ひさしぶりに岐阜地裁に行きました。
「岐阜県の行政委員の高額な月額報酬を改める」ため、
2月に住民監査請求し4月に提訴した住民訴訟の第一回弁論。
問題については今年4月、岐阜県知事が見直しの方向性を明らかにしていて、
7月には全国知事会も見直し方向を示していました。
わたしたちの裁判は、301法廷で10時10分からなのですが、
10時からの「関ヶ原人権訴訟」判決を傍聴するために、
裁判所は車も人もいっぱい。
傍聴券を持ってないので3階の法廷の外で待っていると、
「まだ7席余裕がある」ということで中に入れてもらいました。
判決は、わたしたちの事件と同じ内田計一裁判長。
主文は「棄却」ではなく、
「原告の6人に2200円、その他のふたりに1100円支払え」
ということで、一部勝訴したことはわかったのですが、
「訴訟費用は原告」ということで、詳細は不明。
判決後に内田裁判長が「・・・・請願権侵害があった」と解説しました。
家に帰ってニュースに気をつけていると、お昼のNHKで
「請願権侵害で賠償命令」とニュースがながれていました。
webの速報でいちばん早かったのは、時事通信。
午前中の判決だったので、夕刊各紙でも取り上げられていました。
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一夜明けて、原告側・被告側双方の詳報が入ってきました。
請願は、「日本国憲法」第16条に
「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止
又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、
何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と明記されています。
自治体への請願は、「地方自治法」第124条に、
「普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。」
と書かれているように、請願は「請願書と紹介議員」がいて所定の様式が整っていれば、
一人からでも、だれであっても、できるものです。
請願に書かれている趣旨に賛同する人は「なんびとも」署名することができて、
請願書には請願代表者の氏名のほかの署名者は、
「他○○名」と記載されるだけで、自筆の署名も押印も求めていません。
つまり、今回の関ヶ原の対応は、署名者への調査自体が、
「平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」
に明らかに違反している、と思います。
「調査自体は合法」ということを容認したら、
何びととも「平穏に請願する権利を有し」という請願のもつ根本原則が失われてしまいます。
原告はぜひ控訴して最高裁まで争って欲しい、とわたしは思います。
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「岐阜県の行政委員の高額な月額報酬を改める」ため、
2月に住民監査請求し4月に提訴した住民訴訟の第一回弁論。
問題については今年4月、岐阜県知事が見直しの方向性を明らかにしていて、
7月には全国知事会も見直し方向を示していました。
わたしたちの裁判は、301法廷で10時10分からなのですが、
10時からの「関ヶ原人権訴訟」判決を傍聴するために、
裁判所は車も人もいっぱい。
傍聴券を持ってないので3階の法廷の外で待っていると、
「まだ7席余裕がある」ということで中に入れてもらいました。
判決は、わたしたちの事件と同じ内田計一裁判長。
主文は「棄却」ではなく、
「原告の6人に2200円、その他のふたりに1100円支払え」
ということで、一部勝訴したことはわかったのですが、
「訴訟費用は原告」ということで、詳細は不明。
判決後に内田裁判長が「・・・・請願権侵害があった」と解説しました。
家に帰ってニュースに気をつけていると、お昼のNHKで
「請願権侵害で賠償命令」とニュースがながれていました。
webの速報でいちばん早かったのは、時事通信。
