みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

村木元局長無罪、報道検証/毎日新聞:障害者郵便割引不正

2010-09-18 15:14:46 | ほん/新聞/ニュース
スイフヨウの花は、一晩寝たら真っ赤になっていました。

 
画像を拡大してよく見ると、葉っぱにアオムシがついています。
 高いところはけっこう丸坊主。
花まで食べられないことを祈ります。

クサギの花に、黒い大きなアゲハがやってきたので、
デジカメをもって、追いかけました。


とても大きなアゲハ蝶で、ひらひらと優雅に飛ぶ。

調べてみたら、温暖な地方に生息する
ナガサキアゲハのメスらしい。

虫は困るけど、チョウなら大歓迎。
身勝手な人間のいいぶんですね。

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障害者郵便割引不正事件で、無罪になった村木厚子さんに対して、
検察側が控訴しない方針を決定し、大阪地検は週明けにも「控訴断念」を表明するとのこと。

まずはよかったです。

村木元局長無罪については、各紙が書いていますが、
昨日の毎日新聞の「記者の目」(日野行介さん)と、
朝日新聞の「事件記者の目」(村山治さん)の記事がよくまとまっているので紹介します。


 記者の目:村木元局長無罪=日野行介(大阪社会部)
毎日新聞 2010年9月17日 

 ◇郵便不正事件 謙虚さ失い「特捜エリート」暴走
 障害者団体向け郵便料金割引制度を巡る郵便不正事件で、偽証明書の作成を部下に指示したとして起訴された厚生労働省の村木厚子元局長(54)に対し、大阪地裁の横田信之裁判長は10日、無罪判決を言い渡した。大阪地検特捜部というエリート集団にとって、前代未聞ともいえる手痛い敗北だ。ここからどう教訓をくみ取るかが問われている。
 判決は、偽証明書を作成した元係長、上村勉被告(41)の「指示はなく、独断で作成した」という証言が客観的証拠に合致すると判断し、検察が描いた「厚労省の組織的犯罪」という構図を退けた。

 ◇不都合な証拠 意図的に隠す?
 決め手となったのが、偽証明書の電子データに記録されていた「04年6月1日午前1時20分」という最終更新日時だった。「村木被告は04年6月上旬、5月中の日付で偽証明書を作るよう指示した」という検察側主張と明らかに矛盾する。このデータは上村被告の調書に記載はなく、弁護側が求めた証拠開示で初めて明らかになった。検察が不都合な証拠を意図的に隠したとさえ疑わせる。
 特捜部はなぜ、誤った捜査に陥ったのか。最大の原因は「供述調書さえ取れたらいい」と勘違いし、関係者の供述に率直に耳を傾ける謙虚さを失った一部検事たちの姿勢にある、と私は思う。
 特捜捜査は、端緒の情報を基に主任検事が事件全体の構図を描くことから始まる。「密室の犯罪」を扱う難しい捜査だけに、こうした手法自体は否定できない。しかし、捜査の過程で得た供述を正確に評価し、丹念に裏付け捜査を行わなければ、誤った方向に暴走する危険をはらむ。
 私は07年までの2年余り、大阪地検を担当した。事件の摘発に当たる特捜部は検事、副検事と事務官合わせて約50人。関西検察では圧倒的な存在感を誇るエリート集団だ。
 取り調べは主に30代の若手検事とベテラン副検事が担当し、40歳前後の主任検事が取りまとめる。今回の関係者から「再逮捕をちらつかされた」「うその証拠を告げられた」などと厳しく批判された検事数人は30代の若手だ。
 同じ大阪地検特捜部が摘発した大阪府枚方市の談合事件で無罪判決を得た小堀隆恒・元副市長(64)は、関与を否定し続けたのに対し、若い検事から「エリート集団が組織を挙げて逮捕したのに裁判で勝てると思うのか」と脅されたと証言する。受託収賄罪などに問われた衆院議員の鈴木宗男被告(62)は、最高裁の上告棄却後の会見(今月8日)で特捜検事を「青年将校化している」と批判した。
 血気にはやる「青年将校」たちの暴走を許した背景は何か。事件着手に際して、上司や上級庁の了承が必要だが、捜査当時の検察幹部は「特捜検事の書類はよくできているし、説明がうまい。調書の取り方まではチェックできない」と釈明した。特捜検事は、容疑者の自白を取れる「割り屋」として組織内で重宝され、上司のチェック機能が働かなかったとみられる。
 裁判所の姿勢も問わなければならない。ある元特捜検事は「特捜部は『最強の捜査機関』と言われるが、それはうそだ。裁判官が甘いだけだ」と言い切る。特捜検事の供述調書は裁判所で高い信用性を認められてきた。今回の裁判では、出廷した検察官6人全員が「取り調べのメモは捨てた。調書がすべてだ」と述べた。07年に最高裁が取り調べメモを証拠開示の対象になる「公文書」とする判断を示していたが、検事たちは無視したわけで、裁判所が軽く見られていた格好だ。

