みどりの一期一会

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辺野古協議決裂:工事再開に反対する/「移設」強行は許されぬ/取り消しも 県民投票も

2015-09-09 11:40:36 | ほん/新聞/ニュース
台風18号が愛知県知多半島に上陸して、東海地方を直撃。
現在は名古屋市の南を北上しているそうです。

被害に遭われた方には、お見舞い申しあげます。

今のところ、雨も風も強くありませんが、
外に出してあったキンリョウヘンの鉢などを、
ガレージのなかに入れてもらいました。

ところで、
沖縄・辺野古への米軍普天間飛行場の移設についての、
沖縄県と国(政府)との集中協議が決裂しました。
国はボーリング調査を再開する方針とのこと。

この問題については、朝日新聞と中日新聞が、
昨日の社説で、政府に対して明確に「反対」の立場で論じています。

地元紙の沖縄タイムスと琉球新報の社説とあわせて、
以下に紹介します。

  社説:辺野古協議―工事再開に反対する
2015年9月8日(火)付 朝日新聞 

 政府と沖縄県が1カ月にわたって続けてきた米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる集中協議は、物別れに終わった。

 これを受け、政府は近く、中断していたボーリング調査を再開する方針だ。

 しかし、政府が一方的に工事を再開すれば、政府と県の間にようやく開いた「対話の窓」が再び閉ざされ、政府と県の亀裂はいっそう深まりかねない。

 政府に求める。

 工事再開は断念し、より幅広い観点から改めて県と協議を続けるべきだ。

 日米両政府による普天間返還合意から19年。条件付きとはいえ名護市が受け入れを容認したり、辺野古沖の海上案とした閣議決定が取り消されたり、複雑な経過をたどってきた問題だ。

 わずか5回の協議で解決案が見つかるほど単純な話ではないことは、そもそも双方とも分かっていたはずだ。

 それなのに、目立ったのは、政府のあまりにかたくなな姿勢である。最初から「普天間か辺野古か」の二者択一の議論から踏み出そうとはしなかった。

 県は辺野古移設に反対の立場から具体的な疑問をぶつけた。なぜ狭い沖縄に米軍基地が集中するのか、在沖海兵隊の「抑止力」は本当に必要なのか、長く米軍統治下に置かれた沖縄の歴史をどう見るか――。

 こうした問いに答えを出すためには、政府と県だけの議論では足りないことは明らかだ。

 中国と安定的な関係を築くために、どんな外交戦略が必要なのか。そのなかに米軍や自衛隊をどう位置づけるか、米国をも巻き込んだ議論が欠かせない。

 本土の米軍基地も含めたすべてを見渡したうえで、沖縄の基地負担を分かち合えないか、全国的な議論も必要だ。

 話し合うべきことは、まだたくさんあるのだ。

 そこに踏み込もうとせず、政府がこのまま工事を再開するなら、沖縄の声を聞く姿勢をアピールすることで、安保法案審議による内閣支持率の低下を食い止めようという意図があった、と指摘されても仕方ない。

 政府が工事を再開すれば、翁長雄志知事は対抗して埋め立て承認の取り消しに向けた作業を始めるとみられる。

 双方が対抗策を繰り出す対立の果てに、司法の場でぶつかり合う。そんな不毛な道しか見いだせず、地元の反感のなかで辺野古に新基地が造られたとしても、日米安全保障の基盤は強まることはない。かえって弱まることになる。


  社説:辺野古協議決裂 「移設」強行は許されぬ 
2015年9月8日 中日新聞

 安倍政権は当初から「県内移設」方針を変えるつもりはなかったのだろう。沖縄県側の主張を聞き置くだけなら、着工に向けたアリバイづくりにすぎない。県民への裏切りは断じて許されない。

 「辺野古に基地は造らせない」という翁長雄志県知事の決意を、安倍晋三首相や菅義偉官房長官ら政権幹部は端(はな)から受け止めるつもりはなかったようだ。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への「県内移設」をめぐる政府と沖縄県との五回目の集中協議がきのう行われたが、双方の主張は平行線に終わり、決裂した。

 政府は、辺野古移設の本体工事に向けて行っていた海底掘削調査を八月十日から一カ月間中断していたが、協議決裂を受けて、一連の作業を近く再開するという。

 沖縄県には米軍基地や訓練場など在日米軍専用施設・区域の約74%が集中する。多くは戦後の米軍統治時代に「銃剣とブルドーザー」で強制的に接収されたものだ。

 住宅地に囲まれて危険な普天間飛行場返還のためとはいえ、同じ県内で基地を「たらい回し」にする県内移設では、米軍基地負担の抜本的軽減にはつながらない。

 しかし、県側が辺野古移設の不当性、不平等性をいくら訴えても政府側は「移設先は、辺野古以外は残念ながらない」(首相)という姿勢を変えようとしなかった。「沖縄の声に謙虚に耳を傾ける」としていた政府の姿勢は、偽りだったと断じざるを得ない。

 五回にわたる集中協議の期間は国民の反対が強まっている安全保障法制関連法案の参院審議や、賛否の割れる鹿児島県・川内原発の再稼働とも時期が重なる。

 安倍政権が米軍基地問題でも強硬姿勢を続ければ、内閣支持率のさらなる低下を招く可能性があった。県側との「一時休戦」で、こうした事態を避けようとしたのなら、沖縄県民に対して、あまりにも不誠実ではないか。

 翁長氏は「あらゆる手段で阻止する」と、仲井真弘多前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す可能性を示唆した。このまま法廷闘争に突入すれば、国と県との対立は激化するばかりだ。

