みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

大震災1年:汚染の広がりと対策 日常奪った放射能/放射性廃棄物、進まぬ処理 一時保管にも限界 

2012-03-05 21:36:06 | 地震・原発・災害
きょうは啓蟄(けいちつ)。
朝から雨が降っています。

東日本大震災と大津波、福島第1原発事故からもうすぐ1年。
新聞やテレビは、特集を組んでいます。

昨夜は、震災に遭っても新聞を出し続けた河北新報を描いた
「大震災から1年・ドラマ特別企画『明日をあきらめない…
がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長い日~』」を見ました。

新聞では、見開きいっぱいの紙面を組んだ毎日新聞の記事が
目を引きました。
特に東北、関東、中部の放射性セシウムの汚染地図は、
この原発事故が、私たちが住む中部地方とも無関係でないことを端的に示しています。
食べものや水を通して体内に放射性物質が入ることで、内部被ばくの危険が大きくなります。

食品は遠く離れていても全国に運ばれる今、わたしたちも無関係ではありません。
この記事は、少しでも放射性物質を体内に取り込まないように、
自衛することが必要であることをあらわしています。

  東日本大震災1年:汚染の広がりと対策 日常奪った放射能  

 東京電力福島第1原発事故で放出された大量の放射性物質は、かけがえのない大気や水、土壌を汚染した。周辺住民の日常生活を奪っただけでなく、食品汚染は各地に広がり、消費者を不安にさせた。第1原発が「冷温停止状態」を達成したとする政府の宣言を受け、避難住民の帰還に向けた動きが活発化し、放射性物質を除去する除染も各地で始まっている。しかし、今のところ効果は未知数で、除染に伴い発生する汚染された水や土壌の処理も頭が痛い問題だ。

 ◇相次ぐセシウム検出 思いがけないところからも
 福島第1原発事故で放出された放射性物質は、東日本を中心に拡散した。放射性セシウム、ヨウ素などが、大気を漂い、事故直後には雨や上水道などから検出された。次いで葉物野菜や原乳からも放射性物質が見つかり、政府は出荷制限や摂取制限を何度も出した。
 過去に経験したことのない放射能汚染への警戒感が国民の間に強まる中、母乳からも微量ながら放射性物質が検出された。さらに茶葉▽淡水魚▽キノコ類▽肉牛▽コシヒカリ--などにもセシウムの汚染が広がり、東北地方などでは農業や観光業などに大きなダメージを与えている。
 ごみ処理施設では、焼却灰から高濃度のセシウムが検出されて処分場に埋め立てられない事例が相次いだ。
 また、今年1月には、福島県二本松市内の新築マンションで、高い放射線量が測定された。原発事故で汚染された採石場の石がコンクリートの材料に使われていた。
 こうした中、放射性物質の基準作りも進み、食品では厚生労働省が事故後に暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を設定。今年4月からは大幅に規制が強化される見通しだ。一般食品で1キロあたり100ベクレルの基準などが設定された。
 廃棄物処理では、焼却灰などを安全に処分できる基準を1キロあたり8000ベクレル以下と定めた。
 福島県内では昨秋にミミズから高濃度の放射性セシウムが検出され、食物連鎖による汚染の再拡大が懸念されている。思いもよらないものや動植物などから汚染が見つかるケースは、今後も続きそうだ。

 ◇土壌や水を通し作物に
 原発から放出された放射性物質は細かな粒子となって風で運ばれ、雨や雪とともに地表に落下した。その際、田畑で作物の表面に付着したり、土壌に落ちたセシウムを根が吸収したりした。現在は原発から新たに放出されるセシウムはわずかだが、半減期が長いセシウムが、主な汚染源となっていて、ほとんどの作物が土壌を通じて汚染されていると考えられる。また、土壌だけでなく、家の屋根や壁、木の葉などに付着したセシウムが雨で田畑に流れ込み、水を通して作物が吸収することもある。
 一方で時間がたつにつれ、セシウムの粒子は土の中の粘土粒子表面に強く付着し、はがれにくくなるため、根から取り込まれにくくなる。
 西村拓・東京大准教授(土壌物理学)によると、粘土粒子は薄いタイルのような形をしており、側面は何層にも積み重なっている。セシウム粒子は粘土粒子の表面にとどまった後、次第に吸着力の強い側面に移り、層の隙間(すきま)に入り込む。
 ただし、根は有機酸を分泌して土を溶かして養分を吸収するため、粘土粒子に付着していたセシウムを取り込むことが懸念される。田畑の養分が足りなければ、栄養を取り込もうと根はさらに粘土粒子を溶かす。このため、西村准教授は「セシウムと化学的な性質が似ているカリウムを田畑に十分含ませれば、カリウムが代わりに吸収され、セシウムの吸収を減らせる」と話す。
 実際、中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)が、セシウムに汚染された田んぼに、植物に吸収されやすいカリウムの化合物「交換性カリ」入りの肥料をまくと、玄米に取り込まれるセシウムを抑えられた。土壌の特性で異なるが、最大で玄米のセシウム濃度を半減できたという。
     ◇
 放射性物質に汚染された作物を食べると内部被ばくの危険がある。福島県南相馬市では昨年7月から、住民を対象に内部被ばくを測定するホールボディーカウンター(WBC)検査を実施。受検者は既に1万人を超えた。
 東京大医科学研究所によると、住民への聞き取り調査では、家庭菜園や路上で販売している果物を頻繁に食べる人ほど、内部被ばく量が高い傾向が見られたという。坪倉正治医師は「86年のチェルノブイリ原発事故では10年後に周辺住民の内部被ばく量が増大した。時間が経過して検査が甘くなったことが原因だ。一度きりではなく、定期的にWBCで検査する必要がある。それと同時に、汚染された食品がどのような経路で食べられたか調査が必要だ」と指摘する。
 国立医薬品食品衛生研究所は昨年9月と11月の2回、宮城、福島、東京の3都県の平均的な食事に含まれる放射性物質の量を測定した。3都県ごとに食品約150品目を選び、食品の1日摂取量に従って混合した試料を作成。その放射性物質濃度を測定し、セシウムの1日摂取量を推定した。
 その結果、福島県の食事からは1日当たり3・39ベクレルが摂取されており、食事からの内部被ばく量の目安となる年間1ミリシーベルトを下回っていた。調査を担当した松田りえ子食品部長は「山菜など自生している植物は管理し切れていないため注意が必要だ。極端な内部被ばくを防ぐため、同じ食材を食べ続けないようにしてほしい」と話す。

 ◇100ミリシーベルト未満、健康影響は不明
 全ての物質は原子で構成され、大部分は安定した性質を持っている。一部にはエネルギー(放射線)を放出しながら別の原子に変わる不安定なものがある。
 放射線はα線、β線、γ線、X線などがあり、物質を突き抜ける力を持っている。その力には違いがあり、α線は紙1枚で遮蔽(しゃへい)できるが、X線は人体を通過する。普段の生活でも自然界から放射線を浴びており、日本人の場合は平均で年1・5ミリシーベルトとなっている。
 放射線が人体に影響を与えるのは、細胞の中にあるDNAを傷つけるためだ。DNAは遺伝情報を持つ重要な物質だが、放射線によって切断されると誤った修復が行われることがあり、細胞が死んだり、突然変異や染色体異常が起きることがある。
 被ばくには、体の外から浴びる外部被ばくと、水や食料を通じて放射性物質を体内に取り込む内部被ばくがある。体内に入った放射性物質は代謝で体外に排出される。セシウムの場合、排出されるまでの期間は約100日だ。
 外部被ばくと内部被ばくの健康影響の違いについては、専門家の間でも意見が分かれているが、各国政府に放射線防護策を勧告している国際放射線防護委員会(ICRP)は両方とも等しいという考え方を採用している。
 広島・長崎の原爆被爆者約9万3000人の追跡調査から、100ミリシーベルト以上被ばくすると、がんの発症率が直線的に増えていくことが分かっている。放射線医学総合研究所によると、100ミリシーベルトの被ばくで、がんによる死亡率が0・5%上がるという。
 一方、福島第1原発事故の場合、100ミリシーベルト未満の「低線量被ばく」が心配されているが、健康影響は科学的に証明されていない。ただし、ICRPの元主委員会委員、佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「安全な被ばく線量はない。放射線を浴びる量は少なければ少ないほど良い」と話す。

 ◇中間貯蔵施設、複数設置案も
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
毎日新聞 2012年3月4日