 ◇失敗徹底検証し組織を立て直せ
 報道機関や世論にも特捜部を甘やかしてきた面があったと思う。特捜捜査のターゲットは「権力者」や「目立つ人」であることが多い。「巨悪」と闘う正義の象徴としてのイメージが先行し、批判にさらされる場面は少ない。大阪地検は裁判中、重要な公判ごとに報道向けの説明を行ったが、判決後は一切会見せず、次席検事のコメントを文書で発表しただけだった。
 昨年6月の逮捕から1年3カ月。村木さんは保釈金1500万円だけでなく、弁護費用も支払った。村木さんは判決後、「経済的な負担は大きく、家族や友人の支えがなければ裁判を闘えなかった。私は運が良かった」と語り、こう訴えた。「検察は巨大な力を持っており、一度間違いを起こせば大変なことになる。慎重にしてほしい」
 検察はこの言葉を真摯(しんし)に受けとめてほしい。検察当局は控訴断念の方向で協議しているが、当然だろう。失墜した信用を回復するには、徹底した検証を通じて組織を立て直し、改めて捜査能力を示すしかない。
毎日新聞 2010年9月17日 



 
事件記者の目:村山治
 断罪された特捜検察の捜査、検察は「失敗の検証」を急げ 
 
朝日新聞 2010年09月14日

  大阪地裁は2010年9月10日、郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた村木厚子元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長に対し、無罪を言い渡した。判決で明確になったのは、「特捜検察」に対する裁判所の驚くほど冷めた視線だった。検察は、立証の柱となる検事調書について「適正手続きの面でも内容面でも水準以上」と自信を持って証拠採用を求めたが、裁判所は「誘導の疑いがある」などとしてばっさり切り捨てた。検察部内からは判決への不満も聞こえるが、今回はいさぎよく、控訴を見送り「失敗の検証」に専念することを提案する。判決は特捜検察の捜査のあり方を根本から見直せ、とのサインだと思うからだ。
  ▽敬称・呼称は略しました。
  ▽この記事は2010年9月14日の朝日新聞オピニオン面に掲載された原稿に大幅に加筆したものです。

 ●郵便割引制度を悪用した事件が発端
 そもそもの発端は、障害者団体向けの郵便割引制度が企業のダイレクトメール(DM)広告の発送に悪用された事件だった。通常1通120円を8円で送れる低料第3種郵便物制度を悪用し、通信販売業者ら広告主や大手広告代理店の広告会社、ブローカーらがボロ儲けしていたのを2008年秋、朝日新聞がスクープした。
 それを受けて大阪地検特捜部が捜査に乗り出し、郵便事業会社(JP日本郵便)幹部や厚生労働省局長まで計20人が摘発された。捜査対象となった大手企業などが免れた郵送料は2004年以降で総額約220億円に上った。特捜検察が障害者福祉事業の陰ではびこる複雑な利権にメスを入れたことは評価されていい。
 この捜査の過程で特捜部が押収した一枚の紙が村木事件の扉を開く。DM不正事件で摘発されたブローカーグループに対し、障害者団体としての実体があるとする厚労省の虚偽の証明書が犯罪の小道具として使われていたのだ。厚労省障害保健福祉部の「企画課長」が作成名義人となっていた。当時の課長が村木だった。
・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・

村山 治(むらやま・おさむ) 朝日新聞編集委員。徳島県出身。1973年早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。金丸脱税事件(93年)、ゼネコン事件(93,94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。著書に「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「市場検察」(文藝春秋)、共著「ルポ内部告発」(朝日新書)。
朝日新聞 2010年09月14日


毎日新聞の「失墜・特捜捜査の内幕:障害者郵便割引不正」の連載も読み応えがあります。

 
失墜・特捜捜査の内幕:障害者郵便割引不正/下 「ドブネズミ」罵声(毎日新聞 2010年9月14日)
失墜・特捜捜査の内幕:障害者郵便割引不正/中 事前聴取なく逮捕(毎日新聞 2010年9月12日)
失墜・特捜捜査の内幕:障害者郵便割引不正/上 供述調書を「作文」(毎日新聞 2010年9月11日)