町の署名者訪問「圧力」=請願権侵害で賠償命令-岐阜地裁 岐阜県関ケ原町が小学校統廃合に反対する住民の署名簿を使い、戸別訪問で署名者に意思確認したのは請願権や表現の自由などの侵害に当たるとして、住民8人が町に440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は請願権などの侵害を認め、町に計1万5400円の支払いを命じた。 内田裁判長は「請願の趣旨が明確でないときに、署名が本物であることや請願の趣旨を確認する限度で調査は許される」と指摘、一般的な戸別訪問は適法と判断した。ただ、今回は「誰が署名を依頼したかなど目的を超えた質問がされ、署名者や署名活動者に不当に圧力を加えるものだった」と認定、請願権と表現の自由の侵害を認めた。 (2010/11/10-13:49)時事通信 |
午前中の判決だったので、夕刊各紙でも取り上げられていました。
関ヶ原町に賠償命令 人権侵害訴訟で岐阜地裁判 ◆「目的超えた質問、署名者に圧力」 不破郡関ケ原町の小学校統廃合をめぐり、町に提出された反対署名簿の署名者に、町が戸別訪問して意思確認したのは人権侵害だとして、町民8人が町に計440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は町の戸別訪問の違法性を認めて計1万5400円の支払いを命じた。原告団は判決の一部に不満を示しつつも「勝利したと確信している」と胸をなでおろした。 判決によると、住民グループは2005(平成17)年9月までに5208人分の署名を提出。浅井健太郎町長の指示を受けた町職員が、署名簿をもとに作成した一覧表を使って戸別訪問し▽署名は自署か▽署名の依頼者▽統廃合に反対する考えは今も変わらないか―などを聞き取った。 判決では、署名簿の署名が本物か疑わしかったり趣旨が明瞭でない場合は戸別訪問調査は許されるとした。しかし、今回の戸別訪問は署名の依頼者を尋ねるといった目的を超えた質問があり「不当な圧力を加えたと認められる」と判断。調査を指示した浅井町長について「署名活動者と署名者の請願権、表現の自由を侵害した」と認定。町は署名を集めた町民6人に各2200円、戸別訪問を受けた町民2人に各1100円を支払うよう命じた。 一方、町が作成した戸別訪問用の一覧表は調査に必要な「必要最小限度のもの」とし、プライバシー権の侵害には当たらないと判断。戸別訪問を受けた町民2人は調査に同意していたとして、思想・良心の自由の侵害もなかったとした。 判決を受け、浅井町長は「訪問調査そのものの正当性は認められており評価している。賠償判決となった部分については、判決内容をよく検討してから控訴の是非を判断したい。裁判費用は全額原告負担であるため、実質勝訴と考えている」とコメントした。 2010年11月10日15:00 岐阜新聞 |
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一夜明けて、原告側・被告側双方の詳報が入ってきました。
関ケ原人権訴訟 地裁判決 関ケ原町職員が、小学校の統廃合に反対署名した町民を戸別訪問して意思確認したことの是非が争われた「関ケ原人権訴訟」は10日、岐阜地裁で判決が言い渡された。「署名者に不当な圧力を与えた」と町側の過失が認められたことで、原告側は「ほぼ勝訴」と喜ぶ。ただ、一般的な戸別訪問の違法性は認められなかったため、控訴を検討するという。(贄川俊、逸見那由子、梶田正) 午前10時、内田計一裁判長が判決を言い渡すと、ほとんど空きのない88席の傍聴席から、「よし」という声が聞こえた。判決後には、原告側の弁護士が裁判所前で「一部勝訴」と書かれた紙を掲げた。 この訴訟は、町職員が署名者を戸別訪問したことで「表現の自由と請願権などが侵害された」と、住民8人が総額440万円の損害賠償を町に求めていた。判決は住民側の主張を認め、町に計1万5400円の支払いを命じた。 判決では、町職員が「誰が頼みに来たか」「(反対に)今も変わりないか」と質問したのは、「署名の真正や請願の趣旨の確認という目的を越えた質問。請願権と表現の自由を侵害した」と判断。 ただ、一般的な戸別訪問自体は「署名者の同意を得て回答を強要しなければ許される」とした。 戸別訪問の際に署名簿を使ったことについては、「プライバシーの侵害」とした原告側の主張を認めなかった。 ◆浅井町長 訪問調査の正当性 認められた点評価 関ケ原町の浅井(あざ・い)健太郎町長は「訪問調査そのものの正当性は認められており、評価している。賠償判決になった部分については、判決内容を検討してから控訴の是非を判断したい。裁判費用は全額原告負担で実質勝訴と考えている」とコメントを発表した。 