みどりの一期一会

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<守ってくれるの?公的年金>(上)目減りしていく価値(中)苦しさ増す低年金者(下)世間との認識のずれ

2014-07-04 21:14:51 | ほん/新聞/ニュース
3月から書いていた『新版 市民派議員になるための本』の
再校の組版にする見本が届きました。

初校のなおしが反映されて、ページや資料のデザインも
すっきりとアカぬけたものになりました。
だんだん本の形になってきて、再校が届くのがたのしみです。

つれあいの6月議会も終わったので、湯の華温泉に入って、
「湯の華市場」に新鮮なお魚を買いに行ってきました。。
   

   

近くにある花木センターにも立ち寄って、
苗をいくつか買ってきました。
    

お昼ご飯は、マエジマ製パンで予約したパンを食べて、
   
おみやげに、いちばん人気のミルクフランスとバケット、バータールなども買ってきました。

ということで、もう7月。

7月2日から今日までの三日間、中日新聞生活面の連載で、
公的年金をテーマに記事が載りました。
この記事を書かれたのは、白井康彦さんと林勝さん。

まとめて読むと、公的年金の問題がよくわかります。

  <守ってくれるの?公的年金> (上)目減りしていく価値 
2014年7月2日 中日新聞

 厚生労働省は六月、公的年金制度の財政の将来見通し(財政検証)を発表した。経済が順調に成長すれば今後百年間、政府の約束通り、現役世代の平均手取り収入の50%の給付を維持できるという。それでも給付水準は今より大幅に引き下げられる見通しだ。公的年金は私たちの老後を支えてくれるのだろうか。

 厚労省は今回、物価や賃金の上昇率、年金積立金の運用効率を示す名目利回りなどの条件によって、八つの給付水準を示した。

 給付水準は「所得代替率」という言葉で表記されている。現役男性の平均手取り収入(ボーナス込み)で、モデル世帯がもらう年金額を割った数字だ。

 ここでいうモデル世帯とは、年金額が個人によって異なるため、厚労省が設定した目安。具体的には「平均的な賃金を得て四十年間、厚生年金に加入していた夫と、専業主婦だった妻」を指す。

 二〇一四年度は、一カ月当たりの手取り収入が三十四万八千円、モデル世帯の年金月額は二十一万八千円で、所得代替率は62・7%。これが将来、八つの全てのケースで下がっていく=表。

 公的年金には、物価や賃金の上昇率や下落率に合わせて、年金の増減率を決める「物価スライド」と「賃金スライド」の仕組みがある。それなのになぜ、物価や賃金の通りに、給付水準が上がっていかないのだろうか。「マクロ経済スライド」という制度を反映させて、試算していることが大きい。

 マクロ経済スライドは〇四年、年金の給付水準を抑え込む目的で導入された。ただし、物価が下がるデフレのときは実施されないため、これまで発動されたことはない。今回、厚労省は全てのケースで物価上昇を想定し、マクロ経済スライドを織り込んだ。

 マクロ経済スライドが実施されると、物価や賃金の上昇率から「スライド調整率」を引いた数字が年金の増加率になる。調整率は年度によって異なるが、三〇年度までは1%前後の見込み。1%として説明すると、物価や賃金が2%上がっても、受給額は1%しか上昇しない=図1の(上)。


 ただし、マクロ経済スライドの実施で受給額が減ることは、法律で許されていない。例えば物価や賃金の上昇率が0・5%の場合、1%のスライド調整をすると、年金は0・5%減ってしまう。そこで0・5%だけ調整をし、年金額を据え置く=図1の(下)。

 いずれにしても現役の稼ぎ手の賃金が増えても、年金額は同じようには増えない。このため所得代替率はだんだん下がっていく。

 ただ、政府は物価や賃金の上昇率が小さいときや、デフレのときでも、マクロ経済スライドを実施できるよう制度改正を視野に入れている。そうなれば給付水準はさらに下がる可能性もある。

 東京を拠点に活動するファイナンシャルプランナーの藤川太(ふとし)さんは「マクロ経済スライドの仕組みは、ほとんどの高齢者が知らない。行政による説明が不十分ではないか」と話している。

