国会事故調査委員会が福島原発事故を検証した報告書をまとめ公表した。
事故は人災、と断罪下厳しい内容。
この報告書があと数日はやかったら大飯原発の再稼働は止められただろうか。
うがった見方をすれば、再稼働の後に出ると決まっていたような気もする。
報告書はできあがったが「事故は終わっていない」。
報告書は、すでに起きたことの分析だけで、原発をこれからどうするのかには
ふれられていない。
解決しなければならない問題は山積。
なにひとつ終わってはいない。
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事故は人災、と断罪下厳しい内容。
この報告書があと数日はやかったら大飯原発の再稼働は止められただろうか。
うがった見方をすれば、再稼働の後に出ると決まっていたような気もする。
報告書はできあがったが「事故は終わっていない」。
報告書は、すでに起きたことの分析だけで、原発をこれからどうするのかには
ふれられていない。
解決しなければならない問題は山積。
なにひとつ終わってはいない。
【社説】事故は終わっていない 国会事故調が最終報告 2012年7月6日 中日新聞 東京電力福島原発事故を検証した国会事故調査委員会が報告書をまとめた。事故は東電や政府による「人災」と断じた。原発規制の枠組み見直しは急務だ。 「個々人の資質や能力の問題でなく、組織的、制度的な問題が、このような『人災』を引き起こした。この根本原因の解決なくして再発防止は不可能である」 「過酷事故によって住民の健康に被害を与えるリスクよりも、経営上のリスクをまず考える東電は原子力を扱う事業者の資格があるのか」-。 歴史的な大事故の原因究明を託された国会事故調の総括は、国や東電への極めて厳しい批判が並んだ。原発をともに推進してきたのだから当然であろう。 期待された解明力 福島原発の事故調査委は政府、民間、東電と合わせて四つに上ったが、国会事故調は特別な存在である。国政調査権という強い権限をもち、必要に応じて国会での証人喚問を求めることができた。国会議員でなく民間有識者による調査機関が国会に設置されたのは、憲政史上で初のことだった。それだけに国会事故調に寄せられた公平な視点からの事故原因の解明や責任追及への期待は高かった。 半年かけて、参考人聴取は三十八人、ヒアリングは延べ約千二百人に上り、他では実現しなかった東電幹部らの公開聴取も応じさせた。調査権に基づく請求は業界団体や規制当局などを対象に十三件で、権限を駆使して真相に迫ろうとしたのは間違いないといえる。 六百四十ページに及んだ報告書が最も強く訴えているのは、事故は人災であり、適切に対応していれば防げたという点である。 東電は耐震対策を先送りし、経済産業省原子力安全・保安院はそれを黙認、さらに津波対策でも敷地高を超える津波が来た場合は全電源喪失に至ることは東電、保安院とも認識していた。 食い違う事故原因 何度も対策を講じるチャンスはあったが「いわば無防備のまま、3・11を迎えた」と指摘、事故は自然災害でなく、歴代の規制当局や東電経営陣による明らかな人災と断じた。 東電は、事故の直接的原因について早々と「津波」であるとしてきたが、国会事故調はこれに大きく異を唱えた。「1号機の地震による損傷の可能性は否定できない」と指摘した。地震による損傷が起きていれば、他の原発でも危険性があることを意味し、東電だけでなく全国の原発で耐震強化といった問題がでてくる。 事故のカギを握る重要な機器類は高線量で検証することができない原子炉建屋などにあるため、国会事故調は引き続き第三者による検証を求めた。だが、実証なしに原因を「想定外の津波」に限定しようとする東電の責任回避の姿勢は明らかだ。そこに、安全対策より経営コストを優先させようとする経営姿勢が透けて見える。 もう一つ、報告書が強調しているのは、官邸をはじめとする政府や東電の危機管理体制がまったく機能しなかった点だ。緊急事態宣言が遅れた官邸や、災害対策本部の事務局としての役割がある保安院は「事故が起きた緊急時の準備も心構えもなく、その結果、被害を最小化できなかった」と指摘した。痛恨の極みである。 問題となった菅直人首相(当時)の現場介入や東電の全面撤退騒ぎも含め、報告書が重く見ているのは、個人の過ちよりも組織的、あるいは法的、制度的な欠陥だ。「関係者に共通するのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする常識である」と痛烈に批判した。さらに情報や知識で東電が保安院に勝り、規制する立場と規制される立場の「逆転関係」といった監督機能の崩壊を指摘するにいたっては、原発事故は必然だったと思えてくる。 ただ、報告書も万全ではない。事故原因の詳細な究明が未解明だったことに加え、廃炉の道筋や使用済み核燃料問題などは手が付いていない。過去、原子力政策を推進してきた自民党時代の責任には触れなかったのは、踏み込みが足りなかったと言わざるを得ない。 国会事故調は、民間中心の独立調査委員会の活用や国会による規制当局の監視など七項目の提言を残した。これらを実現していくのは政府と国会の責任である。いまだ、報告書の取り扱いや政策への反映について議論もないのは、怠慢としかいいようがない。 政府も読み取って 暫定的な安全基準で大飯原発の再稼働に踏み切った政府も、報告書の重みを読み取ってほしい。報告書は真っ先に訴えている。「福島原子力発電所事故は終わっていない」と。 |
社説:国会事故調報告/原子力再考の礎にすべきだ 2012年07月07日 河北新報 「およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心」 福島第1原発事故という空前の原子力災害について、国会の福島原発事故調査委員会は明確に「人災」だったと結論付けた。 「意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合のよい判断」によって、実質的には何の安全対策も取られなかった。そして昨年3月11日を迎え、炉心溶融(メルトダウン)を起こして膨大な量の放射性物質をまき散らした。 その責任は、東京電力や安全規制担当の国の組織などが負わなければならない。「想定外の津波」というのは、たわ言にすぎなくなった。人災と見なされた以上、国会は法的な責任の追及も視野に入れて議論を進めるべきだ。 国会事故調は、これまでにない厳しいまなざしで報告書をまとめた。専門家らを集めて作成した公文書であり、事故調査の「決定版」的な役割を果たすことになるだろう。 国内の原子力をこれからどうすべきか、その問いに答えるためにも参考になるはずだ。 報告書を読むと、暗たんたる思いにとらわれる。住民の安全をないがしろにしてきた日本の原子力推進の姿が、よく分かるからだ。 東京電力をはじめとする電力業界と国は、共に原発の安全規制を骨抜きにし、何らはばかるところがなかった。そうしておいて国民向けには「安全だ、安全だ」と神話を振りまいた。 官民共同で、驚くべき背信行為が続けられてきたわけだ。 原発事故の直接のきっかけは巨大津波だったと思われるが、報告書はその常識的見解にも疑問を示した。 その1例が冷却材喪失事故。配管に亀裂が生じ原子炉を冷やす水が漏れる事故で、いずれ空だきになって炉心溶融につながる。報告書は、福島第1原発1号機で起きていた可能性が高いことを指摘した。 冷却材喪失事故は重大な意味を持つ。起きていたとすれば、津波以前に地震の震動によって相当のダメージを受けていたことになる。全国のほかの原発も含め、原子炉の健全性が根本的に問われる。 確認するためには、原子炉周辺を実際に詳しく調べる必要があるが、放射能の影響によっていつできるか分からない。 ただ、報告書で幾つかの根拠とともに重大事故の可能性を指摘された以上、耐震基準を考え直し、個々の原発について再検証すべきだ。そうした安全確保の取り組みを積み重ね、ケースによっては廃炉も決断しなくてはならない。 それが原発事故の教訓をくみ取ることであり、これまでのずさんな安全規制を反省することでもある。 何十年もの間、原発を推進する主体はずさん、無責任であり、その帰結として事故が起きた。これから問われるのは、どこまでそうした体質を変えられるかだ。報告書を病根を断つための診断書として活用すべきだ。 |
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社説:原発国会事故調 検証と提言に耳傾けよ 毎日新聞 2012年07月06日 事故は自然災害ではなく「人災」だ。事前に対策を立てる機会が何度もあったのに実行されなかった。根本的原因は、日本の高度経済成長期にまでさかのぼった政府、規制当局、事業者が一体となった原子力推進体制と、人々の命と社会を守るという責任感の欠如にあった−−。 東京電力福島第1原発事故について、こう結論付けた報告書を国会の事故調査委員会が公表した。政府と東電のもたれあいの構図に踏みこみ、歴史的背景に迫った報告書を評価する。事故の未解明部分の究明や廃炉問題などを調査審議する第三者機関の国会設置、国会による原子力規制当局や電気事業者の監視体制の構築など7項目の提言も行った。政府及び国会は真摯(しんし)に受け止め、今後に生かしてほしい。 報告書によれば、東電は原発の稼働率の低下や訴訟への影響を恐れて安全規制の強化に反対し、規制当局もそれを後押ししてきた。原発の耐震補強の必要性や津波により全電源喪失に至る危険性を認識していながら対応を先延ばしし、経済産業省原子力安全・保安院も黙認した。規制当局は専門性でも東電に劣り、「規制する立場とされる立場に逆転関係」が起きて、事業者の「虜(とりこ)」になっていたという。その通りだろう。 危機的状況での官邸や東電の当事者能力の欠如も浮かび上がった。 官邸は東電などから情報を得られず、現場に介入し、指揮命令系統の混乱を生んだ。東電が「全面撤退」を決めた事実はないが、清水正孝社長(当時)が曖昧な連絡に終始したことが官邸の誤解の原因で、東電こそ過剰介入を招いた張本人という。 「時の総理の個人の能力、判断に依存しない危機管理の仕組みの構築」が必要との指摘はもっともだ。 事故がどのように進展したのかについては未解明の部分が多い。現場は高濃度の放射能で汚染されているため、立ち入って重要機器の調査や検証をすることができないことが理由で、やむを得ない面はある。 東電の社内事故調は、事故の主因は津波で地震による主要機器の損傷はないとの見解をまとめているが、国会事故調によれば、地震による損傷がないとは言えず、冷却水漏れの可能性も否定できない。耐震補強の不備に関しては、国内の全原発について調査する必要がある。国会に第三者機関を設置して検証作業を続けるという提言には耳を傾けたい。 報告書が言うとおり、福島原発事故はまだ収束しておらず、被害も継続している。国会事故調は個々の原発の再稼働に関する審議は見送ったが、報告書の指摘事項の再検討なしに、再稼働が認められることがあってはならないはずだ。 |
