みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

衆院選:女性当選者は16人減 全体の8%/中部は落ち込み2人のみ/一票の格差提訴 問われる選挙の正当性

2012-12-19 19:25:22 | ジェンダー/上野千鶴子
昨夜、中日新聞本社社会部から電話があり、
「今回の衆院選で女性議員が減ったことの感想を聞きたい」とのこと。
朝刊の記事のコメントにつかたいということなので、
「・・・女性議員が減ったというだけでなく、子育てや介護などジェンダー平等政策に消極的な政党が政権を取ったので、政策が後退しないかという危機感がある。
あきらめずに運動を続けていきたい。」と結び、
ネガティブなことを言ってないので、後ろ向きのコメントにならないようにと念押しした。

朝起きてきて、中日新聞に載っていることはわかっていたが、
どんなコメントにされてるかな、と手に取らずにいたら、
先に読んだともちゃんが社会面に大きく出ているよ、と渡してくれた。

社会面に写真入りのけっこう大きな記事。
結びは「・・・子育てや介護など、女性の視点が必要な政策が後退しないか不安だ」。
「危機感をもっている」とは言ったけれど、「不安だ」とは言ってないんですけど(笑)。

とはいえ、女性議員の現状に焦点を当ててくれたのはありがたいです。


2012年12月19日 中日新聞

女性議員落ち込む、中部2人のみ
衆院の7.9%・・・声届くのか
 
2012年12月19日 中日新聞

 今回の衆院選で、女性当選者数は前回より十六人も少ない三十八人にとどまった。中部地方でも女性数は減少。議席を失った女性の前議員たちは「同性の声を政治に反映できなくなる」と危機感を募らせる。
 衆院選の全国の女性当選者は、二〇〇五年が四十三人、〇九年が五十四人と二回続けて過去最多を更新。着実に数を伸ばしてきたが、一転して四十人を割り込んだ。前回に女性四十人を当選させた民主が、わずか三議席に落ち込んだのが響いている。
 中部六県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)の小選挙区でも、前回は比例復活一人を含めて四人が当選したが、今回は自民の二人に半減。中部の三十七議席(小選挙区)に占める割合は5%にすぎない。・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全国の自民党の女性立候補者数は前回と同じ二十七人にとどまり、民主党の三十七人を下回った。
 ただ、その民主も前回より立候補者を九人減らしている。「実際に公募で名乗りを上げる女性はあまりいない」と磯谷さん。「女性が手を挙げやすい環境の整備は必要だ」と話した。

◆一時的もてはやし?
 今回の衆院選で、女性議員の全体に占める割合は7・9%に落ち込んだ。もともと日本の女性の国政進出状況は先進国の中で最低水準。女性の割合は、過去最高だった前回選より3・4ポイントも後退した。
 日本の衆議院に相当する世界各国の議会(一院制含む)の女性議員比率を調べた列国議会同盟(IPU)のデータでは、改選前の10・6%は百五十カ国中の百十三位。今回の結果を当てはめると、百二十七位だったアフリカのボツワナ(7・9%)と並ぶ。
 「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク」の事務局寺町みどりさん(60)は「女性議員を『マドンナ旋風』『小沢ガールズ』ともてはやし、一時的に増えても持続しない。使い捨てにしている現状がある。子育てや介護など、女性の視点が必要な政策が後退しないか不安だ」と語った。 