この障害者郵便割引不正の連載が終わった日、
毎日新聞は、事件をさかのぼり、自省を込めて、自社の報道を検証しています。

村木厚子さんの無罪判決を受けて、検察の暴走を批判的に論じる報道が多いなか、
この毎日新聞の記事は、とてもよかったです。

 村木元局長無罪:本紙報道検証…容疑者側への取材さらに 
毎日新聞 2010年9月14日

 厚生労働省の村木厚子元局長(54)が大阪地検特捜部に逮捕され、無罪判決を受けた事件について、毎日新聞は大阪本社社会部の司法担当記者らが中心になって取材した。毎日新聞はどんな論議をし、どう報道したのか。その検証の中で、再認識したのは容疑者側への取材の重要さだった。
 「何だこの原稿は。容疑者の言い分ばっかりじゃないか」。09年6月14日の村木元局長逮捕を伝える紙面を巡って、編集局内で議論になった。社会部から「不正なことを認めるわけがない」という事前に取材した村木元局長の反論が大量に出稿されたからだ。編集局内では「厚労省局長という権力者におもねっている」「もっと特捜部の話を出せ」との声が上がった。それを押し切る形で、村木元局長の言い分は社会面トップで紙面化された。
 この原稿をまとめた社会部の玉木達也記者(45)は、事件の舞台となった04年当時、東京本社社会部で厚労省を担当。障害保健福祉部企画課長だった村木元局長も度々取材していた。村木元局長が、係長の上村勉被告(41)に不正な証明書の作成を指示したとして、特捜部の捜査線上に浮かんでからは、本人だけでなく職場の同僚にも取材を重ねた。旧労働省出身の村木元局長の仕事ぶりは旧厚生省側から注視されており、不正ができる環境になかった▽企画課長が社会参加推進室の係長(上村被告)に直接指示することはない--。取材の結果からは、村木元局長への容疑は不当に思えた。
 一方で、大阪地検特捜部の担当記者には、取り調べ中の容疑者らが、村木元局長の事件への関与を供述しているという情報が入ってきた。こうした検察情報に基づく内容も報道した。
 郵便料金割引制度を悪用した倉沢邦夫被告(74)が「村木課長に(料金割引を認める)証明書の発行を催促した」と供述(09年6月16日夕刊)▽上村勉被告が「村木課長から『適当でいいから証明書を出しておいて』と指示された」と供述(同17日夕刊)▽上村被告が「村木課長に偽の証明書を渡した際『もう忘れるように』と言われた」と供述(同18日夕刊)--などの記事だ。
 こうした供述は検察側のストーリーに沿ったもので、公判では強引な取り調べで無理やり供述調書に署名させられていたことが明らかになっていった。
 元特捜担当記者は「検察の構図に当初は疑問もあったが、関係者の供述などから、村木元局長の容疑は徐々に固まりつつあるように感じた。元局長が権力者である以上、元局長の関与を示す供述を報じないという選択肢はなかった」と振り返る。
 村木元局長の起訴後、玉木記者は拘置所で接見し、改めて「無実主張」を09年7月30日朝刊で報道した。村木元局長の話は逮捕前と変わっていなかった。
 クロかシロか。現場の記者も悩みながら報道を続けた。

 ◇情報分析より厳密に…大阪本社社会部長・白神潤一
 栃木県足利市で90年、女児が殺害された事件で無期懲役が確定していた菅家利和さん(今年3月無罪判決)が釈放されたのは、村木元局長が逮捕される10日前だった。冤罪(えんざい)の怖さをまざまざと見せつけられる中で、捜査段階から一貫して否認を続ける村木元局長についても、特捜部の情報をうのみにせず、慎重に報道しようと意識した。
 象徴的なのが村木元局長逮捕翌日の社会面だ。「やってない/全面否定」と大見出しで扱った(大阪本社紙面)。村木元局長と旧知だった記者が、逮捕前に何度も連絡を取り、その取材をまとめたものだ。社内で議論はあったものの、結局、紙面化できたのには、こうした背景がある。捜査当局からの情報に比べて、容疑者側からの情報は取りにくいのが実情だが、その努力は怠ってはならないことを痛感した。
 今回は特捜部が供述調書を「作文」したり、取り調べのメモをすべて廃棄したりするなど、検察の暴走とも言える局面が次々に明るみに出た。捜査に肉薄し、その動きを取材することは、事件の構図を報道し、権力を監視する上で不可欠だ。ただし、その取材で得られた情報の分析、評価、報じ方はこれまで以上に厳密にすべきだ、というのが実感だ。
 裁判員裁判が始まり、毎日新聞の事件・事故報道に関するガイドラインでは改めて、犯人視報道は避ける▽情報出所の明示を心がける--などと定めている。こうした指針に沿って、今後、より一層、真実に迫る努力を続けていきたい。
毎日新聞 2010年9月14日



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9月17日(金)のつぶやき

2010-09-18 02:10:46 | 花/美しいもの
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境界を生きる:学校現場で(上・下)性同一性障害「私の個性」 #goo_midorinet002 http://t.co/1Ck10nC
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