みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

婚外子の相続―違憲の判断をするとき/「境界を生きる」「こうのとり追って」 反響呼んだ連載、本に

2013-03-03 20:19:00 | ほん/新聞/ニュース
民法で規定されている「婚外子」の遺産相続の差別を争う裁判が、
最高裁の大法廷に回付されることになりました。

「大法廷に回付」ということは、いまてでの判断の「見直し」ということなので、
「合憲」とされていた最高裁判例が見直される可能性が高いということを意味する。

「婚外子相続差別」の民法の規定は何度も高裁などで「違憲」判断が出ていたのに、長年、放置されてきた。
あまりにもおそかった、と感もするけれど、よかったと思います。

  社説:婚外子の相続―違憲の判断をするとき
2013年3月3日(日)付 朝日新聞 

 最高裁もついに腹を固めた。そんなふうに見て間違いないのではないか。
 夫以外の男性、または妻以外の女性との間にうまれた子(婚外子)が相続できる財産は、正式な結婚をしている男女の間の子の半分とする――。
 この民法の定めが、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われている裁判の審理が、大法廷に回付された。
 すべての裁判官が参加し、判例を変更するときに必要な手続きだ。これまでの合憲判断が見直される可能性が高い。
 「半分」の取りきめは、法律婚を尊重し保護する合理的な措置として認められてきた。
 だが夫婦や家族のあり方も、人びとの意識も多様になり、ひとつの「あるべき姿」を唱えていればすむ時代ではない。
 本人には何の責任もない出生の経緯を理由に、婚外子を差別し続けることが許されるのか。
 憲法違反の結論が導きだされて当然といえよう。
 一方で、判例変更が新たな問題を引きおこす可能性もある。
 今回の裁判の対象は2001年の相続だ。「遅くともその時点では違憲だった」とされた場合、ではいつから違憲だったのか。それ以降の婚外子が絡んだ相続の扱いはどうなるのか。やり直しを求める動きが各地で起きる事態にもなりかねない。
 もちろん、混乱が予想されるからといって違憲判断から逃げるのは本末転倒だ。平等原則をしっかり踏まえ、かつ世の中のトラブルを少しでも抑えられるような考えを示せるか、審理のゆくえに注目したい。
 あらためて思うのは、政治の側の問題意識の低さである。
 法制審議会は96年、「相続は同等とする」という答申を出した。しかしその中に、夫婦が望めばそれぞれの姓を名のれる別姓制度の創設が盛りこまれたこともあって保守層が反発し、歴代政権は改正法案を国会に提出することすらしなかった。
 法律であれば、いつから「同等」とするのか基準を明示し、経過規定を設けるなどして、さまざまな不都合を避ける工夫が可能だった。この問題をめぐって最高裁が出した合憲の判決や決定の中で、立法による解決をうながす意見を表明した裁判官もたくさんいた。なのに、国会は動かなかった。
 この大法廷回付は、国連の勧告も無視し続けた、先見性を欠く立法府に対し、司法が「もはや放っておけない」と判断したと位置づけることができる。
 民法の問題にとどまらない、深い病根を見る思いがする。


 婚外子相続は半分、放置17年…相次ぐ「違憲」 
2013年2月19日  読売新聞

 未婚の男女間の子(非嫡出子)の相続は、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定について、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」との判断が地裁や高裁で相次いで示されている。
 法制審議会が1996年に「規定は撤廃すべきだ」と答申した後、17年にわたり法改正の動きはないが、相次ぐ判断を受け、専門家らは「法改正に向けて国会で議論すべき時期にきている」と指摘する。
 「非嫡出子の相続分を、嫡出子より少なくする正当性は乏しくなってきている」。父親の遺産相続を巡り、非嫡出子(婚外子)の60歳代の男性が嫡出子の弟らと同じ相続分を求めた訴訟の判決で、昨年11月、静岡地裁浜松支部はこう述べ、民法の規定を「違憲」と判断した。父親から生前贈与があったとして訴え自体は退けられたが、男性は「自分の努力では変えられないことで差別されるのは納得できない。違憲判断は当然だ」と話す。
 問題の規定は明治時代にできた旧民法で設けられ、戦後の民法でも残された。婚姻制度を重視する観点から嫡出子を尊重するためなどとされる。最高裁大法廷は95年、こうした立法趣旨を踏まえ、「相続格差はやむを得ない」として規定を「合憲」と判断した。
 2009年の最高裁決定もこの判断を踏襲したが、裁判官4人のうち1人は「違憲」とし、「合憲」とした竹内行夫裁判官も「現時点では違憲の疑いが極めて強い」と指摘した。10年には、別の裁判が大法廷に回付され、合憲判断が見直される可能性も出た。
 大法廷の判断が出される前に和解が成立し、合憲判断は覆らなかったが、こうした最高裁の動きと並行し、10~11年には東京、大阪、名古屋の各高裁が、規定を「違憲」と相次ぎ判断。「社会情勢の変化に伴って親子関係も大きく変化しており、規定は合理的ではない」などと指摘した。ただ、いずれもそのまま確定したため、最高裁の判断を仰ぐ機会はなかった。
(2013年2月19日10時31分 読売新聞)


