みどりの一期一会

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性同一性障害:夫が性別変更、人工授精男児 非嫡出子扱い不服申し立て/遅れる生殖補助医療関連の法整備

2012-02-16 13:18:33 | ほん/新聞/ニュース
「境界を生きる:性分化疾患」「性同一性障害」の連載をずっとしていた毎日新聞に、
非配偶者間人工授精のことが載りました。

性分化疾患の特集では、「性分化疾患に正しい答えはなく、第三者が当事者の決断を批判することはできない。
普通と違う人をどれだけ受け入れられるか、社会の成熟度が問われている」
という言葉が深く心に残っていますが、まさにこの問題は、
「普通と違う人をどれだけ受け入れられるか、社会の成熟度が問われている」。


性同一性障害:夫が性別変更、人工授精男児 非嫡出子扱い不服、申し立てへ

 性同一性障害のため性別を戸籍上、女性から変更した東大阪市の会社員の男性(29)が、第三者から精子の提供を受けて妻との間に生まれた男児(2)が法律上の夫婦の子である「嫡出子」と認められないのは不当だとして、東京家庭裁判所に不服を申し立てることを決めた。27日に男性の本籍がある東京都新宿区役所に男児の出生届を提出し、受理されなければ3月をめどに不服を申し立てる方針だ。
 男性によると08年3月、戸籍の性別を変更して結婚。翌年、人工授精で男児が生まれた。しかし、当時住んでいた兵庫県宍粟(しそう)市は「生物学的に親子関係は認められない」として嫡出子と認めなかったといい、男児は戸籍がない状態が続いている。
 男性は2年前に東大阪市に転居。当時、本籍のあった大阪市に出生届を提出したが、受理されなかった。10年3月に当時の千葉景子法相が法改正検討を表明した。
 男性は「法改正なしで区役所が認めるのは難しい。自分たちの子と認めてもらうには、家裁に申し立てるしかない」と話した。
 戸籍法では、戸籍事務に責任を負うのは市町村長や区長で、処分に不服があれば家裁に不服申し立てができると定めている。【稲生陽、堀江拓哉】
毎日新聞 2012年1月27日 



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  性同一性障害:非配偶者間人工授精 「非嫡出子扱いは民法違反」 「差別許せない」遅れる生殖補助医療関連の法整備  

 心と体の性別が一致しない性同一性障害(GID)で戸籍の性を女性から男性に変えた東大阪市の前田良さん(29)=活動名=と妻(30)が近く、第三者から精子の提供を受け人工授精でもうけた男児(2)を法律上の夫婦の子である「嫡出子」と認めないのは不当だとして、東京家庭裁判所に不服を申し立てる。夫婦の思いと、それを阻む法律の壁とは何なのか。【丹野恒一】

 1月27日、東京都新宿区役所。前田さんが提出しようとした出生届を確認した職員は言った。「嫡出子を非嫡出子に書き直し、父親欄は空欄にしてください。あなたが届け出るならば、届け出人欄は父親ではなく母親の同居人となります」
 GIDで性別変更したことは事前に伝えてあったので予想された対応だったが、やはりショックだった。「僕は父親だし、妻の同居人ではなく夫だ。なのになぜ?」。前田さんは「嫌です」と言い切り、席を立った。
 子どものころから自分が女性であることに違和感があった前田さんは08年3月、性同一性障害特例法に基づき性別を変更。翌月、結婚した。妻は「元は女性だったということが引っ掛かったのは事実だが、最後は『この人が好き』という自分の素直な気持ちに従った」と話す。
 子どもが欲しいと言い出したのは前田さんだった。副作用の危険もある男性ホルモンの投与を生涯受けることから「もし僕が死んでも妻を支えてくれる存在になってほしい」と考えた。妻は、子どもが差別を受けないか、その時に支える母親になれるかと半年悩んだ末、「これまでの人生は苦しいことばかりだったという夫に、残りの人生を幸せに過ごしてほしい」と受け入れ、第三者の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)で子を産む決心をした。
 09年秋、待望の子が生まれたが、出生届を出そうとして法の壁にぶち当たった。戸籍の記載から前田さんが以前は女性だったことが分かることを理由に、嫡出子として受け付けられなかった。1年後、夫婦は出生届を取り下げ、男児は無戸籍のままだ。今回、新宿区役所に改めて届け出しようとしたのは、法務省の膝元の東京で司法の判断を仰ぐためだった。
   ◇
 前田さんと同様にGIDで女性から性別変更した神奈川県在住の男性(36)と妻(36)も昨春、AIDで女児をもうけたが、法的には非嫡出子として戸籍を作った後で特別養子縁組をして親子関係をつくることにした。
 この夫婦の場合、いったんは嫡出子として出生届が受理された。しかし後日、市役所から「非嫡出子に訂正するか出生届を取り下げて」と電話があり、「天国から地獄に突き落とされた」(妻)。
 夫婦は裁判に訴えることも考えたが、医療費助成を受けるための乳児医療証の発行が遅れたのをきっかけに考えを変えた。東日本大震災から日が浅かったこともあり、「無戸籍のままでは、いざという時に支援が届かないかもしれない。海外に避難したくてもパスポートさえ取れない」と不安になった。
 そして何よりも娘の存在が、かたくなだった夫婦の気持ちを溶かしていった。「親子関係は戸籍が決めるものではない。書類上はどうであれ、夫婦で協力して抱っこしたり、オムツを替えたりする育児を通して、親子の絆をはっきり実感できているから」と妻は話す。
   ◇
 民法772条は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(嫡出推定)と規定している。
 GIDの男性は戸籍に性別変更したことが分かる記載があることを理由に、法務省は「親子に生物学的な父子関係がないことは客観的に明らかだ。嫡出の推定は及ばず、非嫡出子として届け出るよう求めている」と説明する。04年に特例法が施行され、性別変更後に結婚して子をもうけたケースは、同省によると16件ある。当初は保留した夫婦もあったが最終的に15組が従った。
 残る1組が前田さんだ。前田さん側の山下敏雅弁護士は「法務省の判断は民法の条文に明らかに違反しており、性同一性障害の人たちが本来の性別で幸せな生活を送れるようにと制定した特例法の趣旨にもそぐわない」と主張する。
 一方、一般の男性が無精子症のためAIDで子を持った場合、嫡出子として受理される。法務省によると、非嫡出子であるという記載にするためには、嫡出否認の裁判を起こすことが必要。これまでこうしたケースはないといい、父と子に遺伝上のつながりがないのは同じなのに、一般男性とGIDの男性の扱いに差が生じている。
 前田さんの子に戸籍はないが、住民票は作られ、各種の社会保障も受けられている。特別養子縁組をすれば相続上の不利益が生じることもないというが、前田さんは納得できない。「法律によって男になり、夫にもなったのに、なぜ父にはなれないのか。差別だ」。その一点が、裁判を起こす動機となった。
 この問題をめぐっては、10年1月に当時の千葉景子法相が当事者を救済する対策の検討を表明したが、2カ月後に「生殖補助医療の考え方が固まっていないことが問題だ。明確な基準が定まらないと対応は難しい」とトーンダウンし、法改正に至らなかった経緯がある。
 生殖補助医療の分野では、第三者の精子や卵子を使ったり、他人に代理母になってもらったりするなど、複雑な家族関係が生じているが、法は追いついていない。前田さんの裁判が、たなざらしにされてきた法整備に向けて、一石を投じることは間違いない。
毎日新聞 2012年2月15日 東京朝刊


話題:性的少数者の権利の窓口 

 同性愛者や性同一性障害者などのセクシュアルマイノリティ(性的少数者)を法的に支援する全国唯一の行政書士グループ「レインボーサポートネット」(福岡市中央区)が今年結成5年を迎える。これまで全国から1000件を超す相談を受け付け、性的少数者の権利を守るため解決策を模索してきた。メンバーの中橋優さん(37)は「日本でも若い世代を中心に性的少数者の受け入れが少しずつ進んでいる」と話す。
 「同じ籍に入りたい」。中橋さんが同性愛の女性カップルからそんな相談を受けたのが、発足のきっかけだ。性的少数者の相談窓口が必要と考えた中橋さんの呼びかけに、植本(敦在あつあり)さんら行政書士仲間3人が加わった。
 日本では同性婚が認められていないため、パートナーへの遺産相続を希望する場合、遺言状や養子縁組が必要になる。性的少数者の法的手続き代行を専門的に受け付ける団体は他になく、全国各地から相談が相次いだ。
 これまで、性的少数者であることを職場などにカミングアウト(告白)する際のアドバイスをしたり、スカートを履いて登校したくないという女子生徒のために親と一緒に学校に行ってズボンの着用を認めてもらったりしてきた。意に反して周囲にゲイだと伝えられた男性のために今後同じことがあれば法的手段に訴えるとの警告文を作ったこともある。周囲に話しづらい将来への不安を打ち明けることで安心する相談者も多い。
 2年ほど前からは企業や団体からの相談も増え始めた。病院や教育現場から、同性愛や性同一性障害の患者や生徒に対する接し方について質問が来るようになった。広告やマーケティングの会社からは、性的少数者を広告モデルや顧客とする場合に考慮すべき点などの問い合わせが寄せられる。こうした変化を中橋さんは「企業や団体の取り組みが進めば、性的少数者もより良いサービスが受けられる」と歓迎する。
 大手企業でも取り組みが進んでいる。携帯電話会社「ソフトバンクモバイル」(東京都港区)は札幌市で毎年9月に開催される性的少数者の権利を訴えるパレードを2年前から協賛。パレード当日は店舗でスタッフが性的少数者のシンボルであるレインボーカラーのバッジをつけて接客している。旅行会社「HIS」(東京都新宿区)は昨年6月、性的少数者の権利を訴える米国のパレードに向かうツアーを企画した。
 鳴門教育大学大学院の葛西真記子教授(臨床心理学)は「以前に比べれば性的少数者に対する理解は進んでいるが、同性パートナーとの遺産相続問題など法的な手続きに悩む当事者はまだ多く『レインボーサポートネット』のような相談窓口の存在は大きい」と話している。【遠山和宏】
2012年1月18日 毎日新聞 



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2月15日(水)のつぶやき

2012-02-16 01:21:09 | 花/美しいもの
12:19 RT from web
北樹出版の『アイデンティティと社会意識』という本のなかで、「恋愛関係のなかの私」という論文を書いています。これはかなりよい論文で(自分比で)、『ベルサイユのばら』やよしながふみさんの『ジェラールとジャック』(許可戴いて画像入り)から上野、吉本、北村透谷、九鬼周造まで論じています。
千田有紀さんのツイート

12:19 RT from web
受け取らない理由、気になりますね。 @ikeda_kayoko 【拡散希望】 大飯原発再稼働反対の署名4万人分、福井県知事受け取らない意向、皆で理由を問い合わせましょう。。担当 原子力安全対策課の小林参事0776-21-1111”#脱原発世界会議 #福井 #福島
脱原発世界会議さんのツイート

22:42 from gooBlog production
手指の痛みが劇的回復!?「腱しょう炎」と「へパーデン結節」/ためしてガッテン goo.gl/xO3ea

23:04 from Tweet Button
嘉田知事も政治塾 4月開講、越大津市長も講師で参加  kyoto-np.co.jp/top/article/20…

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