みどりの一期一会

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「慰安婦」問題 国の責任を明確にせよ/首脳会談「慰安婦」で緊迫 日韓の溝、浮き彫り

2011-12-20 19:18:39 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日は、立て続けの来客・インタビューなどでテレビやPCを見る暇もなく
夕方になり、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記死去の報を知った。
どこを見ても、北朝鮮の国民の嘆き悲しみぶを写していたけれど、
かの国では、いつも監視の目が光っており、嘆き悲しまなければ連行される、らしい。

前日の18日には、来日した李明博(イミョンバク)大統領と野田首相との日韓首脳会談が行われた。
金正日総書記死去の報でマスコミの関心はそちらに移ったけれど、
元従軍「慰安婦」の賠償請求権問題については、日韓の対立で緊迫した展開となったことなど、
いくつかの新聞で取り上げているので紹介します。

わたしは、琉球新報の「『慰安婦』問題 国の責任を明確にせよ」の社説に共感します。

  クローズアップ2011:首脳会談「慰安婦」で緊迫 日韓の溝、浮き彫り  

 日韓首脳会談は、旧日本軍の元従軍慰安婦問題で両首脳が応酬する異例の展開となり、緊迫した空気に包まれた。両政府とも野田佳彦首相の就任以降、首脳が頻繁に往来する「シャトル外交」を本格再開して連携強化に努めてきただけに、泥沼化は避けたいところ。ただ、韓国側は強硬な世論を背景に後に引けず、政権が盤石と言えない日本側も従来の立場は崩せない。解決の糸口がないまま事態が長期化する可能性も出てきた。

 ◇友好演出、成果なく--日本
 「残念な会談だった。野田首相は主張すべきところは主張したが、反省すべきところもいろいろあるかもしれない」。首相周辺は18日午後、慰安婦問題を巡って予想以上に厳しいやりとりとなった首脳会談を振り返った。
 慰安婦問題について、10月の日韓首脳会談で李明博(イミョンバク)大統領が持ち出さなかったこともあり、日本政府内では当初、危機感は薄かった。しかし、今月14日にソウルの日本大使館前で元慰安婦を象徴する像が設置されたのを受け、韓国世論が沸騰。国内でも自民党国会議員らが反発した。日本政府関係者は「像が建つ前と建った後では状況が違う。こちらもモノを言わないと日本の世論がもたない」との認識を示すようになった。
 首脳会談に備えて慰安婦問題を巡る韓国側の出方を3段階程度に分けて想定問答を作り、首相を交えて入念に準備をした。韓国側も会談に先立つ17日夜、首相と大統領が通訳だけを交えて1対1で懇談するよう日本側に要請。官邸筋は「18日の首脳会談で厳しいやりとりをせざるを得ないので、事前に真意を伝えたかったのではないか」と解説する。
 李大統領は、これまで歴史問題に抑制的に対応してきた。日本側は大統領の姿勢を評価。李大統領の任期中に日韓関係を深化させようと友好ムード作りに努めてきた。10月の首脳会談で、国際金融市場の混乱時などに外貨を融通し合う日韓通貨融通(スワップ)協定の限度額拡充で合意したり、植民地時代に日本に渡った朝鮮半島由来の図書を引き渡したのは、その一環だ。
 今回の会談でも、首相は両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)問題を取り上げたが、直接的表現を避けた。しかし、こうした日本政府の配慮は、急速に硬化した韓国の国内世論にかき消された格好だ。
 会談終了後、同席者の一人は「難しい状況の中で何とか首脳間の信頼関係を壊さずに切り抜けられた」と語った。ただ、日本側が期待した日韓経済連携協定(EPA)の交渉再開に向けた進展や安全保障面での協力などは、慰安婦問題で脇に追いやられる結果となった。【横田愛、福岡静哉】

