みどりの一期一会

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1票の格差選挙:広島高裁と同岡山支部で「無効」判決/初の決断を評価する/政治は是正論議深まらず

2013-03-26 22:39:17 | ほん/新聞/ニュース
一泊二日の旅を終えて帰ってきたら、一票の格差裁判で「広島高裁岡山支部も選挙無効の判決」のニュースが飛び込んできました。
昨日は岡山高裁で「選挙無効の判決」が出たことを、わたしは毎日webのニュース速報で知りました。

で、忘れないうちにきょうのブログで紹介しようとブログの下書きにいれておいのですが、
そのニュースにさらに「(衆議院議員)選挙無効」「猶予期間は設けず」という厳しい判決が飛び込んできたというわけです。

帰って読んだ今日の朝刊でも、この「無効」判決のことを一面で大きくとりあげていました。

  社説:衆院選無効判決 警告を超えた重い判断 
毎日新聞 2013年03月26日 

 わが国の議会政治史上、異例の事態といっても過言ではあるまい。
 「違憲状態」だった小選挙区の1票の格差是正がないまま実施された昨年12月の衆院選広島1、2区について、広島高裁が「違憲・選挙無効」の判決を言い渡したのだ。
 選挙無効の判断は、過去の国政選挙の1票の格差をめぐる裁判で高裁・最高裁を通じて初めてだ。
 憲法が要請する投票価値の平等に基づいて実施されなかった選挙で選ばれた衆院議員に正当性はない。判決はそう言っているのに等しい。
 裁判所はこれまで「違憲」の判断をした場合でも、混乱を回避するため「事情判決の法理」を適用し、選挙を有効としてきた。
 広島高裁が過去の例にならわなかったのはなぜか。最高裁は11年3月の大法廷判決で「選挙区間の人口の最大格差は2倍未満が基本」とした法律の区割り基準について合理的との見解を示し、1票の格差が最大2・30倍だった09年選挙は「違憲状態」との結論を導いた。だが、昨年12月の選挙時点で格差は2・43倍に拡大。格差2倍以上の選挙区も09年選挙の45選挙区から昨年は72選挙区に激増していた。
 高裁判決は、こうした状態を招いた国会の対応はもはや許されないと判断したのだ。最高裁判決から1年半が経過した昨年9月が是正のタイムリミットだったと結論づけ、「民主的政治過程のゆがみの程度は重大で、最高裁の違憲立法審査権も軽視されている」と強く警告した。国会は率直に批判を受け止めるべきだ。
 最高裁で無効判決が確定すれば、訴訟対象の衆院議員は失職する。失職議員が関与して成立した法律は有効なのか。そんな疑問も湧く。
 さらに根本的な問いかけもある。他の議員も「違憲状態」で選出された点は同じだ。ならば再投票は失職議員の欠員補充だけで足りるのか。解散して全議員を選び直すのが筋だとの意見も出てこよう。
 広島高裁判決は、混乱を避けるため、無効の効果は今年11月26日を経過して発生するとした。最高裁が85年に「違憲」判断をした際、当時の寺田治郎裁判長らが補足意見で示した見解を援用したもので、定数是正に一定の猶予期間を与えたものだ。
 「0増5減」を前提に第三者機関の審議会が近く、区割り案を安倍晋三首相に勧告する。最低限、その是正を今国会で済まさねばならない。
 ただし、「0増5減」の定数是正は不十分だと札幌高裁が指摘したように、小手先改正への批判もある。投票価値の平等を実現するような定数是正と削減、さらには衆参両院一体の選挙制度改革に本気で取り組む時がきた。 


