中日新聞本社の生活部に、前に岐阜支社にみえた白井さんと稲熊さんがいらっしゃいます。
二人とも、仕事でもお世話になったうえにけっこう親しくしていただいて、
署名記事が出ると、真っ先に読みます。
生活面では、白井さんが昨年から<集めて分ける 社会保障と税>をテーマに、
素人にはわかりにくい社会保障制度の問題をだれにもわかりやすく紹介しています。
3月8日に消費税の逆進性の問題を取り上げて見えたので紹介したいと思っていたら、
続いて3月15日には稲熊さんの「逆進性解消へ「給付付き税額控除」」という記事が掲載されました。
両方読むと、問題点がよくわかるので紹介します。
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社会保障と税の一体改革の問題は、読売新聞でも、
3回連続の座談会方式で取り上げています。
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生活面では、白井さんが昨年から<集めて分ける 社会保障と税>をテーマに、
素人にはわかりにくい社会保障制度の問題をだれにもわかりやすく紹介しています。
3月8日に消費税の逆進性の問題を取り上げて見えたので紹介したいと思っていたら、
続いて3月15日には稲熊さんの「逆進性解消へ「給付付き税額控除」」という記事が掲載されました。
両方読むと、問題点がよくわかるので紹介します。
<集めて分ける 社会保障と税・消費税編>低所得ほど“重い” 逆進性 2012年3月8日 中日新聞 政府・民主党は消費税増税の関連法案を国会に提出する方針だが、増税反対の声は依然として国民の間で根強い。反対論の根拠の一つになっているのは、低所得な人ほど増税による負担を重く感じる「消費税の逆進性」だ。その実態がどうなっているか、あらためて考えてみた。 (白井康彦) 消費税の心理的な負担は、生活がぎりぎりであるほど重い。収入のほとんどを生活必需品の買い物にあて、その代金に5%の消費税がかかるからだ。 北陸地方に住む男性(65)は、五年前から一年ほど野宿生活をしていた。厚生年金の受給は始まっていなかったが、企業年金を月四万五千円受け取っていた。「食品など生活必需品の買い物でほとんど使った。すべてに5%の消費税がかかっていた感じだった」と振り返る。 政府・与党が二月に閣議決定した「社会保障と税の一体改革」の大綱では、現在5%の消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に上がる。 今は、ホームレスの人たちの支援活動に懸命なこの男性は、消費税増税が彼らを直撃するのに心を痛めている。「住所がないのだから、政府が救済措置を講じても対象になりにくいだろう」 収入が非常に多い人は、状況がまったく異なる。収入の大半が貯蓄に回るので、消費税の実際の負担額が多くても「負担感」は軽くなる。 こうした逆進性を裏付けるデータもある。日本生活協同組合連合会が、全国の生協組合員にアンケートして毎年実施している「消費税しらべ」が一例だ。一〇年分の調査は、四十一生協の七百四十九世帯が参加。年収階層ごとに、年収に占める消費税負担額の平均割合を計算し、消費税負担率として示している。 負担率は、年収四百万円未満の世帯が3・33%と最も高く、年収が多くなるほど低下。一千万円以上の世帯は1・99%で最も低かった=グラフ。 ◆中間層の家計悪化に拍車 三十代~五十代の中所得者層でも、住宅ローンや子どもの教育費負担などがかさみ、余裕がない家計は多い。非正規労働者が増えたり景気低迷が長引いたりし、給与が増えにくくなっている影響が大きい。 国税庁が毎年発表している民間給与実態統計調査によると、全国の給与所得者の平均給与は、一九九七年の四百六十七万円が最高で、その後は低下傾向が続き、二〇一〇年は四百十二万円になっている。ピークに比べ約12%少ない。 名古屋市のファイナンシャルプランナー(FP)早川元子さんは、FP歴十五年。中間層の家計悪化を実感している。「お客さまの先々の収入や支出の見込み額を聞いてライフプランを考えますが、子どもが大学に入るころに家計がパンクすると予想されるケースが目立ってきました」 こうした中、税率が5%から10%に上がると、年間の買い物の合計額が税抜き価格で三百六十万円の人は、消費税の負担額が年間で十八万円、月間で一万五千円増える。早川さんは「中間層も財布のひもを固くせざるを得ません。景気悪化は避けられないでしょう」と強調する。 政府・民主党は、消費税増税に合わせ、低所得者の所得税を減らしたり、現金を給付したりする「給付付き税額控除」などの逆進性対策を実施する方針だが、具体策はまだ固まっていない。逆進性対策のあり方や有効性は、消費税論議で焦点の一つになりそうだ。 |
