自民圧勝から一夜明けて。
起きてきてすぐに新聞各紙の選挙結果を読みました。
そのなかで、いちばん心打たれたのが、中日新聞一面の論説「おごらず、人に優しく」。
「私たち新聞の役割に照らして言えば、権力に厳しく、人に優しく、となるでしょう。
私たちは新政権に対しそういう立場でのぞむつもりです。」
中日新聞のゆるぎない矜持が伝わってきます。
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選挙はおわったけれど、たたかいは終わったわけではありません。
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起きてきてすぐに新聞各紙の選挙結果を読みました。
そのなかで、いちばん心打たれたのが、中日新聞一面の論説「おごらず、人に優しく」。
「私たち新聞の役割に照らして言えば、権力に厳しく、人に優しく、となるでしょう。
私たちは新政権に対しそういう立場でのぞむつもりです。」
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おごらず、人に優しく 2012年12月17日 中日新聞 新政権を担う自民党に考えてほしいことがある。二つあります。 一つは、人に優しい政治です。選挙の争点はいくつもあった。その一つ一つの陰に弱者がいる。 たとえば原発。故郷に帰ることのできない福島県民がいる。再稼働は果たして将来の雇用不安まで消してくれるのか。そして何よりも大多数の人々の不安と不信はなくなっていない。 消費増税は貧しいほど重い。 そして憲法の改正。仮にそれが九条だとすれば、少なからぬ国民が自分の望まない方向だと心配するでしょう。この場合、国家に対し国民は弱者とも言える。 永遠不朽のもの、不磨の大典などないでしょう。しかし、戦争放棄条項は押しつけられたというより、戦後日本が過去を省みつつ大切に築いてきたもの、日本人が書いたものなのです。かつて戦争に明け暮れた欧州のたどりついた恒久平和への道標でもあります。 二つめは、民主主義とは単なる多数決ではないということの確認です。多数が少数のことを考えることの大切さです。 二大政党政治の本場イギリスは目下、厳しい財政改革に取り組んでいます。財務大臣の説明に、野党の影の財務大臣が食い下がる。多数派の政策が少数派の批判にいかに耐えられるか、そこが大事なのです。多数決なら、どんな法案だって通ってしまう。権力の横暴が始まる。それは民主主義ではないということです。 政治はもちろん、きれいごとだけではない。しかし多数派が少数派の意見に耳を傾けることは、少数派に一票を投じた国民に対する責務にちがいありません。 この二つのことを、私たち新聞の役割に照らして言えば、権力に厳しく、人に優しく、となるでしょう。 私たちは新政権に対しそういう立場でのぞむつもりです。それは多くの国民の気持ちを代弁するものであるとも考えています。 (論説主幹・深田実) |
国民をよく畏れよ 自民圧勝、政権交代へ 2012年12月17日 中日新聞 自民党が圧勝した衆院選。民主党政権への厳しい審判だ。今回の政権交代は三年前と比べて高揚感はないが、国民の選択を政治の前進につなげたい。 三年前、民主党への歴史的な政権交代を成し遂げた民意は今回、野田佳彦首相に退場を迫った。 衆院選マニフェストに反する消費税増税の決定を強行し、国民を裏切ったからには当然だ。「政治家主導の政治」「緊密で対等な日米同盟関係」など国民との約束も果たせずに終わった。 かといって、民意はかつてのような自民党政治への回帰を積極的に支持したわけでもなかろう。 民主への懲罰投票 今回、再び政権交代に至った要因に挙げられるのはまず、公約を破り、誠実さを欠く政権運営を続けた民主党には投票しない「懲罰的投票」が多かったことだ。 同時に、民主党分裂や日本維新の会など第三極の候補者擁立で、この懲罰的投票としての民主党批判票が分散し、結果として自民党が「漁夫の利」を得た。 共産党が小選挙区で候補者を絞り込み、反自民票の多くが民主党に流れた前回衆院選とは逆のことが起こったのだ。 しかし、政権交代という政治の節目を迎えたにもかかわらず、三年前のような高揚感に乏しい。自民党が野党の三年間で自己変革を成し遂げ、磨き上げた政策への圧倒的な支持で政権復帰を果たしたわけではないからだ。 そのことは、政党支持の指標となる比例代表の獲得議席数を見れば明らかである。 例えば、自民党が圧勝した二〇〇五年衆院選の比例獲得議席は七十七、〇九年の民主党は八十七だったが、今回、自民党の比例獲得議席はそれらに遠く及ばず、五十台にとどまった。 自民党はまず、この厳しい現実を直視すべきである。 脱原発は引き継げ それでも勝利は勝利だ。 自民党内では投票日前から、安倍晋三「首相」の年明け訪米に向けた調整や、安倍「内閣」の閣僚就任を目指した猟官運動も始まっていた、という。 円滑な政権移行には事前準備が必要だとしても、それ以前に考えておくべきことがある。政権をどう運営し、政策を実現するかだ。 安倍氏は十六日、自公連立の上で「理念・政策が一致する党に協力をお願いする」と、政策課題ごとに野党と協力する「部分連合」で対応する考えを表明した。 自公両党が衆院で三分の二以上の議席を得ても、参院では過半数に届かない「ねじれ国会」であることを考えれば妥当だろう。 国民が政治に期待するのは、生活がよりよくなるような政策を一つでも多く実現することである。 これまでのねじれ国会では予算関連法案を人質にしたり、野党多数の参院で首相や閣僚の問責決議を乱発して政権を追い込んだりする手法が横行した。 民自両党がともに与野党双方の立場を経験して迎えた今回の政権交代を機に、悪弊を断ちきることができれば、日本の民主政治にとって一歩前進だろう。 安倍自民党は勝利におごらず、野党の主張に耳を傾けて丁寧な国会運営に努め、地に足のついた政権運営を心掛ける必要がある。 集団的自衛権の行使容認など、党の主張は一時棚上げすべきではないか。政治を機能させるための忍耐は、恥ずべきことではない。 野党側も不毛な政権攻撃を繰り返すだけでなく、建設的な提案と合意形成に努めるべきである。 民主党は敗北したが、次期政権が引き継ぐべきものがある。それは原発ゼロを目指す方針だ。 「脱原発」勢力は半数に達しなかったが、自民党も原発稼働継続を堂々と掲げて勝利したわけではない。党内にも原発ゼロを目指すべきだとの意見もある。 そもそも、時期はともかく原発稼働ゼロは各種世論調査で常に半数前後を占める「国民の声」だ。 野田内閣は「三〇年代の原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との戦略を踏まえ、エネルギー・環境政策を進めることを閣議決定した。 原発ゼロを実現するには十分ではないが、閣議決定であり、特段の状況変化がない限り、後継内閣が方針を引き継ぐのは当然だ。 課題処理こそ試練 巨額の財政赤字や、ずさんな原子力行政など「自民党は今の日本の課題を作り上げた張本人」(同党の小泉進次郎氏)でもある。 民主党の稚拙な政権運営に落胆した国民は、自民党がこれらの課題処理に政権担当能力をどう発揮するかにこそ注視している。 今回の政権交代は、政治は国民の手にあることを再び証明した。このことを自民党はもちろん、すべての議員が畏れるべきである。 |
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自民党、政権復帰へ/民意のありかを見誤るな 2012年12月17日 河北新報 「日本を、取り戻す」。保守色を前面に出す安倍晋三自民党総裁が選挙期間中、連呼したスローガンだ。 「日本」の意味するところはいまひとつ、はっきりしなかったが、少なくとも一つは取り戻した。2009年夏の総選挙で一敗地にまみれて以来、党の宿願だった政権復帰が成就した。 きのう投開票が行われた第46回衆院選は自民党が290を超える議席を獲得して圧勝、安倍首相が誕生することが確実となった。一度辞職した首相が返り咲くのは、戦後では吉田茂以来だ。 連立を組む予定の公明党の議席と合わせると、野党が多数を占める参院で否決された法案を、衆院で再可決できる321議席を超えた。 一方、野田佳彦首相は民主党大敗の責任を取って、党代表を辞任する意向を示した。 安倍氏は07年の参院選で惨敗。続投を表明して臨んだ臨時国会の開会直後に退陣した。健康問題が影響していたとはいえ、政権の投げ出しは強い批判を浴びた。