みどりの一期一会

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ドキュメンタリー映画『沈黙の春を生きて』9月23日(土)から10月21日(金)、岩波ホールで上映

2011-09-12 10:52:02 | 市民運動/市民自治/政治
先日、『百合子、ダスヴィダーニヤ』を観てきたウイルあいちで開催の、
「あいち国際女性映画祭」でもうひとつ観たい映画があった。
坂田雅子監督の最新作ドキュメンタリー映画『沈黙の春を生きて』。
前の作品は、『花はどこへいった ベトナム戦争のことを知っていますか』。
いずれも、ベトナム戦争で米軍が使った「枯れ葉剤」の被害がテーマ。

ウイルあいちでの上映は、9月7日の土曜日で見逃してしまったけれど、
映画館では、9月23日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールで公開上映される。

この映画について、川口恵子さんがWANに寄せている映画評、
「『沈黙の春を生きて』をめぐって」がとっても良いので、紹介したい。

  『沈黙の春を生きて』をめぐって   川口恵子 
2011年09月09日 WAN

坂田雅子監督の最新作『沈黙の春を生きて』((Living the Silent Spring)が、9月23日(土)から10月21日(金)まで、岩波ホールで、4週間限定上映される。

題名が引用しているのは、レイチェル・カーソンの名著、『沈黙の春』(1962)(原題Silent Spring)

沈黙の春 (新潮文庫) 著者/訳者:レイチェル カーソン 出版社:新潮社( 1974-02-20 )
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化学物質は放射能と同じように不吉な物質で

世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまいます

いまのうちに化学薬品を規制しなければ

大きな災害を引き起こすことになります

       レイチェル・カーソン『沈黙の春』
                                   

カーソンの言葉と姿を映す資料映像が冒頭と最後に引用されるこのドキュメンタリー映画は、ベトナム戦争期に米軍が大量散布した枯葉剤が、いかに、世代を超えて、人間の身体・生命に重大な影響を及ぼし続けているかを、観客に訴える。
おもな取材対象は、アメリカとベトナムの双方にまたがる。枯葉剤散布に関わり被害を負った米軍帰還兵の二世と家族、そして、ベトナムで直接枯葉剤を散布された被害者の二世とその家族だ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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『沈黙の春を生きて』は、中日新聞や毎日新聞の記事でも取り上げられていました。