裁判を傍聴した同町の西脇康世監理官は、裁判所が戸別訪問の違法性を棄却する一方で、請願権侵害などを認めたことに、やや戸惑ったという。「普通、負けていれば、裁判費用は被告持ちになるのだが」などと話していた。 ◆原告側の会見 私の人権2千円。でも、勝つことが重要 判決後、原告側は岐阜市の県弁護士会館で記者会見を開いた。約50人の支援者らが見守る中、原告団長で会社員の野村浩之さん(47)は「私たちは勝訴したものと確信しております」と語った。認められた損害額が一人当たり1千~2千円程度だったことに触れ、「私の人権は2千円。でも、1円でもかまわない。勝つことが重要だ」と話した。 だが、一般的な戸別訪問が許されることには「小さな町で本当に拒否できるのか」と疑問も感じたという。笹田参三弁護士も「名前を聞けば町の人が分かるような町のなかで(戸別訪問をすれば)どういう結果をもたらされるか配慮が足らない」と指摘した。 13日に原告らが集まり、控訴について検討するという。 2010年11月11日 朝日新聞 |
関ケ原町の小学校統廃合:署名流用、町に賠償命令 原告団「物足りない判決」 /岐阜 ◇条件付きで戸別訪問容認--原告団から不満も 関ケ原町の町立小学校統廃合に反対する署名をした住民に、町職員が戸別訪問で意思確認したのは人権侵害と訴えた裁判で、「請願権と表現の自由を侵害した」として町に計1万5400円(請求額440万円)の支払いを命じた10日の岐阜地裁判決。原告の訴えを一部認めたものの、戸別訪問は条件付きで認める内容で、原告団からは「行政が戸別訪問すること自体、不当な圧力と認めるべきだ」と不満の声が上がった。13日の会議で控訴するか決めるという。【三上剛輝、石山絵歩】 判決は、今回の戸別訪問について「『署名は誰が頼みに来たか』など目的を超えた質問も行われ、不当に圧力を加えた」と判断した。原告団が判決後に開いた記者会見で、原告団代表の野村浩之さん(47)は「主文を見れば勝訴と確信している」と評価。弁護団長の笹田参三弁護士は「署名活動に圧力をかけてはならないと明言している点で重要な判決」と話した。 しかし、「物足りない判決」という言葉も相次いだ。その一つが、署名が本物か疑わしい場合、確認のための戸別訪問自体は「署名者の同意があり、回答を強要しない形式なら許される」とした点。笹田弁護士は「署名は(対面せず意思表明する)脆弱(ぜいじゃく)な権利。確認されれば萎縮(いしゅく)してしまう」と指摘。綴喜秀光弁護士は「住民が行政と対峙(たいじ)した時、本当に自由な意思で答えられるのか。市民感覚に照らし、戸別訪問そのものの違法性を認めてほしかった」と話した。 また、小山哲弁護士は「民主主義における重要な人権を公権力が侵害したと認めているのに、賠償額が極めて低い」と不満を漏らした。 一方、浅井健太郎・関ケ原町長は「訪問調査の正当性は認められており、評価している。判決内容を検討してから控訴の是非を判断するが、実質勝訴と考えている」とコメントした。 判決によると、住民グループは05年9月、町の人口(約8900人)の過半数に当たる5208人分の統廃合反対署名を浅井健太郎町長と町教委に提出。浅井町長は町職員に署名を基に一覧表を作成させ、署名した住民宅を訪問させた。町職員は、町民に改めて学校統廃合の意思を確認し、誰から署名を依頼されたかなどを質問した。 毎日新聞 2010年11月11日 地方版 |
「反対署名に不当圧力」 小学校統廃合、関ケ原町の戸別訪問 関ケ原町の町立小学校統廃合に反対の署名をした住民に町職員が戸別訪問し、賛否の確認をしたのは請願権など基本的人権の侵害だとして、町民8人が町に計440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は請願権と表現の自由の侵害が認められ違法だとして、町に計1万5400円の支払いを命じた。 判決は、署名の趣旨が明瞭(めいりょう)でないなど疑問があるときは「同意を得た上で、確認のために戸別訪問すること自体は許される」と判断。しかし、町長に命じられた町職員が2006年6月、署名者宅423戸を訪問して「誰に頼まれて署名をしたのか」などと聞いたのは「目的を越えた質問も行われ、署名者や署名活動者に不当に圧力を加えた」と認定した。 内田裁判長は、署名活動をした町民6人にそれぞれ2200円、戸別訪問を受けた町民2人にそれぞれ1100円を支払うよう町に命じた。