きょう7月9日は、岐阜空襲から六十九年目。
当時、岐阜市の中心部に住んでいたわたしの両親は、
岐阜空襲で家をうしない、
焼け出されてそのまま大垣に逃げたという。
その両親もいまはいない。
「戦争だけはぜったいに二度としてはいけない」というのが、父の口ぐせだつた。
昨日の毎日新聞の読書日記は上野千鶴子さん。
ヘイトスピーチのことを取り上げた「現代史教育、軽視のツケ」。
おりしも同じ8日、
京都の朝鮮学校へのヘイトスピーチ事件について、
大阪高裁は、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に対して、
「人種差別という不条理な行為によって、児童や園児が被った精神的な被害は多大であった」と指摘し、
1審に続き活動を行った団体に1200万円余りの支払いと学校周辺での街宣活動の禁止を命じた。
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当時、岐阜市の中心部に住んでいたわたしの両親は、
岐阜空襲で家をうしない、
焼け出されてそのまま大垣に逃げたという。
その両親もいまはいない。
「戦争だけはぜったいに二度としてはいけない」というのが、父の口ぐせだつた。
昨日の毎日新聞の読書日記は上野千鶴子さん。
ヘイトスピーチのことを取り上げた「現代史教育、軽視のツケ」。
おりしも同じ8日、
京都の朝鮮学校へのヘイトスピーチ事件について、
大阪高裁は、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に対して、
「人種差別という不条理な行為によって、児童や園児が被った精神的な被害は多大であった」と指摘し、
1審に続き活動を行った団体に1200万円余りの支払いと学校周辺での街宣活動の禁止を命じた。
読書日記:今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 現代史教育、軽視のツケ 2014年07月08日 毎日新聞 *6月3日〜7月7日 ■奥さまは愛国 (北原みのり、朴順梨著・2014年)河出書房新社 ■想像力と複眼的思考−−沖縄・戦後補償・植民地未清算・靖國 (内田雅敏著・2014年)スペース伽耶 ■ヘイトスピーチってなに?レイシズムってどんなこと? (のりこえネット編・2014年)七ツ森書館 ■ヘイトスピーチとは何か (諸岡康子著・2013年)岩波新書 ============== 「わたしは天皇を敬うことは当然だと思う」 「わたしは国歌として『君が代』を強制すべきだと思う」 「知覧にある『特攻記念館』へ行ったら、先生も英霊に敬意を持たずにいられないはずです」 これらの発言は、20歳前後の大学生が授業の感想として書いたものだ。 「わたしはこのような方が、一橋大学で授業をなさっていることに恥を覚えました」とある「このような方」とは、戦後補償裁判等で有名な闘う人権派弁護士、内田雅敏さん。著書「想像力と複眼的思考」のなかで紹介している。なかには「わたしとは違う意見、見解を聴くことができて勉強になった」「天皇制の批判や、国旗・国歌法に対する反対意見を直接耳にするのは初めてであったので衝撃的」などという感想もある。内田さんはひとりひとりにていねいな返信を書く。「ぼくの受講票での感想には、礼を欠いた表現まで入ってしまっていたにもかかわらず、ご丁寧なお返事をたまわり、大変光栄です」と記す、礼儀正しい学生たちである。 「日本人なら国を愛するのが当然」「そんなにイヤなら日本を出て行けば?」と言い、あまつさえ在日韓国・朝鮮人に対して「ころせーー」「たたきだせーー」と街頭で叫ぶひとびと。そのなかに女性がいる、しかもベビーカーを押す若い母親さえも。彼女たちはいったいどういうひとびとなのか? 対立するのではなく、その声に耳を傾けようと現場へ赴いたのが、北原みのりさんと朴順梨(パクスニ)さんの「奥さまは愛国」だ。 「従軍慰安婦はウソつきの売春婦」「私たちのおじいさんはやってなぁぁあああいい!」。なぜなら、ネットにそう書いてあるから。ネットが新聞はウソつきだと言うから。 なぜ、いつのまに、日本はこうなってしまったのだろう? 多様な意見を許容せず、ひとりよがりで夜郎自大なナショナリズムにたてこもり、弱いものいじめの排外主義に陥り、根拠のないデマを信じ、聞くに耐えない悪罵を浴びせる。このひとたちにも、何かそれぞれの事情があるに違いない。 もしかしたら仲間になったかもしれない姉妹たちへ、声を届けようとしているのは辛(シン)淑玉(スゴ)さんたちがつくった「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える全国ネットワーク」こと略称「のりこえネット」だ。その共同代表には、鈴木邦男さんから村山富市さんまで21名が名を連ねている。わたしもそのひとり。「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと?」にその活動が載っている。右翼の鈴木さんは、ヘイトスピーチデモに日の丸は使ってほしくない、という。なぜなら日の丸が汚れるから。 ヘイトスピーチって聞き慣れないことばについて知りたければ、諸岡康子さんの「ヘイトスピーチとは何か」が役に立つ。ヘイトスピーチとはマイノリティに対する差別と攻撃の言論、ヘイトクライムとはその行為だ。諸岡さんは言う。「これまでの学校教育は現代史を軽視し、侵略と植民地支配の歴史をほとんど教えてこなかった」、そして「日本の権力の差別政策自体がヘイトスピーチの主原因であるのに、現政府に差別政策への反省が見られない」ときっぱり指摘する。 それにしても保守は世代交代に成功したが、対抗勢力は世代交代に失敗した……と思わないわけにいかない。日本の戦後歴史教育は、現政権の思惑通りの結果をもたらしたというべきだろうか。 ============== 筆者は上野千鶴子、福地茂雄、西加奈子、松家仁之の4氏です。 ============== ■人物略歴 ◇うえの・ちづこ 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。 |
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ヘイトスピーチ 2審も賠償命令 2014.7.8 NHK 京都の朝鮮学校を運営する学校法人が、ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別をあおる街宣活動で授業を妨害されたとして賠償などを求めた裁判で、2審の大阪高等裁判所は「人種差別という不条理な行為によって、児童や園児が被った精神的な被害は多大であった」と指摘し、1審に続き活動を行った団体に1200万円余りの支払いと学校周辺での街宣活動の禁止を命じました。 朝鮮学校を運営する「京都朝鮮学園」は、平成21年から翌年にかけて京都市の学校の周辺でヘイトスピーチと呼ばれる民族差別をあおる街宣活動が繰り返されて、その様子がインターネットで公開されたことで授業を妨害され名誉を傷つけられたとして、街宣活動を行った「在日特権を許さない市民の会」などに賠償などを求めていました。 1審の京都地方裁判所は去年10月、「人種差別撤廃条約で禁止された人種差別に当たり違法だ」として、1200万円余りの支払いと学校周辺での街宣活動の禁止を命じたのに対し、団体は「表現の自由の範囲内で違法性はない」などとして控訴していました。 8日の2審の判決で、大阪高等裁判所の森宏司裁判長は「団体の街宣活動が、社会的な偏見や差別意識を助長し増幅させる悪質な行為であることは明らかで、民族教育の運営に重大な支障をきたしただけでなく、今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」と指摘しました。 そのうえで「人種差別という不条理な行為によって、児童や園児が被った精神的な被害は多大であったと認められる」と指摘し、1審に続いて活動を行った団体に1200万円余りの支払いと学校から半径200メートル以内での街宣活動の禁止を命じました。 差別許さないという動き後押しを期待 判決について「京都朝鮮学園」の孫智正理事長は「ヘイトスピーチは、いまだに日本各地に拡散しており、十分に抑止できていません。今回の判決が、差別を許さないという日本社会の動きを後押ししてくれることを心から期待しています」と話していました。 すべて解決するとは思っていない また、朝鮮学校に子どもが通っているキム・サンギュンさんは「彼らのやったことの重大性が認められたことはうれしいが、当時いた子どもたちの健康や精神的な状況がすべて解決するとは思っていない。『在特会』と見たり聞いたりすることで、びくっとして苦しんでいる子どもが現在もいることを分かってほしい」と述べました。 団体側は最高裁に上告の意向 一方、街宣活動を行った団体の徳永信一弁護士は「街宣活動には行き過ぎがあったし不適切と認めざるを得ない。しかし、街宣活動やデモ活動に政治的主張の動機があり、政治的な表現の自由の一つの行使という重大な点について、高裁も1審と同様に非常に軽視したことが残念でならない」と話し、最高裁判所に上告する意向を明らかにしました。 人種差別行為に刑事罰の国内法を 今回の判決について、国際法の専門家で、京都市にある世界人権問題研究センターの安藤仁介所長は「今回の判断は1審と同様、国際条約である人種差別撤廃条約を根拠にしたもので、1審の判決の趣旨が変えられることなく採用された点で極めて妥当な判決だ。今後は、人種差別行為に刑事罰を与える国内法を整備していく必要がある」と話しています。 |
ヘイトスピーチ 二審も「差別」 在特会、賠償と街宣禁止 2014年7月8日 東京新聞 「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)と呼ばれる人種差別的な街宣活動で授業を妨害されたとして、朝鮮学校を運営する京都朝鮮学園が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は八日、約千二百万円の賠償と学校周辺での街宣禁止を命じた一審京都地裁判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。 高裁の森宏司裁判長は、「朝鮮学園には、在日朝鮮人の民族教育を行う利益がある」と認定。在特会の活動について「人種差別に当たり、法の保護に値しない」と述べた。原告側によると、マイノリティー(少数派)が民族の言葉で教育を受ける民族教育の重要性について積極的に評価した初の判決という。一審は言及していなかった。 森裁判長は「在日朝鮮人を嫌悪、蔑視する発言は、差別意識を世間に訴える意図で、公益目的はない。民族教育事業の運営に重大な支障をきたし、社会的評価を低下させた」と指摘。映像をインターネット上に公開したことに触れ「今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」とした。 判決によると、在特会のメンバーら八人は二〇〇九~一〇年、当時京都市南区にあった朝鮮学校近くで三度にわたり、拡声器を用い、大音量で「朝鮮人を保健所で処分しろ」「スパイの子ども」などと連呼し、その様子を撮影した動画をネットで公開した。 一審判決は、日本も加盟する人種差別撤廃条約を根拠に「差別に当たる。平穏な授業を困難にし、学校の名誉を損なった」と判断。在特会の街宣を人種差別とした初めての判決だった。 控訴審で在特会側は「国籍による区別を主張するもので集会、表現の自由だ」と主張し、賠償額も高すぎると訴えた。学園側は「街宣の悪質さや被害に基づく妥当な額だ」と一審判断を維持するよう求めていた。 在特会は在日コリアンの特別永住資格などを「特権」とみなし排斥を掲げる団体で、ホームページによると会員は約一万四千五百人。 街宣では、四人が威力業務妨害罪などで有罪が確定した。 <ヘイトスピーチ> 人種、民族、宗教上の少数者に対し敵対意識を持ち、憎しみをあおる差別的な表現。「憎悪表現」「差別扇動」などと訳される。2009年ごろから、在日コリアンが多く住む東京・新大久保や大阪・鶴橋で、保守をうたう団体が「殺せ」「たたき出せ」などと叫びながらデモを繰り返した。「カウンター」と呼ばれる反差別団体との乱闘事件も起きている。人権差別撤廃条約は各国にヘイトスピーチの法規制を求めているが、日本にはない。 |
ヘイトスピーチ:子どもの心の深い傷「差別許さない」判決 毎日新聞 2014年07月08日 京都朝鮮第一初級学校(現・京都朝鮮初級学校)を運営する京都朝鮮学園がヘイトスピーチで名誉を傷付けられたとして、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と会員らに計3000万円の賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が8日、大阪高裁であった。森宏司裁判長は「在日朝鮮人を嫌悪・蔑視する発言は下品かつ低俗で、強い違法性が認められる」と述べ、在特会と会員ら8人に計約1220万円の支払いなどを命じた1審判決を支持、在特会側の控訴を棄却した。在特会側は上告する方針。 午前11時過ぎ、大阪高裁の202号法廷。判決が言い渡されると、約90人で埋まった傍聴席から拍手が湧き起こった。朝鮮学校の関係者はガッツポーズし、「よし」と言って喜んだ。 「子どもたちの静かな日常を奪われた怒りを分かってほしい」。長女が京都朝鮮第一初級学校5年生だった朴貞任(パク・チョンイム)さん(46)はこの日、ヘイトスピーチへの厳しい司法判断を期待して裁判所に足を運んだ。 2009年12月4日のことだった。在特会の会員らが学校前に姿を見せた。拡声機を使って怒声を浴びせる街宣活動は1時間近く続いた。「怖い」「学校に行きたくない」。学校にいた子どもの心に深い傷が残った。 我が子の笑顔を取り戻そうと、保護者たちは登下校時に見守ったり、校内行事などを通じて励ましたりしたが、傷は今も癒えていないという。判決後、朴さんは「自分たちの主張が全て受け入れられて、今はほっとしている」と目を潤ませた。 在特会による街宣の際、子ども3人の保護者で現場に駆け付けた龍谷大法科大学院教授の金尚均(キム・サンギュン)さん(47)は、がなり立てるような怒号が今も耳から離れない。「今回の出来事が日本人と在日朝鮮人が共にどう生きていくのか、語り合うきっかけになれば」と話した。 閉廷後、大阪市内で記者会見した原告の京都朝鮮学園(京都市)、孫智正(ソン・チジョン)理事長(57)は「在日コリアンに対する差別や偏見に影響されることなく、正義を貫徹した裁判官に感謝と敬意の念を伝えたい。今回の判決が、差別を許さないという日本社会の動きを後押しすることを期待する」と語った。 弁護団の冨増四季(とみます・しき)弁護士(京都弁護士会)は「日本での朝鮮学校の民族教育についても法的保護の対象であると認定しており、1審判決より踏み込んだ判断となっている」と評価した。 ◇在日特権を許さない市民の会 2006年12月設立。在日韓国・朝鮮人の特別永住資格などを「在日特権」と呼んで廃止すべきだと主張、街宣活動の動画をネットに投稿している。ホームページによると、全国35カ所に支部があり、会員は約1万4500人。 |
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