常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

蔵王地蔵岳

2012年04月08日 | 日記


久しぶり天気が回復。蔵王雪山ハイキングを試みる。
蔵王温泉からロープウエイで、一気に地蔵岳へ、そこから熊野岳を経て中丸山そして蔵王ラインへ降りるコースである。参加者は山の会のヴェテラン6名。

8時15分にロープウエイが出発。眼下は穏やかな雪景色。
これなら行けそうだと、地蔵駅に降り立つ。途端に駅舎へ強風が吹きつけ、気温計は-8.7℃を示している。積雪は2.5m、時おり日がさすものの視界は30mほどしかない。

先週は寒く、山上は雪が降っていたと見られる。稜線へいく行く雪原は30センチほどの新雪だ。稜線は雪が飛ばされて、雪上は凍結している。この季節殆どがスキーヤーかスノウボーダーかと想像していたが、山登りのグループ2組にが黙々と熊野方面へ向かって行く。このあたりには、スキーヤーもボーダーもいない。

稜線へ出る。-8℃の低温に加え、強風が顔を直に打つ寒いより痛い感じだ。体感気温は-15℃とも思える。10mほど先に道標なのか、ポール状のものがぼんやりとかすんで見える。近寄って見ると、氷雪が風に吹き付けられて海老のシッポのように風に向かって伸びている。このところの冬の気候で成長を始めた樹氷だ。

ポールは南へ向かって立ち並び、行く手を案内している。
仲間からこの風では今日の目的地へは無理ではとの声が出始める。とりあえず熊野まで行ってそこで考えようとの声。リーダーが決断する。「天気予報では、この風は間もなく止む筈だから、ロープウエイの駅に戻って風待ちをしよう」

駅の建て屋は食堂が併設されて、暖房のきいた通路の腰掛で時間を過ごす。
やがて明るさを増した空から日が薄く見える。しかし強風は勢いを弱めない。窓から山上から降りてくる人影が見える。一歩づつその影が大きくなるのが、映像を見るような感じで見える。

小一時間ほど待ったが、風が止まずスキーコースを通って下山することにする。
明さんと新館さんはこのスキー場の常連だから、道案内をしてくれる。ここが樹氷原コースのザンゲ坂。あれがトニー・ザイラーの顕彰碑。あそこからは大平コースでもう危険はないと懇切だ。

大平コースまでくると、これまでの風が嘘のように収まり、穏やかな日差しが現れて霧氷がキラキラと美しい。三宝荒神山の急峻が目前に迫ると絵のような美しさだ。思わずカメラのシャッターを押す。

パソコンでそのシーンを再現してみるが、ここにアップしたようにどんよりとした風景でしかない。肉眼で見た景色と、カメラのレンズが捕らえた風景のこの落差は何なのか。下手なのか、光量の不足か。

地蔵岳の地蔵さんは首だけを出して体は雪の下。今日見るはずだった斉藤茂吉の山上歌碑はやはりなかば雪のなかに埋もれ先端には樹氷が付着しているのであろうか。

陸奥をふたわけさま聳えたまふ蔵王の山の雪の中に立つ 茂吉

蔵王温泉の大浴場の前に車座になって昼食をとる。4月になってもう春の陽気の山行のつもりであったが、今年の遅い春は山でも例外ではなく、思わぬ冬山であった。5月の連休にアルプスで天候急変で遭難したパーティも同様な体験をしたのだろう。撤退することの勇気も持ち合わせなければならぬ。


コメント
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