 ◇大統領、世論を意識--韓国
 会談後、韓国の朴正河(パクジョンハ)大統領報道官は、記者団に「慰安婦問題ばかりだった」と強調。李大統領が「法以前に国民情緒、感情の問題だ」と主張し、野田首相に政治決断を求めたと紹介した。これまで歴史問題を持ち出さなかった李大統領としては異例といえる。
 背景には、韓国で慰安婦問題への関心が高まっていることや、憲法で再任が禁じられている大統領の残り任期が1年余りとなり、大統領が求心力を失っていることがある。
 韓国憲法裁判所は今年8月、元慰安婦への賠償問題で韓国政府が具体的な取り組みをしてこなかったことを違憲と判断。これに加えて、会談直前にソウルの日本大使館前に慰安婦の像が設置されたことで世論が熱を帯びた。政治的に弱くなった大統領が世論に押された形だ。
 一方、日本が主要議題と位置づけた日韓EPAには、韓国はもともと大きな関心を持っていない。北朝鮮問題も、現在は米朝協議が焦点とあって日韓で話せることは限られている。
 大統領に対しては、現政権の大企業優遇が深刻な格差拡大を招いたという不満が強いうえ、最近は大統領の親族がらみのスキャンダルが次々と明るみに出て支持率は下がるばかり。来春の総選挙への影響を恐れる与党ハンナラ党の中から、離党を要求する声が公然と出るほどだ。
 今回、慰安婦問題を取り上げなかったら、李大統領に強い批判が浴びせられたことは確実だ。ただ、対日非難が支持率回復の特効薬だった時代はもう終わっている。同党の中堅議員は「これで支持率が上がることはない。支持率低迷の最大の原因は経済だから」と切り捨てた。【ソウル澤田克己】
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 ◇従軍慰安婦問題などをめぐる日韓関係の主な動き

1910年 8月  日韓併合条約締結
1945年 8月  終戦。植民地支配終わる
1965年 6月  日韓基本条約締結。付属協定で請求権問題について「完全かつ最終的に解決された」と明記
1991年12月  韓国人元慰安婦らが日本政府に補償を求めて提訴
1992年 1月  宮沢喜一首相が盧泰愚大統領との会談で慰安婦問題について謝罪
1993年 8月  日本政府が慰安婦問題の調査結果を公表。河野洋平官房長官が「心からのおわびと反省の気持ち」を表明する談話を発表
1995年 7月  女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)が正式発足
      8月  村山富市首相が終戦50年の談話を発表
2002年5~6月 サッカー・ワールドカップを日韓共同開催
2004年 7月  小泉純一郎首相が韓国・済州島を訪れて盧武鉉大統領と会談。シャトル外交スタート
2007年 3月  アジア女性基金が解散
2010年 8月  菅直人首相が日韓併合100年にあたっての談話を発表
2011年 8月  韓国の憲法裁判所が元従軍慰安婦の賠償請求権について、韓国政府が解決に向けた具体的な努力をしないのは「違憲だ」と判断
      9月  日韓外相会談で、韓国側が元従軍慰安婦の賠償請求権をめぐる政府間協議を提案
     10月  野田佳彦首相と李明博大統領が会談。朝鮮半島由来の図書1205冊のうち5冊を引き渡す
     12月  韓国の市民団体がソウルの日本大使館前に、慰安婦問題を象徴する少女のブロンズ像を設置
毎日新聞 2011年12月19日 