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<集めて分ける 社会保障と税・消費税編> 逆進性解消へ「給付付き税額控除」 2012年3月15日 中日新聞 所得が低いほど負担感が増す消費税の逆進性対策として、政府・民主党が打ち出した「給付付き税額控除」。二月に閣議決定した「社会保障と税の一体改革」大綱にも盛り込まれたが、制度設計はこれから。具体案が示されないと、消費税論議にも影響が出かねない。 (稲熊美樹) 給付付き税額控除とは、所得税額から一定の額を差し引き、所得が低くて引き切れない世帯には、その分を給付する仕組み。 公益財団法人で非営利の民間シンクタンク・東京財団は、給付付き税額控除の具体的提言をまとめた。提言で示されたイメージ=図=を例に見てみる。 働くことを原則とし、所得が百万~三百万円の世帯は一律三十万円を税額控除すると仮定。年収百万円の単身世帯の場合(図のAさん)、所得税と住民税額がゼロ、社会保険料が十万円とすると、税負担は十万円から三十万円の控除を差し引いて、「マイナス」二十万円となる。 税額がマイナスの場合には、その分を納税者に還付するのがこの仕組みの特徴。Aさんは税金を納めるのではなく、逆に二十万円を受け取れる。このイメージ図では、年収二百万円までの場合に税額がマイナスとなるので、給付がある。二百万円の場合は差し引きゼロとなるので、給付もなくなる。 もう一例、年収三百万円の場合(図のBさん)。所得税と住民税が計十九万円、社会保険料が三十万円とすると、税負担は合計四十九万円。ここから三十万円を控除し、差し引き十九万円を実際に税として支払うことになる。 この仕組みには、消費税の逆進性対策や、子どもを育てる家庭への支援策を組み合わせることも可能だ。食料品など、生活必需品にかかる消費税の負担分を低所得者に税額控除・給付する。 単身者と子どものいる世帯で控除・給付額や、控除対象とする年収の範囲に差をつけることで、子育て家庭の支援もできる。現在の子ども手当に代わるような制度を組み込むことも可能だ。 海外では、米国などで就労促進と子どものいる家庭の経済的負担を軽減する目的で、給付付き税額控除を行っている。消費税の逆進性対策としては、カナダやシンガポールなどが導入。英国では、就労促進に児童手当の要素を組み合わせている。 ◆「増税時に必須 早急に検討を」 政府は大綱に給付付き税額控除の導入を明記したが、導入時期は未定。消費税率を8%に引き上げる段階では低所得者を対象に、暫定的、臨時的な措置として簡素な給付措置を実施する。この措置は、年間一万円という案が浮上している。財務省によると、二〇一五年度に納税者番号制度が実施され、定着した後で給付付き税額控除の導入を目指すという。 昨年末、財務省が民主党税制調査会で示した試案では、消費税を5%増税した場合に、全世帯の平均所得五百五十万円を下回る世帯に、飲食料品にかかる分だけの消費税相当額三万四千円を給付すると、年間一兆円。食料に加えて、水道光熱費や衣料費なども対象とすると、一世帯あたりの給付額は五万円で、一兆五千億円かかると見積もる。 ただ、これはあくまで試案。世帯単位にするか個人単位にするかや、子どもの有無、社会保険料などを控除するかどうかなど、検討課題は山積。しかし、具体的な設計の検討は進んでいない。 東京財団の提言のプロジェクトリーダーで、中央大法科大学院の森信茂樹教授は「子ども手当なども組み合わせられるが、まずは消費税の逆進性対策として始めるのがいいのでは。消費税を増税すると低所得世帯には影響が大きく、増税には欠かせない制度。早急に検討しなければならない」と話している。 |
社会保障と税の一体改革の問題は、読売新聞でも、
3回連続の座談会方式で取り上げています。
[社会保障・税 一体改革]座談会(中)社会保障改革、どうすべき? 女性の労働力重要…与謝野 / サービス水準効率化…武藤 / 世代内格差も解消…宮本 ■ 社会保障改革 ――日本の社会保障の現状は。 宮本太郎氏(北海道大学大学院法学研究科教授) 宮本 財政危機だけなら、お金を集めれば何とかなる。だが事態はもっと深刻で、若者たちが働いて税金や社会保険料を払っていける条件が失われつつある。正社員として、知識や技能を発展させることができず、女性は最初の子どもを産む時に、6割以上が会社を辞めざるを得ない。「税金を払っても見返りがない」という、政治や行政への信頼の欠落も大きな課題だ。 武藤 社会保障の基本は、働く世代から高齢世代への所得移転だ。