 【社説】衆院選は「無効」 初の決断を評価する
2013年3月26日 中日新聞

 昨年の衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟で、広島高裁は「違憲・無効」と断じた。選挙無効の判決が出るのは戦後初だ。明白な不平等を放置した国会に突きつけた、司法の決断を大いに評価する。
 「憲法が要求する投票価値の平等に反する状態が悪化している」「基本的権利である選挙権や、民主的政治のゆがみは重大」と、広島高裁は違憲理由を述べた。
 ただし、無効は「今年十一月二十六日の経過後に発生する」という“未来の無効”だ。国会に是正の猶予期間を与えたわけだ。
 昨年末の総選挙は、一票の価値に最大二・四三倍もの格差があった。言い換えれば、ある人は「一票」なのに、ある人は「〇・四一票」しか持たない状態だ。明らかに不平等といえる。
 しかも、二〇一一年に「違憲状態」とした最高裁判決で、「一人別枠方式」を廃止するよう促されていた。あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する、地方配慮の方法である。だが、国会は事実上、同方式を温存したまま、「〇増五減」の是正策を行った。同時に従来の区割りで行われた総選挙は、最高裁判決から一年九カ月もたっていた。制度の抜本改革には十分な時間があったと考えられよう。つまり、国会は最高裁の指摘を無視したに等しいのだ。
 この状況を踏まえ、既に東京、札幌、仙台、金沢、高松の五つの高裁と高裁支部は「違憲」と判断しており、広島高裁も同じ論理で「違憲」と導いたといえる。
 異なるのは、各高裁がためらった「選挙無効」まで踏み込んだことに尽きる。そもそも違憲なのに無効を認めない判断は、一九七六年の最高裁の「事情判決の法理」と呼ばれる理論による。行政処分が違法でも、取り消すと、公の利益に著しい障害が生じる場合は請求を棄却できる-。行政事件訴訟法の規定を援用したのだ。
 ただし、選挙無効訴訟で事情判決を行うことは、そもそも条文に定めがない。公職選挙法は、選挙無効訴訟には行政事件訴訟法の規定を準用しないと明記しているほどだ。裁判所は政治的混乱を回避するため、これまで無理に無理を重ねてきた。司法は国民の方を向いてこなかったわけだ。
 どんな有権者も等しく一票を持つ「一人一票」の考え方を尊重してほしい。国会は十一月まで八カ月間の猶予をもらった。判決に異を唱えるよりも、根本的な選挙改革に踏み出すべきだ。



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 広島高裁岡山支部も選挙無効の判決 
2013.3.26 NHKニュース

去年の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったことについて、広島高等裁判所岡山支部は、「選挙までに格差を是正しなかったのは国会の怠慢であり、司法判断に対する甚だしい軽視というほかない」と指摘し、25日の広島高裁に続いて、選挙を無効とする判決を言い渡しました。

去年12月の衆議院選挙は、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があり、弁護士などのグループが全国の裁判所に選挙の無効を求める訴えを起こしています。
このうち、岡山2区を対象にした裁判で、広島高等裁判所岡山支部は26日、岡山2区の選挙を無効とする判決を言い渡しました。
国政選挙を無効とする判決は、25日の広島高裁に続き、2件目です。
判決で、片野悟好裁判長は「おととし最高裁が『憲法違反の状態』と指摘してから選挙までのおよそ1年9か月は、衆議院議員の任期のおよそ半分に当たるので、区割りなどを改定するのに不十分だったとは到底言えない」と述べ、去年の選挙は憲法に違反していると判断しました。
そして、国会が去年、衆議院の解散当日に「0増5減」の法律を成立させたことについて、「最高裁が憲法違反と判断したすべての都道府県にまず1議席を割りふる『1人別枠方式』を基礎にしたものにすぎず、格差を是正する立法措置を行ったとは言い難い」と述べ、不十分な取り組みだと指摘しました。
そのうえで、「選挙までに格差を是正しなかったことは国会の怠慢であり、司法判断に対する甚だしい軽視というほかない」と厳しく批判しました。
さらに、「選挙を無効にすれば、対象となった選挙区から議員が選出されないままの状態になるが、長期にわたって投票価値の平等に反する状態を容認することの弊害に比べ、政治的混乱が大きいということはできない」と指摘して、選挙を無効とする効力が、判決が確定ししだい生じるようにしました。
岡山支部の判決は、選挙を無効とするまでに一定の期間を置いた25日の広島高裁よりも、国会に対し厳しい姿勢を示すものとなりました。
一連の裁判で26日は、ほかにも東京や大阪、それに沖縄など6か所の裁判所で判決があり、いずれも去年の選挙を憲法違反とする判断が示されました。
岡山2区選出の山下議員「厳粛に受け止める」
判決で選挙が無効とされた岡山2区選出の自民党の山下貴司衆議院議員は、党本部で記者団に対し、「司法判断なので厳粛に受け止めたい。一方で、きょうの東京高等裁判所や広島高等裁判所松江支部の判決は『憲法違反』であり、判断が分かれている。最終的には最高裁で決着をつけてもらうことが必要だ。ただ、政治としては最高裁の判断を待つのではなく、一連の判決を踏まえて選挙制度改革などを加速しなければならない」と述べました。
判決15件合憲の判断なし
去年の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったことについて、弁護士などの2つのグループが、選挙を無効とするよう求めて全国14の高等裁判所や高裁支部に合わせて16の裁判を起こしています。
26日までに15件で判決が言い渡され、このうち13件で、「去年の衆議院選挙は憲法に違反している」と判断されました。
さらに、この中の広島高裁と広島高裁岡山支部の2件の判決は、戦後一度も言い渡されたことのなかった、国政選挙を無効とする判断に踏み切りました。
一方、憲法違反としなかったほかの2件の判決も、投票価値の格差自体は憲法違反の状態だと指摘していて、合憲の判断が1件もない異例の事態になっています。
一連の裁判では27日、仙台高裁秋田支部で最後の判決が言い渡されることになっていて、その後、審理の場は最高裁判所に移ります。 