毎日新聞にも女性議員減少の記事。

  衆院選:女性当選者は16人減 全体の8%
毎日新聞 2012年12月17日

戦後の衆院選における女性当選者の推移
拡大写真 今回の衆院選での女性当選者は38人で、09年の前回衆院選時から16人減った。女性の社会進出の流れに乗って05年の43人、09年の54人と2回連続で最多記録を更新してきたが、今回は一転、減少。03年衆院選(34人)並みの水準に減った。
 政党別の女性の新議員の数は、自民党が23人で最も多く、次いで、日本維新の会5人▽民主党3人▽公明党3人▽日本未来の党3人▽共産党1人−−の順。当選者全体に占める女性の割合は8%で、女性が初めて1割を超えた前回09年の11%から3ポイント下落し、1ケタ台に逆戻りした。
 前回は民主党が自民党の大物前職の対立候補として積極的に女性候補を擁立。民主は308議席を得て大勝し、結果的に女性議員は増えた。今回は09年に落選した中堅・ベテランを含む自民元職が多数当選。この「揺り戻し」も女性の減少の一因になったとみられる。【阿部周一】 


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中日新聞は社説もよいです。

  【社説】一票の格差提訴 問われる選挙の正当性
2012年12月19日 中日新聞

 最大二・四三倍の「一票の格差」があった衆院選は無効として、弁護士らが全国の高裁に提訴した。「違憲状態」の区割りのまま実施されたからだ。論点は明確であり、高裁は早急に判断すべきだ。
 「サッカーでレッドカードを受けた選手が、そのままプレーを続けているのと同じだ」
 東京、大阪、名古屋など全国十四の高裁・支部で、選挙無効を求め訴訟を起こした弁護士グループは、そう述べた。二〇〇九年の衆院選は最大二・三〇倍の格差で、最高裁大法廷は「違憲状態」と判断した。今回は小選挙区の区割りが同じ状態のまま行われた。
 むしろ、二・四三倍と格差は拡大し、「違憲状態」はさらに悪化したのだ。また、最高裁判決から選挙まで一年九カ月あった。選挙制度を見直すには十分な時間があったことを考え合わせると、今度は「違憲」へと踏み込むことも予想される。
 最高裁判決は、四十七都道府県にあらかじめ一議席を配分する「一人別枠方式」を廃止するように求めていた。国会は「〇増五減」の法案を成立させているが、同方式の廃止は考慮していない。
 司法府をないがしろにしているのと同然で、初めて「選挙無効」となる可能性まで指摘されている。三権分立の立場からも厳しい司法判断は免れまい。
 「違憲状態の選挙で選ばれた正当性のない議員が、国家権力を行使するのは許されない」とも、同グループは語った。住所によって格差が起きない完全な「一人一票」を求めている人々だ。投票価値の平等は、民主主義の骨格をなす原理であろう。正当な選挙とは何かについて、裁判所は真正面から明確に述べてほしい。
 大事なのは、原告らが公職選挙法に基づいて、百日以内に判決を求めている点だ。同法は「他の訴訟の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなければならない」と定めている。〇九年選挙と同じ状態での選挙であるから、論点は出尽くしているはずだ。高裁と最高裁は余計な時間を費やさず、早く結論を導くべきである。
 来年夏には参院選が待ち受ける。五倍超あった格差が最高裁から「違憲状態」と指弾された。「四増四減」とする改革案が成立したものの、弥縫(びほう)策にすぎない。判決では「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と異例の警告が付いた。衆参ともに限りない一票の平等を目指すときだ。 


 【社説】ひるまず地方から声を 衆院選と地域政党 
2012年12月18日 中日新聞

 地方から国の形を変える試みは、既成政党批判の受け皿とならず、十分な民意を得られなかった。問題点を反省し、ひるまず地方から声を上げてほしい。
 代議士という言葉を考えてみたい。国民から選ばれ、国民の意見を代表して国政を議論する人たちである。一般的には、国会議員の中でも衆院議員をそう呼ぶ。
 もちろん国会議員は全体の奉仕者である。そのうえで、代議士には地方の声によく耳を澄ませ、国政に反映させる役割が、特に期待されたのであろう。
 その意味で、この衆院選で初めて動きだした地方から国の形を変えていこうという発想は、間違っていなかったといえる。