働く世代の負担があまり重いのも困るし、高齢世代の生活がある程度保障されないのも困る。そのバランスが重要。しかし、現在の社会保障は、高齢化率が低い時の仕組みのままで、高齢化が進んだ現在の状況に対応できていない。また、働く世代の中でも格差が広がっている。 宮本 日本は今後、1人の現役世代が1人の高齢者を支える「肩車型」の社会に向かっていく。だが、支える側の現役世代が、どんどん非力になる一方、支えられる高齢世代は、単身世帯が急増するなど、重くなっていく。しかも、社会保障が、現金給付を中心に高齢世代に偏っていることが、支える側にとって、さらに重荷になる。 ――世代間の格差を含め、社会保障制度をどう改革すべきか。 与謝野 労働人口が減っていく中では、65歳以上の人たちや、結婚や出産を機に退職した女性たちを、労働力としてとらえることが必要だ。特に、雇用対象年齢を68~70歳にまで延長するよう、企業にも協力をお願いしたい。年金をもらって余生を楽しむのもいいが、職場や地域社会とつながって帰属感を得る。そういう社会が望ましい。 宮本 日本の高齢者は、年金がある程度確保されていても幸福感が低い。定年退職後、地域や人とのつながりが弱いからだ。これまで培ってきた力を引き続き発揮することで、社会とのつながりが生まれ、幸福感も高まる。また、男女ともに働き、知識や技能を伸ばせる仕組みも必要。介護や福祉などを地域で事業展開し、経済を活性化させることも欠かせない。 武藤敏郎氏(大和総研理事長) 武藤 一体改革の大綱では、社会保障の見直しの部分が不十分。効率化・合理化の欄にいろいろと書いてあるが、金額が入らず、「引き続き検討」が多い。現状の社会保障のレベルを維持するならば、将来、負担があまりにも大きくなる。サービス水準を効率化・合理化するという視点を持たなければ、持続可能な制度にはならない。 宮本 日本の高齢者の貧困率は約21%で、OECD(経済協力開発機構)平均の約13%と比べ、かなり高い。「世代間」だけでなく、「世代内」の格差解消も進めていく必要がある。その場合、こっちからお金を取ってこっちに回す、というふうには考えない方がいい。お金をばらまくのではなく、年齢にかかわらず、みんながそれぞれの能力を発揮できる条件を確保していくことが重要だ。 ――社会保障の改革は、社会に活力を与えるか。 武藤 高齢者も若者も生きがいを感じられる国家を作り上げることができれば、社会に活力が生まれる。日本が一つのモデルケースとして、世界に例のない高齢化の中で、隆々とやっていけるシステムを作るくらいの意気込みが必要だ。 与謝野 日本の医療は世界的にもかなり進んでいる。だが国民はそのことをあまり実感していない。一体改革の原案では、外来患者の窓口負担に一律100円を上乗せする「受診時定額負担制度」を盛り込んだ。「医療は公共財」という意識を、国民にも持ってほしかったからだ。残念ながら民主党内の議論で実施が見送られてしまったが、改革を通じて、社会保障が公共財であることを、国民に実感してもらう効果もある。 ――若者の間で、社会保障制度に対する不信が強い。どうしたらよいか。 宮本 3点ある。まず、透明性。支払ったお金が、どこへ回っていくのかを明確にすることだ。社会保障と税の共通番号制が導入されれば、国民一人ひとりに「マイ・ポータル(仮称)」というホームページが割りあてられる。その設計次第では、自分の所得や、どういう保障やサービスが受けられるのかということが分かるようになる。これを活用して、透明性を高めることができる。次に分権性。高齢世代への現金給付に対して、現役世代へのサービス給付の比重が高まると、身近な自治体が提供するサービスのあり方が信頼度を決める。最後に契約性。経済成長や寿命の伸長などに応じて、「これだけの年金を出す」という契約が求められる。自分の年金が、目で見えるということが大切。マイ・ポータルがスタートして、自分がもらえる年金が積み上がっていくのを確認できるようになれば、年金の信頼度は格段に上がる。 与謝野 実は、若者が心配しているのは、日本の国力が維持できるかということ。自分が働けなくなったとき、どれくらい給付を受けられるかということ以上に、国が沈没して給付がなくなるのではないかと心配している。国に経済力がないと社会保障制度は維持できない。立派な社会保障制度ができたけれど、国は衰えたというのでは困る。経済力、人間力など、あらゆる面で国の潜在力を高める意識を社会全体で持たなければならない。(続く) (2012年3月13日 読売新聞) |
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