みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

岐阜県 敦賀事故シミュレーション(放射性物質拡散予測)/『見えない恐怖 (放射線内部被曝)』(松井英介著)

2012-09-09 21:28:22 | 地震・原発・災害
今朝の中日新聞の一面トップは、岐阜県の敦賀原発事故シミュレーションの記事。
衝撃的な内容ですが、予想していた通り、岐阜県にも高濃度の放射性物質が拡散してきます。

わたしたちが25年も前の88年に心配して風船を飛ばした結果通りになりました。
今年、福井県から飛ばした風船の落下地点とも一致します。

webに記事がアップされていないので、とりあえず紙面を紹介します。

 敦賀事故時 岐阜24市町 20シーベルト超に
 
放射性物質 県が拡散予測

 2012年9月9日 中日新聞

 岐阜県は、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の大事故を想定した独自の被害予測をまとめた。事故の状況と気象条件で最悪の条件がそろうと、敦賀原発から百キロ離れた愛知県にも、高濃度の放射性物質が拡散する恐れがあると試算している。

愛知、三重にも影響
 岐阜県は、県内の少なくとも二十四市町と愛知県の五市町、三重県の一市で、地表に沈着した放射性物質による年間の外部被ばく量が二〇ミリシーベルト超のケースがあると予測。東京電力福島第一原発事故の計画的避難区域に相当する放射線量で、百万人以上が影響を受ける可能性がある。東海三県全体で防災対策の見直しが迫られそうだ。・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

被害最大 山脈抜け東海に流入
 敦賀原発の事故を想定した岐阜県の被害予測で、岐阜県から愛知県にかけて被害が最も広がる可能性が指摘されたのは、放射性物質が福井県から滋賀県を経て、山脈の間を縫うようにして東海地方に流入するケースだ。
 それには二つの条件がある。まず、夏場に弱い北西の風が吹くこと。敦賀原発から放出された放射性物質はこの風に乗り、岐阜、滋賀県境の伊吹山地にぶつかって山沿いに南下する。伊吹山地と鈴鹿山脈の間を抜けて岐阜県周辺に達したころに雨が降ると、放射性物質の拡散が鈍化。岐阜県美濃地方と愛知県尾張北部に落下し地表に沈着する可能性が高くなる。
 「夏は南風の日が多いため、そういった気象状況は頻繁に起きるわけではないが、最悪に備えることが必要」と語るのは、岐阜大の吉野純准教授(気象学)。さらに今回の予測で被害の広がりが比較的小さかった「冬の北西の風」(伊吹おろし)も警戒するべきだと指摘する。この季節の北西の風は吹く頻度が高い上、威力が強いため、放射性物質が伊吹山地を乗り越えて直接、岐阜、愛知両県に達する恐れがあるという。
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被害予測をまとめた岐阜県のデータがないかを調べていたら、
東京新聞webに記事の要約がアップされていました。

  岐阜県 敦賀事故シミュレーション  
2012年9月9日 東京新聞

 岐阜県は、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の大事故を想定した独自の被害予測をまとめた。事故の状況と気象条件で最悪の条件がそろうと、敦賀原発から100キロ離れた愛知県にも、高濃度の放射性物質が拡散する恐れがあると試算している。
 岐阜県は、県内の少なくとも二十四市町と愛知県の五市町、三重県の一市で、地表に沈着した放射性物質による年間の外部被ばく量が二〇ミリシーベルト超のケースがあると予測。東京電力福島第一原発事故の計画的避難区域に相当する放射線量で、百万人以上が影響を受ける可能性がある。東海三県全体で防災対策の見直しが迫られそうだ。
 岐阜県の内部資料によると、「福島の原発事故と同じ規模の事故が敦賀原発で発生」との前提で、季節や風向き、気温、降雨量などから二十のケースを想定。拡散した放射性物質によって各地の住民が被ばくする量を専門機関に試算させた。
 最も被害が広がったのが、弱い北西の風と適度な雨が重なったケース。年間の外部被ばく量二〇ミリシーベルト超の地域が、大垣市や岐阜市など岐阜県の少なくとも十八市町と愛知県の一宮市や江南市など四市町に及んだ。
 放射性物質がいったん福井県北部に滞留した後、弱い西風で岐阜県に流入したケースなどでは、下呂市や郡上市など岐阜県の別の六市と愛知県犬山市でも二〇ミリシーベルト超になる。
 ただ、試算した二十ケースのうち、十三ケースでは東海三県で二〇ミリシーベルト超の自治体は現れなかった。
 岐阜県は今回の被害予測をもとに、ヨウ素剤の配備など重点的に防護対策を講じる地域を決める。
 中部地方では、滋賀県も昨年九月、関西電力の美浜原発と大飯原発での事故を想定した内部被ばくの被害予測を公表。岐阜県では揖斐川町など四市町が、内部被ばくが深刻になる恐れのある地域に含まれていた。 