応援クリック 人気ブログランキングへ してね 
本文中の写真をクリックすると拡大します。

前にも紹介しましたが、毎日新聞の連載が本になります。
きょうの毎日新聞に記事がでていたので、あらためて紹介します。

 出版:「境界を生きる」「こうのとり追って」 反響呼んだ連載、本に
毎日新聞 2013年03月03日

 多様な性への無理解や偏見に苦しむ人々を追った連載「境界を生きる」と、不妊治療や出生前診断など妊娠・出産をめぐる課題を取り上げた連載「こうのとり追って」−−。毎日新聞くらしナビ面で大きな反響を呼んだ二つの連載が、それぞれ単行本にまとめられ、毎日新聞社から発売された。

 ◇性分化疾患、患者の現実伝え
 「境界を生きる 性と生のはざまで」(税込み1365円)は、09年秋から今年2月まで続いた連載記事を大幅に加筆し再構成。染色体やホルモンの異常が原因で体の性別があいまいになることがある「性分化疾患」と、身体的な性別と心理的な性別が一致せずに苦しむ「性同一性障害」について、より分かりやすい説明も盛り込んだ。
 「性分化疾患」の章では、生まれてきた子どもの性別がすぐに決まらないことによる親の戸惑いや、成長してから初めて自分の疾患を知るつらさ、困難に立ち向かう医療従事者の姿など、多角的な切り口で、この疾患の厳しい現実をリポートした。
 「性同一性障害」は、大人に比べて遅れていた子どもの問題を中心にまとめた。連載と並行するように、教育現場での対応に変化が表れ、手つかずのままだった医療上のルールも見直された。当事者の苦しみとともに、こうした動きを追いかけた。
 この世界は「男」と「女」だけでつくられているのか−−。そんな根源的な問いを投げかけている。

 ◇出生前診断、最新の動き追い
 「こうのとり追って 晩産化時代の妊娠・出産」(同1470円)は、10年12月に始まったシリーズの1〜5部などを再構成した。
 「卵子の老化」などに伴う不妊症、流産や死産を繰り返してしまう不育症のつらさなど、誰もが直面する可能性がある課題を取り上げた。また、妊娠中に胎児の状態を調べる出生前診断は、今春にも新型の検査が導入される見通しで、最新の動きを追っている。卵子提供や精子提供といったテーマも、当事者の声を中心に伝えている。
 無精子症の治療を経て3人の子を授かったダイアモンド〓ユカイさんや、不妊治療と出産の経緯をブログで公表してきた東尾理子(りこ)さんら、著名人のインタビューも収録した。
 書籍化にあたり、昨年1〜2月に養子縁組の現状を取り上げた連載「心でつながる親子」も併せて掲載している。

==============
 ◇各5人にプレゼント

 単行本を各5人にプレゼントします。「書籍プレゼント係」と書いて、はがき(〒100−8051=住所不要=毎日新聞生活報道部)、メール(kurashi@mainichi.co.jp)、ファクス(03・3212・5177)に▽希望する本のタイトル▽住所▽氏名▽年齢▽職業▽電話番号▽本を希望する理由−−を明記してご応募ください。締め切りは3月15日。当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。 



最後まで読んでくださってありがとう
人気ブログランキングへ クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  

P-WANのバナーのトップページのリンクはこちらから。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月2日(土)のつぶやき

2013-03-03 01:24:30 | 花/美しいもの

新聞社説:いじめと道徳 心に成績をつけるのか/道徳教育 「教科に」は疑問がある  goo.gl/wcwZ3

2 件 リツイートされました

WAN:会員の皆さまに本をプレゼントします | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/npo/?p=184


WAN:子どもの健康被害は、まずは大丈夫って本当? 桜川ちはや | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/reading/?p=9278


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする