みどりの一期一会

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地方交付税を一部凍結へ 特例公債法案の見通し立たず/予算執行抑制の影響は?

2012-09-05 21:13:11 | 市民運動/市民自治/政治
野田首相の問責決議が可決されたことから、
赤字国債発行に必要な特例公債法案が設立しないことになり、
自治体(交付団体)への地方交付税交付金の支払いも延期になった。
そんなこんなで、野田内閣は2012年度予算の執行を抑制し始めたとのこと。、

当然のことだけど、
全国の自治体の知事からは非難ごうごう。

この予算執行抑制の問題について、今日の社説は賛否両論。

いずれにしても、政党間の駆け引きに使われているのは間違いないようだ。

   【社説】予算執行抑制 行政スリム化の好機に 
2012年9月5日 中日新聞

 野田内閣が二〇一二年度予算の執行を抑え始めた。与野党対立で赤字国債が発行できないためだ。国民生活への影響を避けるのは当然だが、このピンチを行政の無駄を削る好機としてはどうか。
 一二年度当初予算は九十兆三千億円。歳入のうち約四割に当たる約三十八兆三千億円は赤字国債を充てることになっている。
 しかし、赤字国債を発行するための公債発行特例法案は八日に閉会する今の通常国会では成立しない見通しで、政府はこのままだと十月から十一月には財源が枯渇するとしている。
 政府が予算執行を抑制するのは「ない袖は振れない」にほかならない。対象は各省庁の庁舎運営費や出張旅費などの行政経費、独立行政法人や国立大学法人に交付する運営費などで、九月以降は予算額の半分以下にするという。
 四日には安住淳財務相が地方自治体向けの約四・一兆円の地方交付税の支払いを「当面、見送らせていただく」と述べた。
 財源不足による予算の執行抑制は異例の事態だ。野田内閣の側には、公債発行特例法案の成立を拒む自民党など野党側に軟化を促す狙いもあるのだろう。
 予算執行に欠かせない財源を確保するための法案は本来、政争の具とすべきではない。野党側も公債発行特例法案を内閣総辞職や衆院解散の取引材料とするのは厳に慎まなければならない。
 予算執行に支障が出ないよう、財源確保のための法案は予算案に準じて、衆院の議決を尊重するような国会運営の工夫が必要だ。
 年金、医療、生活保護など社会保障関連や、防衛や治安の経費、東日本大震災復興経費は執行抑制の対象外だ。財政の非常事態とはいえ、国民生活への影響をできる限り避けるのは当然だろう。
 同時に、財政のピンチは、行政スリム化のチャンスになり得る。
 行政事務に非効率はないか、無駄な事業はないか、これを機に徹底的に見直すべきだ。使える予算がなければ無駄を削り、限られた予算を、優先順位を付けて重点的に配分するしかない。知恵はおのずから出てくる。年間約三百二十億円の政党交付金や、議員歳費なども聖域とすべきでない。
 地方交付税の受け取りが遅れる地方自治体も同様だ。資金不足の自治体は銀行からの借り入れでしのぐが、行政の在り方を徹底的に見直して無駄を削れば、借入額も金利負担も減る。その努力が地方自治をより強くすると信じたい。


 社説:予算執行抑制 この異常を早く止めよ
毎日新聞 2012年09月05日

 昨年は菅直人首相の退陣とセットだった。今年は衆院解散をめぐる与野党間の駆け引き材料になっている。赤字国債の発行に必要な特例公債法案のことだ。
 年度も半ばを迎えるというのに、法案成立のめどは立たず、歳入の約4割もの確保が見通せない異常さだ。ついに、地方交付税の支給延期など、予算の執行を抑制する初の事態になってしまった。
 税収だけで歳出をまかなえず国が市場などから借金する際に発行するのが赤字国債だ。財政法で発行が禁じられているため、1年限りの例外措置として特別に発行を可能にする手立てが、特例公債法である。
 1965年に初めて導入されたが、94年度以降は毎年、赤字国債が発行され、今年度は38.3兆円に膨らんだ。もはや「特例」ではなく「恒例」といった異常さである。
 さらに異常なのが、国会におけるこの法案の扱われ方である。国の予算そのものは、衆院で可決されると、その後、参院で審議が長期化しても、参院への法案送付後30日で成立するよう憲法が定めている。しかし、憲法制定当時、想定していなかった赤字国債は予算本体と別扱いで、今のようなねじれ国会下では、政党間の取引材料として法案が延々と保留される問題が生じた。
 今後も国会のねじれが起こりうる以上、毎年のように特例公債法案が何カ月も放置される事態を回避する仕組みを作る必要がある。
 永田町にこの異常事態への危機感は乏しいようだが、長期化すれば影響はどんどん深刻になる。予算執行の抑制は国民生活への影響が小さい分野から始まるが、地方交付税の支給延期にしても金融市場で影響が出ている。自治体が不足分を金融機関からの緊急借り入れでしのごうとすれば、納税者が追加の利子負担を強いられることもある。
 さらに国債の発行スケジュールにもしわ寄せが懸念される。法案成立が大幅に遅れ、赤字国債の発行が短期間に集中する事態に陥れば、市場の需給バランスが崩れ、国債価格が急落(金利が急騰)するリスクがあることを忘れてはならない。
 こうした事態を招いた責任のある与野党は当然、政党交付金の受け取りを見合わせるべきだが、何より今の異常事態を一日も早く収拾することが肝心だ。そのうえで、このようなことを繰り返させないための取り決めをしてもらいたい。
 過去の借金を返済するための借り換え分も含めると、年間170兆円超の国債を発行する異常な借金大国なのである。政党の勝手な都合で、国の信用を揺るがす綱渡りに興じている余裕などないはずだ。 