「枯れ葉剤」今なお傷痕 ドキュメンタリー映画 沈黙の春を生きて 
2011年9月5日 中日新聞

 ベトナム戦争で米軍が使った「枯れ葉剤」の影響は終戦から三十六年たった今も続いている。直接浴びたベトナム人や元従軍米兵は、がんなどの罹患(りかん)率が高く、子孫には先天性障害が多く見られる。そんな二世被害者の米国人ヘザー・バウザーさん(39)が現地を訪ねるドキュメンタリー映画「沈黙の春を生きて」が九月下旬から公開される。初来日のバウザーさんと、坂田雅子監督(63)に聞いた。 (鈴木伸幸)
 「ベトナムで多くの被害者と接した。目が不自由な子ども、知的障害があり、横になっているだけの青年。両脚が膝上までの少女…。問題を再認識する一方、私だけじゃないんだという思いを強くした」
 バウザーさんは淡々と話し始めた。右足は膝から下がなく、両手の指も多くが欠けている。父は枯れ葉剤を浴びたベトナム帰還兵。心身に不調を抱え、一九九八年に五十歳で亡くなった。
 「私が生まれる前に、母は二度も流産した。やっとの子宝だった私のことで、両親は自分たちを責め、その理由を探し求めた。行き着いたのが枯れ葉剤だった」
 米国には、二世被害者が少なくない。無毛症で子宮のない女性、臓器が腹部から体外に飛び出した状態で生まれた女性-。米政府は、枯れ葉剤を浴びた帰還兵は不十分ながらも支援している。半面、子孫の救済はごく一部にとどめ、バウザーさんを含め、ほとんどを無視している。
 昨年十月にバウザーさんが訪問したベトナムでも、被害者の援助体制には不備が目立った。米政府は責任を認めず、人道的立場から民間団体などを経由して援助しているだけ。被害者を取り巻く環境はまだ不十分だ。ベトナムには、分かっているだけで、二十八カ所の高濃度汚染地区が残り、新たな枯れ葉剤の一次被害者も生まれている。
 米国オハイオ州キャンフィールドで、枯れ葉剤被害の啓発活動をするバウザーさんは「父は私の被害を知り、『子どもまで戦争に連れて行くとは思わなかった』と漏らした。だけど、現地のベトナムでは連れて行くも、行かないもない。米政府は、枯れ葉剤被害の責任をもっと認識すべきだと思う」と話した。
     ◇
 枯れ葉剤のような合成化学物質の問題はほぼ半世紀前の六二年に予言されていた。米海洋学者レイチェル・カーソンが同年に出版した話題作「沈黙の春」には、こんな記載がある。
 「化学物質は放射能と同じように不吉な物質で、世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまう。今のうちに規制しなければ、大きな災害を引き起こすことになる」
 坂田監督は「警告は無視され、ベトナム戦争の傷痕は、当時、生まれてさえいなかった子どもたちに国境を越えて残されてしまった」と話し、こう付け加えた。
 「警告は、福島原発の事故をも暗示しているかのようだ。米軍は当初、『枯れ葉剤は人体に無害。土壌への影響は一年限り』としていた。原発事故でも『さしあたっての健康被害はない』とよく聞く。五十年後に傷痕が残らなければいいが」
     ◇
 「沈黙の春を生きて」は坂田監督の二作目。坂田監督は、ベトナム従軍兵だった米国人の夫を枯れ葉剤の影響が疑われる肝臓がんで亡くし、この問題に関心を持った。一作目「花はどこへいった」(二〇〇七年)は、ベトナムの被害状況をまとめたドキュメンタリー。パリ国際環境映画祭特別賞などを受賞した。
 「沈黙の春を生きて」は、今月二十四日から岩波ホール(東京)で、十一月五日から名古屋シネマスコーレでそれぞれ上映予定。あいち国際女性映画祭2011でも、九月十日午前十時から、ウィルあいち(名古屋)で上映される。

<枯れ葉剤> ベトナム戦争中、ジャングルでのゲリラ戦術に苦しめられた米軍が植物を枯れさせようと散布した合成化学物質。散布は1961年から71年まで続いた。成分のダイオキシンは人体の内分泌系や遺伝子に影響。枯れ葉剤を浴びたベトナム人や元駐留米兵には、がんや糖尿病の患者が多く、その子孫に先天性障害が多いことも分かっている。 



映画:24日公開「沈黙の春を生きて」に出演した米の枯葉剤被害者が来日

 
 ベトナム戦争で米軍が散布した枯葉剤の被害を追ったドキュメンタリー映画「沈黙の春を生きて」に出演した、米帰還兵の娘ヘザー・バウザーさんが来日し、坂田雅子監督と東京都内で会見した。
 坂田監督は、米帰還兵だった夫の死をきっかけに、枯葉剤の被害者や家族を取材し「花はどこへいった」(2007年)を完成。毎日映画コンクール・ドキュメンタリー映画賞などを受賞した。本作はその続編にあたる。
 レイチェル・カーソンの名著「沈黙の春」(1962年)からタイトルを引用した理由を「50年前の警告を聞かず、50年後に被害を起こした。私たちが50年後の未来に被害を起こすかもしれず、私たちのあり方を目を開いて見ていかなければならないと思った」と説明した。
 バウザーさんは、右足の膝下と手の指が欠損して生まれた。父はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などに苦しみ、50歳で亡くなった。今回の撮影でベトナムを初訪問し、被害者や家族と交流。「私と父の人生が破壊された場所は、怪物のような場所と想像していたが、情緒あふれる温かな人々がいた。そのことを知っただけでもはかり知れない癒やしだ」と語った。
 映画は24日から岩波ホールで公開。【長沢晴美】
毎日新聞 2011年9月5日


   

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