以下は、画期的な「違憲・無効判決」を出した広島高裁の記事です。

広島高裁・筏津順子裁判長は、岐阜地裁でわたしたちの「カラ渡船」住民訴訟の勝訴判決を書いてくれた裁判官です。
その裁判の経過については「てらまち・ねっと」のきょうのブログに詳しく書かれています。

 ◆「1票の格差」・史上初の無効判決/筏津裁判長のこと
/政治の放置、限界/今日は全国7つの裁判所で (2013.3.26 てらまち・ねっと)
 


  1票の格差:選挙「無効」 広島高裁の判決要旨  
毎日新聞 2013年03月25日 21時41分

 昨年12月の衆院選広島1区と2区の選挙を無効とした25日の広島高裁判決の要旨は次の通り。

 ◆主文
 12年12月施行の衆院選広島1区・2区の選挙を無効とする。その効果は、13年11月26日の経過後に発生する。


 ◆区割り規定の合憲性
 11年3月の最高裁大法廷判決は、前回選挙(09年8月施行衆院選)の区割り基準中の1人別枠方式や1人別枠方式を前提とする区割りについて、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたとの判断を示した。12年12月の本件選挙までの間に、1人別枠方式は廃止されたが、1人別枠方式を前提とする区割り規定は是正されなかった。
 選挙制度の仕組みについては、国会に広範な裁量が認められており、是正は一般的に複雑かつ困難で、国会での十分な検討が必要で相応の期間を要する。11年3月11日以降、国会が国難というべき東日本大震災の対応に追われており、通常の場合と比較して、ある程度長い期間を要するのはやむを得ない。
 しかし、衆院は議員の任期や解散制度の存在などに鑑み、常に的確に国民の意思を反映することが求められている。11年大法廷判決は、できるだけ速やかに1人別枠方式を廃止し、区割り規定を改正するなどの措置を講ずる必要があると示した。憲法は、国民主権を宣言した上で、三権分立制度を採用し、最高裁に違憲審査権を与えている。民主的政治過程のゆがみを是正する必要性は高く、国会の広範な裁量権は制約を受けるべきだ。国会は区割り規定の改正などを優先的に実行する憲法上の義務を国民に対して負ったと解釈するのが相当だ。
 11年大法廷判決でこの義務を国会が負っていることが明らかにされている以上、国会の審議や議決で紛糾することは憲法上予定されていない事態だ。選挙区間の人口格差の「緊急是正法」の施行で審議を再開した衆院選挙区画定審議会は6カ月以内に勧告を行うとされており、国会が国難というべき東日本大震災の対応に追われていたことを最大限考慮しても、11年大法廷判決の言い渡しから1年半の12年9月23日までに区割り規定の是正がされなければ、憲法上要求される合理的期間内に投票価値の平等に反する状態が是正されなかったと言わざるを得ない。区割り規定は本件選挙当時、憲法に違反すると言わざるをえない。

 ◆本件選挙の効力
 選挙を無効とする判決でもたらされる不都合などを勘案し、(選挙無効を回避する)事情判決をすることもあり得る。
 しかし、選挙区間の議員1人あたりの選挙人数の最大格差が、前回選挙時の1対2・304から本件選挙で1対2・425に拡大し、選挙人数の格差が2倍以上になっている選挙区も前回選挙の45選挙区から本件選挙で72選挙区に激増している。11年大法廷判決以降、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態が悪化の一途をたどっていると評価せざるを得ない状況で本件選挙が行われた。選挙権の制約や民主的政治過程のゆがみの程度は重大で、最高裁の違憲審査権も軽視され、もはや憲法上許されるべきではない事態に至っている。選挙を無効とした場合の不都合などを勘案しても、事情判決をするのは相当でなく、本件選挙を無効とせざるをえない。

 ◆将来効判決
 ただし本件選挙を直ちに無効とすると、区割り規定の是正が当該選挙区から選出された議員が存在しない状態で行われることになり、相当でない。
 区画審が緊急是正法に基づき、12年11月26日以降、区割りの改定作業を開始している▽国会での区割り規定の改正作業自体に長期間を要するとまでは考えがたい▽改正によって投票価値の平等の要請にかなう区割りとなることが期待できないわけではない▽無効を1年以上の長期にわたり放置することは政治的混乱を招くもので適切ではない−−などから、無効の効果は13年11月26日の経過後に発生するとするのが相当だ。



  1票の格差:選挙「無効」判決 政治は是正論議深まらず
毎日新聞 2013年03月25日

 昨年12月の衆院選(広島1区、同2区)を「無効」と断じた25日の広島高裁判決は、国会に期限を切って「1票の格差」是正を迫った。政府・与党は「0増5減」の区割り法案を今国会中に成立させ、最高裁での「無効」確定を回避したい考え。格差是正は最低限にとどまり、抜本的な是正論議は深まっていない。
 広島1区選出の岸田文雄外相は25日、外務省内で記者団に対し、選挙無効判決について「厳粛に受け止める。まだ判決を見ていないので具体的な対応はこれからだ」と言葉少なに語った。実際に無効になるかは今後の最高裁の判決次第だが、同2区の自民党の平口洋衆院議員も「両選挙区が突出して人口が多いわけではない」と戸惑いを隠さなかった。
 広島高裁判決は「この期に及んで、なお紛糾が生じて区割り規定の改正が遅れるということは、憲法上予定されていない事態」と国会の対応の遅れを批判。無効の効果について「今年11月26日の経過をもって発生する」とし、8カ月の猶予期間を認めたとはいえ、司法が国会の審議にまで関与したともとれる厳しい内容となった。
 11年の最高裁判決を踏まえ、47都道府県にまず1議席ずつ割り振る「1人別枠方式」は法的には廃止された。しかし、人口比に忠実な「21増21減」の抜本改正を見送り、「0増5減」にとどめたことで、1人別枠方式の考え方は事実上残っている。広島高裁判決は「0増5減」の評価には踏み込まなかったが、先の札幌高裁は「最高裁判決に沿った改正ではない」と断じた。
 安倍晋三首相は25日、首相官邸で記者団に「判決をよく精査していきたい。適切に対処していく」と表明。自民党の細田博之幹事長代行は「区割りを改正する法案を一日も早く審理し、成立させるべきだ」と述べ、最高裁で審理が始まる前に「格差2倍未満」を実現する必要があるとの認識を示した。
 しかし、民主党の細野豪志幹事長は25日の記者会見で「(0増5減では)また同じような話になる可能性がある。一刻も早くそういう状態を脱することが必要だ」と述べ、区割りの抜本見直しを主張。これに対し、公明党幹部は「できることからやらないと、民主党も苦しくなる」とけん制し、与野党の綱引きが続いている。

 ◇「中小政党枠」改革にも「憲法違反」の壁
 与野党が取り組む衆院選挙制度改革の方向性も、司法とかみ合っていない。自民、公明、民主各党は昨年11月の衆院解散の際、比例定数の削減などで合意した。
 自民党は比例代表の定数を30減らし150とした上で、うち60を「中小政党枠」として得票数2位以下の政党に割り振る改革案をまとめた。
 中小政党枠の導入は、公明党などに配慮することで理解を得るのが狙い。しかし、制度の分かりにくさに加え、得票数第1党と第2党との「1票の価値」が異なりかねず、「憲法違反の恐れがある」(民主党幹部)との批判が出ている。
 自民党案の取りまとめにあたった細田氏は25日、「1票の格差と定数削減の問題は切り離して考えないといけない」と述べ、さらなる格差是正に慎重な考えを示した。司法に最後通告を突きつけられた立法府は格差是正に向けた抜本改革を先送りし、明確な答えを示せないでいる。【中島和哉、福岡静哉】 



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