常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ヤブカンゾウ

2012年04月01日 | 日記


一転して寒気。最低気温-1.2℃、最高気温8℃。
屋根や日の当たらないところに1センチほどの積雪があった。
だが昼近くなるにつれ、日差しが強まり気温もあがる。

妻と近くの山に、春の新芽を摘みに行く。ヤブカンゾウ、この地方では
カミソリバともいうが、枯葉のあいだから薄緑の小さな新芽を出していた。
フキノトウの蕾が溶けた雪の縁に顔を出している。アサツキやノビルも太
陽を待ちかねたように細く伸びだしている。

ヤブカンゾウは開けた平地に、同じ仲間のノカンゾウは山地、ニッコウキ
スゲは湿原に群生する。10センチほどに伸びた若芽を摘んで、お浸しにし
ポン酢で味わう。口いっぱいにやさしい甘さとかすかに感じるほろにがさ
が、春の香りを感じさせる。

野遊びなどという子供のころに楽しんだ習いは、ついぞ見かけなくなって
しまった。カンゾウのやわらかい株を抜いて、葉をはがし根元を短く切っ
て、縦に吹いてピーピーと鳴らす草笛や麦の茎をつぶして鳴らす麦笛など
友達が上手に鳴らすのでうらやましくなって真似をするのだが、不器用な
私はほんの少し音を出すだけでいつも挫折した。

島崎藤村の春の抒情詩がたまらなく懐かしい。

小諸なる古城のほとり

雲白く遊子悲しむ

緑なす繁縷は萌えず

若草もしくによしなし

そろがねの衾の岡辺

日に溶けて淡雪流る

あたたかき光はあれど

野に満つる香も知らず

浅くのみ春は霞みて

麦の色わづかに青し

旅人の群はいくつか

畠中の道を急ぎぬ

暮れ行けば浅間も見えず

歌哀し佐久の草笛

千曲川いざよふ波の

岸近き宿にのぼりつ

濁り酒濁れる飲みて

草枕しばし慰む
コメント
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