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 予算執行抑制、7日決定=地方交付税4.1兆円を延期-政府
2012.9.4 時事通信 

 安住淳財務相は4日午前の閣議後記者会見で、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会成立がほぼ絶望的となったため、2012年度予算の執行抑制を、7日の閣議で正式決定する方針を表明した。執行抑制の対象は地方交付税交付金や国立大学法人への運営費補助金、出張費など。
 これに関連し政府は、4日に予定していた地方交付税4.1兆円の支払いをひとまず延期した。安住財務相は「財政力の小さい市町村には十分配慮しながら総務省と(支給額を)調整し、7日に最終的な方向を決める」との考えを示した。(2012/09/04-12:20)


 地方交付税を一部凍結へ 特例公債法案の見通し立たず
2012年8月30日 朝日新聞

 野田佳彦首相の問責決議を受け、特例公債法案の成立の見通しが立たなくなったことから、政府は自治体に配る地方交付税の一時的な減額など、予算の執行を抑制する方針を固めた。赤字国債が発行できないことが原因で予算の執行が抑制されるのは初めてという。週内にも発表する。
 2012年度の国の予算は90.3兆円で、このうち約4割の38兆円は赤字国債を発行して、市場からお金を集めることになっている。政府は、この赤字国債を発行するための特例公債法案を、1年ごとに成立させている。今国会では、衆院で可決された。しかし、野田首相の問責決議が29日に参院で可決されたことで今国会で参院を通過する見通しがつかなくなった。
 このため、財務省は9月上旬から各省庁の予算の執行を抑制する方針。9月には約4.1兆円の地方交付税を自治体に配分する計画だったが、一部を凍結する。財政に余力のある都市部の自治体への配分を見送るなどの措置をとる。特例公債法案が成立すれば解除されるが、一時的に交付税が減るため、自治体からの反発が高まりそうだ。(座小田英史)  



 特例公債法案めど立たず、財務相「予算執行抑制策を近く提案」
2012年8月28日 朝日新聞/ロイター

 [東京 28日 ロイター] 安住淳財務相は28日の閣議後会見で、特例公債法案成立のめどが立たないことを受け、今週の政局・国会の状況を見て、予算執行の抑制策について近く国民に提案させていただくと述べた。
2012年8月28日 関係法令に照らして、具体的に例外なく検討すると述べ、地方交付税交付金や政党交付金も除外しない可能性を示唆した。
 丹羽宇一郎・駐中国大使の乗った公用車が北京市内で何者かの車に襲われ、掲げていた日の丸が奪われた事件に関しては「中国当局にはしっかり捜査して法令に則った対応をしてもらいたい」とし、「いたずらに日中関係悪化を招く事態は避けてもらいたい」と注文した。

 <特例公債法案の強行採決、やむを得ない判断>
 国会は特例公債法案の採決をめぐって与野党の対立が激化している。政府・与党はきょうの衆院本会議で特例公債法案を採決・可決し、参院に送付する構え。これに対し、自民党などの野党は、与党が予算の組み替えなど法案の成立に向けた政党間協議の努力を怠ったうえ、強行採決に及んだ国会運営を批判し、29日にも首相の問責決議案を提出する方向だ。
 自民党の協力が得られなければ参院での法案可決は難しく、成立のめどは立っていない。赤字国債発行の根拠となる同法案が成立しなければ、歳入の約4割に穴があき、10月末で財源がほぼ枯渇するため、安住財務相は早くから予算執行の抑制を回避するために今国会中の成立を促してきた。
 解散・総選挙をめぐる攻防が激化するなか、事態打開は展望できず、安住財務相は成立のめどが立たないまま同法案を参院に送付せざるを得ない事態になったことについて、参議院での審議時間20時間を確保するには「きょうが限界。やむを得ない判断だった」と理解を求めた。
 その上で野党の問責決議案提出について「会期末になると政権を追い込んでいくひとつの手段として問責というパターンが続いている。対決型国会になれば、ある程度、手段として出てくるかもしれないが、やるべき課題が山積していることは事実で、国会審議ができなくなるのは残念だ」と批判。財務省としては「国会を見守るしなかい」とし、議員立法や国会同意人事など与野党対決型でない案件について、成立の努力をお願いしたい、と語った。

