常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

屏風岳 アサギマダラとの遭遇

2012年08月04日 | 登山


快晴、きょうも下界は猛暑の予想。雲の上の涼風を求めて、南蔵王の屏風岳に登る。この山は山登りのグループに所属して最初のころに登って以来だから、もう15年ぶりになる。その山行の記憶はもうほとんどないが、早朝の山の空気に触れると、不思議にそのこの記憶がよみがえって来る。だが、その記憶は悪路に難渋したことだったり、同行のした仲間が発した他愛のない言葉だったりする。朝6時エコーライン沿いにある登山口に到着。朝風の清々しい中を登り始める。夜露か、はたまた雨のあとか、下草には水滴がついている。



芝草平は登山者をいやす格好のポイントである。春はチングルマが群落して咲き、ショウジョウバカマのピンクの花が目を楽しませてくれる。小さな池塘を囲むようにキンコウカの大群落が花を咲かせている。板を敷いた道を通って芝草平を一巡する。南の方角が開けて、風が吹き渡ってくる。ここへ来ただけで、きょうの山行は目的は達せられたような気がする。



キンコウカにカメラを近づけて接写する。黄色の線香花火のような星のかたちをした花が貴重だ。この花はあと何日咲き続けていられるだろうか。和名は金黄花。登山道には、やはり黄色いアキノキリンソウも咲き始めていた。



ふわりという感じで優雅に飛ぶ1羽のアゲハのような蝶を見かけた。仲間に聞くと、アサギマダラだという。夏に本州の山地を繁殖地とし、秋になると沖縄からさらに海を渡り中国大陸まで飛び渡る唯ひとつの蝶である。実に2000kを越える飛行記録を持っている。そういえば何年か前に、この近くの小学生がこの蝶の卵を樹の皮のなかで見つけたというニュースを思い出した。今日の山行でこの蝶を3度見かけた。いづれも単独で飛んでいて、羽を風に乗せる省エネの優雅な飛びである。



山頂から南屏風、水引入道の山並みが目に飛び込んでくる。朝方は少なかった登山者はだんだんと数を増し、それぞれのグループが登山を楽しんでいる様子が話し声や笑い声のなかにみてとれる。



北へ目を転ずると刈田岳山頂が見える。ここは植生も絶え、砂礫がむきだしになっている。姿は見えないが、頂上の東側には、お釜がコバルトブルーの水を湛えて、鎮座しているはづだ。エコーラインを通り抜ける車も心なし数を増してきたように感じられる。



登山道の所々にウスユキソウが見られる。同じ仲間のセイヨウウスユキソウはエーデルワイスと呼ばれ、ドイツ語で気高い白の意である。この花を愛でたサウンド オブ ミュージックは余りにも有名だ。

陽射しは強いが、地形によって涼風が吹き抜けていく。そんな場所で休みをとり、持参してきたトマトや菓子を食べながら会話は弾む。この会も20年という歳月を経て、会員の高齢化も世間並みだ。ベテランの会員がふと漏らした感想は、みんなの実感である。「山はいつまでもなくならないが、加齢は止まらない。体力は年々なくなっていく」



笹の葉にしがみつくようにじっと耐えているカタツムリ。高山にはなぜか大きなカタツムリを見かける。デンデン虫やマイマイとも呼ばれる。これは、「出ろ出ろ」とか「舞え舞え」と呼びかけたのがこの名の由来ではないかと、考えられている。子供たちにも容易く捕らえることができたので、遊びの小道具になったことから、類推されている。
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