 批判の受け皿となれず
 政争に明け暮れる中央の既成政党に政治を任せておけないという地方からの問題意識が、日本の政治閉塞(へいそく)を変えるのではないかと、私たちは期待した。
 だが、既成政党の厚い壁は破れはしなかった。第三極と言われた政党が既成政党への批判の受け皿となりえなかったからである。
 本紙が中部九県で実施した出口調査では、比例代表で自民に投票した有権者のうち六割近くが「原発ゼロ」を支持していた。
 自民は原発存続について先送りの姿勢を示してきた。それなのに圧勝というねじれた結果だ。
 原発政策はある意味では、立地する地方を、都市の犠牲にしてきたという深刻な問題をはらむ。
 脱原発でほぼ足並みをそろえた第三極にとって、自民党に対抗する大きな争点になりえたはずだ。だが、結果は、民主党政権への不信が自民党への消極的な支持につながったことばかり物語った。
 なぜ、地域政党が国政を目ざす動きは、期待されたような成果をあげなかったのだろうか。
 滋賀県知事でもある日本未来の党の嘉田由紀子代表は「十分な時間が取れず、政策が浸透しなかった」と嘆いた。
 だが、率直に言って、未来の党の政策は、嘉田代表や河村たかし名古屋市長の一枚看板であった「卒原発」や「減税」などの政策を寄せ集めたにすぎなかった。
 まして、既成政党を離党した「国民の生活が第一」との合流を、有権者は選挙互助会にすぎないと鋭く見抜いたことだろう。
 外交や安保まで含めた確かな国のビジョンは無理だとしても、原発という重大な地域問題を争点にできなかったことは、日本に大きな損失だった。

 自民党から学ぶことも
 同じ地域政党からスタートした日本維新の会も期待されたほどの議席は得られなかった。
 大同団結するにしても「政策重視だ」と言い続けていた橋下徹大阪市長の変節に、有権者が失望したのが最大の原因だろう。
 石原慎太郎前東京都知事が率いた太陽の党との合流で「政治で必要なのは政策を語ることではない」と述べ、議席第一の本音が透けて見えてしまったといえる。
 さらに、未来の党にせよ日本維新の会にせよ、共通していたのは首長出身の代表や代表代行はともかくも、肝心の候補者の顔が地域の人に見えにくかった。
 強烈な個性の首長が国政という新たなステージに野心を持ち、その元に新人や前職、元職が集まっただけというなら、情けない。
 理念は、中央集権を打破し、もっと地方の実情に寄り添った政治を実現するためだったはずだ。
 もし、この選挙を教訓に真の第三極を目ざすならば、自民党と地方の関係から学ぶこともありそうだ。
 自民党には、票集めのため地元への利益誘導をするというあしき伝統がある。その一方で、強固な地方組織を通して地方に住む人たちの不満や要望を、きめ細かく吸い上げていることも見逃せない事実だ。
 地方から国を変えるといいながら、地域政党から出発した政党に、こうしたきめ細かな地方への目配りがあっただろうか。
 参院選に向け反省し、戦略を練り直してほしい。

 人任せでは変わらぬ
 何よりも、地方自治の柱の一つは、住民の意思を基本とする住民自治である。
 その住民自治を確かなものにしていくためには、地方の有権者が政治意識を高め、自ら政治に参加していく気持ちを持つことが大切だろう。
 社会運動家の湯浅誠さんは本紙の取材に「誰かに問題解決を任せたくなるが、このままでは民主主義があっさり壊れるのでは、という危機感があります」と指摘している。
 地方から国を変えるという新たな政治の試みは始まったばかりだ。そこに魂を入れるのは、住民以外にはありえない。


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12月18日(火)のつぶやき

2012-12-19 01:28:43 | 花/美しいもの

季刊『ピープルズ・プラン』上野千鶴子さん「不安の時代」をどう生きるか blog.goo.ne.jp/midorinet002/e…

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〈特集〝学び〟を語る〉『女性学年報』33号が刊行されました! | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/group/?p=2374

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