言うまでもないことだが、再登板後のギブアップは絶対に許されない。 自民党296議席(05年)、民主党308議席(09年)、そして今回の自民党の290議席台。オセロ風ゲームを思わせる浮き沈みは、当選者が1人しか出ない小選挙区制度の激烈さを物語る。 では、自民党の復調は本物か。答えは限りなく「ノー」に近いと言わざるを得ない。勝因は民主党の自滅によるところが大きい。 民主党は歴史的な政権交代で期待値を高めておきながら、マニフェスト(政権公約)をことごとくほごにし、党内抗争に明け暮れた。福島第1原発事故への対応のまずさ、復興予算の流用問題など、失望の材料には事欠かなかった。 一方、二大政党に対抗すべく解散前後に続々、誕生した第三極は政策・理念で一致せず、急造のもろさを露呈した。86選挙区で三極同士が競合してしまっては、批判票の受け皿になり得なかった。 自民党の勝利はその圧倒的な獲得議席数にもかかわらず、消去法による結果、言い換えるなら相対的なものだ。 それが証拠に、投票率は前回を10ポイント程度下回る59%台。戦後最低だった1996年選挙とほぼ並んだ。有権者は冷めていたのだ。 26日にも特別国会が召集され首相指名、組閣の運びとなる。自公政権は衆院で常任委員長ポストを独占し、しかも委員数で野党を上回る「絶対安定多数」を擁する。 しかし、繰り返すようだが、自民党への支持は弱含みであり、独善的な政権運営に走るようだと、人心は離反しよう。 参院で過半数に届いていない現状を考えると、新政権は来年の参院選までは安全運転に徹するほかあるまい。 共同通信の世論調査によると、選挙で重視するテーマのトップは「年金や医療など社会保障」で30.3%、次いで「景気、雇用」の29.1%だった。安倍氏がライフワークとする「憲法改正」は3.0%にすぎない。 そもそも、安倍前内閣の失敗は拡大する経済格差を放置し、イデオロギー的な「大きな物語」に執着したことにある。いまや威光がすっかり薄れたとはいえ、当時の民主党が掲げたスローガン「国民の生活が第一」が支持されたのは、それなりの理由があった。 安倍氏は選挙遊説を福島県からスタートさせた。復興の足を引っ張る政治空白はこりごりだ。安倍氏は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を言う前に、「災後レジームの確立」こそ急ぐべきだ。 |
社説:自民大勝、安倍政権へ―地に足のついた政治を 2012年12月17日(月)付 朝日新聞 またしても、小選挙区制のすさまじいまでの破壊力である。 総選挙は、自民、公明両党が参院で否決された法案を再可決できる320議席を確保する大勝となった。自民党の安倍総裁を首相に、3年ぶりに政権に返り咲く。 かたや民主党は衝撃的な大敗を喫した。退陣する野田首相は党代表の辞任も表明した。 勝者と敗者の議席差はあまりに大きい。だが、過去2回の総選挙のような熱気はない。 最大の理由は、3年前、政権交代を後押しした民意が民主党を拒み、行き場を失ったことだろう。「第三極」も幅広い民意の受け皿たりえなかった。 その結果、地域に基盤をもつ自民党が、小選挙区制の特性もあって相対的に押し上げられた。それが実態ではないか。 投票率は大きく下がった。世論調査での自民党の支持率も2割ほど。安倍氏は昨夜「自民党に100%信頼が戻ってきたわけではない」と語った。 安倍氏はそのことを忘れず、大勝におごらぬ謙虚な姿勢で政権運営にあたってほしい。 ■「特効薬」などない いま、何よりも求められるのは政治の安定である。 不毛な政争を繰り返した結果、わずか6年で6人の首相が辞める。まさに異常事態だ。 その間、経済も外交も有効な手を打てず、内外で「日本の衰退」が言われる。 第1院、第1党の党首が腰を据えて国政のかじを取る。そんな当たり前の政治を、今度こそ実現しなければならない。 安倍氏の責任は重大だ。前回、体調を崩したせいとはいえ、結果として1年ごとの首相交代の幕をひらいた。同じ轍(てつ)をふんではならない。 大事なのは、現実的で柔軟な政策の選択である。内政にせよ、外交にせよ、問題を一気に解決してくれる「特効薬」などあるはずがない。 自民党は公約の柱に経済再生を掲げた。国民もデフレ不況からの脱出を願っている。 日本銀行にお金をどんどん刷らせ、政府は公共事業を膨らませる。自民党はそう主張するが、懸念がある。行き過ぎたインフレや財政悪化を招く「副作用」はないのか。 尖閣諸島をめぐって、中国の理不尽な挑発行為が続く。北朝鮮による事実上のミサイル発射も、日本のナショナリズムを刺激した。日本の安全をどう守るのか、国民が関心をもつのは当然のことだ。 ■現実的な政策判断を 自民党の公約には強腰の項目が並ぶ。憲法を改正し自衛隊を国防軍に。集団的自衛権の行使を可能に。尖閣諸島に公務員を常駐させる。政府主催の「竹島の日」の式典を催す。 だが、それが本当に日本の安全につながるのか。 戦前の反省をふまえた、戦後日本の歩みを転換する。そうした見方が近隣国に広がれば、国益は損なわれよう。米国からも日本の「右傾化」への懸念が出ている折でもある。 課題は山積している。 社会保障と税の一体改革を前に進め、財政を再建する。震災復興や自然エネルギーの開発・普及を急ぎ、経済成長の道筋を描く。日米関係や、こじれた近隣外交を立て直す。 利害が錯綜(さくそう)する複雑な問題を調整し、ひとつひとつ答えを出す。いまの世代のみならず、将来世代にも責任をもつ。安倍氏に期待するのは、地に足のついた実行力にほかならない。 前回の安倍政権では靖国神社参拝を控え、村山談話や河野談話を踏襲して、日中関係を立て直した。そうした現実的な知恵と判断こそが重要である。 民主党をはじめ野党との信頼関係をどう築くかも、新政権の安定には欠かせない。 現状では、少なくとも来夏の参院選までは衆参の「ねじれ」が続く。安倍氏は自公連立を軸に、政策ごとに連携相手を探る構えだが、とりわけ参院で第1党の民主党の存在は重い。 ■「3党合意」を生かす まず民自公で合意した一体改革、さらに衆院の選挙制度改革をしっかり実行することだ。 民自公3党の間では、赤字国債発行法案を政争の具にしない合意もできた。この流れを逆もどりさせず、政党の枠を超え、協力すべきは協力する。そんな政治文化をつくりたい。 原発政策もしかり。総選挙では多くの政党が「脱原発」を主張した。自民党の公約は原発の将来像の判断を先送りしているが、安倍氏は「できるだけ原発に依存しない社会をつくる」と語る。少なくともその方向では、すべての政党が協力できるはずではないか。 もちろん、新政権が行き過ぎたりしないよう、野党がブレーキをかけるのは当然のことだ。与野党の不毛な対立を防ぐためにも、連立を組む公明党には政権の歯止め役を期待する。 民主党にも言っておきたい。 惨敗したとはいえ、これで政権交代が可能な政治をつくることの意義が損なわれたわけではない。自民党に失政があれば、いつでも交代できる「政権準備党」として、みずからを鍛え直す機会としてほしい。 |
社説:衆院選 自民圧勝 謙虚に政治の安定を 安定した、着実な政治を望む民意の表れだろう。衆院選が投開票され自民党が単独過半数を大きく上回る議席を得て圧勝、公明党とともに09年の惨敗以来約3年ぶりの政権返り咲きが決まった。民主党は壊滅的惨敗を喫した。 政治の変化を実感させるどころか迷走に終始した民主党政権に失望し、第三極にもかじ取りを委ねきれない中で有権者は自民党に回帰した。「風なき圧勝」を首相となる安倍晋三総裁は謙虚に受け止めるべきだ。衆院で得た多数におごらず、ねじれ国会の合意形成に努め、政治の混乱を終結させることが新政権の責務である。 師走の空の下、民主党に吹いた逆風は容赦なかった。一時は第三極に吹くかに見えた追い風も限定的だった。低投票率が象徴するように12党の候補が乱立する中の悩み深い選択は結局、自民党に傾いた。「郵政選挙」(05年)の自民や「政権交代選挙」(09年)の民主に匹敵する圧勝である。 政権交代から3年、現職閣僚の多くが枕を並べて小選挙区で討ち死にし、岩盤が崩れるような惨敗が民主党に与えた衝撃は郵政選挙以上だろう。有権者がこれほど明確に「ノー」を突きつけたのは歴代3首相の下で政治を変える期待が裏切られ続けた怒りにも似た感情に尽きよう。 財源の裏付けを欠く09年マニフェストは実質破綻し、政治主導は極端な官僚排除から官僚への依存に変質した。ねじれ国会で政治が停滞、近隣諸国との関係も危機的水準に悪化した。