みどりの一期一会

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性暴力被害者への支援センター…医療機関と連携 心身ケア/増えるDV 社会の悪弊を断ちたい

2015-09-29 21:23:37 | ほん/新聞/ニュース


  






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  性暴力被害者への支援センター…医療機関と連携 心身ケア 
(2015年9月27日 読売新聞)

 性暴力に遭った被害者に心と体のケアを提供する「ワンストップ支援センター」の設立が全国で進んでいる。

 20か所超の都道府県で支援体制ができたが、相談や付き添いをする支援員や、協力医療機関の確保は容易ではない。設立が難航している地域もあるなど、課題は多い。

 性暴力には、強姦ごうかんや強制わいせつ、DV(配偶者や恋人からの暴力)、子どもへの性虐待などがある。被害者が心身に負うダメージは大きいが、身内に打ち明けることさえも難しいのが実情だ。

 内閣府の調査では、異性から無理やり性交された経験のある成人女性のうち、約7割が「誰にも相談しなかった」と回答。警察への相談は4%にとどまる。勇気を出して警察に届け出ても、落ち度を指摘され、「さらに傷ついた」と話す被害者も少なくない。

 ワンストップ支援センターは、被害者の立場に立って相談に乗り、必要に応じて弁護士やカウンセラー、警察などにつなぐ。この際、重要な役目を担うのが医療機関だ。性暴力により女性は妊娠や性感染症の危険にさらされるため、早期に受診する必要がある。緊急避妊には被害後72時間以内にピルを服用しなければならない。警察に訴える場合、証拠となる加害者の遺留物が取れる目安は3日間とされ、採取は医師が行う。

 大阪府のワンストップ支援センター「性暴力救援センター・大阪(SACHICO)」は、2010年に大阪府松原市の阪南中央病院に設立された。24時間体制で被害者に対応し、心と体のケアを提供する。約30人の支援員が電話相談や付き添いを担い、産婦人科医が診察する。昨年度から府との共同事業となり、府内各地に協力病院を増やしている。

 5年間で2万件を超える電話相談があり、983人が来所。夜間や未明など、時間外の来所が6割を占めた。初診は平均約2時間かけており、再診率は8割を超える。代表の産婦人科医、加藤治子さんは「24時間、対応できる医療機関を拠点にすることで、きめ細かなケアができる」と強調する。

 12年に民間団体が設立した「性暴力救援センター・東京(SARC東京)」も江戸川区の病院と連携しながら24時間、対応する。今年度から東京都が人件費などを補助。協力医療機関は都内65か所に広がった。

 名古屋第二赤十字病院(名古屋市)は来年1月、24時間対応のセンターを開設予定。電話相談を受ける支援員を養成しており、今後は病院で対応する専門の看護師を増やす方針だ。

 内閣府は12年、ワンストップ支援センターは都道府県に最低1か所は必要との見解をまとめ、センター設置のための手引を作成した。国のモデル事業を活用して設置を目指す自治体も増え、今年は群馬、栃木、京都などで体制が整った。岐阜と長野も設立を表明している。

 だが、センターによっては拠点病院がなく、被害者への継続した診療が難しかったり、24時間対応ができなかったりするケースも多い。どこまで充実した支援を提供できるかが課題だ。

 病院が支援拠点を引き受けにくい背景には、性暴力の被害者を診察しても、診療報酬で加算されるなどの制度上のメリットがなく、負担が大きいという事情がある。現場からは国に制度の見直しを求める声も上がっている。

 「性犯罪の件数が少ない」(岩手県)、「警察と既存の犯罪被害者支援組織で対応可能」(愛媛県)として、現時点では設置は必要ないとする県もある。今後、地域格差が問題になりそうだ。(佐々木栄)
(2015年9月27日 読売新聞) 


  社説:増えるDV 社会の悪弊を断ちたい
2015.9.28 北海道新聞

 配偶者や恋人に対する暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」の相談が増え続けている。

 道の集計では、2014年度に道内の相談窓口で受けたのは前年度比9・5%増の1万4千件余りに上り、過去最多を更新した。

 暴力から逃れ、道や民間施設が一時保護した被害者も、過去最多の342人となった。

 01年のDV防止法施行でDVへの認識が浸透し、数字を押し上げた面はあるのだろう。

 それでも、相談は「氷山の一角」との見方は根強い。家庭内など“密室”で行われることが多く、表面化しにくいからだ。

 貧困や格差の拡大がDVにつながっているとの指摘もある。増える一方の現状を放置はできない。

 社会の悪弊を断つには、施行から14年がたつ防止法の中身を根本的に点検する必要があろう。同時に、道などには今まで以上に啓発に努めるよう求めたい。

 窓口の一つ、札幌市配偶者暴力相談センターによると、相談は、怒鳴りつけるなどの「精神的暴力」が最も多く、殴るなどの「身体的暴力」、生活費を渡さないなどの「経済的暴力」が続くという。

 また、道警が昨年1年間にDVとして認知した件数は2177件と7年連続で増加。うち269件が傷害や暴行などで摘発された。

 DVは犯罪であることを徹底させなければならない。

 見逃せないのは、子どもの眼前で配偶者に暴力を振るう「面前DV」が増えていることだ。

 道内の児童相談所には、父母間のDVが原因で子どもが精神的に不安定になる心理的虐待の相談が昨年、1799件も寄せられた。この5年間で4倍になっている。

 DVが当事者のみならず、子どもの未来にも影響しかねないことを深刻に受け止める必要がある。

 防止法は、夫などから暴力を受ける女性や子どもを守ることに力点が置かれている。

 被害者は申請すれば、裁判所から保護命令を受けて、加害者を半年間接近禁止などにできる。

 しかし、罰金などの罰則があるのは保護命令違反だけで、DV防止の歯止めになっているとは言い難い。被害者側も、報復を恐れて申請を見送ることが少なくない。

 DV防止に取り組む民間団体などからは、加害者への厳罰化や予防教育の徹底など、法の実効性強化を求める動きも出ている。

 政府は、DV被害の現実を把握した上で、今後の法整備のあり方について議論を重ねてほしい。 


  


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