この予測は、5月に知事が岐阜県でも独自にマップを作るとしていたものです。

  敦賀原発事故時の放射能拡散 岐阜県、線量マップ作成へ 
2012年5月10日 中日新聞

気象12例10物質を想定 UPZ拡大可能性も
 福井県の敦賀原発で事故が起きた場合の放射性物質の拡散想定で、岐阜県は季節ごとに典型的な気象状況を抽出し、少なくとも12パターンの被ばく線量マップを作成する。飛来する放射性物質はセシウムやヨウ素など10種類と見立て、9月に公表する。マップを受け、ヨウ素剤などを配備する緊急防護措置区域(UPZ)を決める。(山本真嗣)

 古田肇知事は9日の定例会見で、マップの内容次第で、UPZの範囲を国が目安としている原発から30キロ圏よりも拡大する可能性を示唆した。
 県原子力防災室によると、拡散想定では風向きなど県内の典型的な気象状況を春夏秋冬ごとに3パターンずつ抽出。敦賀原発で福島原発事故と同程度の事故が起きたと仮定し、県内全体の放射線量を1平方キロ単位で計算する。
 マップの作成は県が昨年、茨城県東海村の民間会社に約2870万円で委託。8月末までに完成し、県が原子力工学や放射線医療、災害社会学などの学識経験者でつくる検討会に諮った上で、公表する。学識経験者の評価次第ではパターンの追加も検討する。
 独自の拡散想定をすでに実施している滋賀県はUPZを国の目安を超える最大43キロまで設定している。
 古田知事は「滋賀県よりも精緻な調査をしている。UPZは機械的に30キロで区切るのではなく、でこぼこはある。最大のところが35キロになるのか、40キロになるのか、想定結果を踏まえて考える」と述べた。


滋賀県はすでに以下の射性物質拡散予測の独自データをつくって公表しています。

 大気シミュレーションモデルによる放射性物質拡散予測
最高濃度分布図(美浜発電所) 甲状腺被ばく等価線量(滋賀県)


ちょうど昨日まで読んでいた本は、岐阜市の医師、松井英介さんの『見えない恐怖』でした。
放射能の内部被ばくの健康被害のことが、詳細かつわかりやすく書かれています。


 『見えない恐怖 (放射線内部被曝)』 
松井英介
四六判並製/176頁
定価1,470円
発行日 2011年6月27日
ISBN 9784845112180 C0036

「放射能、本当に大丈夫?」
身体の中にはいりこんだ放射性物質による内部被曝。
そのしくみや、健康被害を正しく理解するため、
内部被曝問題に取り組む医師による必読の一冊!
著者紹介
著者:松井英介(まついえいすけ)
岐阜環境医学研究所所長。放射線科医師、日本呼吸器学会専門医、日本肺癌学会および日本呼吸器内視鏡学会特別会員。内部被曝問題に取り組む数少ない専門家の一人。
1997年から保健会館クリニックの呼吸器外来と「東京から肺がんをなくす会」の画像診断を担当している。
ネット動画放送「マル激トーク・オン・ディマンド」、「FM797京都三条ラジオ」などに出演。
主な目次
第1章 福島原発事故による健康障害
第2章 内部被曝とはどのようなものか
第3章 原子力発電と内部被曝
第4章 広島・長崎原爆被爆者の内部被曝
第5章 ビキニ水爆実験による内部被曝
第6章 「劣化」ウランと内部被曝
第7章 トロトラストによる内部被曝
第8章 放射性物質を掘り出すことの意味
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あと福島とチェルノブイリ原発事故、放射能汚染関連で、最近読んだ本です。

『福島は訴える 「くらし」「子育て」「なりわい」を原発に破壊された私たちの願いと闘い』(福島県九条の会)
  
『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響
: チェルノブイリ・原発事故被曝の病理データ』ユーリ・バンダジェフスキー (著)


『隠された被曝』(矢ヶ崎克馬著)/新日本出版社)
  
『放射能汚染 ほんとうの影響を考える フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか』
(島 充佳 著/化学同人 )


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