みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

瀬戸内寂聴さん「この道:女性の力」で上野さんのスピーチ絶賛/もっと増やし政治を身近に 女性地方議員

2012-02-01 21:24:20 | ジェンダー/上野千鶴子
夕方から牡丹雪が降っています。
岐阜県飛騨地方は、1メートルを超える大雪になっています。
 
中日新聞の夕刊で連載している瀬戸内寂聴さん「この道」。
伊藤野枝さんや「青鞜」の女たちのことを書いていらっしゃって
毎日、楽しみに読んでいます。
西日本新聞などにも載っているようなので、共同通信の配信でしょうか。

60回目となる昨日は「女性の力1」。
読み進めていったら、上野千鶴子さんの「朝日賞」序章式でのスピーチのことに言及されていました。
雪のなか、きょうの夕刊が届くのも待ちどおしく、つづく「女性の力2」を読みました。

上野さんはもちろん、20代からの上野さんに注目し、
「主張や生き方に陰ながら拍手を送っていた」瀬戸内寂聴さんもあらためて好きになりました。



「この道」 瀬戸内寂聴(60) 女性の力1

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・日本の女性の立場はずいぶんと変わった、進化したと感じていた。
 ところが4日前の2012(平成24)年1月27日、2011年度「朝日賞」の 授賞式の席上で、受賞者の一人 上野千鶴子さんの受賞の言葉を聞いて、目をはじかれたように思った。
 上野さんは人も知るわが国の社会学者で、独身を通し、「女性学・フェミニズムとケア問題の研究と実践」が認められ、今度の受賞の理由にもなった女学者である。私は上野さんがまだ20代から上野さんの主張や生き方に陰ながら拍手を送っていたので、いつになく華やかな和服の晴れ姿を見て、どんな挨拶をされるのかと期待して耳を澄ませた。 上野さんは、和服姿にふさわしいしとやかな身動きで壇上を歩き、落ち着いた声で話し出した。
 「学問の世界にもベンチャーがあります。私の世代が大学に行った頃には女性学という学問はありませんでした。私たちの世代は皆、パイオニアです。独学で学び、いまは教える立場になっています」
 と爽やかな声が続いた。
(2012.1.31 中日新聞)
======================================================================================
「この道」 瀬戸内寂聴(61) 女性の力2

 聞いていた私はどきっとした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 上野さんは、今度の賞は彼女とともに女性学、フェミニズムを担ってきたすべての
女たちの活動を評価されたものだろうと謙遜したうえで、
「日本では、女性の力はいかされていません」
 と声を強めた。上野千鶴子さんの言葉は続き、今度の震災後の復興構想会議でも15人の委員のうち女性は1人だったことに非常にショックを受けたと言う。
 「震災からの復興も、日本の未来も女性の力なしではできない」 
 とつづけた。
 「女性の声が政治に届いていれば、もしかしたら原発を造らずにすんだかもしれないと痛恨の思いです」
 ・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 戦後、強くなったのは靴下と女だなどと言われていたのも、もう半世紀以上も昔の話になっている。女の政治家も一向に増えないし、人気もつづいたためしがない。
 では百年前の「青鞜」時代から、女は果たしてどれほど地位を向上させてきたのか。やはり、自分の書いてきた女たちの生き方を、たどり直すしかないと思った。
(2012.2.1 中日新聞)


「女性の力なしに未来ない」上野千鶴子さん朝日賞受賞スピーチ(2012-01-31)

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東日本大震災で被災しながら一日も欠かさず新聞発行を続けた
注目の河北新報の昨日の社説は「もっと増やし政治を身近に/女性地方議員」。
女性の存在とちからが、見直され始めているのはうれしいことです。

読んでほしい 「河北新報のいちばん長い日」(河北新報社著)

河北新報の震災報道をドラマ化 テレビ東京系で3月放送
(2012/01/26 共同通信)



  社説:もっと増やし政治を身近に/女性地方議員 
2012年01月31日火曜日 河北新報

 地方議会における女性議員の割合が、依然として低水準にとどまっている。徐々に上昇を続けてはいるが、増加のテンポは鈍いと言わざるを得ない。
 統一地方選の年に合わせ、4年ごとに女性議員の調査をしている財団法人「市川房枝記念会女性と政治センター」によると、昨年6月現在の女性議員は都道府県議、市区町村議を合わせ全国で3942人。地方議員総定数に占める割合は前回比0.9ポイント増の11.1%と、過去最高を更新した。
 女性議員の割合は調査を始めた1971年の0.8%から一貫して伸びており、この点は評価できるが、ほぼ10人に1人しかいない現状を喜ぶことはできない。
 男女共同参画社会の形成に向け、政府は政治家など指導的地位にある人のうち女性が占める割合を「2020年30%」とする目標を掲げている。衆議院は約11%と地方議会と同レベルで、参議院は約18%に達している。
 西欧諸国では女性国会議員が30~40%を占めるのは当たり前だ。日本の特に地方議会は、男女均衡の点で後進的と言わざるを得ないだろう。
 東北はさらに遅れが目立ち、各県の女性議員の割合はトップの宮城が8.4%、最下位の青森が6.1%で、いずれも全国平均を下回る。
 昨年4月から11月にかけて実施された東北各県議選の結果によると、6県の女性県議は27人で、総定数に占める割合は8.9%だった。女性県議の数、割合とも過去最高を更新したが、自慢できる数字でないことは明らかだ。
 地方自治体は女性や母親に関わる重要な施策を幾つも抱える。教育行政全般や子育て支援、保育業務、食の安全、消費者行政など、女性の目線が不可欠な施策は限りない。議会側に女性議員が一定数存在し、これらの施策展開を監視、充実させることが、適正な行政運営につながるはずだ。
 地方では以前から、政治は男性の「専売特許」という風潮が根強い。地域のしがらみの中から地方議員が生まれるケースが多く、既得権益にあずからない女性は候補者選考の段階から排除される傾向が強かった。
 最近は地盤のない女性を政党が担ぐことも珍しくないが、保育所不足などで女性全般の社会参加が遅れているのと同じ理屈で、最も政治に敏感とされる子育て世代の女性が選挙に出るのは、いまだに至難の業だ。
 政治参加を志す女性がさらに増えるよう期待する一方、女性が選挙に出やすい環境の整備も関係機関に強く求めたい。
 尾花沢市議会(定数16)は昨年6月の選挙で、それまで1人だった女性議員が4人に増え、割合が25%に跳ね上がった。
 「婚活事業」や飲食店の幼児食メニューなど「お茶の間の話題」(女性市議)が本会議で取り上げられるようになり、傍聴人の数も大きく増えた。女性議員は、政治の市民参加を促進する存在でもある。


きょうの中日新聞の社説も「減少する人口 女性の活力がカギだ」。

 【社説】減少する人口 女性の活力がカギだ 
2012年2月1日 中日新聞

 今年生まれた子どもが三十代半ばになったとき日本の人口は一億人を切ってしまう。急激な人口減にあらためて驚く。少子高齢化を乗り切るには、女性の活力を開花させることがカギになる。
 現在の人口約一億二千八百万人が三十六年後には一億人を割り込む。国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口を発表した。五年ごとに発表される。
 五十年後には今より約四千百万人、実に三割強も減る。街を歩く人の三人に一人がいなくなる。子どもも働く世代も五割前後減る。
 一方で、六十五歳以上は増え、人口に占める割合は約四割になる。人口ピラミッドの形がコマのように逆三角形になる。
 遠い未来の話ではない。孫子の世代には現実になる社会だ。
 女性一人が産む子どもの数は、前回調査より少し持ち直した。特に三十代半ばから四十代前半の女性でわずかに上がった。
 これまで経済的な理由などで出産を控えていた女性たちが子どもを産んでいる。
 晩産でも子どもを持ちたいと考える女性がいることに勇気づけられる。ただ、産みたいときに産めない社会では困る。
 人口の減少を少しでも抑え、社会の活力を上げるには女性が結婚・出産・子育てをしながら働ける社会環境にすることが大切だ。
 産科医不足で産む場所がないようでは安心して産めない。子どもを預ける保育所などの整備は早急な対策が要る。子育てと仕事が両立できる職場環境も整えたい。
 人口が一千万人に満たないスウェーデンでは、経済成長のために取り組んだのが女性の就労支援だった。先進国では女性の社会進出が進むと出生率が高くなる傾向にある。女性の進出を支えるには長時間労働など男性の働き方の見直しもセットだ。
 同時に、低収入から結婚も難しい非正規労働の若者は、男女問わず雇用対策が急務になる。
 介護の充実も重要だ。まだまだ女性が家庭で介護を支えている。男性の介護者も含めその負担を軽くして働けるようにする。
 推計では五十年後の平均寿命は男性で八十四歳、女性で九十歳を超える。第二の人生がさらに延びる。もはや老後ではない。働きたい高齢者も活力を生む戦力だ。
 政府は社会保障改革で子育て支援を重要な柱に据えたが、医療や介護など多くの分野で女性を支える政策に取り組むべきだ。


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コメント
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1月31日(火)のつぶやき

2012-02-01 01:21:23 | 花/美しいもの
12:11 from web
お天気がよかったら、植えのこした球根を植えようと思っていたら、雪が降り始めました。

17:58 from gooBlog production
「女性の力なしに未来ない」上野千鶴子さん朝日賞受賞スピーチ blog.goo.ne.jp/midorinet002/e…

22:58 from Tweet Button
★拡がるブックトーク『男性学』@東京都豊島区 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/booktalk/?p=431

by midorinet002 on Twitter
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