みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

生活保護を考える 番外編 専門家に聞く 他の制度と絡め議論を/大山小夜さん(白井康彦)

2012-09-21 16:43:06 | ほん/新聞/ニュース
退職後の梶原拓元岐阜県知事の秘書給与・旅費の返還を求める
住民訴訟の控訴審で名古屋に来ています。

名古屋高裁のすぐ近くには中日新聞の本社があります。

ということで(ちょくせつ関係ないけど・笑)、
昨日の中日新聞生活面の白井康彦さんの記事を紹介します。
「生活保護を考える 番外編」です。
インタビューに登場された大山小夜さんにも以前、
クレサラ問題の集会でお会いしたことがあります。
お話は簡潔で明快、聡明でクールな学者さんです。

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  生活保護を考える 番外編 専門家に聞く 他の制度と絡め議論を
2012年9月20日 中日新聞

 国の財政状態が厳しい中で生活保護費が近年、急増し続け、生活保護制度の見直し論が盛んだ。次期衆院選でも論戦のテーマの一つになる可能性がある。こうした議論の際に大事なポイントは何か。貧困問題に詳しい金城学院大人間科学部准教授(社会学)の大山小夜さん(39)に聞いた。 (白井康彦)

 -「働かずにお金をもらっている」「税金の無駄遣いだ」などと、受給者をバッシングする風潮は、いろいろな誤解が背景にあるのでは。
 窮状は本人しか分からない部分もありますが、他人が想像力で補える部分もあります。日々の暮らしにはお金がいる。でもさまざまな事情でそのお金が工面できない人が現実にいます。ほっておいたら社会はどうなりますか。当事者の間で絶望が広がり、餓死や犯罪が増えるでしょう。

 -そうした人は特殊という声もあります。
 いいえ、ごく普通の人が多いです。年金の受給額が少なくて生活が成り立たず、生活保護でカバーする。失業してなかなか再就職できず、貯金も底をついたので受給するなどです。そもそも生活保護は、日本国憲法に基づいて、国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する最後の頼みの綱として制度化されたものです。誰でも一人では生きていけないし、困った時は人に頼って良い。そういう社会が望ましいと多くの人は考えるのではないでしょうか。

 -議論で大事なのは。
 事実を踏まえて冷静に進めること。きちんとした統計数字を参考にしたり、日本の現状を海外諸国と比較したりもして。

 -先進諸国と比べたときの日本の特徴は。
 総人口に対する受給者の割合が断然低いです。日弁連がまとめた資料によると、この割合は二〇一〇年時点で日本が1・6%、ドイツが9・7%、スウェーデンが4・5%などです。生活保護を受けられる状態の人の中で、実際にどれだけの人が受給しているかが捕捉率。これも西欧諸国に比べると日本は相当低い。受給割合が低いことは大問題でしょう。

 -受給者急増は社会保障制度の弱さも一因では。
 例えば、国民年金は満額の年金額がそもそも少なく、無年金者も多い。非正規労働者で雇用保険から漏れている人も多いです。他の社会保障制度が弱いので、最後の頼みの綱である生活保護に“しわ寄せ”が来ているのです。
 五年前、生活保護制度の調査でスウェーデンを訪れたとき、現地の説明者から「どうして生活保護のことだけ聞くのか」と言われました。生活保護を必要とする人の数を減らそうとして、他の社会保障制度を充実させてきたとの自負をもっておられたのです。日本でも他の社会保障制度や雇用制度などと絡めて、生活保護を論じていかねばなりません。 =おわり

◆政府、予算圧縮へ検討も
<生活保護制度見直しの検討項目>
●生活保護基準の検証・見直し
●受給者や扶養義務者などへの指導強化
●生活保護を抜ける意欲を強める施策
●ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化
●高齢者や障害者などに対する社会的自立の促進

        (生活支援戦略中間まとめより)
 生活保護の現状についての捉え方は政党によって大きく異なる。ただ、政党間の議論が反映されて制度が見直されるのは衆院選挙後になりそう。そのため、今は政府内の検討が焦点だ。
 厚生労働省が七月に発表した生活支援戦略中間まとめには、検討事項として(1)生活保護基準の検証(2)受給者やその家族への指導強化-などが挙げられている=表参照。
 基準引き下げで生活保護の支給額が大きく減れば、受給者の生活は一段と厳しくなる。受給者の家族に援助額を増やしてもらう姿勢を政府が強め過ぎると、受給申請をためらう人が急増する可能性がある。
 生活困窮者を支援する法律家らは懸念を強めているが、政府内では生活保護予算も何とか圧縮したいという空気が強い。 


 <はたらく>仕事と介護 どう両立? 「社外で勤務」の工夫を
2012年9月21日 中日新聞

 団塊の世代があと10年で75歳を超え始め、まもなくやってくる“大介護時代”。共働き家庭が過半数を占め、仕事をしながらの介護に誰もが直面する可能性がある。認知症の父(76)を介護しながら、企業の両立支援を研究している東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長の渥美由喜さん(44)に、「会社員、介護、子育て、看護、家事」の“5Kライフ”にどう向き合っているかを聞いた。 (稲熊美樹)

 -介護が始まったのはいつですか。
 「一人暮らしの父が統合失調症を発症し、攻撃的になったり、徘徊(はいかい)するようになり、二〇〇九年十二月から三カ月間、入院しました。合う薬が見つかって症状は改善されたものの、認知症もあって要介護1。家に戻ってもサポートが必要な状態でした」

 -退院後の介護体制はどう整えましたか。
 「会社員の妻(44)や、きょうだいと話し合いました。介護はプロジェクト。仕事の経験が生きます。感情をぶつけ合うより、仕事の会議のようにビジネスライクの方がいい。どういう状態が父にとって幸せか、ゴールイメージを共有しました。要介護1だと、介護保険制度だけでは足りません。自費で補っています」

 -話し合いで問題はありましたか。
 「親戚が口を出したことがありましたが、断りました。介護は相続権に応じて関わるべきであり『長男の嫁だからやれ』というのもおかしい。本来は対価を伴うこと。相続権があっても介護に関われないなら権利を放棄し、介護している人にお願いするべきです。時間をかけられないのなら、少なくともお金を出さなくては」

 -介護が始まって生活は変わりましたか。
 「自宅から父の暮らす家へは、車で十五分。父は知らない人を家に入れるのを嫌がったので、介護者に慣れるまでの三カ月間は集中的に滞在しました。新しい生活に慣れるまでは、家族が関わるしかありません。今も、毎日子どもたちと一緒に顔を出しています」

 -三カ月間はどう乗り切ったのですか。
 「在宅勤務です。父の家で仕事をした。あらゆる職種で、少なくとも週一日はできると感じます」

 -仕事での工夫は。
 「今も出張回数は減らしています。いつでもどこでも仕事ができるようパソコンや資料は持ち歩き、移動や待ち時間には立ったままパソコンを開きます」

 -お子さんの看護も経験されました。
 「介護との両立が軌道に乗ったころ、次男の病気が判明。病院に一カ月半寝泊まりしました。それまでの4Kが5Kになりましたが、大きくは変わりません。手術は成功し、今は元気に保育所に通っていますが、もし明日再発しても悔いのない子育てをと決めています」

 -はたから見れば大変な状況。仕事を辞めることは考えなかったのですか。
 「辞めればいったんは楽になりますが、認知症の親と一日中向き合うのは、ストレスがたまります。仕事をすれば相殺できると考えました。介護経験がある上司の励ましも大きかった。研究にも深みが出た。直接介護に関わらない仕事でも、今後増える介護にまつわるニーズを肌で感じられ、仕事にも役立つと思います」

 -介護で心掛けていることは。
 「憎しみが湧くこともありましたが、愛情を込めて育ててくれたことに感謝し、いずれ自分が老いたときにしてもらいたいことをするようにしています」

 -介護と仕事の両立でつらいときはどう考えればいいでしょう。
 「親や子どもは変えられませんが、会社や仕事は変えられます。優先すべきは介護や子育て。一人で抱え込まず、まずは相談を」

 <あつみ・なおき> 介護支援をはじめ、企業のワーク・ライフ・バランスなどのコンサルティングを手掛け、講演は年間100件以上。前内閣府男女共同参画会議基本問題・影響調査専門調査会専門委員。著書に「ムダとり時間術」(日本経済新聞出版社)、「イクメンで行こう!育児も仕事も充実させる生き方」(同)など。
 



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