応援クリック人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。


  大震災1年:放射性廃棄物、進まぬ処理 一時保管にも限界 稲わら、宮城・岩手も苦悩 

 東京電力福島第1原発事故によって、下水汚泥や焼却灰、稲わらなど、事故前には全く想定されていなかった「放射性廃棄物」が大量に発生した。処分場どころか、一時保管場所すら見つからないケースも多く、汚染廃棄物を抱える自治体や農家などからは悲鳴が上がる。国は対策を進めるが、解決のめどは全く立っていない。
 2月中旬、地元ブランド「いわて南牛」の産地である岩手県一関市花泉町の肥育農家、佐々木順一さん(61)は、原発事故で放射性物質に汚染された稲わらを一時保管場所のパイプハウスに移す作業に追われた。「やっと一つ前に進んだが、まだ入り口」。佐々木さんの表情は晴れない。
 佐々木さんが保有する汚染稲わらは約7トンに上る。人家から離れた畜舎付近に耐雪型パイプハウスを建設し、近隣の農家と共同で保管することにした。ハウスは3カ月ごとに県や市が点検し、定期的に線量を測定する。
 佐々木さん宅では、汚染稲わらを食べた牛が排せつした汚染堆肥(たいひ)も約140トンあるが、国の方針が明確にならず、処分できない。佐々木さんは「このままでは若い後継者の意欲がそがれ、産地がつぶれてしまう」と危機感を示す。
 岩手県内の汚染稲わら600トンのうち400トンは一関市にある。市は、山あいの市有地に一時保管施設を建設しようとしたが、周辺住民が「100%安全と言えるのか」と反発。市内4カ所に分散保管する方法にも理解は得られず、各農家の個別保管となった。勝部修市長は「国は福島県には(汚染廃棄物の)中間貯蔵施設建設の方針を示したが、周辺自治体には何もない。放射能汚染に県境はない」と国への不満を漏らす。
 宮城県も同様に苦しんでいる。
 1月31日夜、栗原市築館(つきだて)で開かれた汚染稲わら保管に関する県と市の住民説明会。「賛成ではないが、仕方がない」。出席した住民代表ら約70人は、一時保管を容認する姿勢を示した。地区内に保管用パイプハウスを建設し、3月から稲わらを搬入する予定だ。ただ市内で容認姿勢は築館地区だけ。他の3地区は反対意見が強く、県と市は3月中旬以後、改めて説明会を開く。
 宮城県畜産課によると、県内の汚染稲わら4800トンのうち、一時保管のめどがついたのは2880トン。保管場所に持ち込めない農家からは「春からの耕作に影響する」と悲鳴が上がる。
 村井嘉浩知事は1月の記者会見で「稲わらの一時保管場所の確保や処理は国が責任を持ち、県民の前に自ら出て説明すべきだ」と主張。あくまで国の方針決定後に対応に乗り出す考えを貫いている。【湯浅聖一、宇多川はるか、小原博人】

 ◇千葉北西部「ホットスポット」、宙に浮く汚染焼却灰
 首都圏でも深刻な事態に陥っている。周辺より放射線量が比較的高くなり「ホットスポット」と呼ばれる千葉県北西部。放射性セシウムが付着した落ち葉などを燃やしたため、柏市の清掃工場の焼却灰のセシウム濃度が1キロ当たり7万ベクレルを超えるなど、国の埋め立て基準(同8000ベクレル)をオーバーする焼却灰が大量に発生した。
 昨年9月には高濃度汚染焼却灰が全県で900トンを超え、県は同10月、柏、流山、松戸市などの焼却灰を、東隣の我孫子、印西市にまたがる県手賀沼終末処理場で一時保管する計画を立てた。同処理場には既に、埋め立て基準を超える下水汚泥の焼却灰が400トン近く保管されていた。
 しかし、「なぜよその町の灰まで」などと2市側が反発。今年2月、副知事が住民側への説明会を開く方針を示したが、今も日程さえ決まらない。高濃度汚染焼却灰は現在、1000トンを超えた。
 一方、同終末処理場は昨年9月から、埋め立て基準を超える焼却灰の増加を防ぐため、一部の脱水汚泥(同200ベクレル前後)を焼却処理せずに外部に搬出している。だが、今年1月、主な受け入れ先の一つの君津市の管理型最終処分場で、水質検査用の井戸から高濃度の塩化物イオンが検出され、地下水に汚染物が漏れている恐れが浮上。県が搬入停止と原因調査を勧告し、搬入は中断したままだ。
 この処分場周辺では搬入中止を求める住民運動も起きている。県の担当者は「埋め立て先や一時保管先を、地道に確保し続けるしかない」と話す。【早川健人、斎藤有香】

 ◇住民理解、秘策なく--環境省
 汚染物の行き場がない状況について、環境省は「自治体側の、放射性物質に対する住民感情への配慮と理解不足が背景にある。解決への秘策はない」(幹部)と頭を抱える。
 環境省は1月20日、8000ベクレル以下の廃棄物について「受け入れや取り扱いを拒否することは科学的・法的根拠に基づかず不適切」との通知を都道府県・政令市に出した。通知は「最終処分先が確保できない焼却灰や汚泥などがたまると、生活や産業活動に影響が生じる可能性がある」とも指摘する異例の内容だった。
 通知の根拠について環境省は「8000ベクレル以下ならば、埋め立ての従事者でも、一般人の年間の許容被ばく量(年1ミリシーベルト)を超えない」と説明する。周囲への影響も原子力安全委員会が「無視できる数値」としている年0・01ミリシーベルト以下という。
 だが、状況は改善せず、担当者は「理解してもらうよう丁寧に説明していくのみ」と漏らす。【藤野基文】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
毎日新聞 2012年3月3日


最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月4日(日)のつぶやき

2012-03-05 01:21:16 | 花/美しいもの
12:29 RT from web
【急】本日3月4日(日)午後3時から、全労連会館2階ホールで、上野千鶴子さんの講演『学校に当事者主権を』があります。ぜひ、ご参加を!
和田享子さんのツイート

12:33 from web (Re: @terraum
北陸道(越路)最大の難所。私も怖かったです笑)。RE @terraum 帰京。福島往復。クルマで何キロ走ったんやろ。北陸道の親不知、二度と通りたくない。怖い。

by midorinet002 on Twitter
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする