みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

福島の子、1人が甲状腺がん 検査で報告/ほんとうに「放射線の影響ではない」のか!?

2012-09-12 19:16:57 | 地震・原発・災害
福島県のこどもを対象にした甲状腺検査で、
ひとりが「甲状腺がん」になっていたそうです。

こどもの甲状腺がんはとてもめずらしく、チェルノブイリでも原発事故以前はなかったのですが、
事故後は増えたと聞きました。
調査した大学教授は、
「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」として、
「放射線の影響を否定した」そうですが、
何を根拠に放射線が原因ではないと言い切れるのか、疑問です。

ヨウ素の半減期は数日なので、事故直後に大量のヨウ素を被曝したかかどうかは不明のはず。
少なくとも、「わからない」というのが専門家としては正確なのではと思います。

事故直後に、根拠もなく「ただちに健康への影響はない」と言っていたのを思い出しました。

  福島の子、1人が甲状腺がん 検査で報告
(2012年9月12日) 【中日新聞】

県立医大教授 放射線の影響を否定
 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会(座長・山下俊一福島県立医大副学長)が11日開かれ、事故発生当時18歳以下を対象とした甲状腺検査について、1人が甲状腺がんと報告された。
 甲状腺検査の対象は約36万人。これまで一次検査を、昨年度約3万8千人、本年度約4万2千人の計約8万人が受けた。このうち昨年度186人、本年度は239人の計425人が「二次検査が必要」とされ、昨年度のうち1人ががんと判断された。
 調査主体の福島県立医大の鈴木真一教授は検討委で「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。福島では広島、長崎のような外部被ばくや、チェルノブイリのような内部被ばくも起きていない」と述べ、放射線の影響を否定した。
 鈴木教授は終了後、記者会見。小児甲状腺がんは100万人に1人〜2人の頻度といわれていたが、自覚症状が出てから診察する場合がほとんどで、今回のように全ての子どもを対象とした検査の前例がないため「比較できない」と述べた。
 年齢や性別、外部被ばく線量などは一切明らかにしなかった。


応援クリック 人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

 子ども1人、甲状腺がん 事故の影響否定 福島県検査

2012年09月12日水曜日 河北新報

 福島第1原発事故後に福島県が県内の18歳以下の子どもを対象に実施している甲状腺検査で、甲状腺がんを発病しているケースが1例確認されたことが11日、分かった。甲状腺がんの発症例が確認されたのは初めて。県側は原発事故と発症の因果関係を否定している。
 発症例は福島市で同日あった県の県民健康管理調査検討委員会で報告された。患者の性別や年齢、症状はプライバシー保護を理由に公表されていない。
 検査担当の鈴木真一福島県立医大教授は「原発事故による被ばく線量は内部、外部被ばくとも低い。チェルノブイリ原発事故の例からも、事故による甲状腺がんが4年以内に発症することはないと考えている」と説明している。
 委員会では2012年度分の8月までの検査の結果も報告された。結節や嚢胞(のうほう)がない「A1」判定が56.3%(11年度は64.2%)、小さな結節などがある「A2」が43.1%(35.3%)、一定以上の大きさの結節などがあって2次検査が必要な「B」が0.6%(0.5%)だった。


 甲状腺がん1人確認 福島医大「放射線の影響ない」 

 11日に福島市で開かれた県民健康管理調査検討委員会で、福島医大は子どもを対象とする甲状腺検査について、二次検査の結果、1人の甲状腺がんが確認されたと報告した。検査で甲状腺がんが見つかるのは初めて。福島医大は「放射線の影響ではない」としている。
 甲状腺検査は東京電力福島第一原発事故時に18歳以下だった子ども約36万人が対象で、検査結果が判明したのはこれまでに約8万人。
 今回、甲状腺がんが見つかったのは平成23年度実施分の二次検査。23年度は双葉郡8町村と伊達市、南相馬市、田村市、川俣町、飯舘村の13市町村の3万8114人で一次検査を実施した。
 186人から5.1ミリ以上のしこりなどが確認され、二次検査対象(B判定)となった。検査を終えた38人のうち、超音波検査や細胞を吸引して詳細に調べた結果、1人が甲状腺がんと確認された。それ以外は良性だった。
 福島医大は対象者についてプライバシー保護の観点から性別や年齢、住所、被ばく線量などを公表していない。
 福島医大は24年度の一次検査結果も公表した。福島市の4万2060人を検査し、「直ちに二次検査を要する」(C判定)と判定された県民はいなかった。二次検査対象は239人で全体の0.6%。23、24年度では425人に上る。
 しこりなどが見られない「A1判定」は2万3702人で全体の56.3%、5.0ミリ以下のしこりなどがある「A2判定」は1万8119人で43.1%だった。

■「高い外部被ばくない」福島医大鈴木教授
 甲状腺検査で甲状腺がんが見つかったことについて、調査を担当する県民健康管理調査検討委員会の鈴木真一福島医大教授は「内部被ばくのあったチェルノブイリ事故でさえ甲状腺がんは発生まで最短で4年。本県では広島や長崎のような高い外部被ばくも起きていない。事故後1年半しか経過していない本県では、放射線の影響とは考えられない」と東京電力福島第一原発事故の影響を否定した。
 検討委の座長を務める山下俊一福島医大副学長も検討委として同様の見解を示した。
 鈴木教授らによると、子どもの甲状腺がんの頻度は100万人に1~2人といわれるが、通常はしこりを感じる本人の自覚症状などで数センチ大になってから見つかるケースが多いという。今回のように18歳以下全ての子どもを対象に精度の高い超音波検査を実施した例がなく、「比較はできない」としている。
 首都大学東京大学院放射線科学域長の福士政広教授は「甲状腺がんの進行は遅く、現段階で原発事故の放射性ヨウ素を原因とする症状が出ることは考えられない。今回症状が確認された人は原発事故以前から発症していたはずだ」と指摘する。
( 2012/09/12 福島民報 )


5月の中日新聞の記事に、「甲状腺検査」の問題が詳しくまとめられているので紹介します。

 福島の子 3割以上“良性”のう胞 甲状腺検査で不安は消えず「せめて半年ごとに調べて」
(2012年5月18日) 【中日新聞】

 福島第1原発事故を受け、福島県が18歳以下の子どもを対象に進めている甲状腺検査。放射線量が高い地域の先行結果では、3割以上にのう胞のほか、約180人に直径5ミリを超えるしこりが見られたが「おおむね良性」という。本年度検査が福島市などで始まる中、検査方法や説明に親たちは不安を募らせている。(出田阿生、秦淳哉)

「異常なのか」
 福島県飯舘村から福島市内に避難しているユキ子さん(47)=仮名、以下同じ=は、小学4年生の長女が受けた甲状腺検査の結果通知が全く理解できなかった。
 甲状腺は首の前にある内分泌器で、そのホルモンは成長に欠かせない。今年1月に届いたのは、A4の紙1枚。「(A2)小さな結節(しこり)や嚢胞(のうほう)(液体が入っている袋のようなもの)がありますが、2次検査の必要はありません」とだけ書かれていた。
 裏面を読むと、簡単な説明書きが。「A1」は異常なし、「A2」は5ミリ以下のしこりか20ミリ以下の嚢胞(以下のう胞)があった場合。2次検査が必要なのは、それを超える大きさがあった場合で「B」(念のため検査)と「C」(ただちに検査)となっていた。
 のう胞は甲状腺が閉ざされ、分泌液がたまった状態を指す。「しこりなのか、のう胞なのかも分からない。健康な子にも存在するのか、何らかの異常なのか。次の検査は2年後と言われても…?」
 県から委託されて検査する福島県立医大の県民健康管理センターに問い合わせた。当初は「担当の先生は忙しくてすぐに返事できない」との返答。その後も「説明は裏面を読んで」と繰り返す。
 ユキ子さんは検査に付き添ったが、医師の説明はなかった。その理由を聞くと「隣の人に聞こえてしまうので」。納得がいかなかった。「原発事故当時、村では何も知らずに井戸水を飲み、屋外で炊き出しのおにぎりを食べていた。成長する娘はどうなるんだろうか」
 甲状腺の超音波(エコー)検査は、原発事故時に18歳以下だった約36万人を対象に行う。甲状腺は放射性ヨウ素をためこむ。チェルノブイリ事故では、約5年後に放射性ヨウ素の内部被ばくで子どもの甲状腺がんが急増した。
 放射線量が高い警戒区域の浪江町や計画的避難区域の飯舘村などを皮切りに、13市町村が3月末に検査を終えた。3万8114人のうち、2次検査の対象となる5ミリ超のしこりや20ミリ超ののう胞のB判定は186人=表参照。本年度は今月14日から始まり、線量が比較的高い福島、郡山市など12市町村の15万4894人が対象だ。
「子どもの健康を守るというなら、せめて半年ごとに検査を」と訴える親たち=福島市内で 検査は20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとだ。「せめて半年ごとに調べて」と話すのは中学1年の息子を持つ福島市のカナさん(49)。検査通知に「同意書」が付いていたのにも驚いた。小中学校での検査は「保護者同席ではないため提出を」と要請。「なぜ保護者がその場で説明を受けられないのか。他の健康診断で同意書なんて聞いたことがない」
 結果通知には、エコー写真も添付されない。これでは別の医師にセカンドオピニオンを求めることもできない。
 甲状腺検査の結果が書かれた用紙。詳しい説明はなく、次回の検査は2年後だ 県立医大の山下俊一副学長らの文書も親の不信感を募らせた。1月16日付で日本甲状腺学会の会員にこう要請した。2次検査の対象にならない子どもの保護者からの問い合わせや相談には「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状が出現しない限り、追加検査は必要がないことをご理解いただき、十分にご説明いただきたく存じます」。
 他県の医師がネットに掲載したこの文書を見たサナエさん(48)は「これじゃ余計な検査をするなという脅し。子どもの健康のためではなく、安全性を強調するだけの形式的な検査にしかみえない」と思った。高校生の長男には民間病院で甲状腺検査を受けさせた。

隠れて予防策
 7歳の長男と4歳の長女がいる福島市のマリさん(42)は「原発事故の影響を判別するため、他の地域の子の甲状腺検査と比較をする必要がある」と話す。自宅周辺は少し前まで空間線量が毎時1マイクロシーベルトを超えていた。尿検査や血液検査、心電図検査の必要性も感じる。
 放射能への不安を口にしづらい雰囲気も強い。「県外避難できない親は文句が言えず、あきらめている」。自らも病気の父親を抱えているため避難は断念した。
 「福島にとどまらざるを得ない子どもに健康対策は最低限の条件。なのに、人口流出を恐れる行政に危機意識が低いために、個人が隠れて予防策をする羽目になる」
 全県民約200万人の健康を一手に担う県民健康管理センターは、県立医大の一室に設置されており、スタッフはわずか94人。
 親たちは口を揃(そろ)える。「健康調査についての有識者の検討委員会に、住民代表を入れてほしい。そもそも住民の健康管理を、県立医大だけにやらせるのは無理がある。これは国を挙げて取り組むことじゃないのか」

チェルノブイリも他地域も比較なく 
 北海道深川市立病院の松崎道幸医師は「チェルノブイリ事故後に18歳未満の子を対象とした検査結果で、直径5ミリ超のしこりとのう胞がそれぞれ約0.5%現れたとの文献がある」とした上で、チェルノブイリ事故被害との直接比較ができない点を問題視する。
 「診断基準が違うから断定できないが、しこりについてはチェルノブイリと同程度と言える。しかし、のう胞をより大きな20ミリ以下と20ミリ超で分けており、直接の比較ができない。ただ、今後影響が出る可能性もあり得る。直径の大きさを示した詳しい分布も併せて公表すべきだ」。さらに次回の検査について「少なくとも半年に1回は経過を検査する必要がある」と言う。
 北海道がんセンターの西尾正道院長は「甲状腺は成人してから異常が出る例が多い。これまで子どもの調査データは少ないが、のう胞ができたとしてもすぐに異常とは限らない」と話す。
 同時に「福島の子どもが異常かどうかは、原発事故の影響がない地域の子どもを調査し、比較すればはっきりする。やる気があればできるはずだ」。
 西尾氏も継続的な検査を求める。「チェルノブイリでは5年以上の潜伏期間を経てがん発症が増えだした。他の病院の検査を望む人も多いはず。県立医大が、問い合わせがあっても2年後まで検査は必要ないと説明するよう求めた文書を出したのは本末転倒だ」


最後まで読んでくださってありがとう
応援クリックしてね 


  記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする