みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

子の貧困対策、未来に投資を 赤石千衣子/児童虐待―司法も防止の手助けを

2015-09-27 08:03:05 | ほん/新聞/ニュース
今日もまだ東京にいます。

昨日は、WANウイメンズアクションネットワークの拡大理事会と懇親会。
きょうは朝から、WANの理事会です。

明日からは、9月末の「議員と市民の勉強会」にむけての準備と
参加者に出す課題の仕事に戻ります。

出かける前に見つけておいた赤石千衣子さんの「子の貧困対策、未来に投資を」と、
児童虐待関連の記事を紹介します。

(あすを探る 家族・生活)子の貧困対策、未来に投資を 赤石千衣子
2015年9月24日 朝日新聞

 先月、「女性が輝く社会」を掲げる安倍政権の提案した、女性活躍推進法が成立した。来年4月から、大企業を中心に、女性登用の数値目標を含めた行動計画づくりなどが義務づけられる。働く女性を応援する、との取り組みを進めようとしている。

 日本の働く女性の割合は、経済協力開発機構(OECD)の最新のまとめで、加盟34カ国中では24位(25~54歳で71・8%)と低い。ただ、あるグループに注目すると、世界の中でも高い水準になっている。

 シングルマザーたちだ。シングルマザーの就労率は80・6%(2011年度全国母子世帯等調査)で、30年近く80%台が続く。では、働くシングルマザーたちは、「輝く」人たちなのだろうか。

 残念だが今はそうではない。

 シングルマザーにシングルファーザーも加えた「ひとり親家庭」の相対的貧困率は12年時点で54・6%(13年国民生活基礎調査)。半分以上が貧しいということになる。

 ひとり親家庭が貧困であるのは、日本の幅広い分野に、フルタイムで働く男性を中心とした「男性稼ぎ主型システム」が広がっていることが影響している。女性は結婚・出産で6割が退職し、再就職後はパートで補助的に働く人が多い。シングルマザーも同様で、その結果、彼女たちの約6割が年収200万円以下となっている。

 川崎市で起きた中学生殺害事件では、被害者の母親は5人の子どもを抱え、生活のために仕事をかけもちしていた。何か事件が起きるたびに「親は何をしていたのか」と問われる。しかし、自助努力だけで子どもの悲劇はなくせない。別れた父から養育費を受給する割合は約2割で、親族の援助も得られないときがある。

 ひとりで稼いでいても、経済的に困窮せず、子どもと過ごす時間が持てる社会であってほしい。そのためには、非正規雇用の人々の雇用の継続、最低賃金の底上げ、女性の継続就労率の上昇、男女が子育てと仕事を担う社会をつくることだ。

 子どもの側から見てみよう。

 13年に子どもの貧困対策法が成立し、翌年に子どもの貧困対策大綱ができた。勉強や食事に困っている子どもたちのために、無料の学習支援や、低料金の食堂などをつくる民間の取り組みも広がっている。しかし、まだ政府の政策の実効性は乏しい。子どもの貧困率は上昇していて、今や6人に1人の子どもが貧困といい、その多くは、先ほど触れたひとり親家庭という。

 では何が必要なのか。

 効果が高いのは、現金給付の拡充である。効果が限定された物やサービスの提供と違い、現金はその家庭の多様なニーズに合わせて使うことができる。

 ひとり親の世帯を対象とした児童扶養手当(月額9910~4万2千円を年収365万円以下の世帯に支給)は、既にシングルマザーの約7割、シングルファーザーの約5割が受給している。

 「小泉改革」で児童扶養手当は支給額が減らされ、所得制限も厳しくなった。そのことが貧困率を押し上げ、今の子どもの貧困を招く一因となっている。

 生活費がギリギリで、十分な教育も受けられないまま成人となって、仕事に就けずに生活保護を受給し続けた場合と、子どもの時に一定の支援を受けて成人して働き、納税者となった場合の社会的コストの差は、1人あたり7千万~1億円にもなるという試算もある。

 日本の財政状況は厳しいが、貧困にあえぐ子どもへの現在の投資が、将来の財政負担を軽減させることにつながり、ひいては社会全体を安定させる。

 何もしなければ、子どもの犠牲は増えていく。今ある貧困の連鎖を断ち切り、貧困を拡大させないため、児童扶養手当を始めとした現金給付の拡充が、早急に必要だ。
 (あかいし・ちえこ 1955年生まれ。NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)


応援クリック人気ブログランキングへ してね 

  社説:児童虐待―司法も防止の手助けを  
2015年9月24日 朝日新聞

 虐待を受けた可能性があるとして、児童相談所に警察が通告した今年上半期の18歳未満の子どもは1万7千人超と過去最多を更新した。警察が親や養親を逮捕・書類送検した事件数も376件と過去最多だった。

 両親が3歳の次男をウサギ飼育用のケージに入れ、暴行を加えて死亡させた▽父が生後4カ月の長女の腹部を殴って死亡させた――。いずれも今年発覚した事件だ。

 虐待の実態は外から見えにくい。近所の人が見かねて注意しても開き直ったり、しつけだと言い張ったりする親もいる。

 虐待が増える背景には様々な理由がある。核家族化や社会とのつながりが希薄になって孤立する親の存在や、貧困による生活不安などから、目の前にいる最も弱い存在の子どもにストレスのはけ口が向かいやすいといった点も指摘される。

 繰り返し虐待事件を起こす親が少なくないのも特徴だ。

 虐待対応の中核は児童相談所が担っている。だが、深刻なケースほど親は児相の介入に反発しがちで、「児相頼み」では解決は難しい。再発を防止するには、司法や学校など複数の機関の連携が不可欠だ。

 高松地検は昨年12月から、児童虐待で親が送検されたら児相や市町村の担当職員、学校の教師、医師ら事件の関係者に集まってもらう試みを始めた。起訴すべきか判断する前に、どうすれば再発を防げるのか、意見を聴いてから決めるためだ。

 9カ月で扱った事件数は10件。処分保留で釈放され、児相の支援を受けながら立ち直り始めた親もいるという。

 過去に虐待事件を担当した経験から、検察の役割を考えてきたという酒井邦彦・高松高検検事長は「重い刑罰を科しても、親の虐待傾向が収まらない限り再発の危険はなくならない。子や親を取り巻く人たちが情報を寄せ合い、児相の指導につなげる方が子どものためになるはずだ」と話す。

 立場の違う人の間に顔の見える関係ができれば、相談しやすくなる効果もあるだろう。虐待事件の多い都市部で同様のことをするのは難しいかもしれないが、参考になる取り組みだ。

 福岡市と和歌山県では、児相に常勤の弁護士を配置している。子どもの保護など、親権を制限してでも即決すべきケースは多い。家庭内に踏み込む以上、法的な助言が欠かせないのは全国の児相も同じだ。

 虐待対策に特効薬はない。行政の縦割り意識を捨て、社会総がかりで取り組むしかない。


  【虐待増、子ども施設限界】ピーク時定員150%も 脱衣所や相談室で就寝
共同通信 2015/09/24

児童虐待の増加に伴い、児童相談所が保護した子どもを短期滞在させる「一時保護所」の収容力が各地で限界に近づき、東京都と千葉県の計6施設で2013年に定員オーバーの状態だったことが共同通信の調査で分かった。ピーク月には定員比150%に達した施設もあった。

 90%台も全国に11カ所。部屋不足から風呂の脱衣所や相談室を寝室に使う施設もあるという。一時保護所は虐待に加え、非行を続ける子どもも保護する施設で、規則が厳しいことも論議になっており、専門家は「受け皿の拡大が必要だ」と訴えている。

 厚生労働省によると、全国約130カ所の一時保護所のうち13年1~12月の平均が定員比100%を超えたのは東京、千葉の6カ所だけだったが90%台は東京、千葉、神奈川、山梨、福岡各都県の計11施設。85~90%は8施設ある。

 東京都、千葉県によると、両都県の計2施設は特に過密が恒常化し、うち東京の施設は入所者の定員比が13年4月から1年間で106~136%(月平均)、千葉は100~150%(毎月1日段階)だった。虐待からの保護は緊急を要するため、定員を超えても受け入れざるを得ない事情が背景にある。

 両都県は現在各6カ所の一時保護所を運営し、定員を03~13年にいずれも約5割増やしたが、虐待対応件数は東京都が2・5倍、千葉県は5・7倍に激増した。

 千葉県中央児童相談所の 森山直人 (もりやま・なおと)所長は虐待件数について「心理的虐待からの保護が増えている。(夫婦間などの)ドメスティックバイオレンス(DV)は子どもへの心理的虐待と認識され、警察もDVで出動した際に児童相談所に連絡するようになった」と話した。

 ◎「会話なく重い空気」 人手不足、子にしわ寄せ
 定員超過などが明らかになった一時保護所の様子について、親から虐待を受け入所した経験がある少女(15)は、共同通信の取材に「会話がなく空気が重かった。処刑前みたいだった」と振り返った。
 一時保護所は虐待を受けた子どもの保護のほか、非行の少年少女を受け入れて行動観察する役割も兼ねている。そこに人手不足が加わり、管理優先の運営になりがちとの指摘もあり、東京都は今年、一時保護所に外部評価を導入する。

 この少女は、小学5年生だったとき東京都内の児童相談所を経て一時保護所に入った。過密は気にならなかったが、「ほかの人と仲良くできるかな」と職員に尋ねると「仲良くしなくていい」と言われ驚いたという。

 同室の上級生は優しく、「早く寝た方がいいよ」などと声をかけてくれた。だが「勉強の時も食事のときもシーンとして誰も何も言わない」のが耐え難かった。職員の言動も高圧的に感じ、反発して脱走を試みた末、一週間程度で虐待する親がいる家に戻った。「児相や一時保護所には二度と行かない」と言う。

 子どもの権利に詳しく一時保護所に入った多数の子どもに接してきた 川村百合 (かわむら・ゆり)弁護士は「規律が厳しく、違反すると『反省生活』という処罰のような扱いを受けたと訴え『まるで刑務所』という子は多い」と指摘。

 「そんな経験から一時保護所を拒み、再び虐待から保護が必要になっても『あんなところに行くくらいなら』と街を放浪、生きる金のため体を売り、非行に走るケースがあり大問題だ」と話す。
 東京都家庭支援課の 木村総司 (きむら・そうし)課長は月数回、一時保護所を訪れる経験から「会話がないとは考えにくい。笑って話している場面はよく見る。朝7時起床でご飯を食べ勉強、という生活が厳しいかもしれないが、昼夜逆転から離脱できたという子もいる」と説明した。

 子どもの問題に取り組む 音喜多駿 (おときた・しゅん)東京都議は「一時保護所の過密で人手が不足すれば、職員は子どもの安全を守る必要上威圧的に管理し、しかも管理している感覚もまひしてしまう。だが子どもの視点から見ると監督され窮屈。予算と人員が必要だ」と強調した。

 ◎受け皿の多様化も必要
 児童福祉と一時保護所に詳しい 安部計彦 (あべ・かずひこ) ・西南学院大教授の話 福祉施策の不十分さ、虐待の多発など大人の問題が一時保護所の過密という形で子どもにしわ寄せされている。閉ざされた空間ですし詰めになれば、ストレスから暴力や職員への反抗、子ども同士のいじめも生まれる。緊急保護の受け皿を増やさねばならないが、子どもを数人単位に分けての運営や個室設置を進めるべきだ。短期で子供を預かる里親制度の整備も必要だ。

 一時保護所 各都道府県、政令市などの児童相談所に付属する施設で、17歳以下の子どもが対象。目的は①虐待により家にいられない子の緊急保護②非行をした子どもの状況把握や生活指導―などで、滞在は最長2カ月だが、延長もできる。虐待加害者の親が連れ戻す危険を避けるため、一時保護所内で勉強させる施設が多いほか、所在地が非公開の場合もある。
(共同通信=澤康臣)2015/09/24 14:35。


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする