友人のジャーナリスト、相川俊英さんが、
「ルール形骸化で「もらいたい放題」の行政委員
住民訴訟で原告に軍配を上げた仙台地裁の気概」を書かれたので紹介します。
記事は、「ダイヤモンド・オンライン」に連載されている、
「相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記」の最新記事です。
ちなみに、行政委員の報酬については、わたしたちも現在、岐阜県を相手に住民訴訟中です。
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前にブログでも紹介したのですが、相川さんは前回までの連載で大阪ダブル選の記事も書かれていて、
今週号には「大阪特集」を八頁書かれたそうです。
ぜひお読みになってください。
関連の、毎日新聞のダブル選挙の「記者の目」も紹介します。
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「ルール形骸化で「もらいたい放題」の行政委員
住民訴訟で原告に軍配を上げた仙台地裁の気概」を書かれたので紹介します。
記事は、「ダイヤモンド・オンライン」に連載されている、
「相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記」の最新記事です。
ちなみに、行政委員の報酬については、わたしたちも現在、岐阜県を相手に住民訴訟中です。
【相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記 第39回 】 ルール形骸化で「もらいたい放題」の行政委員 住民訴訟で原告に軍配を上げた仙台地裁の気概 2011.12.09 ダイヤモンド・オンライン 原告側がめったに勝てない住民訴訟 仙台地裁の判決がイメージを覆した! 住民が行政(自治体)を訴えるいわゆる住民訴訟で、原告側の勝訴となるケースはめったにない。日本の裁判所は行政の違法行為を指摘する住民側ではなく、相手側に軍配を上げるのがほとんどだ。 そうした司法の判断に「結局、裁判官も行政マンと同じお役人にすぎない」と、不信感を募らす住民も少なくない。裁判官が自分たちの訴えをきちんと受け止めず、行政側の言い分をそっくり鵜呑みにしているとの不満である。 住民訴訟はいつも住民敗訴――。そんな半ば諦めの声が全国に広がる中で、誰もがびっくり仰天する判決が飛び出した。仙台地方裁判所が今年9月、ある住民訴訟で原告勝訴を言い渡したのである。 「それほど働いていない人にこんなに支払うのは、税金の無駄遣いだ。そもそも日額制が原則なのに、特別な事情のないまま月額制にしているのは、不当だ」 こう語るのは、「仙台市民オンブズマン」のメンバーで弁護士の齋藤拓生さん。 齋藤さんら「仙台市民オンブズマン」は、仙台市が非常勤行政委員に月額で報酬を支払っているのは勤務実態に合わず不当だとして、報酬の支出差し止めを求める住民訴訟を起こしていた。月にわずか2、3日しか勤務しない非常勤行政委員に、月額約10万から約30万円もの報酬を支払っているのは、違法だと訴えたのである。 これに対し、仙台地方裁判所は9月15日、「非常勤行政委員の報酬は、勤務に対する給付としては著しく不合理だ」と認定し、齋藤さんらの訴えを認める判決を下した。 自治体の中で重要な役割を担う存在でありながら、何をやっているのか住民からはよく見えない部署がある。その代表事例と言えるのが、監査委員会や教育委員会といった行政委員会だ。専門知識が必要とされたり、公正中立な立場が求められる業務を合議制で行なう、自治体の執行機関の1つである。 行政委員会の設置は、法律の定めるところにより、権力の集中を排除する意味もあって、首長から直接の指導や監督は受けない。また、委員は専門家など一定の選任資格が定められ、議会での選挙や同意などによって選ばれる。 「人格が高潔で識見のある者」が就く特別なポストとされた。委員には任期があり、また、自らの意に反して罷免されることはない。職務の独立性を保障しているのである。 市町村に設置される行政委員会は、教育委員会や選挙管理委員会、人事委員会または公平委員会、監査委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会の6種類。都道府県には教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員会、公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会の9種類である。 「日額制」を原則と規定する地方自治法 例外の月額制を逆手に取った行政委員 各種行政委員は一部を除き、ほとんどが非常勤である。また、各委員会には事務局が常設されており、自治体職員が常勤スタッフとして配置されている。彼らが委員の職務を補助する建前となっている。 地方自治法は、こうした非常勤の行政委員の報酬について「勤務日数に応じて支給する」とし、「日額制を原則」と規定している。その上で、但し書きに「条例で特別の定めをした場合、勤務日数によらずに報酬を支給できる」と書き加えている。 この規定は、1956年の法改正で盛り込まれたもので、当時選挙管理委員会や人事委員会などの非常勤行政委員が、常勤職員とほぼ同様に出勤していた実情を反映させたものだ。 各種行政委員を一律で月額制にしたり、法律で個別に月額制するのも妥当でないと考え、自治体の自主性を尊重して条例による例外(月額制)を認めることになったのである。 つまり、非常勤行政委員の勤務実情により、例外的に月額制を採用してよいというのが、そもそもの法の趣旨である。 ところが、である。ほとんどの自治体がいつの間にか原則と例外を逆転させ、非常勤行政委員の報酬を月額制にしてしまったのである。同時に、行政委員のポストを特定団体や議員、自治体OBなどの指定席に変えていった。 まるで、委員にふさわしい「人格が高潔で識見のある人物」が、行政周辺にしか存在しないかのようになっていった。 こうして行政委員と行政の馴れ合い関係が深まり、行政委員の職務は事務局の手の平で踊るだけになっていった。独立した執行機関というよりも、単なる事務局の追認機関に変質していったのである。 行政委員会制度の形骸化、ないしは、御用委員会化だ。もちろん、全国の自治体に共通して見られる現象である。 仙台市の言い分に説得力はまるでなし 勤務実態を丹念に分析した画期的な裁判 仙台地裁の裁判官は、非常勤行政委員の勤務実態を詳細に分析し、その上で判決を下している。膨大な議事録を読み込み、さらには非常勤委員らの証人尋問まで実施した。 これにより、「勤務時間以外に事前準備などに相当の時間を費やす」「本業の活動が制限される」「人材確保の見地から月額制が必要」といった仙台市の主張は、ことごとく退けられた。 なにしろ、当の非常勤行政委員らから「総選挙だからといって大変ということはない」(選挙管理委員)「本業に支障はない」(人事委員)「委員に就任するまで月額報酬制を知らなかった」(監査委員など)といった証言が飛び出したのである。仙台市の言い分に説得力がないことが明らかになったのだ。 原告の齋藤弁護士は「当局が提出した書類や主張だけで判断する裁判官が多い中で、議事録を読み込み、委員の訊問まで行なって勤務実態を丹念に分析した上での画期的な判決だ」と、評価する。 平均勤務日数2.0日で29万8000円? 全国に見られる行政委員のやりたい放題 では、非常勤行政委員の勤務実態とその報酬はいかなるものだったのか。裁判所の認定(06年度から09年度)によると、監査委員(有識者)の月平均勤務日数はわずか2.0日で、月額報酬は29万8000円。日当に換算すると、14万9000円になる。 市選挙管理委員は月平均1.7日の勤務で、報酬は月20万3000円。日当換算で11万9000円となる。会議への出席が主な仕事で、独自に調査や研究を行なうことはなく、会議も1時間程度で終わる。 なんともおいしい仕事ではないか。人格が高潔な人物に対してとはいえ、いったい何のために高額な報酬を支払い続けるのか。その実態を知れば知るほど、疑問が膨らむはずだ。そして、その原資が血税であることに着目すれば、怒りが沸き上がってくるのではないか。 非常勤行政委員の月額制を違法とされた仙台市は、9月27日、日額制では行政委員の成り手がいなくなると思っているのか、判決を不服として控訴した。ちなみに、国の非常勤行政委員は日額3万7000円以内で、各庁の長が定める日当制となっている。 非常勤行政委員は全国の自治体に存在し、そのほとんどが月額の報酬を手にしている。しかし、そうした事実を知らずにいる住民も多く、是非をめぐる議論は一部の自治体にとどまっている。 全国の自治体が早急に改善すべき課題であることは、間違いない。 |
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前にブログでも紹介したのですが、相川さんは前回までの連載で大阪ダブル選の記事も書かれていて、
今週号には「大阪特集」を八頁書かれたそうです。
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関連の、毎日新聞のダブル選挙の「記者の目」も紹介します。