東日本大震災後も内紛とお粗末な閣僚交代を繰り返す姿に有権者は政権担当能力への疑念を抱いたに違いない。 ◇「風」なき回帰現象 野田佳彦首相が消費増税に取り組んだのは危機的な財政に照らせば正しい選択だった。だが、目指す社会保障のビジョンや社会像までは語れなかった。首相は代表辞任を表明した。政権交代以来党が目的を喪失している状況が根底にあり、再建は容易ではあるまい。 2大政党に対抗し「変化」を訴えた第三極勢も旋風を起こすまでに至らなかった。日本維新の会は確かに大きく勢力を伸ばしたが石原慎太郎代表との合流に橋下徹氏が踏み切り、逆に党の方向がわかりにくくなった。 争点だったエネルギー政策で日本未来の党など「原発ゼロ」を掲げる諸政党も納得いく工程を示したとは言い難い。民主党離党組の新党への駆け込みはご都合主義を印象づけた。 そんな中、変化より回帰を強調し、政党の離合集散と一線を画した自民党に有権者は派閥など古い体質の温存を感じつつも、政党として「よりまし」と安心感を抱いたのかもしれない。 デフレ、円高対策の強調は景況感が冷え込み、地方を中心に経済が疲弊する中で有効だったはずだ。第1党に議席が集中しやすい小選挙区制特有の事情も大きく影響したとはいえ、勝利を選挙制度ゆえの産物と単純に決めつけるべきではあるまい。 ただ、審判はもちろん白紙委任などではない。公共事業によるバラマキに依存する「古い自民」の復活などもってのほかだ。3年前に政権を転げ落ちた原点を忘れてはならない。 ◇「自公プラス民」重視を とりわけ、安倍氏ら自民党が自衛隊を「国防軍」に改称する9条改憲や、尖閣諸島への公務員常駐の検討など保守色の強い路線に傾斜していることは気がかりだ。海外にも日本に偏狭なナショナリズムが広がることを警戒する声がある。冷静に外交を立て直さねば孤立化の道すら歩みかねない。 自公連立が復活しても民主党が参院で第1党の「ねじれ」は変わらず、来夏の参院選で解消する保証もない。衆院で3分の2以上の多数を確保すれば法案の再議決が可能となるが、数を頼みとする手法を用いるべきでない。政策ごとの部分連合を探るべきだ。 税と社会保障の一体改革に関する自公民3党合意の堅持は選挙結果からも当然である。税制改革をぶれずに実行し、社会保障制度改革国民会議による議論を深め、年金、医療、低所得者対策などの道筋を描くことが政権党の責任だ。 民主党政権が進めた脱原発依存路線も態度をあいまいにしたままの逆行は許されない。与野党で合意形成に努めつつ、使用済み核燃料の処理問題や電力の供給確保の方策を構築しなければならない。 公明党は9条改憲に加え、集団的自衛権の行使容認にも慎重だ。日本維新の会なども含め衆院で改憲派がかなりの勢力になるからといって拙速に改憲を急ぐようでは連立がきしみかねない。政策の優先順位を誤らず「自公プラス民」を軸に政権運営にあたるべきだ。 年内に新首相が誕生すれば06年以来、7年連続の首相交代という異常事態となる。ひんぱんなトップ交代は内政のみならず、国際的発言力の点からも好ましくないことは言うまでもない。 過去2回の衆院選の極端な圧勝を経た政権の上滑りがその後、参院選の揺り戻しと「ねじれ」につながった教訓に学ぶべきだ。新衆院議員の任期4年をまっとうし得るくらいの着実な改革を新政権に望みたい。成否のカギはひとえに「安倍首相」のかじ取りである。 |
衆院選無効求め提訴=「1票の格差」で広島の弁護士-午後、全国で【12衆院選】 16日投開票された衆院選について、「1票の格差」が是正されないまま実施されたのは違憲として、広島県の弁護士が17日、県選挙管理委員会を相手に選挙無効を求める訴訟を広島高裁に起こした。 原告となる金尾哲也弁護士らは、現行の衆院小選挙区の定数配分は人口に比例しておらず、選挙権の平等に反すると主張している。 衆院選の無効訴訟は、別の弁護士グループも17日午後、全国の高裁、高裁支部に一斉に起こす予定。 最高裁は昨年、格差が最大で2.30倍だった2009年の衆院選について違憲状態と判断。国会で格差是正のための関連法が成立したが、区割り見直し作業が間に合わず、違憲状態のまま選挙が実施された。 (2012/12/17 時事通信) |
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