いつも本番の一か月ほどまえに、講師二人で日程や内容の分担、課題などを相談します。
ここは通信環境がよくないので、下書きに入れておいた
教育再生実行会議が提言した教育委員会の改革についての
社説と記事を紹介します。
自民党の阿部政権になってからやりたい放題という感がしますが、
支持率は高止まりしています。
この国はどこへゆこうとしているのでしょう。
社説:教委改革提言 その危うさも直視して 毎日新聞 2013年04月16日 政府の教育再生実行会議が教育委員会の改革について安倍晋三首相に提言した。 教育長を首長の任免として権限を集中させ、教育委員会には教育長へのチェック機能を持たせるなど、その役割を大きく変える。 組織の性格に深く影響するという意味では、戦後スタートした教育委員会制度で委員の公選制廃止以来の改革案ともいえるだろう。 もっとも、この具体的な制度設計などは、今後文部科学相の諮問で中央教育審議会で審議され、その答申を経て来年の国会で法整備する段取りだ。それまで多角的に、教育現場や子供たちに視点を据えた論議を展開してほしい。 焦点は教育長の新たな位置づけだ。現行では、教育委員(原則5人)を首長が議会の同意を得て任命、そのうちから教育委員長が互選で選ばれ、教育長が任命される。 教育長をのぞき委員は非常勤で、常勤の教育長が事務局を仕切っている。合議体の教育委員会が教育行政の主体の形だが、実体的な運営者は教育長という関係である。 提言はこのような権限と責任が分かれたような事態を正し、迅速な対処ができるようにするという。 このところ高まった教委改革論議の背景にはここ数年、自殺者も相次いだいじめ問題がある。 その時、教委の対応がしばしば後手に回り、事態の掌握力や学校現場への指導力が不足、欠落したことに批判が強まった。 だが、首長と教育長のラインを教育行政の要とし、教育長をその責任者とする形だけで問題が即解決するわけではない。提言は、教育長の資質・能力の重要性を強調し、現職の教育長や候補者の研修・育成に国が一定の責任を持つという。 こうしたリーダーシップへの期待には半面、ワンマンを生むのではないかという懸念の声もあり、独断専行の恐れがないよう配慮が必要だ。 公教育で政治的中立性維持は最も細心の注意を払うべき点だ。 また首長の教育政策や考え方を反映させるとしても、選挙の度に指針が振れるような不安定な事態は望ましくない。 そうしたことにどう対処していくのか。具体的な制度設計や細部の仕組みは、中教審に預けた格好になっている。 中教審は、これらの改革案がはらむ危うさが懸念される点についても直視し、功罪も整理点検すべきだろう。そのうえに細部の議論を立てたい。そして、抜本的改革というなら、もっと広く国民を巻き込んだ議論が必要ではないか。 教育制度改革は百年の大計という。そういう構えで臨みたい。 |
【社説】教育委員会改革 政治からの中立保て 中日新聞 2013年04月16日 政府の教育再生実行会議が出した教育委員会改革の提言は、自治体の首長に公教育を事実上委ねてしまうものだ。政治的思惑に翻弄(ほんろう)されないか憂慮される。中立性をどう守るのか議論を尽くさねば。 提言の仕組みでは、これまで教育行政の実務を取り仕切ってきた教育長に権限と責任を集中させる。そして首長は議会の同意を得て、その教育長を任免できる。 子どもへの愛国心教育を徹底したいと考える首長は、その意向に沿う教育長を送り込めるし、逆に意に背くようなら退場させられる。この仕組みが実現すれば、例えばそんなかじ取りも、首長には可能になるだろう。 教育予算に加えて教育長人事を握り、教育行政に関わる度合いが強まるのだ。首長は地域の民意の体現者なのだから一見、民主的な仕組みに映るかもしれない。 だが、懸念が拭えない。首長が個人的に信奉する価値観や思想信条が持ち込まれないだろうか。選挙で首長が交代する度に教育の理念や方針が変わり、学校現場が混乱しないだろうか。 公教育がそんなふうに政治に左右されないようにと、戦後一貫して教育行政を担ってきたのが教育委員会だ。戦前の軍国主義教育への反省を原点として政治から距離を置き、落ち着いた教育環境を提供する。そんな考え方だろう。 ところが、機能不全が問題視されて久しい。最近の大津市のいじめ自殺事件や大阪市の体罰自殺事件でも対応が後手に回った。不都合な情報を隠す体質もあらわになった。厳しく非難され、教委廃止論さえ勢いづいた。 原則五人の教育委員は教育長を除き、非常勤だ。実務を統括する教育長と教委代表の委員長が併存し、責任の所在がはっきりしない。合議制だから意思決定が遅く、教育長率いる事務方の議案を追認するばかりだという。 長年の批判を背景に、政治的独立性の高い教委から権限を奪い去ることが提言の主眼だ。教育長に教育の方向性を示したり、仕事ぶりを点検したりすることに主な役割を縮小するという。 教委が形骸化したのは地域の住民にも責任がある。どんな教科書を使うのか。どんな子どもを評価するのか。地元の学校教育にどれほど関心を抱いてきただろう。 首長と教育長とですべてが決められる公教育では危うい。教育委員の公選制も考えられる。中央教育審議会での制度設計に際しては暴走の歯止め機能が最重要だ。 |
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教育再生実行会議:教育長の権限強化 教委形骸化、懸念も 全国教育長に調査 毎日新聞 2013年04月16日 政府の「教育再生実行会議」(座長・鎌田薫早稲田大総長)は、15日にまとめた教育委員会改革の提言で、首長に教育長の任免権を持たせ、教育長の権限を強化して地方の「教育行政の責任者」とするよう求めた。 提言では、地方の教育に関する責任の所在を明確にした。首長による教育長の任免権の行使については、議会の同意を条件としたほか、教育委員会に教育長のチェック機関としての役割を持たせるなど、教育の「政治的中立性」に配慮したが、具体的な制度設計には至らず、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」での議論に持ち越された。【福田隆、水戸健一】 ◇「運用改善」要望の声も 政府の教育再生実行会議が提言した教育委員会改革について、毎日新聞が全国の都道府県教育長に賛否を聞いたところ「教育長の権限強化」には肯定的な見方がある一方、他の教育委員が形骸化する懸念の声も上がった。制度改革よりも現行制度の運用改善を求める意見も複数みられた。 毎日新聞が47都道府県の教育長に対し提言の柱である(1)教育長を教育行政の責任者にする(2)首長が教育長の任免権を持つ−−の2点の賛否を聞き、全都道府県から回答を得た。 (1)(2)とも大半が「国の議論を見守る」などと賛否を保留したが、(1)については大阪府など6府県の教育長が「賛成」と回答。大阪府の中原徹教育長は現行制度で教育長以外の教育委員が非常勤である点に触れ「教育行政を把握して、しっかりした決断ができるわけがない」と指摘した。 教委の形骸化は大きな課題だが、教育長の権限強化で他の教育委員の役割がさらに薄まる可能性もある。秋田県の米田進教育長は「賛成」ながらも「教育委員の意見等を十分に聞くシステムは不可欠」と注文をつけた。(1)の「反対」は岐阜県の松川礼子教育長と熊本県の田崎龍一教育長だけで、松川教育長は「教育の政治的中立性と教育行政の安定を確保する狙いを持つ合議制の現行制度を維持すべきだ」とした。 (2)については、兵庫など5府県の教育長が「賛成」。兵庫県の高井芳朗教育長は「民意を代表する首長が任免権を持ち、教育行政に連帯して責任を果たす体制を強化することは適切」と回答。高知県の中沢卓史教育長は条件付き賛成。「罷免権は『伝家の宝刀』ともいえ、それを示唆するだけで教育長が自ら進退を決めることになるのではないか」と政治介入に懸念を示した。 自由記述では「提言の方向性はいいと思うが、現行制度の運用次第で実現できるものもある」(静岡県の安倍徹教育長)▽「現行制度の検証を十分行ってほしい」(福岡県の杉光誠教育長)など現行制度の検証を求める声も目立った。【まとめ・三木陽介】 ============== ◇教育委員会改革の提言骨子 ・地方教育行政の権限と責任を明確化 ・教育長は首長が任免する ・教育長を教育行政の責任者とする ・教育委員会は教育長の業務遂行をチェック ・教育長が教育の基本方針、教育内容を決定する際、教育委員会が審議して政治的中立性を確保 ・指導主事などの専門職の配置を充実させて教育行政を強化 ・学校だけで対応が困難な問題について、弁護士などの外部専門家による支援体制を整備 ・いじめなどで子どもが教育を受ける権利を侵害された場合、最終的に国が是正・改善の指示 ============== ◇教委改革への教育長の賛否・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
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