常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

無敵艦隊

2012年08月05日 | 日記


先日のオリンピック、サッカーで日本がスペインを1ー0で破ったことを、中国の新聞が「戦艦大和が無敵艦隊を撃沈」と報じて話題を呼んだ。その後も日本チームは快進撃を続け、ついに準決勝進出を決めた。

ところで、スペインの無敵艦隊とは何か。多少この海軍について書いて見たい。時代は1588年に遡る。海上覇権をめぐって、イギリスの私掠船から被害を受けるスペインとイギリスの間でアルマダ海戦と呼ばれる戦闘が行われた。背景にはカトリックを信じるスペインと国教会のイギリスの対立があったといわれている。

この年の8月スペイン王フィリップ2世はイギリス征服をめざして130隻からなる無敵艦隊に大西洋を北上させ、イギリス艦隊の拠点であるプリマス港にせまった。迎え撃つイギリス艦隊は90隻、イギリスの劣勢が伝えられた。ところがイギリス軍は操船の技術にたけ、火船を放って無敵艦隊の船を炎上させたり、舷側からの射撃で大勝利を収めた。無敵艦隊はスペインへと敗走するが、おりからの悪天候でさらに船団の被害がつのり、2万に及ぶ兵士を失い、無事帰ったのは67隻にすぎなかった。

だが、この戦いですぐにイギリスが覇権を握ったわけではない。この海戦でイギリスもまた疲弊し、飢えと病気で数千名の兵士が亡くなった。スペインはその後、失地回復をはかり、1589年にはふたたびイギリス諸島を海上封鎖し、その戦力を閉じ込めた。イギリスが覇権を握ることになるまでまだ長い年月を必要とする。

「生きるべきか、死すべきか、それが問題だ」シェクスピアの「ハムレット」で吐くハムレットの名高いセリフは、この時代のイギリスの暗い空気を映しているともいえよう。

運命という凶暴な石弓から射ち出される石や矢を
じっと心の中でこらえているほうが崇高なのか、
それとも武器を取って怒涛のごとき難問の海に立ち向かい、
真向から対決して葬り去るほうがよいのか。死ぬとはつまり眠ること、
ただそれだけのことだ。

それにしても、水泳の400mメートルリレー男子の銀、女子の銅、いづれも感動的な場面であった。オリンピックが世界の国々の浮沈を象徴する戦いの場として、これを見ているなら、無敵艦隊や戦艦大和という例えが出てくるのも分からなくもない。だが国をこえた国境のないアスリートの競技が実現するのは、いつの日であろうか。スポーツで国威発揚という時代は、もう終わってしまっている。
コメント
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