クローズアップ2012:国会事故調報告書 規制当局、事業者の虜 監督機能崩壊、根底に 毎日新聞 2012年07月06日 東京電力福島第1原発事故を「人災」と断罪した国会事故調査委員会の報告書。経済産業省原子力安全・保安院などの規制当局と東電の立場が逆転し、監督機能が崩壊したことが事故の根本にあると指摘した。事故を回避するさまざまなチャンスを生かせなかった関係者の姿勢が問われている。 ◇過酷事故対策先送り 「規制当局は電気事業者の虜(とりこ)」。国会事故調は、コスト増や反原発訴訟への懸念から津波や過酷事故への対策を怠ってきた東電と、それを許容してきた保安院や内閣府原子力安全委員会の責任を指摘した。 各委員も6カ月間の調査を振り返り、感想を語った。横山禎徳委員は「(重大事故はチェルノブイリ事故やスリーマイル島事故の)過去2回起きているが、原子力業界はその教訓を生かしてこなかった。これはプライドなき傲慢だ」と指摘し、さらに「事故から1年4カ月たつが、その反省はいまだ出てきていない」と批判した。石橋克彦委員も「全国の原発についても、このような問題がないか検証していく必要があることを示唆する報告書だ」と話した。 報告書によると、東電は06年に改定された原発の耐震基準に基づく安全性評価を先送りしたほか、同年の保安院との勉強会で想定以上の津波に襲われた場合、全電源を失う可能性が高いことを認識していながら、対策を取らなかった。 保安院も01年の米同時多発テロを受けた米国の原発対策を東電に伝えなかった。過酷事故対策を検討した保安院と電気事業連合会(電事連)との会合で、電事連側が「国際基準との整合性も大事だが、訴訟上のリスクへのケアの方が重要」と表明。当時の保安院長が「既存炉が到達できないことを要求するつもりはない」と規制強化を否定したことも明らかにした。 こうした癒着体質を、国会事故調は「原子力業界の存続が既設炉の稼働に依存し、事故を起こす責任より、潜在的な事故リスクを避けるために既設炉を停止させる責任の方が重く受け止められてきた」と指摘した。 さらに、東電の体質を「原子力技術に関する情報の格差を武器に、規制を骨抜きにする試みを続けてきた」と非難。規制当局も「規制の先送りで事業者の利益を図り、自らは直接的責任を回避した」と切り捨てた。 保安院の深野弘行院長は「改善すべき点は全力を挙げて検討し、新組織に引き継ぎたい」と陳謝する談話を発表。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「(震災前に)できる限りの事故対策はやっていた。私どもにとって厳しい内容だ」と述べた。 西脇由弘・東京工業大特任教授(原子力法工学)は「縦割り行政のため、規制側の組織が一体的な専門知識を持てなかったことが、事業者優位の構造の背景にある。新しい規制組織は、原子力関連の各機関の能力を結集し、独立性を持つ必要がある」と指摘した。【西川拓、久野華代】 ◇新組織人選、透明性が課題 報告書は、保安院など従来の原子力規制組織について「推進官庁、(電力)事業者からの独立性は形骸化し、能力、専門性、安全への徹底的なこだわりという点でも国民の安全を守るには程遠いレベルだった」と結論付けた。新たな規制組織として原子力規制委員会が9月までに発足するが、事故調が指摘した独立性などをどこまで確保できるかが課題となる。 報告書は、事故は規制当局と電力事業者が「安全第一に徹し、必要な備えに怠りなきを期していれば十分に『防ぎ得た』災害だ」と強調。従来の規制組織は「独立性」「透明性」「専門性」が欠如しており、規制される立場の東電や電気事業連合会と「逆転関係」が生じていたと指摘した。 こうした現状を踏まえ、報告書は新たな規制組織について「国民の健康と安全を最優先とし、常に安全の向上に向けて自ら変革を続けていく」ことを提言。(1)政府内の推進組織・事業者・政治からの高い独立性(2)意思決定過程の開示などの透明性(3)専門能力と職務への責任感(4)組織体制の効果的な一元化(5)自己変革を続ける自律性−−を要件に挙げた。 政府は6月に成立した原子力規制委員会設置法に基づき、委員長と委員計5人の人選を進めている。報告書は人選に透明性が必要と指摘。第三者機関が1次選定として相当数の候補者を選び、その中から国会同意人事で最終決定するよう求めた。 設置法は、原子力を推進する経産・文部科学両省出身の原子力規制庁職員は元の省に戻れない「ノーリターン・ルール」に発足後5年の猶予期間を設けているが、報告書は職務への責任感の観点から「当初より例外なく適用する」ことも求めた。 このほか、規制当局を監視するため、国会に原子力に関する常設の委員会を設けることも提言した。【笈田直樹】 |
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