昨日、選挙がらみの裁判の判決が三つありました。
一つは、成年後見制で、成年被後見人にされた人は選挙権がなくなる、
という公選法第十一条の規定を憲法違反とした、東京地裁の判決。
公職選挙法
(選挙権及び被選挙権を有しない者)
第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 成年被後見人
二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京地裁は、「成年被後見人が総じて選挙権を行使する能力を欠くわけではない」
「後見を受けている人には選挙権を与えないと定めた公職選挙法は、参政権を保障した憲法に違反する」と断じた。
あとの二つは「1票の格差訴訟」の判決。
仙台高裁は「違憲」、名古屋高裁は「違憲状態」の判決で、いずれも選挙無効の請求は棄却。
障害があってもなくても、都会でも田舎でもどこに住んでいようと、一票の重さに軽重があってはならない、
ということが参政権の基本のき。
どんな人にとっても同じ一票であってほしい。
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クローズアップ2013:後見で選挙権喪失「違憲」 導入理念に回帰(毎日新聞 2013年03月15日)
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一つは、成年後見制で、成年被後見人にされた人は選挙権がなくなる、
という公選法第十一条の規定を憲法違反とした、東京地裁の判決。
公職選挙法
(選挙権及び被選挙権を有しない者)
第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 成年被後見人
二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京地裁は、「成年被後見人が総じて選挙権を行使する能力を欠くわけではない」
「後見を受けている人には選挙権を与えないと定めた公職選挙法は、参政権を保障した憲法に違反する」と断じた。
あとの二つは「1票の格差訴訟」の判決。
仙台高裁は「違憲」、名古屋高裁は「違憲状態」の判決で、いずれも選挙無効の請求は棄却。
障害があってもなくても、都会でも田舎でもどこに住んでいようと、一票の重さに軽重があってはならない、
ということが参政権の基本のき。
どんな人にとっても同じ一票であってほしい。
【社説】政治参加に道を開け 選挙権と後見制 2013年3月15日 中日新聞 後見人がついた知的障害者にも選挙権は保障される。東京地裁はそう認め、投票権はないと定めた公職選挙法の現行のルールは憲法違反と断じた。国は法改正を急ぎ、政治参加に道を開くべきだ。 ダウン症で知的障害がある。原告の女性は成人してから国政選挙であれ、地方選挙であれ、選挙公報を読んで両親と一緒に欠かさず投票してきた。 ところが、計算が不得手という娘の将来を心配し、父親が二〇〇七年に後見人になると、投票の案内が届かなくなった。選挙権を失ったのだ。 女性は国を訴えた。後見人がついた人とそうでない人の一票にどんな違いがあるのか、と。 認知症や精神障害、知的障害があるような人は、お金や不動産を管理、処分したり、介護や福祉のサービスを契約したりするのが難しい場合がある。 そんな人にふさわしい援助者をつけて権利を守る仕組みが成年後見制度だ。能力が全くないとされる成年被後見人は選挙権がなくなる。これが公選法のルールだ。 東京地裁の判決は原告の言い分を認めた。「成年被後見人が総じて選挙権を行使する能力を欠くわけではない」と言い切った。公選法のルールを明快に違憲、無効とした判断を大いに評価したい。 判決が指摘するように、この制度は判断能力の乏しい人が財産上の不利益を被らないよう権利を保護するのが主な目的だ。家族の先行きを案じて利用する人は多い。 だが、後見人がついていても自由に日常生活を送り、結婚したり、遺言したりもできる。人としての自己決定を重んじ、支えるための制度を、選挙権を奪う根拠としているルールこそ言語道断だ。 この判決の意味は重い。生まれつき障害のある人、不慮の事故や病気で障害が生じた人、高齢化で能力が衰えた人。世の中にはハンディキャップを抱えた人がいる。 「さまざまな境遇にある国民が、どんな施策がされたら幸せかの意見を、選挙で国政に届けることこそが民主主義の根幹」とも判決は述べた。もっともだ。 障害のある人も、ない人と同じように選挙権を使い、政治に参加できるようにする。当たり前の立法作業が求められる。 明治時代から続いた差別的な禁治産制度を一九九九年に改めたのは、ノーマライゼーションという理念に基づくものだった。選挙権を奪ってはこの理念に反する。目指すべきは共生社会だ。 |