◆現役との差開く
 「マクロ経済スライド」が毎年実施されると、見かけ上の年金額は少しずつ増えていっても、実質的な価値はどんどん目減りしていくことになる。

 二〇一四年度の「現役男性の一カ月当たりの平均手取り収入」(三十四万八千円)と、モデル世帯の年金月額を例に試算してみた。物価上昇率や賃金増加率は毎年2%で、年金増加率は1%にとどまる(他の経済要因は考慮しない)と想定して、単純な計算で十年後を比較。すると現役世代の収入が約四十二万四千円と約22%増えるのに対し、一四年度に年金額が二十一万八千円の人は約二十四万千円と、約10%しか増えない=図2。この試算だと、所得代替率は62・7%から56・8%となる。つまり十年間の物価や賃金の上昇を考えると、年金額自体は増えても、給付水準は一割近く減る計算だ。

 厚生労働省の将来見通しでは、経済成長が順調で、四三年度ごろまでマクロ経済スライドを続ければ、その後は年金財政が収支バランスを保ち、50%前後の所得代替率は維持されるとしている。経済が順調に成長するA~Eの五ケースは、四三年度、または四四年度まで実施。しかし、経済状況を厳しく予想したFやGは、さらに長く五〇年度、五八年度まで実施しても、所得代替率は五割を切る水準まで下がる。

 最も経済状況を悲観的に予測したHは、マクロ経済スライドを続けても五五年度に、公的年金の基礎部分に当たる国民年金の積立金が枯渇。その後に所得代替率が35~37%程度まで下がると試算した。いずれもマクロ経済スライドが終われば、所得代替率は固定されるとしている。

 <日本の公的年金制度> 基本的には現在働いている現役世代の人たちが支払う保険料で、高齢者らがもらう年金を賄う仕組み。民間の個人年金保険と違い、自分の老後のために積み立てているわけではない。このため少子高齢化で現役世代が減り、高齢者が増えれば年金財政のバランスは崩れ、運営が苦しくなる。こうした事情もあり、国は支給開始年齢を65歳に引き上げるなど、過去に何度も制度を変更。モデル世帯の給付水準が、現役世代の手取り平均収入の50%を割り込まないよう義務付け、5年ごとの財政検証でチェックしている。 


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  <守ってくれるの?公的年金> (中)苦しさ増す低年金者 
2014年7月3日 中日新聞

 東海地方に住む一人暮らしの自営業男性(63)は長い間、国民年金に加入し、六十五歳から老齢基礎年金をもらう予定だ。ただ、保険料を納められなかった期間があり、毎月の受給額は三万五千円程度の見込み。

 今の仕事は建設関連で、収入は月五万円ほど。貯金を取り崩す生活は、年金をもらい始めた後も変わりそうにない。「自分のような低年金者は将来に希望を持ちようがない。自分もあと何年かで貯金が尽きる」

 公的年金制度では、全ての人が国民年金に加入するため、厚生年金の加入者も基礎年金部分は共通だ=図1。ただ、厚生労働省が年金額を示す際に使う「モデル世帯」は、平均的な賃金を得て四十年間、厚生年金に加入した会社員の夫と、専業主婦だった妻のこと。夫も妻も四十年間の国民年金加入期間に基づき、満額の老齢基礎年金を受給し、夫だけが老齢厚生年金を受給しているケースだ。

 しかし、厚労省が発表した公的年金制度の将来見通しでは、厚生年金と比べて基礎年金の減り方が大きく、この自営業の男性のように国民年金だけに加入した人への影響が大きい。

 見通しの中で、厚労省は経済が比較的順調に成長していく場合でも、二〇一四年度に62・7%だったモデル世帯の給付水準は、四三年度には50・6%に下がるというケースを示した。注目したいのは、共通の老齢基礎年金の部分。給付水準は一四年度の36・8%から26・0%へとダウンする=図2。

 これは「マクロ経済スライド」という制度の導入が関係している。物価や賃金の上昇率から「スライド調整率」を引き、年金の給付水準を抑制していくのが狙いだ。厚労省は経済成長が順調で、四三年度ごろまでスライド調整を続ければ、その後は年金財政が収支バランスを保ち、年金額が現役世代の平均収入と比べて50%前後の給付水準を維持できるとしている。

 ただし、国民年金と厚生年金の財政は別々なので、スライド調整も個別に実施される。経済が順調なら調整期間は厚生年金が二〇年度ごろまでの見通しだが、財政状態の悪い国民年金は四三年度ごろまでとなり、影響が大きくなる。

 国民年金だけに加入していた人が、六十五歳になってもらうのは老齢基礎年金だけ。三十年で約三割の目減りは、あまりにも痛い。もともと老齢基礎年金の額は少なく、満額でも現在は月六万四千四百円。国民年金だけに加入した人の平均額は約五万円だ。

 男性は「夫婦でそれぞれ五万円ほどの年金額で、節約に懸命という知り合いがいる。生活保護の受給者よりつつましく暮らす年金生活者も多い」と話す。貯金が尽きたら生活保護も選択肢となるが、「日本では恥と考える人がほとんどで、世間から隠れるように暮らすことになりがち。そうはなりたくない」。

 社会保障に詳しい国際基督教大の八代尚宏客員教授は「年金制度維持のため、厚生年金部分の削減はやむを得ないが、少なくとも基礎年金の目減りは抑えるべきだ」と話した。

◆モデル世帯は標準的ではない
 厚生労働省のモデル世帯は「標準的」「平均的」とは言いにくい面がある。厚労省の二〇一二年の年金制度基礎調査から、公的年金の年額別の受給者割合を算出してみた。

 モデル世帯の一四年度の年金額は、年額で約二百六十万円。夫だけで百八十万円以上もらうと想定しているが、実際は百五十万円未満しかもらっていない男性は40・4%。百万円未満も26・2%いる=図3。

 さらに少子高齢化の進展によって今後、一人暮らしの高齢者が増えれば、低年金世帯の貧困問題が深刻化する恐れがある。国立社会保障・人口問題研究所が一三年に公表した推計によると、一〇年には四百九十八万世帯だった六十五歳以上の単身世帯は、二五年には七百万世帯を超す。

 厚生年金に加入できない非正規労働者が増え続けている問題もある。社会保険労務士の高木隆司さんは、「将来は生活保護に頼らざるを得ない低年金、無年金の高齢者が激増しかねない」と心配する。

 兆候は既にある。今年三月の全国の生活保護受給世帯は約百六十万世帯で、前年同月比1・5%増。このうち世帯主が六十五歳以上の高齢者世帯を見ると、約七十四万世帯、同5・7%増と増え方が目立って大きい。

 <国民年金と厚生年金> 国民年金は20歳以上の全ての人が加入対象。老齢になったときに老齢基礎年金、障害を負ったときに障害基礎年金、遺族になったときに遺族基礎年金が支給される。厚生年金は会社員が対象。基礎年金に上乗せして老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が支給される。国民年金の保険料は定額で加入者が負担。厚生年金の保険料は、加入者と勤務先の会社が半分ずつ負担する。自営業者やフリーのアルバイターなどは厚生年金に加入できず、老齢になったときなどは基礎年金しかもらえないため、受給額は厚生年金加入者より、かなり少ない。


 <守ってくれるの?公的年金> (下)世間との認識のずれ
2014年7月4日 中日新聞

 少子高齢化で、高齢者の年金を支える現役世代の減少を心配する女性が、「ねえねえ、こんな状態になっても年金って大丈夫なの?」と尋ねる。これに対し、公的年金の意義と仕組みを解説する別の女性が、「ええ。このような厳しい人口推計を織り込んで財政検証を行っていますから」と笑顔で答える。

 これは厚生労働省が、公的年金制度PRのために作成したホームページ「いっしょに診断! 公的年金」に掲載された漫画の一場面。公的年金への世間のさまざまな「誤解」を解いていく内容だ。制度を説明する女性の描写について、駒沢大経済学部講師(マクロ経済学)の江口允崇(まさたか)さん(33)は五月中旬、ツイッターで「これは詐欺師の顔やで」とつぶやいたところ、思わぬ反響が広がった。

