みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

大震災半年:どうなる、食の安全/放射性物質処理 廃棄物、法の想定外

2011-09-13 19:29:03 | 地震・原発・災害
福島原発事故から半年、今年はじめてサンマを食べました。

出始めたサンマを横目にみながら、買おうかどうしようかと迷っていたのですが、
北海道産の特大サンマが割引になっていたので買ってきて、塩焼きにしました。

   
例年ならサンマの時期は毎日のように食べるのですが、
今年は、たまにおいしそうなのを食べることにしています。

最近ブログに魚が載らないので、魚介類は避けているのかな
と思っていらっしゃる方もあるかもしれませんが、
とりあえず、産地を選んで、食べています。
   
とはいえ、
白身を食べたいと思った時、海の底にいるヒラメをやめて鯛にしたのと、
鯛を買う時に、関東以北の天然ものとそれ以外の産地の養殖ものが並んでいたとき、
まよったうえに、養殖ものを買いました。

少しでも安全(そう)なものを選んで食べてはいますが、
食べ物が放射能で汚染されている心配はあります。

ちまたでは「放射線に効く」という食べ物などあるといわれているようですが、
放射能を「無害」にするものはなさそうなので、
基本的には、「少しでも取り込むのを減らす」ために、情報を吟味して自衛するしかなさそうです。

東日本大震災:どうなる、食の安全/下 「放射線に効く」本当?

◇効果、動物実験中心/喫煙・紫外線など避け、がん予防を
 放射線が人体に与える影響を減らすためのさまざまな情報がインターネット上などで飛び交っている。国の暫定規制値を超えた食品は実際にはごく一部に限られているが、少しでも影響を軽減したいという消費者の思いが背景にある。「みそがいい」「ビタミンCがきく」など各種の情報は、どの程度信頼できるのだろうか。

 ●みそ
放射能対策として、具だくさんのみそ汁を勧める声もある=須賀川理撮影 よく知られているのが「玄米とみそ汁、海藻の食事には効果がある」という説だ。1945年8月9日、長崎に原爆が投下された後、長崎市内の病院の医師だった故秋月辰一郎氏が献身的に進めた食事療法が基になっているようだ。秋月氏は塩をふった玄米のおにぎりや、ワカメやカボチャなどをたくさん入れた濃いみそ汁を患者らに勧め、砂糖の摂取を禁じた。この食事療法を実践した人たちが「長く生き延びた」とされている。
 福島県郡山市で婦人科・心療内科「ロマリンダクリニック」を開業する富永国比古院長は秋月氏の食事療法について、「今の科学的な根拠から見ると、塩の取り過ぎは健康によくない。しかし、穀類や豆類、野菜、果物を中心とした食事は、今でも健康によい食事であり、貴重な歴史的体験だった」と評価する。
 みそを食べると放射線の障害を軽減できる、との説は他にもある。渡辺敦光・広島大原爆放射能医学研究所元教授らが90年代に実施したマウスの注目すべき実験がある。乾燥させた赤みそを10%混ぜたえさをマウスに1週間食べさせた後、放射線の一つであるX線(6000~1万2000ミリシーベルト)を照射したところ、普通のえさや食塩を混ぜたえさを食べたマウスに比べ、小腸の細胞がより多く再生されたという。発酵時間が長く熟成されたみそほど再生の効果が高かった。詳しいメカニズムは分かっていないが、X線を照射した後にみそを食べさせた実験では再生効果はなかった。
 「事前にみそを食べれば、放射線の害が軽くなる」という実験結果だが、渡辺さんは「人に当てはまるかは分からない」と話す。ただ「みその料理を食べること自体に害はないので、個人的には勧めたい」とする。
 ●ビタミンC
 抗酸化作用のあるビタミンCが放射線障害を防ぐ、との説もある。防衛医科大などの研究グループは、マウスに大量の放射線を当てた場合、事前にビタミンCを与えておくと、胃腸の粘膜がはがれ落ちる度合いが減って生存率が上がる、という実験結果を昨年発表した。ビタミンCが放射線の急性障害を軽くしたといえる。海外でも、ビタミンCの事前投与でマウスの精子の生存率が上がるなど、ビタミンCの効果を示す動物実験の報告例が多数ある。
 東京都健康長寿医療センター老化制御研究チームの石神昭人・研究副部長は「マウスの実験を人に適用できるかは疑問だ。現状では確実なことを言えるデータはない」とする。ただ、ビタミンCは健康維持に必要であるうえ、精神的なストレスなどで消費されやすいのも事実。石神さんは「放射線障害の問題とは別に、被災者はビタミンCの摂取を心がけた方がよい」とする。
 ●ペクチン
 「食物繊維の一種であるリンゴのペクチンがよい」という説はどうか。チェルノブイリ原発事故で被ばくした子供たちの治療の一環として、ウクライナの学者グループがリンゴなどに含まれるペクチン(1日2グラム)を加えた食品を18~25日間与える試験をした。ペクチンを摂取した子供たちは、比較のため偽の食品を摂取した子供たちより、体内のセシウム量が減少した。「ペクチンがセシウムと結合して排せつを促した」とされた。
 この結果を疑問視する専門家もいる。だが、ペクチンの作用を約30年間研究した田澤賢次・富山大名誉教授は「人の試験なので貴重なデータだ。水溶性ペクチンは加熱すると増えるので、電子レンジでリンゴを温め、1日1~2個食べれば効果的ではないか」と話す。ただし、ペクチンの取り過ぎは有用ミネラルを減らすため注意した方がよい。
  *
 各種のサプリメントに関する情報も多いが、動物実験が中心で、人に応用できるほど科学的根拠が確かなデータはほとんどない。島田義也・放射線医学総合研究所医療被ばく研究プロジェクトリーダーは「低線量の放射線で問題になるのはがんになる可能性だ。がんを促す喫煙、食べ過ぎ、紫外線、運動不足などに注意すれば十分だ」と強調する。
 とはいえ、健康への影響が心配で、自衛策を求める消費者は多い。石神さんは「政府がプロジェクトチームを作り、放射線障害を少なくする方法をもっと研究する必要がある」と訴える。【小島正美】

 ◆家庭でできる対策は
 ◇基本は水洗い/野菜は皮をむいて/玄米より白米

 食品を介した放射性物質の摂取を減らすため、家庭でも簡単にできる方法がある。
 まず、台所では「水洗い」が基本。ホウレンソウなどの野菜や魚を水洗いすれば、表面に付着した放射性物質は半分程度が除去できるとされる。煮れば煮汁に溶け出すのでさらに減る。ただし煮汁は捨てること。また野菜は皮をむくことも大切。ジャガイモやニンジンは皮をむけばセシウムが半分に減るという。
 セシウムがどの部位に多いかを知っておくと便利だ。米については、根からセシウムを吸い上げた場合、セシウムの約7割は茎に移り、食べる部分である白米には約7%しか移行しない。「セシウム汚染は玄米より白米の方が少ない」(畜産草地研究所)ともいわれる。
 魚は内部に放射性物質を取り込んだ場合、「内臓や骨より、身の部分に多く含まれる」(水産庁)という。ただ、魚の身には脳血管疾患の予防になるDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれており、健康維持には必要だ。
 消費生活アドバイザーの蒲生恵美さんは「放射性物質を避けようとして野菜や魚を食べないと、逆に健康にマイナスになることもある。冷静な判断が必要だ」と強調する。
毎日新聞 2011年9月13日


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東日本大震災:どうなる、食の安全/中 放射性物質、摂取わずか 

◇規制値の約50分の1/海底の魚介類、野生キノコ注意
 野菜や茶葉、牛肉などが連日、宅配便で届けられる。千葉県四街道市の食品検査会社「ハウス食品分析テクノサービス」。86年のチェルノブイリ原発事故を機に、ハウス食品が食品の安全確保のため導入した放射性物質の測定器がある。東京電力福島第1原発事故以降、全国の自治体や食品会社から続々と検査依頼が舞い込み、測定器はフル稼働だ。
 検査依頼品が届くと、担当の職員はすぐに食品を細かく刻み、専用容器に入れて、厚い鉛で覆われた測定器の内部に投入。測定データはコンピューターの画面上に表示される。
 測定時間が長いほど検出感度は上がるが、1検体30分程度で1キログラム当たり数ベクレル単位まで検出できる。前田理・分析サービス部長は「すぐに結果がほしいという依頼が多く、時間との闘いだ」と話す。
 福島原発事故が起こる前、外部からの放射性物質の検査依頼は一件もなかった。しかし、最近は東京都内の保育園や学校の給食用の食材が届くこともあり、検査希望は広がっている。
 「東都生協」(東京都世田谷区)もチェルノブイリ原発事故を機に測定器を購入したが、福島原発事故後は自ら販売している商品を連日、測定している。事故直後は微量なレベルまで測定していたため、1日4~5件が精いっぱいだった。しかし購入者から「検査数を増やしてほしい」との要望が増え、8月末から測定時間を短縮して1日当たりの検査数を2倍に増やした。
食品中の放射性物質を調べる測定器。手に持っているのは食肉のサンプル=千葉県四街道市のハウス食品分析テクノサービスで、下桐撮影 小売り現場にとっては、検査結果をどう消費者に伝えるかも課題だ。「余計な心配はかけたくない」として、国の暫定規制値を超えなければ、何も表示しないケースもある。ただ東都生協は、規制値以下でも、すべての数値を毎週ホームページ上で公表している。新谷喜久夫・安全・品質管理部長は「風評被害を防ぐためにも詳細な情報提供は重要だ」と指摘する。
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 では、福島原発事故以降、私たちが食品から摂取した被ばく量の総計はどれくらいに上るのだろう。厚労省薬事・食品衛生審議会作業グループが、日本人の食品からの平均摂取量と原発事故後の食品の実態を考慮した推定値を出している。それによると、事故直後から6月末までの4カ月間で、食品から取り込んだ放射性ヨウ素とセシウムの被ばく量は、全年齢平均で0・034ミリシーベルト(小児は0・065ミリシーベルト)。この4カ月間の状態が今後も続くと仮定すると、年間被ばく量は約0・1ミリシーベルトとなる。
 この数値は、国の暫定規制値の根拠となっているセシウムの上限値(年間5ミリシーベルト)に比べ、非常に低い。食の安全問題に詳しい消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「食品からの放射性物質の取り込み量は、予想以上に少なかった印象だ」と指摘。そのうえで「淡水魚や野生キノコなど、今も規制値を超えている例があり、検査結果には今後も目を光らせることが大切」と強調する。【下桐実雅子、小島正美】=次回は13日掲載
毎日新聞 2011年9月9日



東日本大震災:どうなる、食の安全/上 こだわりの土、汚された

◇特産モモ、規制値未満でも売れず/風評との闘い、続く
 住宅街を抜けると青々とした果樹園が広がる。JR福島駅から北約10キロの福島市飯坂町平野地区では、大粒のモモやナシが豊かに実っている。果物農家の金子清高さん(38)が一つ一つ丁寧にモモをもぎ、かごに入れていた。モモの収穫期は7月上旬から9月下旬で、例年通り忙しい日々だ。「今年は色もよく、形も整っている」と目を細める金子さん。しかし顔色はさえない。「毎年贈答用に注文してくれるお客さんから連絡が来ない。JAに運んでも価格が安くて……」
 福島県のモモの出荷量は山梨県に次ぐ全国2位で、県を代表する農産物だ。しかし3月の東京電力福島第1原発の事故を機に、原発から北西約70キロにある金子さんの農園周辺も厳しい逆風にさらされている。県による測定でモモの放射性物質が国の暫定規制値を超えたことは一度もない。しかしモモは売れないのだ。JA新ふくしまによると、例年の取引価格は1箱(5キロ)2000円程度だが、今年は1000円を下回り半値以下だ。
 福島県産などのホウレンソウが3月中旬、出荷停止となって以降、同県産の農産物の取引価格は軒並み下落した。だが、ホウレンソウの出荷停止は約3カ月後の6月中旬、警戒区域など一部を除いて解除され、野菜を巡る環境はやや改善。「モモまでは大丈夫だろう」と思ったが甘かった。既に出荷されていた福島県産の牛肉から規制値を超えるセシウムが検出され、7月19日、政府が出荷停止を指示したのだ。「売り場の商品は安全」と考えていた消費者の信頼が大きく崩れ、ちょうど出荷が始まったモモを直撃。販売をやめる量販店が出たうえ、贈答用のモモが売れなくなり、大量のモモが市場に入った結果、安値で取引されるケースが激増した。
 風評被害を抑えるのは容易ではない。金子さんは「とにかく実害を出さないよう、生産者としてできることを一生懸命やるしかない」とし、コツコツと地道な作業に取り組む。果樹園の土壌が汚染されているという根拠はないが、念には念を入れ、モモが土に触れないよう、枝を支える支柱を大幅に増やした。収穫したモモを入れる箱も地面に置かないよう気を使う。秋以降は土壌の入れ替えも検討するという。
 厳しい環境に押しつぶされそうになる生産者。しかし希望は捨てていない。JA新ふくしまなどが7月末、東京都内で実施した福島県産の農産物をPRするイベントでは、会場を訪れた消費者が「安全ですか?」ではなく、「おいしいですか?」と聞いてきたという。JA新ふくしまの集荷場責任者の一人、佐藤喜代治さん(48)は「安全を担保したうえで、おいしいものを作る。我々生産者ができることはそれ以外ない」と力を込める。

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 東日本大震災後に起きた原発事故を機に、食品の放射能汚染への懸念が広がっている。一部の食品からは規制値を超える放射性物質が検出されたが、実際はどうなのか。生産地から家庭の食卓まで、食を巡る現状を探った。
毎日新聞 2011年9月8日 東京朝刊



 大震災半年:放射性物質処理 廃棄物、法の想定外 

 大量の放射性物質が放出された東京電力福島第1原発事故から半年。原発の敷地外が放射性物質で汚染され、廃棄物の処理が必要になることは法の想定外の事態だった。福島の復興は行き場のない廃棄物に妨げられ、首都圏でも処分先探しに苦労する自治体は少なくない。対策の特別措置法も施行されたが、解決への道のりは遠い。

 ◆福島
 ◇仮置き場の確保難航 井戸水の汚染、住民懸念

 福島県では、住宅や通学路などの放射線量を下げる除染を本格化させる必要に迫られる中、放射性物質を含んだ泥などの仮置き場の確保が難航している。国は「中間貯蔵施設」を県内に設ける方針だが、実現のめどは立っていない。沿岸部のがれき処理も進んでいない。
 「放射性廃棄物をずっと置いたら、地下に染み込んで井戸水が汚染されるんじゃないか」。年間被ばく線量が局地的に20ミリシーベルトを超える恐れのある「ホットスポット」が見つかった伊達市霊山町の上小国地区。自宅が特定避難勧奨地点に指定されたものの、故郷に残ることを選んだ区民会長の菅野康男さん(74)は、蛇口から流れる井戸水を不安げに見つめた。
 伊達市は全域で除染を計画している。合併前の旧5町ごとに、放射性物質のたまりやすい雨どいや庭などから取り除いた泥や草などの保管場所を探しているが、当面は住宅の敷地などに仮置きしてもらう考えだ。厚手のビニール袋に詰めて地下への影響を防ぐとの説明に、ポンプで井戸水をくみ上げて生活する住民は納得していない。菅野さんは「早く除染し、避難した若い人に戻ってきてほしいんだけど……」と複雑な表情を見せる。
 福島県は面積が全国で3番目に広く山間部が多いため、上水道普及率が92・4%と全国平均の97・5%を下回る。上小国地区のように放射性廃棄物の地下水への影響を懸念する住民は少なくない。
除染で出た放射性廃棄物の仮置き場。奥に麻袋に詰めた状態で野積みされ、土のうで囲んで放射性物質の拡散を防いでいる=福島市大波で2011年9月5日、田中裕之撮影 仮置き場確保は都市部でも悩みの種だ。福島市は複数の公有地に仮置きする計画だが、場所が決まったのは中心部から離れた大波地区だけ。民家から約180メートル離れた約7000平方メートルの市有地だ。自治会長の男性(60)は「苦渋の選択として容認しただけで、他地域の汚泥は受け入れたくない」と断言する。
 除染に伴う放射性廃棄物について、国は8月26日に「当面、市町村またはコミュニティーごとに仮置き場を持つことが現実的」とする基本方針を決定。国の原子力災害対策本部は「仮置き場が確保できない状況は聞いているが、地元で決めてもらうしかない」との立場だ。
 中間貯蔵施設も候補地や構造は具体化していない。「国は帰郷が難しい原発周辺の地域に中間貯蔵施設を押しつけるのだろう」「住民の理解を得るには相当な時間がかかる」「ゴールが見えないまま走り続けているのと同じ」。復興の最前線に立つ県や市町村の職員からは、国の対応にいらだちの声が上がる。
 放射性物質に汚染された沿岸部のがれき処理も行き詰まっている。南相馬市のがれきの総量は推計約61万トン。警戒区域などを除き、住民が生活できる地区のがれき約40万トンは9カ所に山積みされている。国はがれきの焼却灰の処理方法を8月末にようやく示したが、市職員は「がれきの量が多すぎて分別作業が進まず、焼却や処分場への運搬の見通しはたたない」と嘆く。【田中裕之、神保圭作】