社説:後見と選挙権―民主主義が問われた 2013年3月15日(金) 朝日新聞 自分を守り、助けてくれる仕組みだと聞いていたのに、投票に行けなくなってしまった。選挙権を返してほしい――。 成年後見制度を利用して後見人をつけたダウン症の女性がそう訴えていた裁判で、東京地裁は「後見を受けている人には選挙権を与えないと定めた公職選挙法は、参政権を保障した憲法に違反する」と述べた。 得心のゆく判断である。 このシステムは、法律上の権利を一律にとりあげる「禁治産制度」にかわって、2000年4月に施行された。 病気や高齢で判断力の衰えた人について、残された能力に応じ、本人がやるもの、他人に委ねるものを柔軟に区分けする。そうやってハンディを負う人も自分のことはなるべく自分で決め、ふつうの生活を送れる社会にする。それが目的だった。 なのに、実際に後見される立場になると、民主主義社会を築いていくうえでもっとも大切な権利である選挙権を、そっくり奪われる。政治に自分の声を届ける道をふさがれ、事実上、主権者の地位を追われる。明らかにおかしな話だ。 選挙権の扱いは、法律をつくる段階でも議論になった。 禁治産者は投票することはできなかったが、法務省は制度の切りかえを機に、この制限をなくすよう唱えた。だが旧自治省の反対で実現しなかった。 今回の裁判でも、国側は「判断力に欠ける人が選挙権をもつと、不正な働きかけを受けたり第三者に悪用されたりするおそれがある」と主張した。 そういうケースがないとはいわない。しかし局所的な不公正を気にして、より重要な「全体としての公正」を見ていないのが、いまの規定ではないか。 判決が「不公正・不適正な投票が相当に高い頻度で行われ、国政選挙の結果に影響を及ぼすといえるだけの事情はない」と指摘し、国側の言い分を退けたのはもっともである。 公選法にこのような問題があることを伝え、改善を強く訴えてこなかったメディアも反省しなければならない。似たようなかたちで、障害を理由に、資格の取得や公共施設の利用が制限される例はある。時代に即した不断の見直しが必要だろう。 原告は制度の矛盾をつくと同時に、選挙権があるのを当たり前と受けとめている私たちに、投票を通じて政治に参加する大切さを改めて教えてくれた。 民主主義とは何か。社会とつながるとはどういうことか。それらを考えるときに、必ず立ち返るべき裁判となった。 |
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成年後見制度:選挙権喪失は違憲 東京地裁判決 毎日新聞 2013年03月14日 成年後見人が付くと選挙権を失う公職選挙法の規定は法の下の平等などを保障した憲法に反するとして、ダウン症で知的障害がある茨城県牛久市の名児耶匠(なごや・たくみ)さん(50)が国に選挙権があることの確認を求めた訴訟で、東京地裁は14日、この規定を憲法に違反すると判断し、訴えを認める判決を言い渡した。同様の訴訟はさいたま、京都、札幌の各地裁で起こされており、今回が初の司法判断。 定塚(じょうづか)誠裁判長は「選挙権を制限するやむを得ない理由があるとは認められない」と述べ、名児耶さんに対し「どうぞ選挙権を行使して社会に参加してください」などと語り掛けた。 判決が確定すれば名児耶さんは投票できるようになる。違憲を解消するには公選法の改正が求められることから、昨年末の時点で成年後見人が付いている成年被後見人約13万6000人(最高裁調べ)の選挙権にも影響を与える可能性がある。 判決は、在外邦人の投票を制限する公選法の規定を違憲とした最高裁大法廷判決(05年9月)を引用。今回問題となった規定が「公正を確保しつつ投票を認めることが事実上不能か著しく困難で、選挙権の制限がやむを得ない場合」に当たるかどうかを判断した。 投票には「物事の道理を理解する能力が必要」としたが、「成年後見人を付ける際に審判で判断される財産の管理能力と、投票能力は明らかに異なる」と指摘。「成年後見人が付いても投票能力のある人は少なからずいる」とした。 国側は「投票能力を個別審査する制度の創設は不可能で、成年後見制度を借用せざるを得ない」と主張したが、判決は「運用に困難が伴うからといって、一律に選挙権を奪うことが『やむを得ない』とはいえない」と批判した。 さらに、障害者の自己決定を尊重し、通常の生活をする社会を作る「ノーマライゼーション」という成年後見制度の理念を重視。同様の理念に基づいて欧米で法改正が進んでいることに触れ「選挙権を奪うことは制度の趣旨に反し、国際的な潮流にも反する」と述べた。【鈴木一生】 |
クローズアップ2013:後見で選挙権喪失「違憲」 導入理念に回帰(毎日新聞 2013年03月15日)
質問なるほドリ:成年後見制度ってどんな仕組み?=回答・鈴木一生 毎日新聞 2013年03月15日 東京朝刊 <NEWS NAVIGATOR> ◇判断力不十分な人の後ろ盾選ぶ 財産管理や手続き代行、トラブル避ける なるほドリ 成年後見(せいねんこうけん)制度を巡る裁判の判決が出たというけれど、そもそもどんな制度? 記者 認知症(にんちしょう)や知的障害、精神障害などで判断力が十分でない人のために後ろ盾となる人を選び法的に支える制度で、00年に始まりました。支援する人を一般的に「後見人」と言い、親族や弁護士、司法書士、社会福祉士などから選ばれます。財産の管理や介護施設の入所手続きなどを本人に代わって行います。本人が結んだ契約を取り消すことができる場合もあるので、悪質業者の勧誘で高価な買い物をしたり、不利な相続をしたりする事態を避けることもできます。 