 他の人にも広く知らせたいときに使う、リツイートの数はあっという間に二千を突破。「支給年齢引き上げるから平気!って言えばいいのにね」などと賛同するコメントも相次いだ。

 「漫画の内容は経済専門家の間でも疑問の声が上がっていた。大丈夫と言い切ってしまうのは、国民を惑わすことにならないか」と江口さん。

 年金制度は現役世代の保険料で維持されており、このまま少子高齢化が進めば現役世代の負担は重くなる=図1。そこで制度維持のため、給付と負担のバランスを取る仕組みが導入されているというが、「負担に見合った給付が将来得られるか、個人の収支バランスについては答えていない」とも指摘する。

 五年に一度の公的年金の将来見通し(財政検証)のたび、厚労省が前提とする経済想定の甘さにも、江口さんは不信感を抱く。十年もの国債金利は現在、0・6%前後なのに、年金積立金の名目運用利回りは年2~5%台となっている。「現役世代の平均手取り収入の50%の給付水準を百年間維持する」という政府の約束を守るには、「楽観視した方が都合がいいのだろう」と江口さんはみる=図2。

     ◇
 「世間と厚労省の認識に大きなギャップがある」。元経済産業省官僚で、コンサルタント業の宇佐美典也(のりや)さん(32)は五月下旬、インターネット上で社会保障政策を批判したことを機に、厚労省の現役官僚数人と意見交換した際、そう感じたという。

 宇佐美さんは率直な疑問をぶつけた。「財政検証の際、経済成長や賃金、物価の見通しを基に試算しているが、どれも厚労省が責任を取れないものばかりだ」。現役官僚は「それは厚労省だけの問題ではなく、他省庁も協力して実現するもの」と主張。宇佐美さんは「保険料を徴収し、年金保険という商品を買わせているのは厚労省でしょう? 責任の取れる範囲でものを売るのが一般の常識。後から諸条件を次々変えるのは契約違反に近い」と反論したが、溝は埋まらなかった。

 「彼らは税金と同じ感覚で保険料を集めている。当面の給付水準を守ろうと努力はしているが、長期的な責任の所在があいまいになっている」と危ぶむ。

 財政検証をめぐる本音が出る言動もあった。ある官僚は「かつての丼勘定から、百年で収支を均衡させる方法に変えたこと自体が大きな改革だった」「甘い試算と分かっているが、現在は数字を現実的なものに合わせていくための過程なんだ」と説明したという。

 難しい課題を強いられていることは、元官僚として理解できるが、それでも宇佐美さんは訴える。「そもそも試算と現実を徐々に一致させていく考え方自体に無理がある。経済は政治の都合に合わせてくれない。百年なんて誰も責任を取れない約束より、もっと短期で現実的な見通しを示せるよう、改革を期待したい」
 (この連載は白井康彦、林勝が担当しました) 


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7月3日(木)のつぶやき

2014-07-04 01:18:06 | 花/美しいもの

中日新聞:<守ってくれるの?公的年金> (上)目減りしていく価値:暮らし(CHUNICHI Web) chunichi.co.jp/article/living…


中日新聞:<守ってくれるの?公的年金> (中)苦しさ増す低年金者:暮らし(CHUNICHI Web) chunichi.co.jp/article/living…


村瀬幸浩 『男子の性教育 柔らかな関係づくりのために』 | WAN:Women's Action Network wan.or.jp/book/?p=7872


集団的自衛権:30団体超が反対声明 文化人や宗教界など - 毎日新聞 mainichi.jp/select/news/20…


学術フォーラム「男女共同参画は学問を変えるか?」報告2:和泉ちえ | WAN:Women's Action Network net.wan.or.jp/koza/?p=395


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社説 - 7・1官邸前―主権者が動き始める:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル t.asahi.com/6k6


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7・1官邸前―主権者が動き始める(朝日新聞社説)/30団体超が反対声明  goo.gl/TFpaqv

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