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日韓首脳会談:野田首相、慰安婦問題は「決着済み」 

 野田佳彦首相は18日、韓国の(李明博、イ、ミョン、バク)大統領と京都迎賓館(京都市)で約1時間会談した。大統領は旧日本軍の元従軍慰安婦の賠償請求権問題について「両国関係の障害物となっており優先的に解決しなければならない」と解決に向けた首相の政治決断を強く求めた。これに対し、首相は「我が国の法的立場はすでに決まっており決着済みだ」としたうえで、韓国の市民団体がソウルの日本大使館前に設置した元慰安婦を象徴する少女のブロンズ像の撤去を要請した。
 李大統領が日本の首相との会談で、慰安婦問題解決を具体的に迫ったのは初めて。韓国国内で元慰安婦の賠償請求問題が再燃していることが背景にある。韓国側の説明によると、会談のうち約40分が慰安婦問題に割かれた。
 会談では、冒頭のやりとりの後、首相が「経済、安全保障の話をしたい」と水を向けたのに対し、大統領は「経済問題の前に慰安婦問題の話をしなければならない」と切り返し、「日本政府が認識を変えれば、すぐに解決できる問題だ」と強調。元慰安婦の女性が高齢になっていることから「今しか解決できない」とし、「首相の大きな次元での政治決断を期待する」と迫った。
 日本政府は、65年の日韓基本条約に伴う請求権経済協力協定で慰安婦問題などは法的に解決済みとの立場。首相は大統領に対し、日本の立場を伝えたうえで、「これからも人道的見地から知恵を絞っていく」と述べた。
 一方、首相はブロンズ像について「誠に残念だ」として早期撤去を要請した。これに対し、大統領は「日本政府が少しでも(慰安婦問題に)関心を見せたなら起こらなかったことだ。誠意ある措置がなければ第二、第三の銅像が立つ」と述べ、日本側の対応がまず必要との認識を示した。
 また、首相は日韓両国が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)を念頭に「日韓間には、日本側が提起している問題を含めて困難な問題がある」と指摘した。首相は、交渉が中断している日韓経済連携協定(EPA)や、北朝鮮問題、安全保障協力などにも触れたが、大統領が慰安婦問題に繰り返し言及し、議論は深まらなかった。【横田愛】
毎日新聞 2011年12月18日  


社説:「慰安婦」問題 国の責任を明確にせよ 
2011年12月18日 琉球新報

 日本政府に過去の歴史と謙虚に向き合う姿勢が求められている。
 来日した李明博大統領は日韓首脳会談で、旧日本軍による「慰安婦」問題を取り上げる意向だ。しかし日本は、過去に何度も謝罪しており「解決済み」との従来の立場を変えていない。
 「解決済み」とは加害側が使う言葉ではあるまい。一般的に加害者が罪を認めて謝罪し、被害者がそれを受け入れなければ解決とみなされない。
 アジア太平洋戦争中、中国や朝鮮半島などから女性が暴力的に拉致されるなどして、日本軍による性暴力被害に遭った。未成年の少女たちも多く含まれていた。軍や警察の統制下で移送され、居住の自由、外出の自由もなかった。
 日本政府は1993年、当時の河野洋平官房長官が軍の関与を認め「おわびと反省」を表明する談話を発表。「女性のためのアジア平和国民基金」を発足させ、国家賠償ではなく民間募金を「償い金」として渡した。
 だが、この官房長官談話は、政府の最高意思決定手法である閣議決定を受けていない。被害者は日本政府の明確な謝罪を求め、「償い金」の受け取り拒否が続出した。
 来春から使われる中学教科書に「慰安婦」の記述はない。歴史教育の中で、軍による女性に対する性暴力の事実は伝えられない。
 韓国国会は2008年、日本政府による公式謝罪、被害者への賠償、歴史教科書への反映などを求める決議案を全会一致で採択している。ことし8月、解決策を講じない韓国政府に対し、同国の憲法裁判所が違憲判断を示した。
 日本は国際社会からも批判されている。「20世紀最大の人身売買」(米議会)として米国、カナダ、欧州議会は07年、日本政府に公式謝罪を求める決議を可決した。
 沖縄戦中、朝鮮半島出身の「慰安婦」が存在した。約150人の女性たちを韓国に送還したことが米軍政活動報告(1945年)に記録されているが、詳細は分からない。
 「未来志向の日韓関係」を築くためには過去の歴史に目を閉ざしてはいけない。被害者は高齢であり、日本政府がこれ以上訴えを放置し続ければ、「人権侵害国」と批判されても仕方ない。
 早急に国会決議や閣議決定などの形で国の責任を明確にし、被害者に謝罪と賠償を行い、名誉を回復しなければならない。 


  
  黒豚と野菜で久しぶりの酢豚。菜花のお浸し。赤カブの酢漬け。

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