記者の目:大阪ダブル選挙「橋下・維新」圧勝=林由紀子(大阪社会部) ◇政策のデメリット含め語って 大阪府知事と大阪市長のダブル選(11月27日に投開票)で大阪市民が市長に選んだのは、「市長なんかいらない」「市役所をつぶして一から作り直す」と訴え、府知事から転身した橋下徹氏(42)だった。大阪市などを解体して都と特別自治区に再編する「大阪都構想」を掲げた橋下氏は、行政改革の断行や経済再生など、有権者の心をくすぐる訴えで75万票(得票率59%)を集めた。その選挙戦術のうまさには脱帽したが、一方で都合の良い部分だけを拡大して見せる政治手法には違和感を覚えた。 私は、告示前から約4週間、橋下氏を追いかけた。街頭では連日、有権者に交じって演説を聞き、商店街での練り歩きにも同行した。 ◇巧みな弁舌で聴衆を感化 橋下氏の演説手法は明快だ。相手候補や既成政党を、改革を阻害する「抵抗勢力」として一刀両断。「このままでは大阪はじり貧だ」「5年、10年後には給料が3割下がる」と断定口調で危機感をあおり、「変えるのか、変えないのか」と二者択一を迫る。巧みな弁舌が醸し出す高揚感の中で、聴衆たちが次第に感化されていく雰囲気がはっきりと体感できた。 こんな場面もあった。 橋下氏が自ら率いる政党「大阪維新の会」は、選挙に先立つ8~11月、大阪市内24区で、政策を説明するための「区民会議」を開いた。橋下氏や市議が学校選択制などについて政策を示し、地域住民と話し合う。ある区では、冒頭、制度への賛否を問うと、「賛成」は2~3割だった。それが、橋下氏が数十分話した後では、8割近い人が賛成に手を挙げた。橋下氏のカリスマ性が際立ち過ぎて、人気という言葉だけでは表せない怖さも感じた。 一方、巧みな弁舌とは裏腹に、政策の中身に関する説明には不信感を抱いた。 例えば、最大の争点となった都構想だが、維新が作成した「大阪都構想推進大綱」などでは、市内24区を30万人規模で8~9の特別自治区に再編するとしている。ところが、橋下氏は個人演説会の会場や街頭でそうした説明はほとんどせず、灰色一色に塗りつぶした大阪市の地図と、24区を24色に色分けした地図を並べたちらしを配布。「今はネズミ色一色の24区を24色多色豊かな大阪市に」と訴えた。 ちらしを見れば思わず橋下氏の訴えに飛びつきそうになる。だが巧妙な「争点ぼかし」に思えた。市民になじみのある現在の区をなくして再編することに対する拒絶反応を考慮し、都構想の根幹に関わる大事な部分を隠したといわれても仕方ないだろう。 橋下氏はこうした手法について記者から「都構想を問うていることにならないのでは」と質問されると、「8~9というのはゴール。まず方向性を示すのが政治であって、手法のことは今言わなくていい」「民意をいかにマネジメントしてうまく利用するかを考えるのが政治戦略だ」とかわした。しつこく追及すると、「マニフェストに書いていることを全部言わなきゃいけないのか。正確に伝えるのはメディアの皆さんの責任だ」と反ばくする。これでは責任転嫁ではないか。 間近で見ると危うさをはらむ橋下流だが、多くの有権者の目には、大阪を前向きに変えてくれそうな「期待の星」と映ったようだ。 ◇「停滞ムードを変えてほしい」 「何かを変えてくれそうだから」。橋下氏を支持する有権者に理由を尋ねると、この言葉が多く返ってきた。長引く景気低迷は、中小企業が多い大阪に深刻な影響をもたらし、停滞ムードが強まっている。橋下氏に集まる支持は、「新しい切り口で大阪を再生してほしい」という有権者の意識を反映している。橋下氏は、そんな雰囲気を鋭くかぎわけ、「改革者」を演出することで選挙に勝利した。 だが、選挙結果で見逃せない点がある。橋下氏に対抗した現職候補の平松邦夫氏(63)が、前回を16万票上回る52万票(得票率41%)を集めたことだ。民主、自民両党だけでなく、共産党まで自主的支援に回ったのは、政治的立場の違いを超えて、橋下氏の政治手法に対する共通の危機感があったからだ。 大阪を活性化させる改革には、確かに突破力も必要だろう。しかし、市民はすべてを白紙委任したわけではない。橋下氏の政治手法に警戒感を抱く人が多いことも示された。選挙中に説明が不足していた政策の中身を、デメリットも含めて正直に市民に語ることが何より重要ではないか。 性急なやり方では市民はついてこない。人々が本当に納得できる形で、大阪再生を目指す改革に取り組んでほしい。 ============== ご意見をお寄せください。〒100-8051毎日新聞「記者の目」係/kishanome@mainichi.co.jp 毎日新聞 2011年12月9日 東京朝刊 |
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