 ◆千葉
 ◇焼却灰搬入、拒否拡大 炉の高性能裏目、セシウム濃縮

 大気中の放射線量が比較的高い千葉県北西部。子供を持つ母親らから「行政の対応が鈍い」と抗議を受けた各市は、公園や保育園などで草刈りなどを進めるが、草木を燃やすごみ焼却場の焼却灰の汚染濃度が急上昇する状況に陥った。
 焼却炉の性能が高いことが裏目に出る事態も起きている。性能が高いほど焼却灰の体積が小さくなるため、放射性セシウムが濃縮されるからだ。柏市の2カ所の焼却施設では、性能が高い炉は1キロあたり7万800ベクレル、低い炉は9780ベクレル。千葉県の担当者は「環境対策に積極的な施設ほど、高濃度の焼却灰を抱える。皮肉な結果です」と顔を曇らせる。
 こうした中、焼却灰の搬入先で受け入れ拒否の動きが拡大した。柏市内にある埋め立て施設の周辺住民が猛反発。最高同5万ベクレル弱の灰を再び掘り出し、清掃工場敷地内に戻す方針を表明する事態に発展した。
空きスペースが少なくなり、2段に積み重ねられて一時保管される汚染焼却灰=千葉県流山市クリーンセンターで8日午後2時半、橋口正撮影 秋田県小坂町の処分場への搬出停止が遅れ、同町に向け汚染焼却灰を搬出してしまった柏の西隣の流山市は、市長自ら搬入先を訪ね、「被害者だと思っていたが、加害者になってしまった」と謝罪した。連絡が埋め立て処分に間に合わなかった南隣の松戸市については、同町が焼却灰の受け入れ合意自体を破棄。途中駅で止まっていた両市からの焼却灰はコンテナごと送り返された。
 保管中の焼却灰は柏市で300トン、流山市で200トンを超える。流山市は施設内の空き地や駐車場に張ったテントで管理するが、9月下旬には保管スペースがなくなるため、新たな保管場所確保を迫られている。
 埋め立て可能にするには、焼却灰の汚染濃度を下げるしかない。3市は草木を分別収集して焼却しないことにしたが、草木はビニールシートをかけて市有地などに保管されたまま。担当者からは「先送りに過ぎない。秋の落葉シーズンを乗り切れるのか」との声も漏れる。3市の市長らは8月31日、森田健作知事を訪ね、「一つの市だけで対応できない」と窮状を訴えた。
 「不安に適切に対応できていないとのお叱りを受けます。大変申し訳ありません」。柏市の秋山浩保市長は1日配布の広報紙に、異例の謝罪コメントを掲載した。【早川健人、橋口正、斎藤有香】

 ◇谷間に「ダム」/コンテナで遮断--専門家提案
 政府は放射性物質で汚染されたがれきなどについて「放射性物質に汚染された恐れのある廃棄物」と位置づけ、警戒区域などを除く地域で廃棄物処理法を適用し処理することにした。「8000ベクレル以下は管理型処分場に埋め立て可能」とする考え方を示している。
 だが、処理は進んでいない。下水処理場の汚泥や焼却灰の場合、従来はセメント業者に引き取ってもらっていたが、原子炉等規制法で「放射性物質として扱う必要がない」とされる基準の1キロ当たり100ベクレル(製品段階)を超える汚泥が多い。国土交通省は「汚染の濃度を下げられればいいが、かなり難しい。自治体に処分場を確保してもらうしかないが、処分業者や住民の理解をどう得るかが課題」と話す。
 処分法について、福島県伊達市の除染アドバイザーを務める田中俊一・元原子力委員会委員長代理は、生活圏から離れた谷間にダムのような施設を作って廃棄物を入れる「管理型仮置き場」を提案する。谷底には放射性物質を吸着する鉱物のゼオライトや遮水シートを敷き、上から汚染されていない土をかけて放射線を遮断する。地下水などに放射性物質が漏れていないかを監視する態勢を取る。
 最終処分の量を減らすため、圧縮などで体積を小さくすることも考えられるが、田中さんは「分別が欠かせないため、作業員の被ばくの危険性が増す。時間もかかる」として否定的だ。
 一方、南相馬市の除染に協力する児玉龍彦・東京大教授は、汚染土壌を入れたコンテナを浅い地中に埋める「人工バリアー(障壁)型処分場」を提案している。長期の管理を見据え、児玉教授は「埋めた場所が分からなくなると掘り直しが不可能になるので、どこにコンテナを埋めたか分かるように住民への情報開示が重要」としている。【江口一、樋岡徹也、久野華代】
毎日新聞 2011年9月9日  


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