Q どうやって利用するの? A 本人が認知症の進行などに備え、後見人となってほしい人を選んで契約する「任意(にんい)後見」と、親族などの申し立てを受けて家庭裁判所が選ぶ「法定(ほうてい)後見」があります。法定後見には保護の必要性の高い順に「後見」「保佐」「補助」の三つがあります。親族や市町村長などがどれに該当するかを医師の診断書を参考に判断し、家裁に申し立てます。これを受け家裁の調査官が必要に応じて本人と面接し、医師が鑑定を行うなどして審判で決定します。 Q 制度のどこが問題になったの? A 法定後見のうち、成年で後見と審判された人(成年被後見人)が選挙権を失うことです。保佐や補助、任意後見は対象外ですが、公職選挙法は「選挙権及び被選挙権を有しない者」として成年被後見人を挙げているためです。以前の制度では心神喪失の人で家裁の宣告を受けた人を「禁治産(きんちさん)者」と呼び、財産上の行為は後見人が法定代理人として行っていましたが、差別的イメージが強いとして廃止され、成年後見制度が始まりました。でも、禁治産者になると選挙権を失うという公選法の規定が、名称を変えて引き継がれてしまいました。このため制度の改善が必要だとして訴えが起こされたのです。 Q ほかに問題はあるの? A 例えば認知症高齢者は10年に280万人となり、15年には345万人と推計されているにもかかわらず、成年被後見人は年々増加傾向にあるとはいえ、昨年末現在で約13万6000人にとどまり、まだまだ一般的に利用されているとは言えません。弁護士などの専門家だけでなく、社会貢献に強い意欲を持つ市民による「市民後見人」の養成が必要だという声が強まっています。(社会部) |
名古屋高裁は「違憲状態」 1票の格差訴訟 2013年3月14日 中日新聞 「一票の格差」が最大で2・43倍となった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士グループが愛知1、8、9、10区の選挙無効を求めた訴訟で、名古屋高裁(加藤幸雄裁判長)は14日、「違憲状態」との判断を示した。格差を是正するには期間が十分ではなかったとして、結論は違憲とせず、原告が求めた選挙無効の請求は棄却した。 昨年の衆院選をめぐっては、2つの弁護士グループが選挙無効を求め全国14の高裁・高裁支部に一斉提訴し、判決は4件目。既に判決を出した東京、札幌と14日の仙台の3高裁は、前回2009年の衆院選で最高裁が示した「違憲状態」より踏み込んで「違憲」と断定。名古屋高裁は憲法違反までは認めなかった。 09年衆院選について、11年3月の最高裁判決は、全都道府県にあらかじめ1議席を割り振る「一人別枠方式」の廃止を求めていた。加藤裁判長は「今回も同じ区割りのまま選挙が実施され、さらに格差が拡大した」と指摘。有権者の一票の価値に差が出る違憲状態だったとした。 一方で、「最高裁判決から選挙まで1年8カ月余あったが、ねじれ国会の状態にあったことや、国会が選挙制度の改正協議に取り組んだことを考えると、是正のための合理的期間を超えたとは認められず、憲法に反するとはいえない」と結論付けた。 一連の訴訟は27日までに各高裁・高裁支部の判決が出そろう。弁護士グループは選挙無効の判決でなければすべて上告する予定で、最終的に最高裁が統一した判断をする見込み。 昨年の衆院選では、有権者が最少の高知3区と最多の千葉4区の間に2・43倍、高知3区と愛知の4選挙区とは1・82~2・07倍の格差があった。訴訟対象となった愛知の4選挙区は、訴訟の趣旨に賛同した原告住民の居住地。 (中日新聞) |
1票の格差訴訟、仙台高裁も「違憲」…宮城2区 2013年3月14日 読売新聞 「1票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について、弁護士グループが宮城2区の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟で、仙台高裁(宮岡章裁判長)は14日、選挙を「違憲」とする判決を言い渡した。 ただ、選挙無効の請求は棄却した。6日の東京高裁、7日の札幌高裁の判決と同じ判断となった。 最高裁が「違憲状態」とした選挙区割りで行われた昨年の衆院選では、議員1人当たりの有権者数を選挙区ごとに比較した「1票の格差」が最大2・43倍に拡大。二つの弁護士グループが、選挙無効を求めて全国14の高裁・支部に計16件の訴訟を起こした。 1票の格差は、有権者が最少だった高知3区に対し、最多の千葉4区は2・43倍、宮城2区(仙台市宮城野、若林、泉区)は2・10倍だった。仙台高裁の訴訟は、仙台市宮城野区の有権者が昨年12月、「投票価値が不平等なままの選挙は不当」として宮城県選挙管理委員会を相手に提訴していた。 (2013年3月14日 読売新聞) |
最後まで読んでくださってありがとう
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明日もまた見に来てね
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