 日米安全保障条約体制が日本の平和と安全に重要なら、その負担は日本全国でできる限り等しく分かち合うべきである。「辺野古が唯一の解決策」と言い張り、沖縄に基地を押し付けるだけでは「政治の堕落」との誹(そし)りは免れまい。


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 社説[辺野古協議決裂]取り消しも 県民投票も 
2015年9月8日 沖縄タイムス

 いったい何のための集中協議だったのか。一国の総理が最終協議の場に参加したのはどのような理由からか。

 名護市辺野古での新基地建設作業を1カ月中断し、互いの主張をぶつけ合ってきた政府と県の集中協議は7日、論点がかみ合わないまま決裂した。

 この間、政府に米軍普天間飛行場の辺野古移設を見直す気配はまったくなく、翁長雄志知事が「魂の飢餓感」と例えた県民の心情も理解されることがなかった。最終協議で菅義偉官房長官が口にしたのは「工事再開」である。

 政府から提案のあった集中協議に、かすかな期待がなかったわけではない。しかし終わってみれば、安保法案、原発再稼働、戦後70年談話などの重要課題を一つずつ処理していく時間稼ぎのために辺野古を利用したとしか思えない内容である。いくら協議を重ねた形をとっても、沖縄の民意を軽んじている。

 最終協議に出席した安倍晋三首相だが、その前日に放送された民放の番組で「辺野古以外はない」と発言している。県民をもてあそぶような態度だ。

 問題解決に向け協議するとしながら、話し合いの土壌は、初めからなかったことになる。

 5回の協議で示されなかったのは「なぜ辺野古なのか」「県外はどうなったのか」という県民の切実な疑問への説明である。

 集中協議で分かったことは「国が決めたんだから言うことを聞け」とばかりの相変わらずの強硬な姿勢だ。

    ■    ■
 沖縄側が求めていたのは、普天間の県外移設による危険性除去と、新基地建設断念による基地負担の軽減である。

 協議終了後、菅氏は「普天間の危険除去の認識は一緒だが、方法論の隔たりが埋まらなかった」と述べた。

 政府が繰り返す危険性除去は新基地建設のための方便でしかない。危険性除去を最優先させるなら、ここまで長期にわたって問題を引きずることはなかったはずだ。

 あたかもそれ以外の選択肢がないように「辺野古が唯一」との言い方も一種の世論誘導で、説得力がない。

 総理をはじめ何人もの閣僚が顔をそろえ、何回も集中的に話し合ったのに、何の解決策も見いだせない。問われなければならないのは、政府の問題解決能力ではないか。

 日米同盟が重要と考えるのなら、強力な政治的意思で選択肢を用意することは、困難であっても可能である。

    ■    ■
 国は辺野古海域で県が実施する潜水調査が終わり次第、移設作業を再開するという。

 翁長知事も前知事の埋め立て承認を取り消す手続きを進める意向だが、主導権を確保するためにも決定を急ぐべきだ。

 知事が承認を取り消せば、政府はすかさず取り消し処分の無効を申し立てるはずだ。法廷に持ち込まれるのは避けられない。

 沖縄側の主張の正当性を内外にどれだけアピールできるかが、これからの勝負となる。県民投票についても真剣に検討すべき時期である。


  <社説>辺野古協議決裂 尊厳懸け粛々と取り消せ
2015年9月8日  琉球新報

 相手の話に耳を傾けて、違いや溝を埋めるために話し合い、一致点を見いだすよう努める。それが協議の意味のはずである。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を伴う新基地建設をめぐる県と安倍政権の集中協議は、完全な平行線をたどり、安倍晋三首相が出席した5回目で決裂した。
 協議全体を通して、安倍政権側は「辺野古が唯一の解決策」と呪文のように繰り返すばかりだった。木で鼻をくくったような言い分を翁長雄志知事が受け入れるか否かと迫るだけの構図は協議の名に値しない。国策の押し付け、恫喝(どうかつ)に等しい。決裂の責任は安倍政権にある。
 安倍首相や菅義偉官房長官が「知事に理解を求める」という言葉をいくら繰り出しても、実態は沖縄を屈従させるしかないという差別をまとった強権的姿勢と思考停止があぶり出されただけだった。
 米軍による土地強奪の陰影が濃い沖縄戦後史、「抑止力」など新基地の必要性をめぐる虚構、新基地拒否の強固な民意など、翁長知事は意を尽くして沖縄の立場を説いた。だが、沖縄の尊厳を懸けた知事の主張に対し、安倍政権は徹頭徹尾、聞き置くだけにとどめた。
 仲井真弘多前知事による埋め立て承認にしがみつくばかりで、その後の名護市長選、名護市議選、天王山の県知事選、衆院選で新基地拒否の候補者が圧勝したことについては一度も言及はなかった。
 翁長知事に理解を得る努力をした形跡を残すアリバイにし、国民を抱き込むことはやめた方がいい。安保関連法案審議からうかがえる、国民を見下した政権の品格を一層おとしめるだけである。
 菅官房長官は埋め立て作業の再開を知事に通告した。1カ月間の集中協議の行方に気をもんでいた県民は逆に視界が開け、すっきりしたのではないか。沖縄にとって駄目なものは駄目なのだと。
 翁長知事は「全力を挙げて阻止する」と即座に対抗した。さらに「お互い別々に今日まで生きてきたんですね。70年間」と述べ、沖縄を同胞扱いしない政権を痛烈に批判した。県民の心情を代弁していよう。
 知事は粛々と埋め立て承認の取り消しに踏み出せばいい。国連での演説、県民投票など、新基地建設を止めるあらゆる手段を国内外で緻密に駆使してほしい。民主主義的正当性を深く認識し、誇りを懸けて抗(あらが)う県民が支えるだろう。


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