 <予算執行抑制「例外なく検討」、地方交付税交付金や政党交付金も示唆>
 一方で、特例公債法案が9月8日までの今国会で成立しなければ、予算執行の抑制が現実味を帯びてくる。安住財務相は「今週の政局、国会状況を見た上で、限られた財源の中でやりくりしていくか、近く国民に提案させていただく」と語った。「具体的な方針を決めたわけではない」としながらも、国民生活に影響のないやり方で「具体的に例外なく検討させていただく」とも指摘。9月に公布される地方交付税交付金を減らす可能性も出てきた。
 さらに、政党交付金が10月に公布される段階で「特例公債法がまだ成立していなければ、政府・民主なり総理の判断を頂かなければならない局面が出てくる」と述べ、政党交付金も除外しない考えを示唆。「関係法令と照らし合わせ、例外なく、様々なことをやらなければならない」と語った。
(ロイターニュース 吉川 裕子;編集 山川薫)  


 社説:予算執行抑制 歳出減の努力忘れるな
2012.9.5 中国新聞

 戦後は例のない異常な事態である。38兆円余りの赤字国債を認める「公債発行特例法案」の今国会成立が絶望的になったのを受け、政府が予算執行の抑制という荒業に出た。
 このままいけば11月には財源が枯渇してしまう、という理由である。まず影響を受けたのが自治体。きのう予定されていた4兆1千億円の地方交付税の支給が見送られた。
 法案審議は、10月の臨時国会で仕切り直しとなりそうだ。国民生活の混乱を招かぬよう、与野党が頭を冷やして成立へ歩み寄ってもらいたい。
 それにとどまらず、過去最大に水膨れした予算を少しでも削るきっかけにしてはどうか。
 予算の4割を赤字国債で賄う現状では特例法案は政権のアキレスけんといえる。ねじれ国会の下、菅直人前首相は成立と引き換えに退陣に追い込まれた。
 消費増税で「民自公」が協力した今年。民主党側は何とかなると高をくくっていた節がある。ところが衆院解散をめぐって対立が深まり、自民党などが野田佳彦首相を追い詰める最大のカードとしている。
 年度初めから5カ月が過ぎた今、国民からすれば見苦しく映る。いつまでも駆け引きの道具にすることは許されまい。
 一方で執行抑制に踏み切った政権の姿勢もほめられたものではない。このままなら大変なことになるぞと、野党をけん制する思惑も透けて見えるからだ。
 とりあえず対象とするのは地方交付税のほか、国立大学の運営費交付金、各府省の会議費や出張費などのようだ。中央官庁の腹がさほど痛まない支出を安易に抑えた印象は拭えない。
 とりわけ交付税の支出を遅らせたのはいかがなものか。自治を支えるために財源を再配分する役割に、国会混乱のしわ寄せを及ぼすべきではなかろう。
 財政基盤の弱い市町村分は月内にも予定額が出るというが、道府県については当面、圧縮していく方向という。場合によっては自治体の財政運営に支障が出ることも考えられる。
 財源がないなら差し止めるべき支出はほかにもあるはずだ。
 今回の事態の責任を負うのは何より国会である。「お手盛り」の象徴ともいわれる政党交付金は今のままでいいのか。
 年間総額320億円のうち4分の1が10月に支給される予定だが、与党から「凍結を」との声がある。延期ではなく一気に削減する姿勢も求められよう。
 各府省の事業予算も見直せないものか。不要不急のものが本当にないか早急に点検してもらいたい。仮に特例法案が無事に通っても、その分は減額補正して歳出を減らす方法もある。
 幹部職員が公然とグリーン車を使える。そんな取り決めもこの際、改めるべきだろう。
 赤字国債に建設国債を加えて44兆円。政権交代後、税収を上回る借金を毎年続けてきたのが民主政権だ。景気低迷という側面はあるにせよ、そのこと自体が異常と言わざるを得ない。
 来年度予算の概算要求が、今週末に締め切られる。基本的な歳入構造は変わらないというのに、またも公共事業の大盤振る舞いを懸念する声がある。
 消費増税で国民に負担を求めようとする野田政権。危機意識がこのままなら、理解など得られるはずもない。 



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