区の選挙無効を求めていた。最大の焦点は現行の「1人別枠方式」の是非だった。 300小選挙区の定数をまず47都道府県に一つずつ割り振り、残る253議席を人口比で配分する-。これでは厳密な人口比例にならないため、原告は「選挙権の平等を定めた憲法に反する」と主張していた。 だが判決は「2倍以上の格差が出た選挙区は全体の約6分の1で、投票価値が著しく不平等とは言えない」として、訴えを退けた。先行した高裁「違憲」判決に比べ国会の裁量権を広くとらえる判断である。 最高裁は従来、格差3倍を超えると違憲または違憲状態としてきた。 これに対し、大阪高裁は格差が2倍に達した場合は原則として違憲になるとの新基準を示した。「憲法は選挙権に関し徹底した平等化を志向している」という理由からだ。 衆院の選挙区画定審議会設置法でも、格差が2倍以上とならないようにすることが「基本」だと定めている。妥当な考え方だ。 1人が実質的に2票以上を行使するのは、やはり法の下の平等に反する。東京高裁は有権者の立場からもう一歩踏み込むべきだった。 別枠方式は過疎地域への配慮を名目に採用されてきた。ところが2002年の小選挙区見直しでは過疎地を多く抱える北海道で定数が1減少するといった矛盾も起きている。 そこに目をつぶり、格差拡大の原因となっているやり方を維持することは適切だとは思えない。 民主党は昨年の衆院選に向けてまとめた政策集で別枠方式の「廃止」を明記している。司法の最終的な判断は最高裁に委ねられる。だからと言って、政治がそれまで現状の格差を放置していいわけはない。 |
1票の格差:昨年衆院選は「違憲状態」 「1人別枠」必要性認めず--東京高裁判決 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR 社会> 毎日新聞 2010年2月25日 東京朝刊 選挙区間の議員1人当たり有権者数を比較した「1票の格差」が最大2・30倍となった09年8月の衆院選小選挙区の合憲性が争われた訴訟の判決で、東京高裁は24日、定数配分や区割りは違憲状態と判断した。富越和厚(かずひろ)裁判長は「選挙当時、格差は憲法の要求する選挙権の平等に反する程度に至っていた」と述べた。一方で、国会が是正しなかったことは裁量権の逸脱とまで言えないと指摘し請求を棄却した。原告側は上告する方針。=一部地域既報(社会面に関連記事、3面に「質問なるほドリ」、26面に判決要旨) この選挙を巡っては、大阪高裁が昨年12月、広島高裁が1月に相次いで違憲と判断している。 訴訟では東京都と神奈川県の弁護士10人が、人口分布に比例せず法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、各都県選管を相手に9選挙区の選挙無効を求めた。公職選挙法の規定で高裁が1審。 判決は、小選挙区の1票の格差について「最大2倍以上になった場合は、不平等を許容できる正当な目的や理由が必要」との判断を示した。 そのうえで、小選挙区の定数300をまず47都道府県に1ずつ割り当て、残りを人口比で振り分ける「1人別枠方式」が、格差拡大の原因と認定。「この方式の目的は過疎地域への配慮だが、国民を居住場所で差別しているとも言え、不平等を許容する理由としては合理性に乏しい」と指摘した。 一方、最高裁が合憲判断を続けてきたことや制度改正に時間が必要なことなどを踏まえ、「05年国勢調査で格差2倍超が49選挙区に上っても、この選挙までに国会が見直しを検討しなかったことは、合理的期間内に是正しなかったとまでは認められず、違憲とは断じられない」と結論づけた。【伊藤一郎】 ◇民主・自民、抜本改正に重い腰 「政治とカネ」優先 国会は制度の根本的な見直しを迫られているが、与野党の関心は「政治とカネ」問題に集中し、民主党は企業・団体献金の禁止を柱とする政治資金規正法改正を優先する構え。1票の格差是正へ向けた動きは鈍い。 当面の対応として想定されるのは、今年10月の国勢調査を受け内閣府の「衆院議員選挙区画定審議会」(区割り審)が進める小選挙区の見直し作業だ。調査結果の速報値は11年1~2月に発表され、見直しが必要と区割り審が判断した場合は1年以内に首相に改定案を勧告。政府が公職選挙法改正案を国会に提出するのは早くても12年以降となる。 しかし、定数300のうち47都道府県にまず1議席ずつを割り当てたうえで残る253議席を人口比で各都道府県に振り分ける現行の「1人別枠方式」を続ける限り、勧告を待っても抜本的な格差の解消は難しい。小選挙区比例代表並立制での総選挙が初めて実施された96年以降、区割りが見直されたのは02年の改定のみ。その時も2倍超の格差を9選挙区で解消できず、3高裁の判決も格差の原因と指摘している。 民主党は09年政策集に同方式の廃止を明記したが、政権交代以降、党政治改革推進本部の議題に上っていない。小沢一郎幹事長の資金管理団体を巡る事件など「政治とカネ」問題のマイナスイメージを払しょくしようと政治資金規正法の改正を最優先課題に位置付けており「1票の格差是正はそれほど優先順位が高くない」(若手議員)のが現状だ。 自民党も「政治とカネ」問題で民主党に攻勢をかけるのに必死で、格差是正への関心は低い。そもそも1人別枠方式が採用された背景には、自民党の支持基盤が厚かった地方に議席を多く振り分ける思惑があり、「格差是正は慎重に検討しないと、党への影響が大きい」(中堅議員)との本音ものぞく。 国会議員の定数をめぐっては、09年衆院選マニフェストで民主党が「衆院の比例定数を80削減」、自民党も「次回の総選挙から1割以上、10年後には衆参の3割以上削減」を公約した。これを実現するには選挙制度改正の与野党論議が必要だが、機運は高まっていない。【石川貴教】 ◇舞台は大法廷へ 3高裁、見直し迫る 東京高裁は大阪、広島両高裁に続き、「2倍以上の格差は憲法違反」との基本的な考え方を示した。最高裁は、小選挙区比例代表並立制での過去3回の衆院選について、いずれも2倍超の格差を「合憲」と判断してきた。しかし、3高裁の意思は、今後の最高裁の判断にも影響を及ぼす可能性がある。 最高裁は、小選挙区制導入後に初めて施行された96年の衆院選について、格差2・31倍を合憲判断。00年衆院選は2・47倍まで拡大したが、これも合憲判断した。ただし、裁判官の間で意見が分かれる場合もあった。 09年衆院選の格差は2・30倍だが、3高裁の判断は、こうした流れに見直しを迫った形だ。2倍以上にならないようにすべきだとした区割り審設置法の規定も踏まえた。 また、3高裁は「1人別枠方式」が「不平等を生み出す根源」と指摘した。最高裁は「人口の少ない県の意見も国政に反映させる目的がある」として容認したが、大阪、広島両高裁は「地域特性への配慮は、投票価値の平等に優越しない」と否定した。 東京高裁も同調したうえで、過疎地が多い北海道や人口の少ない島根県が恩恵を受けていない点を挙げ、「人口比例だと議席配分が1未満になるなどのような例外を除き、維持する必要性は認めがたい」と言及した。 一方で、東京高裁は他の2高裁と異なり、国会の裁量権をより広く解釈した。大阪、広島両高裁は「09年衆院選まで2倍超を放置することは、憲法上許されない」と明確に違憲を宣言したが、東京高裁は、最高裁判例の存在や、区割り審が原則として10年に1度の大規模国勢調査を受け改定勧告することを根拠に「是正のための合理的期間を経過していない」と判断した。 大阪、広島両高裁の判決に対しては上告がされ、今回の訴訟も原告側が上告する方針。舞台は最高裁に移るが、高裁で判断が分かれたこともあり、15人の裁判官全員で審理する大法廷で最終判断がされるとみられる。【伊藤一郎、北村和巳】 ============== ■格差2倍以上の選挙区■ (1)千葉4区 (船橋市) 2.30 (2)神奈川10区(川崎市川崎区など) 2.29 (3)東京6区 (世田谷区の一部) 2.28 (4)北海道1区 (札幌市中央区など) 2.25 (5)東京3区 (品川区など) 2.24 (6)兵庫6区 (伊丹市、宝塚市など) 2.23 (7)東京1区 (千代田区、港区など) 2.19 (8)東京19区 (小平市、国立市など) 2.18 (9)東京23区 (町田市、多摩市) 2.18 (10)東京8区 (杉並区) 2.18 (11)東京22区 (三鷹市、調布市など) 2.17 (12)静岡5区 (三島市、裾野市など) 2.16 (13)神奈川15区(平塚市など) 2.15 (14)兵庫7区 (西宮市、芦屋市) 2.15 (15)神奈川13区(大和市など) 2.14 (16)北海道5区 (札幌市厚別区など) 2.14 (17)埼玉2区 (川口市、鳩ケ谷市) 2.14 (18)埼玉3区 (草加市、越谷市) 2.13 (19)東京5区 (目黒区など) 2.13 (20)東京16区 (江戸川区の一部) 2.13 (21)静岡6区 (沼津市、熱海市など) 2.13 (22)東京24区 (八王子市) 2.12 (23)愛知12区 (岡崎市、西尾市など) 2.12 (24)京都6区 (宇治市、城陽市など) 2.12 (25)神奈川5区 (横浜市戸塚区など) 2.11 (26)東京9区 (練馬区の一部) 2.10 (27)北海道6区 (旭川市など) 2.08 (28)東京7区 (渋谷区、中野区) 2.08 (29)東京11区 (板橋区) 2.08 (30)北海道3区 (札幌市白石区など) 2.08 (31)東京17区 (葛飾区など) 2.06 (32)北海道2区 (札幌市北区など) 2.06 (33)福岡2区 (福岡市中央区など) 2.05 (34)大阪9区 (池田市、茨木市など) 2.05 (35)神奈川16区(厚木市など) 2.03 (36)神奈川14区(相模原市の一部) 2.03 (37)長野1区 (長野市、須坂市など) 2.03 (38)兵庫4区 (神戸市西区など) 2.03 (39)福島1区 (福島市、相馬市など) 2.02 (40)神奈川17区(小田原市など) 2.02 (41)東京4区 (大田区の一部) 2.01 (42)新潟1区 (新潟市中央区など) 2.01 (43)千葉2区 (千葉市花見川区など) 2.01 (44)大阪18区 (岸和田市など) 2.01 (45)神奈川2区 (横浜市西区など) 2.00 ※有権者が最少の高知3区を1として計算し小数点以下3位を四捨五入した(09年8月30日現在) ============== ■ことば ◇違憲と違憲状態 「1票の格差」を巡る訴訟で最高裁は、(1)国会の裁量権を考慮しても、格差が許容される程度を超え、憲法の要求する選挙権の平等に違反する場合を「違憲状態」とし、(2)その状態を是正するための合理的な期間が既に経過している場合に「違憲」とする2段論法を取っている。これに基づき衆院選で2回、参院選で1回の違憲状態判決、衆院選で2回の違憲判決が出された。格差に関する見解が分かれ、制度改正に時間がかかることなどを考慮した論法だが、「合理的期間」の起算点や長さに具体的な基準がないとの批判もある。 毎日新聞 2010年2月25日 |
最後まで読んでくださってありがとう
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