署名簿の個人情報を利用したことは「目的達成のために必要最小限だった」として、プライバシー権の侵害は認めなかった。 判決後の会見で、原告代表の野村浩之さん(47)は「私たちの主張はしっかり裁判所に届いた。損害賠償金など条件に関しては異論があるが、勝ち負けで言えば勝利したと感じている」と話した。 一方で、弁護団は、署名に疑問があった場合に同意を得れば戸別訪問は許されるとした判断を「物足りない判決」と非難。行政側からの戸別訪問は署名者に萎縮(いしゅく)効果を与えるとして「単にこの裁判に勝つだけでなく、署名に対する圧力は一切許さないということを認めさせたかった」と述べた。 浅井健太郎町長は「訪問調査の正当性は認められており、評価している。判決内容をよく検討して控訴の是非を判断するが、実質勝訴と考えている」とのコメントを出した。 署名意義、減殺も 【憲法を研究する立命館大大学院法務研究科・市川正人教授の話】 今件の戸別訪問は不法な圧力にあたり、萎縮(いしゅく)効果があると認めている点は評価できる。一方で、署名の真正さや趣旨を確認するために戸別訪問で調査ができると言っている。署名運動は、個人的に対峙(たいじ)する自信がなくても、小さな声を集めて要望できることに意味がある。戸別訪問などで(行政側から)住民に個別に直接的な働き掛けがあれば、署名運動の意義が減殺されるという危惧(きぐ)がある。 2010年11月11日 中日新聞 |
住民側「物足りない」、戸別訪問の判断には不満 関ヶ原人権訴訟判決 関ヶ原町内の住民8人が町を相手取った「関ヶ原人権侵害訴訟」の岐阜地裁判決は10日、住民側が主張する請願権などの侵害を認める判断を下した。判決後、岐阜市内で会見した原告団は、「勝ったことが重要」としながらも、戸別訪問の違法性が認められなかったことに対し、「物足りない内容だった」として控訴の方針を示した。(米盛菜美) 会見では、原告住民代表の野村浩之さん(47)は「勝ち負けで考えれば、この裁判は勝った。裁判所が自分たちの意見を受け入れてくれた」と述べ、駆けつけた支援者や住民らに勝訴を報告。約3年に及んだ訴訟について、「裁判官がきちんと原告の主張などを聞いてくれた結果だろうが、一般住民にとっては長すぎる裁判だった」と振り返った。 一方、判決は、署名者の同意を得たうえで、回答を強要しなければ、戸別訪問が許されると判断。これに対し、野村さんは「互いに顔が見える小さな町の中で、回答を拒否することができるかは疑問」と懸念を示した。弁護団の笹田参三弁護士も「戸別訪問は、住民の署名活動を萎縮(いしゅく)させる効果があるにもかかわらず、認められるとした判決は問題だ」と不満を漏らした。 原告団は13日にも協議を行い、控訴するかどうか結論を出す。 (2010年11月11日 読売新聞) |
請願は、「日本国憲法」第16条に
「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止
又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、
何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と明記されています。
自治体への請願は、「地方自治法」第124条に、
「普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。」
と書かれているように、請願は「請願書と紹介議員」がいて所定の様式が整っていれば、
一人からでも、だれであっても、できるものです。
請願に書かれている趣旨に賛同する人は「なんびとも」署名することができて、
請願書には請願代表者の氏名のほかの署名者は、
「他○○名」と記載されるだけで、自筆の署名も押印も求めていません。
つまり、今回の関ヶ原の対応は、署名者への調査自体が、
「平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」
に明らかに違反している、と思います。
「調査自体は合法」ということを容認したら、
何びととも「平穏に請願する権利を有し」という請願のもつ根本原則が失われてしまいます。
原告はぜひ控訴して最高裁まで争って欲しい、とわたしは思います。
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